PBP 2019 コースプレビュー【追記あり】

2019年PBPのコースっぽいものが見つかったようなので、記事を書いてみます。


スタート地点の変更


2015年までのPBPは、サンカンタン=アン=イブリーヌという街がスタートでした。パリから約20kmくらい西にある街で、ナショナルベロドローム(屋内自転車競技場)がある自転車の街です。そのベロドロームを前日受付とゴール受付で使うという、なかなか豪勢なスタート地点でした。

しかし、2019年のPBPはスタート地点が変わります。公式パンフレットによると、スタートはランブイエ(Rambouillet)という街になるとのことでした。ランブイエという街は、サンカンタンよりさらに西。PBPの折り返し地点であるブレストは、フランスの西の果て。スタートが西にずれるとなると、「2019年コースの距離は短くなるのではないか」と予想されていました。

例年であれば、開催前年の年末には、コースも含めて必要情報は公式サイトに出揃っているのですが、今回はいろいろ準備が遅れているのか特に現在まで告知はありません。それどころかPBPの公式サイトは2018年12月18日現在、未だに2015年のままです。


2019年のコースが見つかる?


今月7日、RUSA(Randonneurs USA)のサイトに、以下のページが作成されました。

 2019 GPS Tracks
 http://pbpwiki.rusa.org/planning/2019-gps-data

OpenRunner(フランス版のルートラボのようなサイト)にアップされていたPBPのルートらしきものを見つけたという記事でした。2015年にもOpenRunnerに区間ごとの公式ルートがアップされていたので信頼度は高そうです。

RUSAによれば、「このファイルはACP公式のものだと確認された」とはあるのですが、ACPのサイトに上記のルート情報はまだ掲載されておらず、今後変更の可能性があると考えたほうが良いでしょう。


2019年ルートの変更点概要


ただ、せっかくルートが出てきたので、比較してみることにしました。正式発表時に全然違うコースになっている可能性もありますのでご注意ください。


(1) コースプロファイル
スタート/ゴール地点が西(サンカンタン→ランブイエ)に移動すると言うことで、やはりコース距離は短くなっています。

 2015年: 1231.7km/11733m↑
 2019年: 1216.5km/10057m↑


どちらもRideWithGPS調べです。PBPって、「1200km」といいつつ、実は1232㎞もあったんですよね。信号もあまりないですし、厳しい峠も無いので早く走ることは出来るのですが、さすがにこれは長すぎるんじゃないかと思っています。

そのためか、2019年は距離が15.2km減り、獲得標高も1676m減っています。さすがに獲得標高が減り過ぎな気はします。GPXファイルのポイント数を見ると、2019年版は2015年版の1/3しか無いので、ある程度間引かれているのでしょう。それでも獲得標高は減っていると思います。スペックだけ見れば易化したと言えますが、何らかの罠(激坂とか)がある可能性もあるので油断は出来ません。


(2) PCの配置
OpenRunnerのルートを見る限り、PCの配置には変更が無いようです。スタートとゴールのみ変わります。ただ、従来の大会ではシークレットPCが必ずあるので、次回もあるでしょう。

 START: Rambouillet
 PC1: Villaines-la-Juhel
 PC2: Fougeres
 PC3: Tinteniac
 PC4: Loudeac
 PC5: Carhaix-Plouguer
 PC6: Brest
 PC7: Carhaix-Plouguer
 PC8: Loudeac
 PC9: Tinteniac
 PC10: Fougeres
 PC11: Villaines-la-Juhel
 PC12: Mortagne-au-Perche
 PC13: Dreux
 GOAL: Rambouillet

PBPでは、PC並みの設備を持ちながらチェック不要な「ウェルカムポイント」と呼ばれるものもあります。チェックが無いので寄らなくても構わないのですが、シークレットPCになっている場合もあります。PBPではPC間の距離が長いので、補給だけでも買っておいたほうが良いでしょう。


