試走によるルート確認


予定表のススメ」の最後にも書きましたが、試走はとても重要です。予定の見積にも役に立ちますし、あらかじめ迷いそうなポイントを走っておけば本番で慌てることもありません。

試走をする時間が取れない場合には、机上試走によるルート確認を最低限行っておきましょう。そして、最後に試走としてオススメな「初級キャノンボール」についても紹介します。


試走


キャノボに初挑戦する方に強くオススメするのは、事前に全線を試走しておくことです。別に24時間を目指すペースで走る必要はありません。道を確認しながらゆっくり走ればOK。一日180㎞ならば3日程度、旅行も兼ねて一度走ると道の雰囲気が良く分かります。迷いやすい場所は「ルート(東京→大阪)」「ルート(大阪→東京)」カテゴリに一覧で纏めてありますので、参考にしてみてください。

3日も時間が取れない方は、静岡県だけでも全線走っておくと良いと思います。豊橋駅~三島駅間ならば約180㎞。キャノボに挑戦する方なら1日あれば走り切れる距離です。

キャノボにおいて、迷いやすいポイントの大半は静岡県内に固まっています。大体はバイパスで自転車が通行禁止になっている箇所を迂回するルートになります。こうした迂回ルートも本サイトの「ルート」カテゴリに纏めてはいますが、静岡県の土木事業所が提供する以下のサイトが一番情報が早いと思います。あわせて参照してください。

 静岡県 自転車通行禁止区間情報
 http://www.cbr.mlit.go.jp/shizukoku/torikumi/anzen/jitensya/tsuukoukinshi/top.html


机上試走によるルート確認


遠方に住んでいたり、1日の試走の時間も取れない場合は、机上試走をオススメします。

机上試走が何かと言えば、読んで字のごとく「机の上で行う試走」です。具体的にはGoogleMapのストリートビュー機能でルートを確認するということです。キャノボコースは基本的に首都圏なので、ストリートビューで全線確認可能です。場所によっては見づらい箇所はあるのですが、雰囲気は掴めるはずです。

Googleストリートビューを単体で使うより便利な方法があります。Ride with GPSというサイトを使う方法です。要はルートラボの全世界版のようなサイトなのですが、こちらのサービスはGoogleMapをベースとしているため、自分で引いたルートを表示させた状態でストリートビューを確認出来るのです。

ストリートビューでは道の雰囲気は把握できますが、やはり机上は机上。実際に現地に行って自分の目で見るのとは印象が異なります。出来る事ならば、気になる箇所はキャノボ挑戦前に一度実際に走りに行くことをオススメします。


初級キャノンボール


ゆっくり試走をするのも良いのですが、本番に近いペースで試走したい方には「初級キャノンボール」をオススメします。

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一般的にはキャノボ「東京-大阪」間を指しますが、初級キャノボは「東京-名古屋」間を指します。距離は約370km。通常のキャノボの2/3の距離となります。キャノボ挑戦を目指す人の練習用として提唱されたコースです。本家キャノボは「東京・日本橋」「大阪・梅田新道」と明確な始点・終点が決まっていますが、初級の場合の名古屋には明確なポイントは決まっていません。名古屋駅やR1沿いの熱田神宮をスタート・ゴールにする人が多いようです。

前述の通り、キャノボコースで迷いやすいポイントの大半は静岡にあります。残りは愛知と神奈川。逆に、三重・京都・奈良・大阪はあまり迷うポイントはありません。初級キャノボは迷いやすい静岡・愛知・神奈川もまとめて走れるので、試走として最適なのです。

初級キャノボも制限時間はキャノボと同じく24時間とされています。ただ、本家のキャノボの達成を目指すならば、17時間以内には走破する必要があるでしょう。初級キャノボを17時間以内に走ることが出来れば、本家キャノボの達成の確率はかなり高いと思います。

(完)


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機材考察(サイクルコンピュータ編)


サイクルコンピュータの話です。主に、GPSサイコンの利点と選び方について考察して行きます。


GPSサイコンの重要性


キャノボは500㎞以上の距離を走ります。道に迷わない自信がある人でも、これだけの距離をミスコースなく走るのは難しいはず。ミスコースをすると余計な距離を走ることになり、場合によっては数十分単位でロスすることになります。時間に余裕がないキャノボでは、これだけのロスは致命的です。

ミスコースによるタイムロスを防ぐために有効な手段は何か? 私は、地図機能の付いたGPSサイクルコンピュータを使うことだと考えています。挑戦中には補給や道路状況の判断など他に考えるべきことが沢山あります。GPSサイコンを導入することで、考えるべきことが一つ減るというのは大きな利点です。残念ながらGPSサイコンがあってもミスコースは完全には防げないのですが、無い場合に比べて大幅に回数は減るはずです。

もちろん、GPSサイコンが無くともキャノボ達成は可能ですし、実際に達成した人はいます。ただ、そのためにはより入念な下準備が必要です。下見試走は必須でしょうし、その上でGoogleストリートビューによる全線の確認も必要となるでしょう。それに掛かる費用と時間を考えると、GPSサイコンを用意したほうが結果的には安上がりだと思います。

以降は、キャノボに向いたGPSサイコンの選び方について解説します。


GPSサイコンの要件


私が考えるキャノボに適したGPSサイコンの要件は以下の2点です。

 ①地図と現在位置・走行予定ルートの表示が可能であること
 ②24時間以上稼働すること


①については、「予定したルートを走れているか」「この先のルートはどうなっているか」を確認するために必要な機能です。地図が表示できず軌跡だけを表示可能なGPSサイコンもありますが、交差点で曲がる場合の判断が難しくなります。出来れば地図付の機種のほうが良いでしょう。

