自転車パーツのデッドストック探索法

ばる

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「愛用していたあのパーツが廃版になっていた」

自転車趣味を長く続けている方ならば、一度は遭遇したシチュエーションではないかと思います。

ここで取る手段は二つ。「諦めて代用品を探す」か、「まだ売れ残っている在庫を探す」かです。廃版になった商品が復活することはそうそうありません。前者の方法を取る方法が堅実です。しかし、どうしても「それじゃなければ嫌」というものがあります。サドルなどはその典型例でしょう。

本記事では、「売れ残っている在庫」、いわゆるデッドストックを効率よく探す方法について考察していきます。

# ここでは対象は新品に絞り、プレミアの付いたビンテージ扱いのパーツの入手法については触れません。


デッドストックのある場所


デッドストックのある代表的な場所を4つに分類して紹介します。

ショップ

もっとも一般的な入手法はショップの店頭や倉庫に残った在庫を探す方法でしょう。あなたの捜しているモノが、店の隅で埃を被っているかもしれません。

ショップのデッドストック探しにはコツがあるので、それについては後述します。

通販サイト

比較的新しい商品であれば、通販サイトが在庫を持っている可能性があります。検索ワードなどを色々変えて探してみましょう。

海外のサイトは在庫を自社で持っていることが多いですが、日本のサイトは一部を除いて「問屋取り寄せ」の場合がほとんどなので、結局は問屋または代理店に在庫を問い合わせる形になることが多いです。

自社在庫を持っている国内通販サイトの一例を以下に挙げておきます。

 ・Amazon.co.jp(マーケットプレイス除く)
 ・TAKIZAWA
 ・AS:KEY CYCLE
 ・CS MAVERICK



代理店(問屋)

その商品をショップに卸している代理店も在庫を持っている場合があります。比較的最近に廃版になったものなら、まだこちらに残っている可能性が高いです。

とはいえ、代理店の取引先は「ショップ」です。私たち一般消費者が直接問い合わせをするのはあまり良いことではありません。目的の商品を扱っている(いた)ショップを通して取り寄せてもらうことになるでしょう。

なお、自転車業界では問屋と代理店はほぼ同じものらしいです。

オークション・中古店

厳密にはこれはデッドストックではありませんが、個人(またはショップ)がオークションに出したり、中古店に売却したものを探すのも一つの手段です。既に使われたものであることも多いですが、ほぼ箱を開けただけの新品であることもあります。

オークションにはアラート機能があるので、探している商品名を設定しておくと、出品されたときにいち早く察知することができます。


ショップにあるデッドストックの探し方


日本に一体何ショップのスポーツ自転車店があるのかは不明ですが、恐らく数千店は存在します。それだけの数を手当たり次第巡っても、目的の商品を手に入れられる確率は極めて低いと思われます。どうせならば効率よく探しましょう。

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ここでは、「FIZIK ALIANTE GAMMA BMC」というサドルを探す場合を例にとって説明します。このサドルは私が実際に探しているもので、2012年に限定販売されたサドルです。売っている場所を見たらコッソリ教えてください。

(1) 商品の代理店を調べる

まずは、欲しい商品の代理店がどこかを調べます。

ショップは代理店と契約し、そこから商品を仕入れます。ということは、代理店と契約がないショップはそもそも仕入れる可能性がゼロ。そういった店を候補から外すことで、可能性のあるショップだけを効率よく絞り込むことが出来ます。

代理店を調べる代表的な方法は、「Google検索」です。例えば、「FIZIK」と検索すると、以下の結果が得られます。

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一番上に表示されるのがFIZIKのブランドサイトです。このサイトは代理店が運営しています。検索で見つからない場合は、シクロワイアードやサイクルスポーツのサイトの商品紹介ページなどを見ましょう。問い合わせ先として書かれている会社が代理店です。

サイトの最下部を見ると、「Kawashima Cycle Supply」の文字があります。これが代理店の名前です。フィジークの国内代理店は「カワシマサイクルサプライ」という会社で、国内に1社のみです。ここと契約しているショップしか、FIZIKのサドルを仕入れることは出来ません。

しかし、ブランドの代理店は1社のみとは限りません。複数の代理店を持つブランドもあります。例えば、アメリカブランドのRITCHEYの国内代理店は、「東京サンエス」「インターマックス」の2社です。

(2) 代理店の販売店リストを見る

次にやるのは、代理店の販売リストの確認です。このリストが見るべきショップの全数という事になります。

普通、代理店サイトには販売店の一覧があります。「SHOP LIST」や「ディーラーリスト」「販売店リスト」など表現は様々ですが、これがない代理店はまず無いでしょう。

しかし、現在の代理店リストを見ても大して意味がありません。代理店契約は通常、年単位で新規契約されたり解約されたりするものだからです。行きつけのショップでかつて扱っていたブランドが、ある時から扱われなくなった経験は無いでしょうか? それはショップが代理店との契約を解除したからかもしれません。

有効なのは、目当ての商品が売っていた当時の販売店リストを見ることです。今回の例だと、2012年の販売店リストを確認します。

ここで登場するのが「Wayback Machine」というサイト。世界中のWEBサイトのキャッシュを時系列に保存しているサイトです。ここから2012年時点のカワシマサイクルサプライの販売店リストを探します。

