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2019年PBPの反射ベスト要件

2019年開催のPBPのパンフレットがAudaxJapanのサイトに掲載されています。

先日、これを眺めていた所、あることに気づきました。

  「反射ベストの規則が変わっている……」

2015年のパンフレットと見比べると、以下のように変わっていました。

 2015年: EN471 または EN1150 の規格を満たすこと。
 2018年: EN20471 の規格を満たすこと。


「EN20471」という聞きなれない規格。とはいえ、これを満たす反射ベストを用意しないことには出走が認められません。来年の出走の準備として、反射ベストの規格について調べてみました。

※ 以下は個人的な調査の結果となります。間違いなどを含む場合はコメント専用記事にてご指摘をお願いいたします。


反射ベスト着用の根拠


PBPでは反射ベストの着用が義務とされています。ただし、着用しなければならないのは夜(または霧などの視界不良)の時のみです。昼間は着る必要がありません。実際、2015年段階では昼間に着ている人は一握りでした。

実は、反射ベストの着用はブルベ特有の規則では無く、フランスの道路交通法を根拠としています。日本では夜間に反射ベストを着ずに自転車に乗っても、法律的には違反とはなりません(国内ブルベ的にはルール違反ですが)。しかし、フランスでは、夜間に反射ベストを着ずに自転車に乗ることが法律上の違反となるわけです。フランス国外からの参加者も多いため、あえてそこをPBPの規約として強調しているのだと思います。


反射ベストの規格


PBPで許可される反射ベストは何でも良いわけではなく、ある規格に則っている必要があります。規格では、「反射材の面積」「反射材を貼り付けるベース生地の色と面積」「反射材のパターン」等を規定しています。

調べてみると、PBPが関わる反射ベスト(高視認性衣服)の規格は以下の3つあることが分かりました。

 ①EN471(1994年発行)
  →職業用の高視認性衣服の規格。用途としては路上や空港での作業向け。
 ②EN1150(1999年発行)
  →非職業用の高視認性衣服の規格。用途としてはレジャー向け。
 ③EN20471(2013年発行)
  →対象は特に規定されない。ISO規格でもある。

前回のPBPでは①または②を満たしていれば良かったわけですが、次回のPBPでは③を満たす必要があります。


規格の違い


この3つの規格のどこが違うのか。調べてみた結果を以下に示します。

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規格は前述の通り3つですが、その中でも更にクラスが分かれています。

(1) EN1150
身長によってクラスが分かれます。子供や身長の小さい方はEN471で定める反射材・蛍光生地の最低面積を確保出来ないケースがあるため、このように身長別にクラスが分かれています。求められる反射材・蛍光生地の面積はEN471・EN20471に比べると小さくなっています。また、蛍光生地の色も8種類まで許可されます。

(2) EN471
使用環境に応じて3段階のクラスを定めています。クラスの数字が上がるほど、危険な場所で使用することが想定されます。使用可能な蛍光生地の色は、イエロー・オレンジ・レッドの3色のみです。

(3) EN20471
基本的にはEN471と同様ですが、反射材の配置パターンに制限が追加されています。EN471は50mm以上の反射材の線が1本以上入っていればよかったのですが、EN20471では、「縦横1本ずつ以上」または「横2本以上」が要求されます


PBPで使えるベストの要件


2018年11月現在ではPBP2019のサイトはまだ出来ておらず、詳細なルールについては不明です。現時点で確認出来るのはパンフレットに書かれた文字のみ。そこには

 「Riders must have an EN20471 high visibility reflective vest.」

とだけ記載があり、クラスまでは定められていません。

また、EN20471のクラス2となると、0.13㎡の反射材面積が求められますが、50mmの反射テープで2.6mの長さが必要になります。体の外周が1m弱だとすると、2本の反射材の線を引いてもまだ0.6m余る計算になります。袖付きのジャケットならまだしも、ベスト形状で0.13㎡の反射材を付けるのはなかなか厳しいと思われます。

となると、今の時点で推測されるPBPで使用出来る反射ベストの条件は「EN20471のクラス1を満たす」こととなります。

(1) EN20471を名乗る条件
若干悩ましいのは、「EN20471を名乗る条件」が分からないことです。数値基準を満たしていれば名乗ってよいのか。それとも、認定機関による承認が無いとダメなのか。前者ならば自作の反射ベストや、日本製の基準を満たしそうなベストを持って行けばよいのですが、後者だとかなりハードルが高いですね。

(2) 2015年のPBPにおける現場の扱い

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2015年のPBPの前日車検では、ウェアまではチェックされませんでした(普段着で来る人もいるし、そもそも車検は昼間に行われる)。となるとチェックが入るのは走行中です。

確かに前回のPBPではAudaxJapan作(製造:ONYONE)の反射ベストを着ていた所、PCにいたACPのスタッフに「反射ベストを着なさい」と注意されました。そのスタッフの方には、私が着ていたベストが反射ベストには見えなかったようです。そこは「既に着ている」ということで納得はしてもらえました。製品タグまで確認されることはありませんでした。同様に、オダックス埼玉の反射ベストでも注意を受けたケースがあったそうです。

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このONYONEの反射ベストは「EN1150に準拠した素材・デザインを採用した」とされていましたが、製品タグを見ても「EN1150」の文字はありません。

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一方、PBP公式の反射ベスト(L2S社製)は、製品タグに「CE EN1150」との記載があります。CEマークは自己宣言が可能なケースもあるので、認証機関によって認証されたものかは不明です。

恐らくはスタッフの方も走行中に厳密なチェックをすることは無く、反射材の大きさや位置で確認をしていたものと思われます。私が着ていたONYONEのベストは、仕様的にはEN1150を満たしていたはずですが、生地の色がEN1150で認められたピンク一色ではなく、赤・白・黒の入り混じったデザインであったので、単に防風ベストだと勘違いされてしまったのでしょう。