②については、満たす製品は中々ありません。GPS機能がとても電池を食うからなのか、はたまた需要がないのか、大体のGPSサイコンの電池は15時間未満しか持たないのです。

私がキャノボを達成した時に使っていたのは、Garmin Edge705。2010年当時は最強のGPSサイコンでしたが、やはり稼働時間は最大で15時間。残り9時間をどうにか動かす必要があります。幸い、USB端子にバッテリーを繋げば給電しながら使用可能だったため、USB出力付き乾電池ケースを予備電源として備えておき、電池切れが近づいたら接続するという方法を取っていました。

ただ、この「予備電源から給電しながら稼働する」方法にも欠点があります。

1つ目は、振動でUSBケーブルからの給電が瞬断する場合があること。Edge705は給電状態だとバックライトが明るくなるんですが、舗装の悪い場所を通ると画面の明るさがチカチカと変わって非常にストレスでした。

2つ目は、重くなること。今であればモバイルバッテリーが一般化しているので、3000mAh程度の容量があるモバイルバッテリーで給電しながら走る方法もあり得るでしょう。ただし、モバイルバッテリーを繋ぐということは、GPSサイコンの近くにモバイルバッテリーを固定する必要があるということになります。こういう時によく使われるのはトップチューブバッグ。私もトップチューブバッグに予備電源を入れていたのですが……よく考えると、この予備電源システムはかなり重いのです。

 ・モバイルバッテリー: 100~150g
 ・ケーブル: 10g前後
 ・トップチューブバッグ: 50~80g

つまり、GPSサイコンに加えて、予備電源システムで200g前後の重量増ということになります。「キャノボにおける持ち物の考え方」でも書きましたが、「持ち物が増えると、それを入れるための場所もセットで増え」るのです。地面から離れたハンドル近くに200gもの重量が増えると、走行感にも多少なり影響は出るでしょう。

この重量増を防ぐには、予備電源システムがなくとも単体で24時間稼働するGPSサイコンがあれば良いのです。ここからは、24時間以上稼働するGPSサイコンの具体例を挙げていきます。


推奨機種


① Garmin eTrex30x

私が現在メインで使っているGPSサイコンです。主に登山用として開発された製品ですが、自転車用の機能も備え、ハンドル・ステムに取り付けるためのマウントも販売されています。

【良い点】
 ・単三電池2本で25時間稼働
  →予備電源が必要ない。電池が切れてもコンビニで買える。
 ・心拍センサに対応
  →ペース管理に活用可能。
 ・フリーズしにくい
  →挙動が安定している。フリーズしても電池を抜けば再起動可能。
 ・安い
  →地図付のEdgeシリーズなどに比べると安価(実売3万円前後)。

【悪い点】
 ・大きい&重い
  →単三電池込みで170g(マウント除く)。
 ・パワーメーターには非対応
  →パワーによるペース管理が出来ない。
 ・気温センサはオプション対応
  →別売りのセンサを購入する必要がある。

登山用と言うこともあって、非常に挙動が安定しており、長時間稼働するのが強みです。

重いという欠点は、リチウム乾電池を使うことである程度解消可能です。約30g軽量化出来ます。リチウム乾電池は4本で800円程度と非常に高価ではありますが、温度変化にも強く、eTrex30ならランタイムも通常の充電池の1.5倍ほど(実測で40時間以上)になります。

確かにeTrexは単体で見ると通常のGPSサイコンに比べて重いのですが、予備電源が不要と考えると結果的に軽量であると言えます。予備電源+格納場所(トップチューブバッグ等)を考えると、その他のサイコンは300g前後の重量が必要となりますが、リチウム乾電池を使用したeTrexならば140gで済むからです。

なお、eTrexシリーズには、eTrex 20xと言う兄弟製品も存在します。30xとの違いは「気圧高度計」「磁気コンパス」「ANT+対応」の有無。30xは磁気コンパスを内蔵しているため、交差点で止まった状態でも、今現在どちらを向いているかを判別可能です。また、心拍センサやケイデンスセンサ、気温センサを使いたい場合にはANT+に対応した30xを選ぶ必要があります。少なくともキャノボであれば、30xのほうが向いているでしょう。

② Garmin Edge1030

GarminのGPSサイコンの中で、2018年現在フラグシップの製品となります。単体では20時間稼働とキャノボには少し足りませんが、専用の外部電源(拡張バッテリーパック)を使うことで稼働時間が40時間まで伸びます。

Edge1030の本体裏側のマウントへねじ込む部分には電源接続用の端子が設けられています。ここを通じて充電するため、ケーブルが不要となります。通常のGPSサイコンで考える必要のある「ケーブルの取り回し」や「モバイルバッテリーの格納場所」を考えなくて良いのは大きな利点です。

【良い点】
 ・拡張バッテリー込で40時間稼働。
  →電池交換の必要が無い。予備電源の格納場所が不要。
 ・心拍センサ、パワーメーターに対応
  →ペース管理に活用可能。
 ・気温も表示可能
  →別売りのセンサは必要なし。

【悪い点】
 ・高い
  →本体と拡張バッテリーで10万円前後。
 ・重い
  →本体123g、拡張バッテリー130g。計250g(マウント除く)。

電池の持ちは魅力であるものの、その源である拡張バッテリーを含めた総重量で考えると結構重いです。ただ、機能的には現時点で最強であるため、使う価値は大いにはあると思います。

拡張バッテリーパック自体はEdge820や520へも対応はしています(専用のアウトフロントマウントが必要)。ただし、Edge1030とは異なり、サイコンとバッテリーはケーブルでの接続となります。モバイルバッテリーをトップチューブバッグに入れて使うよりはスッキリするとは思いますが、それにしては投資額が高すぎる気はします。

(完)


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機材考察(ライト編)