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ありました。

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さすがに全国全ての店を見ることは出来ないので、私の住んでいる神奈川県のみに絞ってみました。それでも99件の店舗があります。少なくとも神奈川県で、私の探しているサドルがあるとすれば、この99件の中に存在することになります。


(3) ショップの現存を確認する

次に、ショップが現在も営業していることを確認します。

残念ながらショップもいつまでも営業しているわけではありません。何らかの事情で閉めてしまう店も多くあります。私たちが入れるのは営業している店のみですので、営業している店を抽出します。

営業している店を探す方法はこれまた「Google検索」です。

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店名で検索すると、営業しているお店ならばGoogleマップに登録された地図情報などが表示されます。サイクルキューブという店は現存していることがわかります(今日行きました)。

この方法で地道に99件を対象に検索し、現存している店を絞り込みます。


(4) ショップに行ってみる

絞り込まれて最後までリストに残った店を対象に、「ショップに行く」 or 「電話をする」などの手段で在庫を確認します。

見事在庫があればそこで購入!と相成ります。

ただ、自分が探している者は他の人も探している者であることが多いもの。10店舗、20店舗と回っても空振りという事はよくあります。私はサイクルショップに行くこと自体が好きなので良いのですが、根気は必要です。


私の探索事例


私が実際におこなったデッドストック品の探索事例を紹介します。

OFF THE FRONT - バーテープ

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1990年代から2000年代初頭にかけて存在したアメリカンブランドのバーテープです。今のバーテープには無い派手な図柄で、トライアスリートを中心に人気を博しましたが、2005年前後にブランドが消滅しています。

探していたのは私ではなく妻ですが、代行で探索を実施。ここまで書いた方法で地道に全国(北は北海道、西は鳥取まで)のショップを周り、これまでに100本以上のデッドストックを購入しました。

妻はどこで買えるのか見当も付かなかったようで、アメリカ雑貨の店などを見て回っていたようですが、そんな所にあるはずはありません。OFF THE FRONTの代理店は3社ほどあったようですが、それらの代理店の販売店リストから効率よく探すことが出来ました。


OGK - TOOLBOX 700

OGKが2014年まで販売していたツールボトルです。後継版の「700WP」という製品も販売されましたが、2019年1月に廃版となりました。

こちらの記事に書いたとおり、私はこのツールボトルを愛用していまして、他で代替が効きませんでした。

そこで、ここまで書いた方法で探索。ショップめぐりの前にまずは通販サイトを探してみた所、「AS:KEY CYCLE」に「700」の在庫が2本ありました。廃版になってからあまり時間が経っていないので、通販サイトにも在庫が残っていたようです。同様に、「ワールドサイクル」でも1本330円で投げ売りされていたので、これも3本購入。

また、馴染みのショップから代理店にも問い合わせてもらい、後継の「700WP」を1本取り寄せて貰いました。

ショップ巡りを行うまでもなく、7本のデッドストックを手にすることが出来ました。

SHIMANO - PD-7810

これは失敗事例です。

「SHIMANO PD-7810」というデュラエースグレードのペダルがあります。デュラエースはPD-7900からカーボン製になり、PD-7810は最後のアルミ製ペダルとなりました。アルミ製ペダルの方が重いけれど剛性はあるので、これを探している人は多くいます。

同様の方法で代理店からショップを絞り込もうとしましたが、出来ませんでした。スポーツ自転車店でSHIMANOと取引のないショップはほとんど無いからです。デュラエースのペダルを仕入れる店は競技志向であることが多いのでその方面で絞ることは出来ますが、システマティックにやることは出来ないでしょう。

長いことPD-7810を探していますが、買えたのは知人からだけでした。残念ながらショップで見つけたことはまだ無いです。


まとめ


デッドストックを効率よく探す方法について紹介しました。

まずは通販サイトを検索。それでも見つからなければ、代理店の販売店リストを当たる……というのが効率の良い方法だと思います。販売店が多すぎると使えない方法ではあるのですが、ほとんどのブランドはかなり少ない数にまで見るべきショップを絞り込むことが出来るはずです。

なお、この方法は別に自転車パーツでなくとも使える方法でもあります。基本的に代理店→ショップ→ユーザという流れはどの分野でも同じはずなので、応用は効くでしょう。


どうしても欲しい廃版商品がある方、お試しください。


追記: サドルが見つかりました

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記事内で例として挙げた「FIZIK ALIANTE GAMMA BMC」ですが、なんとデッドストックを手に入れることが出来ました

ちょっと探してみるか~と思い、栃木県の2012年のフィジークが売っているショップのリストを取得。何故栃木県かと言えば、経験上、少し地方に行ったほうが在庫が残っている確率が高いからです。都内のショップは利用者数も多いので商品の回転が早く、長く残る商品は少ないのです。

そこで栃木県のショップに問い合わせてみた所、足利市の「輪娯館」さんに在庫があることが判明。本日、自走で買いに行ってきました。年末セールということで、3割引の10700円で買うことが出来ました。次のディスクロードに付けるかはまだ分かりませんが、ありがたく使わせて頂きます!

ということで、「意外と探しているものは見つかる」というエピソードでした。
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