往路の変更点


PBP2019_往路
往路の全体図。赤が2015年、青が2019年です。

2019往路差分_1
スタート地点がランブイエに移動します。スタート場所を確認すると、ランブイエ駅から1.5㎞くらいと比較的アクセスは良さそうな場所ですね。コンデ=シュル=ヴェグルという街で2015年のルートに合流します。

2019往路差分_2
1つ目の差分は、最初のウェルカムポイントであるモルターニュ=オ=ペルシュを出た後です。マメール(Mamers)という街からルートが変わります。2015年はマメールとフレセイ=シュル=サルトの街の間はほぼ直線で結ばれていましたが、2019年のコースは一度南下し、その後北上するコースになっています。距離を単純に稼ぐためかもしれませんが、あからさまなショートカットがあるあたり、シークレットPCの香りを感じます。

2019往路差分_3
次の差分は、PC2であるフジェール(Fougeres)の街への入り方。何故変わったのかは定かではありませんが、微妙に変わっています。

2019往路差分_4
次の差分は、PC4であるルデアック(Loudeac)の後、サン=マルタン=デ=プレの街とコルレーの街の間のルートです。2015年は北側に遠回りしていましたが、2019年はほぼ直進のルートを取ります。

その後は細かい路地の差くらいで、あとは2015年とほぼ同じでした。


復路の変更点


PBP2019_復路
復路の全体図。赤が2015年、青が2019年です。

2019復路差分_1
ブレストから折り返してしばらくは2015年と同じですが、PC7のカレー=プルゲール(Carhaix-Plouguer)と、次の街であるマエル=カレ(Mael-Carhaix)の間が異なっています。2015年は北側のルート、2019年は南側のルート。距離は大きく変わらなそうです。

2019復路差分_2
次の差分は、ロストレネン(Rostrenen)という街の手前。2015年は直接、ウェルカムポイントであるサンニコラ=デュ=ペルムへと向かっていましたが、2019年は2つの街を経由するコースになっています。ここもショートカット可能なのでシークレットPCの香りが。

2019復路差分_3
次の差分は、コルレー(Corlay)の街から、トレヴェ(Treve)の街の間。2015年は北側のルートで、2019年は南側のルート。距離には差は無さそうです。

2019復路差分_4
次の差分は、往路でも変更のあったフレセイ=シュル=サルトの手前から。往路ではこの街の中を通過していましたが、復路は通過しないコースに変わっています。2015年の際は復路のみ通過で往路は通過していなかったので、逆パターンになったということです。その後、またマメールの街の前で道が別れます。2015年は北側、2019年は南側。距離はあまり変わらなそうです。

2019復路差分_5
次の差分は、ラストPCであるドルー(Dreux)のPCを出た後の街の抜け方が変わっています。変えた理由は不明。

2019復路差分_6
最後は、ゴール地点の移動。スタートでも使ったランブイエまで戻ってきます。


まとめ


この2019年コースが正しいと仮定すれば、コース難易度的には低下しているように見えます。スタート地点であるランブイエのアクセスが従来より悪くなったことを除けば、完走はしやすくなっているんじゃないでしょうか。15km減るのは大きいです。ブルベペースでも1時間違いますので。

ちなみに、私は前回のスタート地点であるサンカンタン近くのトラップという街に宿を抑えています。距離にしてランブイエから20km、直通の電車で25分ほどなので、輪行でアクセス予定です。

【参考地図データ】
 PBP往路比較
 PBP復路比較


2019/1/7追記: コース確定


PBP 2019のサイトが公開されました。コース紹介のURLはこちら

リンクされているOpenRunnerのURLを確認しましたが、この記事の冒頭で紹介したRUSAのサイトのものと同一でした。2015年からのコースの変更点も同じだと思います(微妙に修正される可能性あり)。

(完)