ライトの話です。「フロントライト」と「テールライト・反射板」に分けて考察して行きます。


フロントライト


法律上、前照灯は1灯以上を取り付けることが義務付けられています。

点灯か、点滅かについては意見が分かれるところですが、車側や歩行者から見て距離感をつかみにくくなるので、点灯が原則です。夜間に故障した場合は即走行不能となるので予備ライトを一つくらいは持ったほうが良いと思いますが、その場合は諦めると割り切るのも一つの選択です。

①明るさ
定量的に示すのは難しいのですが、都市部ならば100~200ルーメン、山ならば300~400ルーメンあれば事足りると思います。この辺りは夜間視力(年齢でも変わる)も関係してくるので、一概に言う事は出来ません。どの程度の明るさがあれば路面の確認に問題が無いか、あらかじめ夜間走行をして確認することをオススメします。

②ランタイム
キャノボに向いた春・秋シーズンであれば、ライトが必要なのは12時間程度です。この時間持つだけのライトを選ぶか、予備ライト・予備電源を持って走る必要があります。

2018年現在でオススメなのは、「CATEYE Volt800 + BA-3.4(予備電池)」の組合せ。Volt800は弱モードで10時間前後は持つので、予備電源があれば20時間程度の使用が可能となります。時折現れる暗い区間で中モードを使っても、十分電池は持つはずです。

③取付場所
ハンドルに取り付けるのが王道だと思いますが、ハンドル周りは自転車における一等地。場所が空いていないこともあるでしょう。

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私がキャノボに挑戦した際は、ハブ軸にライトが付けられるアダプタを使っていました。ハンドル周りを重くしたくなかったのが理由です。ハブ軸には予備ライトを取り付けていました。

また、峠の下りで急カーブ(180度近いもの)があった場合、ハンドルが向く方向と、自分が見たい方向(カーブの出口)が異なる場合があります。具体的には大阪→東京の場合の箱根旧道の下りです。私は50gくらいの軽量ライト(Dosun SF300)をサドルバッグに入れておくという対策を取ったことがあります。箱根の頂上でこのライトをヘルメットに取り付けることで、自分の見たい方向が見られるようにしました。

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Dosun SF300は300ルーメンの明るさを持っています。ただし、軽量性を追求したライトであるため、1時間しか持ちません。箱根の下りは30分も掛からないので、今回の用途では全く問題ありませんでした。

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「こういうヘルメットライトを使えば良いのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、このライトは電池込みで200g近くありますし、何より首が疲れます。軽量ライトを使う時だけ付ける方が首への負担も少なくて良いと思います。


テールライト・反射板


法律上、自転車はテールライトまたは反射板を取り付けることが義務付けられています。

テールライト、または反射板のどちらかを取り付ければ良いのですが、幹線道路を走ることが多いキャノボでは、出来る限り被視認性を高めたほうが安全に走れるはずです。最低でもテールライト1灯以上、出来れば「テールライト2灯」または「テールライト1灯+反射板」の組合せをオススメします。テールライト1灯だけだと故障時にそれ以上走れませんので……。もちろん、こちらも故障したら諦めるというのも一つの選択肢だと思います。

なお、点灯か点滅かについて。法律上の扱いを調べてみましたが、点滅でもセーフという解釈もあれば、点灯ではないと駄目という解釈もありました。ただ、反射板と併用する限りにおいては、点灯でも点滅でも、そもそもテールライトを付けなくても(法律上は)問題ないようです。

①明るさ
昨今はフロントライトにはルーメンで明るさが表記されることが増えましたが、テールライトにルーメンが明記されている商品は多くありません。理由は良く分かりませんが……。

明るければ明るいほど良いのは言うまでもないのですが(目立つので)、残念ながら現在市販されているテールライトは、

 ・やたら明るいが、2時間しか点灯しない
 ・あまり明るくないが、60時間点灯する


というように両極端です。前者は充電式の物が多く、後者は電池式の物が多いです。

そこそこ明るくて一晩中持つものがあれば良いのですが。いっそ、両方取り付けて併用するのが良いかもしれませんね。私は電池式×2か、電池式(反射板付き)という構成をよく用います。充電式は確かに明るいのですが、点灯時間が短くて私はあまり使っていません。

②ランタイム
前述のように、テールライトが必要となるのは12時間前後ですが、それだけの時間点灯出来て、かつ明るいテールライトは中々ありません。

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私がキャノボ挑戦時に使っていたのは、「PDW Radbot 1000」というテールライトです。点灯モードで15時間持ち、1Wの明るいLEDを搭載。更に反射板も備えている良いライトでした。ただ、残念ながらネジ止めのブラケットの固定力が悪いという弱点がありました。スペックだけを見てキャノボ直前に取り付けて、本番中にテールライトが振動で徐々に下に落ちてくるという事態に見舞われ、急遽コンビニでビニールテープを買って固定した記憶があります。「初物はトラブルの元」と言うのは、この一件を見てもお分かり頂けると思います。

残念ながら、上記のライトは今は日本ではほとんど見かけません。現行品で明るさとランタイムのバランスが良いのは、「CATEYE OMNI5」あたり。また、反射板を備えているので安全性の高い「CATEYE REFLEX AUTO」も良いと思います。ただ、どちらも電池の消耗度に比例して暗くなるライトなので、キャノボ挑戦前には新品の電池を入れるようにしてください。

③取付場所
テールライトについては、シートポスト、サドル下、シートステーと、大体どこに取り付けても良いとは思いますが、地面から離れるほど、車からの被視認性が高いものです。ヘルメットにテールライトを付けると相当目立ちます。

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また、最近はブルベ界隈でこの手の三角形リフレクターが流行っています。結構風でバタつくので、そういった事が気になる人にはオススメはしませんが、かなり強烈に目立ちます。