ただし、2019年のPBPではどうなるかは不明です。EN20471という厳しい規格が採用された以上、車検時にチェックが入る可能性もあります。

(3) 2019年のPBP公式反射ベスト
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前述のように、2015年以前にPBPに参加すると自動的に手に入ったPBP公式の反射ベスト(L2S社製)はEN1150準拠とタグに書かれています。もしEN471準拠ならば、より厳しいEN471準拠を宣言するはずで、そうなってはいない以上、EN20471にも準拠していないと推測されます。つまり、2015年以前のPBP公式反射ベストは、2019年以降は使えない可能性が高いです。

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ちなみに2015年のPBP公式反射ベストの反射材の面積を実測してみましたが、幅は5cmで、長さの合計は252cmでした。これに加えて背中に三角形の反射材が貼り付けられており、総面積は0.13㎡でEN20471の下限には達しています。クラス2でもギリギリ通用する面積です。反射材が洗濯に弱そうなので、もっと耐久性のある反射材に変えた上で、肩の反射材を横方向に一周するように配置すればEN20471にも準拠しそうです。

PBP側も毎回公式の反射ベストはを作成しているので、2019年も作成はされるでしょう。ただ、恐らく現行とは違うものになるはず。そして、その公式のベストを使うのが一番確実だと思います。車検や走行中に注意されることは無いはずです。だって公式だから。

なお、オダックス埼玉開発で日本国内ではデファクトスタンダードである「ADX-V」の新型の反射材の面積は0.04㎡でした。EN20471の下限の半分以下の反射材の面積となってしまい、残念ながら2019年のPBPではNGとなるはずです。


2019年PBPで使用可能と思われる反射ベスト


それでも公式以外の反射ベストを使いたい場合は、EN20471準拠と思われる反射ベストを持参する必要があります。

調べてみると現時点では「自転車用のEN20471準拠の反射ベスト」はほとんどありません。フランスを含むヨーロッパではEN1150に準拠していれば法律上の反射ベストとみなされることが多いようで(子供用に対応する意図と思われる)、フランスの道路交通法を読んだ限りでは、現時点でもEN1150準拠の反射ベストを着ていれば問題ないように思えます。となると、一般的にはレジャーである自転車用の反射ベストに、EN20471準拠の製品が無いのも納得出来ます。

そうなると、選択肢としては2つ。「数少ない自転車用のEN20471準拠製品を探す」か、「自転車用ではないEN20471準拠製品を探す」かです。ただ、自転車用の反射ベストメーカー(L2S, ProViz, Wowow)の製品を見てみましたが、いわゆる自転車用のスタイリッシュな反射ベストでEN20471に準拠したものは見つかりませんでした。セコいことに、「素材はEN20471に準拠してるよ!(ベスト全体が準拠してるとは言ってない)」という製品はあるのですが……。

ということで、現状は「自転車用ではないEN20471準拠製品を探す」しかありません。すなわち、現場用の反射ベストです。私も何度かワークマンで買える反射ベストでブルベを走ってみましたが、自転車用の製品に比べて以下のようなデメリットがあります。

 ・空気抵抗が大きい
 ・暑い
 ・生地が硬くて動きづらい


安全性には代えられないのですが、出来れば快適に走りたいのも実情。暑さに関しては、フランスの夜は寒いので問題は無いんですが、残り二つについては出来うる限り条件の良さそうなものを探してみました。


(1) Wowow MESH GILET ADULT
ベルギーのウェアメーカー「Wowow」のベスト。EN20471準拠。自転車用とされてはいますが、現場用デザインです。

ある程度フィット感の調整は可能に見えますが、空気抵抗は大きそうです。Bike24で取扱あり。


(2) アゼアス 高視認性防護服ベスト(ファスナー)
日本の現場用製品メーカー「アゼアス」のベスト。EN20471を元に作られたJIS規格「JIS T 8127」準拠です。EN20471の規格には準拠するはずですが、公的な認証があるわけではないので、もしタグ等を確認されたらアウトな可能性はあります。なお、EN20471のクラス2に相当する反射材面積を誇ります。

見た目も現場用にしてはスッキリしていますが、メッシュが細かいので暑そうではあります。


(3) アゼアス 高視認性防護服ベスト(面ファスナー)
同じくアゼアスのベスト。こちらはクラス1なので少し反射材の面積は減りますが、EN20471には準拠しているはずです。

「胸と背中の幅広いラッセルメッシュで、蒸れを軽減します。」と紹介されているので、前述の製品よりは暑くは無さそう。面ファスナーで調整できるので、空気抵抗も減らせるはずです。

ちなみにEN20471では生地の引張強度にも規定があるため、全面メッシュは難しい可能性があります。この製品もメッシュは一部にのみ使用しています。


まとめ


個人的な結論は、「PBP公式が作るであろう反射ベストを着るのが一番確実」です。残念ながら現状はEN20471を満たし、かつ自転車に向きそうな反射ベストの選択肢はほとんどありません。

一つ期待しているのが、AudaxJapanが作成するであろうPBP記念の反射ベストです。まだ特にアナウンスはありませんが、恐らくは2015年同様に日本チームの反射ベストやジャージが作られることが推測されます。今回の反射ベストの規格変更はAudaxJapanも認識しているはずなので、準拠した製品が出てくることになるでしょう。認証が取れるのかは不明ですが、規格に準拠したものなら出走は拒否されないのではないかな、と個人的には考えています。実用性の高い反射ベストを作ってくれれば有難いですね。

(完)
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