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キャノンボールワークショップ 開催概要

毎年、私主催で12月に実施している「キャノンボールワークショップ」。2018年で5回目を迎えました。どんなイベントか気になる方もいらっしゃるようなので、記事にしておきます。


どんなイベントか


一言で言ってしまえば、「東京大阪キャノンボールの攻略法を学ぶ講習会」です。

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構成としては、前半が座学(プレゼン3本)、後半がグループディスカッション。会社などで行われる、よくある研修と同じ構成です。

「ワークショップ」と銘打っていますが、外に出て走ったりするような体を動かす内容は入っていません。本来は「セミナー」とか「勉強会」と名乗るのが正しいと思います。Vさんという方が開催していた「ロングライドワークショップ」に影響を受けて始めたため、この名前を使い続けています。

参加人数は毎年変わりますが、大体30~50人程度の人が参加します。年齢層はブルベよりは少し若めで、20~30代がメインです。


目的


メインの目的は、「これからキャノンボール達成を目指す人への情報提供」です。

このブログで何度も書いていることですが、キャノンボール達成には走力だけではなく、「コツを知っているか」が大きく関わってきます。そのコツを自分で見つけていくのも楽しみの一つだとは思います。ただ、何らかの指針が欲しい方や、何としても達成をしたい方が情報を得られる場があればと思ったのが、このイベントを始めた動機になります。


特色


毎回、参加者の中から最低1人は1年以内の初達成者が出ています。

以下が実績です。

 ・2014年度参加者: 1名(翌々年までに達成+1名)
 ・2015年度参加者: 2名
 ・2016年度参加者: 1名
 ・2017年度参加者: 1名


走力的に足りている方が参加してコツを知ることで、一足飛びに達成まで漕ぎ着けた方が多いということだと理解しています。


開催時期


毎年12月に開催しています。

理由は、「キャノボ的に冬はオフシーズンだから」なのですが、最近は好んで冬にキャノボをする人も増えています。「必要な補給量が増える」「トイレが近くなる」「空気抵抗が大きい」等、デメリットの多い冬。その一方、安定した西風が吹き、晴れの多いシーズンでもあります。

ただ、私や多くの参加者が1~10月はブルベに参加していることを考えると、12月が適切な時期なのかな、と思っています。


内容: 座学


前述のように、プレゼンを3本実施します。

例年の構成は以下です。

 1本目: 東京大阪キャノンボール 概説(担当: baru)
 2本目: ワークショップ参加から達成まで (担当: 参加後に初達成した前年度参加者)
 3本目: 東京大阪キャノンボール ルート解説 (担当: 酔猫庵さん)
 
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cannonball_slide2018.jpg

1本目は私担当の「東京大阪キャノンボール概説」です。全体的な攻略法を紹介します。内容は以下。

 ・キャノンボール概要(歴史・定義・成功率など)
 ・ルート(代表的なルート紹介)
 ・挑戦の前に(挑戦までに踏むべきステップの説明)
 ・攻略のポイント(効率よく達成するためのコツを紹介)
 ・安全面について(事故事例の紹介・安全に走るために必要なこと)
 
内容は例年のトレンド(ルートや走り方のセオリーは年々変化)に合わせて微妙に変えますが、大体この内容です。キャノンボールは危険を伴うチャレンジなので、最後に必ず安全面について強調することにしています。

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2本目は、前年参加後に達成したフレッシュな達成者の方にお話して頂きます。

幸いにも毎年1名以上は達成者が出ているので、この流れは第5回まで途切れていません(第1回は別の内容でした)。内容は発表者の方によって異なりますが、「達成までにどんな工夫をしたか」を必ず話していただくようお願いしています。

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3本目は、酔猫庵さんによるキャノンボールのルート紹介です。

ブルベと違って、キャノンボールはスタートとゴールさえ合っていれば途中のルートは自由です。逆に言えば選択肢が多いので、自分に合ったルートを選ぶ必要があります。そのために、ルートのバリエーションを紹介して頂きます。