(完)


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機材考察(自転車本体編)


まずは、自転車本体の考え方についてです。


車種


わざわざ言うまでも無いかもしれませんが、キャノボに一番向く車種は「ロードバイク(以下、ロード)」だと思います。巡航、加速、ヒルクライム性能のバランスが良い機材です。また、ポジションの選択肢も多く、疲労を散らせるのもキャノボに向いています。

ただ、他の車種でも達成自体は可能です。2018年現在、以下の車種でのキャノボ達成が確認されています。

 ・シクロクロス
 ・ミニベロ(折りたたみ含む)
 ・クロスバイク
 ・ファットバイク


以下の車種は達成が確認されていません。

 ・TTバイク
 ・リカンベント
 ・MTB


TTバイクは巡航性能は高いものの、加速・ヒルクライム性能に劣り、ポジションの長時間維持が厳しいことが原因だと考えています。リカンベントは単純に乗っている人が少ないだけで、特性的にはキャノボに向いていると思います。MTBはソロでこそ達成はいませんが、チームで走るFlecheでは24時間を切った記録が残っています。

ミニベロやファットバイクで達成可能という事実は、キャノボにおいて「結果への機材性能の寄与度は低い」と言うことを証明していると言えるでしょう。キャノボは伊賀ルートを選べば523kmほど。これを24時間で走るので、求められるグロス平均時速は21.8km/h以上となります。平地で32~33km/hを維持すると、大体グロス平均時速はこのくらいになります。つまり、32~33km/hを維持できる車種ならばキャノボは実現可能であるはずです。

ただ、これらのロード以外での車種による達成は、いずれも「ロードで一度達成した人によって行われている」と言うことを強調しておきます。いきなり変わった車種でチャレンジしても達成の確率は低いです。それよりは、一度でもロードで達成してコツを掴み、それから他の車種にチャレンジしたほうが達成の確率は大幅に上がるはずです。

私はFlecheでクロスバイクを使用しましたが、他の条件が同じだと仮定すると、ロードより30分~1時間程度遅くなる感触でした。ロードバイクで22時間台でキャノボを走れる方ならば、クロスバイクによる達成も十分可能であるということです。苦しかったのは、走行性能よりもポジションが選べない(フラットバーなので)ことによる各部の痺れと痛み。走行後、数週間は手の痺れに苦しみました。


フレーム素材


統計を取ったわけではありませんが、達成した人の機材を見るとカーボンフレームであることが多い印象です。やはり重量が軽く、振動減衰に優れ、剛性も高くしやすいカーボンフレームは有利であると思います。そもそも、最近はミドルグレード以上のロードならば大体フルカーボンであることが多いので、割合が多いのは当たり前なのですが。

ただ、アルミやスチールフレームでの達成も一定数いるのは確か。車種と同様、フレーム素材の結果への寄与度は低いのだと思います。個人的にはフレーム素材よりも、フォーク素材が効くと考えています。安いクロスバイクでも、まともなカーボンフォークを入れたら反応性・快適性共に向上しました。


コンポーネント


コンポーネントについても、結果への寄与度は低いと思います。何度も書きますが、性能よりも「ちゃんと調整されているか」の方が大事です。

私が見た中では、SHIMANOならば105以上のコンポーネントを使っている人がほとんど。CampagnoloやSRAMはあまり使用者が居ないのでグレードは分かりませんが、どのグレードでも大きな問題にはならないと思います。もちろん、上のグレードに行けば行くほど、気持ちよく走ってくれる可能性は高いですが。

ちなみに、私は達成時はSHIMANO ULTEGRA SLを使っていました。


ホイール・タイヤ


これはなかなか選択に悩む部分です。速度に直結しますし、パンクと言うメジャートラブルに係るパーツだからです。

ホイールとタイヤには、大きく以下の3つのシステムがあります。

 ・チューブラー
 ・クリンチャー
 ・チューブレス(チューブレスレディ)


達成者の中で一番使用率が高いのは、クリンチャーです。パンクからの復帰が10分程度で可能ですし、タイヤ自体がバーストした場合でも近くに自転車屋があれば高確率で調達可能です。実際、タイヤに大きな穴が開いても、現地の街の自転車屋でタイヤを購入して達成まで持っていった方もいます。

次いで多いのはチューブラーです。ホイールとタイヤの合計重量が軽くなりやすく、走行性能も高い場合が多いのが特徴。ただし、パンクからの復帰に時間が掛かる欠点があります。「パンクしたら諦める」と割り切って性能に賭けるならばアリな選択だと言えます。なお、キャノボに用いるのならばパンク防止剤のシーラントを入れて走ったほうが良いでしょう。

一番割合が少ないのがチューブレス。私が知っている限りでは、チューブレスでの達成者は一人しかいません。チューブが入らないため低圧でも走行抵抗が低く、乗り心地が良いのが特徴。シーラントを入れることが前提となっており、パンクもしにくいのが長所です。ただし、シーラントで防げなかったパンクの場合、出先での復帰が中々難しいという欠点も(タイヤが中々ハマらない、携帯ポンプではビードが上がらない等)。ただ、MAVICが打ち出したUSTはタイヤがはめ易く、携帯ポンプでもビードが上がるので今後使用者が増えるかもしれません。

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そして、どんなタイヤを使うか。キャノボにおいては、大阪→東京時の箱根旧道を除いて急勾配の下りはありません。また、天気を選べば雨の中を走ることも無いはずです。このため、グリップ偏重タイヤを使う必要は無いと思います。

各社のフラグシップタイヤの中でオールラウンドに位置づけられるもの(Continental GP4000SIISchwalbe ONEMichelin POWER COMPETITION等)を使っておけば問題ないでしょう。耐パンクベルトも入っていない軽量タイヤ(Continental SupersonicBRIDGESTONE R1S等)はパンクリスクが上がるのでやめたほうが良いと思います。

タイヤの太さについて。一番メジャーなのは23Cです。私が達成した時も23Cでした。そもそも当時は23Cタイヤ以外の選択肢は殆どなかったのですが。

最近はワイドリムがメジャーとなっており、25C以上のタイヤ推奨のホイールが増えました。キャノボのルート上で舗装が荒れているのは伊賀の採石場あたりくらいなので、極端な太タイヤは必要ないと思います。加速性重視か、快適性重視かという所で、23Cか25Cかを決めると良いでしょう。


コンタクトポイント


コンタクトポイントとは、自転車と体の接続部分を指します。つまり、ハンドル・サドル・ペダルです。

ハンドルは、カーボンハンドルだと手の痺れが起きにくく快適。ただ、アルミハンドルで普段問題が無いのならば、そのままで良いと思います。注意したいのは、ハンドルの高さ。あまり上げすぎると空気抵抗が大きくなりますし、下げすぎると内臓が圧迫されて途中で補給が出来なくなる場合があります。

サドルは、普段使い慣れたものならば何でも良いと思います。痛みが出てしまうと走りに集中できなくなるので、300㎞走っても問題ないサドルを選びましょう。

ペダルは、個々人の違いが大きい部分です。私はXTRの両面SPD(PD-M9000)を使用。「SPD-SLのシューズはソールが硬すぎて足裏が痺れる」「両面SPDはキャッチミスがほとんど無くゼロ発進がスムーズ」と言うのが理由です。とはいえ、踏み面が大きいレース用ペダル(SPD-SLやLOOK KEOなど)の方が、効率的には良いのも確か。この辺りは自分の乗り方と相談してみてください。

なお、フラットペダルでも達成した人はいます。足裏に痛みが出やすかったり、ポジションを固定すると膝の痛みが出やすい人は、いっそフラットペダルにするのも手かもしれません。


チェーンオイル


最後にチェーンオイル。道中でオイル切れを起こすと異音が発生してストレスになりますし、走行抵抗自体も増えます。道中で注油している時間はありません。スタート前に注油し、500km以上は効果が持続するオイルを選ぶ必要があります。

とはいえ、スポーツ自転車用のチェーンオイルは、よほど用途が限られたもの(トラック競技用等)でない限りは、500km程度は持ちます。雨が降れば持続距離は短くなりますが、前述のように雨が降らない天気を選べば良いのです。

一般に、チェーンオイルは「ウェットタイプの持続距離が長い」と言われています。迷ったらウェットタイプを使っておけば良いでしょう。私がキャノボに挑戦した際には、Vipro's muonというオイルを使用していました。潤滑性能は良かったのですが、やたらチェーンが黒くなりやすいオイルでもありました。

オイルについては何を使うかよりも、決行直前のドライブトレイン(チェーン/ディレイラー/スプロケ/クランク)の洗浄&注油の方が大事だと思います。ドライブトレインの汚れは数ワットの効率低下というデータもあります。是非、キャノボの前にはドライブトレインの洗浄と注油を行ってください。


(完)


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キャノボにおける機材の考え方


いきなり乱暴な結論から書きますが、キャノボにおいては「結果への機材性能の寄与度は低い」と私は考えています。結果を分けるファクターとしては以下のものが大きく、それに比べると機材性能の寄与度はごくごく低いものです。

 ・天気(風向き/気温/雨/雪 etc)
 ・計画(ルート/スタート時間/ペース etc)
 ・体調(睡眠/消化器官/膝や腱 etc)


きちんと整備された自転車であれば、大体の自転車でキャノボは達成可能だと私は考えています。

ただ、機材によって結果が分かれるケースもあります。一番大きなトラブルはメカトラ。ワイヤー切れや、ホイールの破損は即リタイヤに繋がります。「機材」ではなく「機材性能」とここまで書いてきたのは、このため。性能の良し悪しよりも、整備状態の良し悪しの方が結果には影響するものです。

そして、あらゆる対策をして実力的に伸るか反るかの場合、「機材性能」が結果の成否を分けることもあるでしょう。

以上を踏まえて、機材について考えていきます。


メカトラを防ぐ


「持ち物」のカテゴリでも書きましたが、キャノボにおいては時間中に大きなメカトラを対処することはほぼ不可能です。対処できるのは、せいぜいパンク1~2回まで。そのパンクですらも大きなロスなので、出来れば起こらないに越したことはありません。走行前に出来ることは以下の2つです。

①挑戦前の点検
機材スポーツの基本ですが、大事な本番前には全体的な点検が必要だと思います。

 ・タイヤに傷は無いか?摩耗しすぎていないか?
 ・ワイヤーは交換時期を過ぎていないか?
 ・ディレイラーハンガーが曲がっていないか?
 ・ホイールは振れていないか?スポークテンションは適正か?
 ・注油はされているか?