酔猫庵さんはキャノンボール達成者であり、横浜在住ながら現在は関西に単身赴任をされています。帰宅の際に色々なルートを試されているので、その成果を毎年発表していただいています。今年の発表はYoutubeにアップされているので、是非見てみてください。

 2018キャノボワークショップ ルート設定と注意点

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プレゼンが3本終了したら休憩に入ります。


内容: グループディスカッション


後半はグループディスカッションです。

大体1テーブルあたり6-7名のグループに分かれて、キャノンボールをテーマに話し合って頂くコーナーです。飲食可能な会議室なら、お菓子と飲み物を用意して、ざっくばらんに話してもらいます。

ポイントは、「1グループに1名以上の達成者がいること」です。自力で達成されている方なので、大体の疑問には即座に回答可能。そんな方が各テーブルにいるので、座学では中々聞けなかった細かい疑問を解決可能です。

「なんで達成しているのに勉強会に?」と思われるかもしれませんが、「モチベーションを得たい」「最新の情報を得たい」ということで参加してくださる方が毎年いらっしゃいます。キャノンボールは一度達成しても、方向を変えたり、車種を変えたり、ルートを変えたりと、リピーターも多いので。そうした方にお願いして、各グループの進行役を務めていただいております。

グループディスカッションは30分ですが、毎回あっという間に終わるように感じます。1回目のディスカッションが終わった後は、席替えをして2回目のディスカッションを行います。別の達成者の話を聞くことで、より多角的な視点からの情報を得られるのではないかと思っています。


まとめ


座学・グループディスカッションで、4時間。これで内容としては終了です。私も主催している立場ですが、毎回新たな発見があります。いろいろな視点の情報が得られるのが中々稀有な場だと思います。

毎年必ず開催するかは分かりませんが、やれる限りは続けていきたいと思っています。

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なお、2018年度の内容は、payanecoさんが上手く纏めてくれています。ぜひご参照ください。

 第五回キャノンボールワークショップ覚書


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35年ぶりの新記録樹立、Hideさんインタビュー

1969年に初めて24時間の壁が破られた、自転車による「東京大阪タイムトライアル」。

1970年台から80年台前半は、血気盛んなサイクリストたちにより記録が何度も塗り替えられました。しかし、1982年の大塚和平さん・井手一仁さんの二人が叩き出した19時間45分という記録以降は更新がパタリと止まります。「もう誰も塗り替えられない記録」と多くの人が思ったからではないでしょうか。挑戦する気にすらならないほどの大記録です。

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しかし、2017年12月27日。この日、塗り替えられないと思われた記録が、実に35年ぶりに塗り替えられました

そのタイム、なんと19時間21分。それまでの最速記録を20分以上も更新してしまいました。

その途轍もない記録を出したキャノンボーラーの名は、Hideさん(@transamhide)。「国内最速のロングライダーは誰か?」と言う話題なら必ず名前のあがるうちの一人であり、キャノンボールの達成数もおそらく歴代最多の人物です。

本記事では、そんなHideさんにインタビューを通して迫ります。記録更新の裏にあったのは、綿密な計画と徹底的な効率化でした。


Hideさんプロフィール


1968年6月1日、東京都調布市生まれ、武蔵野市在住。176cm/62kg。FTPは304W。前述の記録達成時は49歳でした。これは、少し前ならばキャノボの最年長達成記録だった年齢です(現在はもっと年上での達成報告がある)。

年間の走行距離は25000kmと、非競技者としてはかなり多め。スマートローラー(Tacx Neoを使用)によるトレーニングも多用しているそうです。Zwiftではなく、負荷一定でトレーニングが出来るTacxのトレーニングアプリを愛用。

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調布に生まれたHideさんは、6歳で三鷹に引っ越し。生活の足として自転車を使い始め、中学校時代にはランドナーを乗り回していたそうです。