ごくごく一般的な項目ですが、この中の一つでも抜け落ちるとリタイヤの原因になります。出来ればプロショップで確認してもらったほうが良いでしょう。

最近はレース前にショップ車検を義務付けるイベントも増えてきました(GSRカップ、AACRなど)。ショップにもよりますが、1000~3000円程度の工賃でチェックをしてくれると思います。もちろんチェックの結果、何らかのトラブルが発見された場合には追加費用が掛かりますが、挑戦中に出るトラブルが事前に拾えたと思えば安いものです。


②初物は使わない
もう一つ強調しておきたいのは、「本番で初物を使わない」と言うことです。

キャノボにおける持ち物の考え方」でも書いたエピソードですが、私は通販で買ったばかりのホイールを「決戦用」と称してキャノボに投入した結果、スポーク折れでリタイヤしたことがあります。通常、ショップで買うホイールは、振れやスポークテンションについて確認してから納品されるもの。ですが、通販の場合はそうとも限りません。それを知らずにいきなり本番に初物を投入した結果、ホイールは破損したわけです。

ホイールに限らず、実走でテストしていない機材を本番でいきなり使うのは危険です。初期不良の可能性もありますし、普段との感覚の違いに戸惑うこともあるでしょう。決戦用機材を使うにしても、最低100km程度は乗ってテストしておくようにしましょう。


機材の選び方


前述の通り、天気や計画に比べれば機材で縮まるタイムは微々たるものですが、塵も積もれば山となります。最高の風向きを選び、ルートを間違えなかったとしても、走力的に達成の当落線上にある場合、結果を左右するのが機材性能ということもありえるはずです。

それに、24時間の長丁場となると、気持ちよく走れるということも大事です。私の尊敬するとあるランドヌールは、「ロングライドのコツはストレスを一つずつ減らしていくこと」と言っていました。変速でもたついたり、明らかに進まない感覚を持ったままだと気分も滅入ってくるもの。そういった事を防ぐためには、自分が納得した機材で走るということも重要だと考えています。

次ページから、「自転車本体」「ライト」「サイクルコンピューター」の3項目に分けて機材の選び方を考察して行きます。

(完)


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「機材」カテゴリについて

東京大阪キャノンボールに挑む際にどんな機材が良いのかを考察するカテゴリです。本カテゴリでは、走行に直接関係する以下の機材についてのみを記載します。

 ・自転車本体
 ・ライト
 ・サイクルコンピュータ

これ以外のものは、「持ち物」カテゴリを参照してください。ウェア類(ヘルメット含む)は「ウェア」カテゴリを参照してください。


本カテゴリでは、以下の話題を書く予定です。

・キャノボにおける機材の考え方
・機材考察 - 自転車本体編
・機材考察 - ライト編
・機材考察 - サイコン編
・挑戦時の機材紹介
etc

(完)


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私の持ち物例

キャノボ時の持ち物の具体例を示します。

キャノボにおける持ち物の考え方」の内容を踏まえてお読みください。あくまで私の場合の持ち物なので、他の人には当てはまらないと思います。ご自分の経験から対処すべきトラブルをシミュレートし、持ち物を選んでください。


私の持ち物例


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私が2015年にFlecheで大阪→東京を走った際に持っていったものを以下に示します。クロスバイクでの挑戦でしたが、ロードバイクでも私の場合は持つものは同じです。

2015年のFlecheは複数人で行ったため、厳密にはキャノボではありません。ただ、24時間で大阪東京を走っているので、持ち物的にはキャノボを走る想定で用意しました。2010年のキャノボの持ち物を示しても良いのですが、ちょっと古すぎるので比較的新しい2015年のFlecheの持ち物を示すことにしました。


格納場所大分類小分類製品名
自転車本体輪行袋-超軽量輪行袋 PI-1
携帯ポンプ-airbone ZT-705
ボトル-Zefal Magnum 1000ml
ジャージポケットスマートフォン-京セラ Torque
モバイルバッテリー-Panasonic enelooop 5200mAh
充電用ケーブル-Owltech 充電専用 20cm
財布現金-
クレジットカードVISAカード
電子マネーカードSuica
トップチューブバッグ計画表--
サプリメントBCAA味の素 アミノバイタルプロ
カフェイン梅丹本舗 CCC
ツール缶携帯ツール-airbone TOOLBAR
パンク修理タイヤレバーPanaracer タイヤレバー
予備チューブMAXXIS Ultralight 18-25C
サドルバッグウインドブレーカー-mont-bell ストームクルーザージャケット
シャモアクリーム-アースブルー Protect S1


キャノボにおける持ち物の考え方」で書いた「絶対必要なもの」に当てはまらないものについて、持っている理由を挙げます。



 ・スマートフォン+モバイルバッテリー
  →緊急時の連絡用&Twitter報告のため。
 ・サプリメント
  →効率よく疲労回復が出来るBCAA&眠気覚ましのカフェイン入りジェルを持ち運ぶため。
 ・計画表
  →計画と実際のペースを比較して状況を把握するため。
 ・携帯ツール
  →ネジの緩み等の軽微なメカトラに対応するため。
 ・パンク修理セット+携帯ポンプ
  →1度まではパンク修理をしてもリタイヤしないため。
 ・ウインドブレーカー
  →箱根の寒さ対策のため。箱根が一桁気温予想だったので、普段より厚めのジャケットを持った。
 ・シャモアクリーム
  →股ズレしやすい体質であるため。通常、数時間ごとに塗り直しが必要。



私の持ち物の特別な傾向としては「防寒具の少なさ」「股ズレ対策」あたりでしょうか。どちらも単に私が一般的な自転車乗りより太っていることに起因していると思っています。体重が低い人は別に股ズレ対策をしなくても大丈夫でしょうし、寒がりならば防寒具を増やすかウェアリングを工夫する必要があるでしょう。

あと一つ工夫したのは、1000mlの特大ボトルを持ったこと。輪行袋をサドルバッグに入れると重心が上がってしまうため、輪行袋はシートチューブ側のボトルケージに格納しました。これにより、持てるボトルは1本だけに。この時は約80kmごとにコンビニによるプランを立てていたのですが、経験上、通常のボトル(750ml)だと不足すると試算。このため、容量の大きい1000mlボトルを持つことにしました。

キャノボにおける持ち物の考え方」でも書きましたが、「ここまでのトラブルが出たら諦める」のライン内のトラブルに対処できるだけの物を持つようにしています。この時は、「パンクには1回まで対処するが、それ以上のトラブルは諦めてリタイヤする」想定でした。チェーンについては本番一週間前新しいものに交換して試走済み。ワイヤー類も一通りショップでチェック済みの状態で本番に臨みました。

なお、スタート1時間前に、不要な荷物は全て自宅に向けて宅配便で送付しています。


結果


2015年のFlecheの結果です。

道中、パンクは起こらず。ただ、バーエンドバー(この時はクロスバイクだった)が緩むトラブルがあり、携帯ツールの出番はありました。事前の準備のおかげでバーエンドバー以外のメカトラは起こりませんでした。

最終的には、24時間以内に無事日本橋に到達。持ち物については過不足なし。最高の結果で終わることが出来ました。

(完)


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キャノボにおける持ち物の考え方


私見になりますが、キャノボにおいては「持ち物の引き算」が大切だと思っています。つまり、いらないものは極力持たないということです。また、いるものも極力軽いものを選ぶ方が良いでしょう。

自転車のエンジンは自分であり、そのパワーは有限です。出来る限り軽いほうが楽に走ることが出来るのは間違いありません。自転車本体には必ずしもそれは当てはまらないのですが(軽くしすぎると今度は進まなくなる)、その他の持ち物は出来うる限り軽くするべきだと考えています。

一方、絶対に持たなければいけない装備もあります。例えば、ライトやベル等の保安部品。これを付けないで公道を走ることは法律違反となります。また、お金も絶対に必要です。

必要なもの、そうでないもの。それをどうやって見極めるかを本記事では書いていこうと思います。


持ち物を減らす効果


一つ例を挙げましょう。「雨が降るかもしれないから、雨具の上下を持っていこう」と考えたとします。重量は、上下で約600g程度が普通です。しかし、増えるのは600gだけでは済みません。それを入れるためのフロントバッグやサドルバッグが必要となります。これでまた300g程度がプラスされます。

このように、持ち物が増えると、それを入れるための場所もセットで増えます。そして、増えた持ち物は自転車の上半分に位置することが多いものです。サドルバッグは言うに及ばず、フロントバッグやトップチューブバッグはいずれも地上から離れた場所に位置しています。こうした場所の重量が増えると、ダンシング時の自転車の振りが重くなるのは多くの方が経験していることだと思います。信号の多いキャノボではこの影響が小さくないのです。また、上側の重量が増えるとフラつきやすくなり、安定性も下がります。

最近はバイクパッキングがロングライド界隈にも持ち込まれ、ロードバイクでもかなりの量の荷物を積載できるようになりました。ブルベのペースであればこういった物を使って多くのトラブルに備える側に振るのも良いのですが、速いペースの要求されるキャノボでは、「それが本当に必要か?」をよく考えるべきです。

一つ一つの荷物の重量は小さいですが、塵も積もれば山となるもの。必要ないものを削っていった際の走行性能の向上は、決して小さくないはずです。


持たなくても良いもの


サイクリング中の持ち物は、基本的にトラブルに対処するためのものです。想定されるトラブルが少なければ、それだけ持ち物が減るということです。

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他のカテゴリでも書いていますが、キャノボの大きな特徴は「決行日時を自分で選べる」ということ。ここがブルベ等の他のロングライドイベントと決定的に異なります。

日時を選ぶことで減らせる荷物といえば「雨具」です。雨具は重量の割にかさばるため、それを入れるための入れ物(サドルバッグ・フレームバッグ・ツールケース)が必要になり、自転車全体で見ると大幅に持ち物が増えます。また、雨具は空気抵抗が増えるのでスピードを保つためのパワーが一層必要となります。制限時間の厳しいキャノボでは雨具を着るシチュエーションに身を置くことはそもそも悪手なのです。

せっかく日時が選べるのですから、なるべく降水確率の低い日を選びましょう。そうすれば雨具を持つ必要もありません。ただ、にわか雨が心配な人は防寒を兼ねる薄手のレインジャケットを一枚持っておくのは良いと思います。箱根や鈴鹿と言った高所は言うまでもなく、昼夜の寒暖差もありますので。本格的な雨具(GORE-TEXなど)が必要とされる天気の場合はそもそもキャノボをするべき日ではありません。

 [Amazon] KAPELMUUR クリアレインジャケット

私が晴れ予報だけどちょっと心配な日に持つのが、カペルミュールのクリアレインジャケット。100g以下と軽量、更に伸縮性があってバタつきにくいのが特徴です。メッシュの通気穴が設けられているので防水性は低いのですが、にわか雨程度なら凌ぐことが出来ます。

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決行日時と同じくらい強調したいのが、「遭遇率の低い/深刻なトラブルに備えた持ち物は持たない」ということです。

キャノボはとにかく時間がありません。制限時間中に対処できるメカトラブルは、せいぜいパンク1~2回まで。それ以上のトラブルが起きてしまったら、さっさとリタイヤして次回に備える、または時間外完走を目的に切り替えるべきだと思っています。幸い、キャノボルートは常に線路の近くを通っていますし、5km以上駅から離れるところは稀です。お金と輪行袋さえあれば、行き倒れることはまずありません。

私は初のキャノボ挑戦の際に豊橋でスポークが折れてリタイヤした経験があります。リタイヤ直後は「予備スポークを持ち歩いていれば」と思っていましたが、今になって考えてみると素直にリタイヤして正解だったと思っています。予備スポークがあっても、近くにショップがあるとは限りませんし、完組ホイールのスポークトラブルがすぐに直るとは限らないからです。

この経験以降、私は年に1回はホイールの振れやスポークテンションをショップで確認してもらうようになりました。メカトラに関しては「壊れた時のため」を考えるよりも、「挑戦中に壊れないようにする」ことを考えたほうが良いでしょう。キャノボに限らず、大事なライドの前にはショップで一通りの点検(タイヤの摩耗・ワイヤーの劣化等)をしてもらうと安心して走れると思います。