社会人になってからはウインドサーフィン一筋(15年間)。ただ、結婚して子供が出来て時間の制約が増えたため、再び自転車へ帰ってきたとのことでした。

最初に乗っていたのはクロスバイク。当時、台湾への出張が多かったそうですが、週末にゴルフに誘われても興味が持てず。何回か行くうちに、現地の社長やお客さんに自転車趣味の人が多く、誘われて一緒に走るように。一台目のロードバイクは当然、台湾一のブランドであるGIANTのTCR ADVANCED。Hideさんは何台かロードをお持ちですが、全てGIANT(大半が台湾購入)で揃えておられます。


キャノンボールとの出会い


実はHideさんがキャノボを知ったのは、当ブログからだそうです。私もインタビューをするまで知りませんでした。ロングライドに興味を持ったのは、米津一成さんの名著「自転車で遠くへ行きたい。」だったとのことです。この本は私も何度も読みました。

2012年8月。「まずはやってみないと何もわからない」と考えたHideさんは、初の大阪行きを決行します。スタートは自宅からほど近い三鷹市。伊賀経由でゴールは新大阪駅。当ブログを参考にコースを検討したそうです。

結果は、35時間26分で完走。愛知県の安城手前あたりで疲労と眠気に耐えられなくなり、ホテルに泊まったそうです。今や19時間台で東京大阪間を駆け抜けるHideさんにも、こんな時代があったのでした。

しかし、この挑戦で勘所を掴んだHideさんは、一年後の2013年9月に再挑戦。今度は大阪出発に変更し、22時間36分の好タイムで自宅のある武蔵野市に辿り着きました。たった一回の挑戦で反省点を洗い出し、それを次回までに潰してきている所はさすがです。

そして、なんとその10日後、Hideさんは当時ほとんど達成者のいなかった中山道ルートのキャノボ(東京・日本橋~大阪・梅田新道)に挑戦。こちらも23時間28分で見事達成されています。「東京・日本橋~大阪・梅田」をゴールとする近代の基準に当てはめると、Hideさんの最初のキャノボ達成は、東海道ルートではなく中山道ルートだったことになります。さすが新記録を出す男は普通ではありません。

その後もHideさんの「キャノンボール熱」は加速。ルートを変え、車種を変え、挑戦を重ねていきました。その挑戦の歴史を以下の表に纏めました。

出発日出発到着地経由時間結果車種備考
2013/09/21東京・日本橋大阪・梅田中山道(R20)23:28達成TCRAD-
2014/02/11大阪・梅田東京・日本橋東海道(箱根)24:36完走DefyADSL向風
2014/10/17大阪・梅田山梨・大月中山道(旧道)21:49DNFDefyADSL向風、寒さ
2014/11/21大阪・梅田静岡・三島東海道24:27DNFTCRADパンク多数
2014/12/12大阪・梅田東京・日本橋東海道(箱根)21:35達成ESCAPER3クロスバイク初の達成
2015/04/30東京・日本橋大阪・梅田中山道(旧道)23:01達成DefyADSL-
2015/05/20大阪・梅田東京・日本橋東海道(箱根)20:53達成TCRAD-
2016/08/04東京・日本橋大阪・梅田中山道(R20)22:41達成BikeFriday-
2016/10/07東京・日本橋大阪・梅田中山道(フル)22:07達成TCRADSL-
2017/12/26大阪・梅田東京・日本橋東海道(R246)19:21達成TCRADSL歴代最速タイム
2018/10/28東京・日本橋大阪・梅田中山道(フル)23:22達成BikeFridayパンク、向風
2019/01/02大阪・梅田東京・日本橋東海道(冷川)24:56完走PropelAD距離591km(最長)


12回挑戦し、達成8回。その達成の中には、初のクロスバイク達成、初のフル中山道ルート達成、そしてもちろん歴代最速での達成も含まれています。数だけではなく、内容においても、ここまでキャノボをやり尽くした人は他にいないでしょう。