また、人によって「深刻なトラブル」の程度は異なります。「2回まではパンクしても達成できる」と思う人もいれば、「1回でもパンクしたら諦める」という人もいるでしょう。スポークが折れても、手組だし15分あれば自分で直せる人もいるかもしれません。大事なのは、事前に「ここまでのトラブルが出たら諦める」というラインを決めておくことです。トラブルのシミュレートを行っておくことで、いざトラブルが起きても取り乱さなくて済むはずです。

実は、「持ち物を減らす」と言うのはそれ自体が目的ではなく、このトラブルのシミュレートを行った結果なのです。ちゃんとシミュレートしていれば、持ち物は自ずと厳選されてくるもの。過去のキャノボ達成者の装備を写真で見ると「軽装すぎる」と感じる人もいると思いますが、あれはその人なりの研究の成果ということですね。

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最後に、「着替え」です。ゴール後の着替えを持って走る方はいないかもしれませんが、念のため。

こうしたものは、ゴール地点近くの郵便局に対して局留めにするか、宿泊予定のホテル(ゴールが自宅に近ければ自宅)に送ってしまうのが定石です。着替えに限らず、走行中に使わないもの(コンセントを使う充電器など)は持って走らないのが原則です。大体、スタートの半日前に送れば、24時間でゴールしたとしても荷物が先に到着しています。


絶対に必要なもの


逆に、キャノボで必要なものを考えてみます。既に書いてはいますが、私が考える必須の持ち物は以下です。

 ・保安部品(前後ライト、ベル)
 ・輪行袋
 ・お金(現金、クレジットカード)


究極的にはこれだけあればよいと思います。ボトルはペットボトル運用にすれば必要ないですし、パンク修理用具も諦める人には必要ないでしょう。前述のように、せいぜい5㎞も歩けば輪行出来るのがキャノボの良い所です。

保安部品は言うまでもありません。公道を走るのだから絶対に必要です。

輪行袋については議論が分かれるかもしれません。「退路を断つために持たない!」という人もいますが、私的には時代に合わない考えだと感じます。一昔前だとゴミ袋輪行でも見逃されてはいましたが、今はそうはいかないからです。リタイヤ時に輪行袋を買うにしても、都合よく近くにスポーツ自転車店があるとも限りません。

「ロードサービス付きの保険に入っているから大丈夫!」という人もいますが、ロードサービスは呼んだ場所から最寄りの駅までしか運んでくれません。駅から家まで帰るには輪行袋が必要です。

最近は軽くて小さな輪行袋も増えてきています。私は「リタイヤする気は無いが、もしもの時のために輪行袋を持つ」場合には、以下の製品を使用しています。

 [Amazon] Pocket in(ポケットイン) 超軽量輪行袋 PI-1

この製品は2018年現在商品として流通している中では最軽量で、200gを切ります。パッキングにクセがあるので、実際にライドに持ち出す前に一度パッキングのテストをしておいた方が良いです。自主制作界隈では、更に軽い輪行袋もありますので、気になる方は調べてみてください。

最後にお金。これがあれば最終的には何とでもなります。出来れば現金とクレジットカードの両方を持っておくと良いと思います。キャノボでは中々無いことですが、自走不能になってしまって最寄駅まで歩けないような距離であった場合のタクシー代等、支払が高額になるケースが考えられるためです。


持っていたほうが良いもの


「絶対に必要なもの」の他に持つべきものは、人によって異なります。前述の「ここまでのトラブルが出たら諦める」のライン内のトラブルに対処できるだけの物を持てばよいでしょう。

基準となるのは、自身の過去のトラブル経験です。そこから、必要性の可否を考えて持ち物を選んでみてください。ポイントは、「迷ったら持たない」です。迷うということは、自身の中で起きる可能性が低いと考えているトラブルに対処するためのものであるということです。そうしたトラブルが起きてしまったら、運が悪かったと思ってリタイヤし、次の挑戦に切り替えたほうが良いでしょう。


(完)


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「持ち物」カテゴリについて

通常のロングライドとは違い、タイム制限が厳しい東京大阪キャノンボール。そんな場合、どんなモノを持って走るのが適切なのかを考察するカテゴリです。ウェアは別カテゴリに書く予定なので、本カテゴリではその他の持ち物についてのみを触れます。

以下の話題を書く予定です。

・キャノボにおける持ち物の考え方
・挑戦時の持ち物紹介
etc


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小田原クランク回避ルート

「弱虫ペダル」で落車が起こった小田原のクランクを回避するルートです。若干信号が少なく、ブルベでもよく使用されます。





■メリット
・距離が少しだけ短い。
・信号が少ない。

■デメリット
特に無し


【ポイント】新宿交差点
小田原市民会館前の交差点から3つ手前の「新宿交差点」で左折します。その後、最初の角を右折します。


【ポイント】本町交差点
本町交差点で主ルートに合流します。


(小田原クランク回避ルート・完)


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ばる

Author:ばる
群馬産のキャノンボーラー。
普段はラーメンかカレーを食べに行くグルメライドばっかりやってます。

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【長距離自転車TT記録】
大阪→東京:23時間02分
東京→大阪:23時間18分
東京⇔大阪:67時間38分
青森→東京:36時間05分

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2005年に書かれた東京~大阪の自転車向けルートガイド。情報は古くなっているものの、今でも十分使えます。


拙著の「東京→大阪キャノンボール」レポート掲載。タイムテーブルや、戦略等を詳しく書いています。


シクロツーリストの田村編集長による長距離走行ガイド本。時短法やキャノンボール挑戦時のエピソードが掲載されています。

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