最速記録はいかにして生まれたのか


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記録更新から約半月後の2018年1月14日、Hideさんにインタビューをお願いしました。場所は、矢野口のCROSS COFEE。オーダージャージ会社のチャンピオンシステムが運営するカフェです。

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Hideさんはリラックスした表情で、記録更新時の様子を振り返ってくれました。

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2017年12月25日。クリスマスのこの日、天気図を見たHideさんはこう思ったそうです。

  「2年間待っていた天気図だ!」
  
先述のように、Hideさんはウインドサーフィンを15年やっておられました。風を読むことが必須である競技のため、天気図を読む能力は必須。その知識をキャノボにも活かしたわけです。

――この天気図なら、自己記録を更新できる。そう思ったHideさんは、即座に大阪へと飛びました。

通常、多くの人は真冬のキャノボを避けます。気温が低いと空気抵抗は大きいですし、防寒具を着込むため更に空気抵抗は増えます。体温を保つために補給も多めに取らねばなりません。ただ、真冬は「安定した強い西風が吹く」という特徴もあります。それをHideさんは狙っていたのです。

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防寒具については研究を重ね、空気抵抗が少なく動きやすく、更に体温を十分に保てる冬用ウェアを厳選。補給については、粉飴(マルトデキストリン)にBCAA(マンゴー味)を配合したオリジナルドリンクを飲み続けることで解決したそうです。写真が、その「粉飴+BCAA」。これをいくつも持って走り、必要なときに自販機や公園で水を入手し、コンビニ休憩を極限まで減らすことも狙ったとのこと。

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2017年12月26日 5:24、大阪・梅田新道をスタート。注目したいのは装備のシンプルさ。サドルバッグがありません。フレームバッグとツールボトルのみです。

大阪市内のルートは、国号1号線の高架下を通るルートを選択。少しでもショートカットをするためとのこと。そこからは伊賀越えのR163~R25ルートへ。変わっているのは、R1に合流直後に関宿の旧街道を抜けていること。走りにくい道ではありますが、距離が800mほど短くなるのが理由だそうです。こうして地味に距離を削り、この時のコース距離は514kmまで詰められていました。

名古屋周辺のルートはR23をチョイス。最近でこそ使う人が増えましたが、少し前まではR23は謎のベールに包まれていました。距離にして5km以上短縮が可能ですが、自転車通行禁止の箇所もあり、初見では難しいルートです。Hideさんはこの道もあらかじめ試走していました。

狙い通りの追い風に恵まれ、沼津までの384kmを14時間13分という驚異的なタイムで走りきったHideさん。ここからは箱根を登らず、御殿場を抜ける、いわゆるR246ルートへ入ります。Hideさん曰く、

  「箱根だと追い風が生かせない。
   R246ルートだと、勾配も緩く、上りでも追い風が活かせる。」

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そして、御殿場でなんとはじめてのコンビニ休憩。大体5-8回のコンビニ休憩がキャノボ達成者のボリュームゾーン。しかし、Hideさんは御殿場までの400kmを、手持ちの補給食と自販機で購入した飲み物のみで補ってきたことになります。トイレはルート近くの公衆トイレや公園のトイレで済ませていたそうです。こうしたルートの周辺施設を把握しておくのもキャノボ攻略のポイントの一つですね。

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こちらの写真は、R246の鷺沼辺りで応援した際に撮った写真です。Hideさんは、私の目の前をものすごい速さで駆け抜けていきました。終盤とは思えません。その後、都内の信号峠に捕まってペースを落としながらも、最後まで快調な走りは続きました。

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そして日付変わって12月27日 0:45、東京・日本橋にゴール! ここに、19時間21分という驚異的な記録が生まれました。

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ゴール直後のeTrexの画面。トンネル等でGPSをロストすると時間が止まる仕様により、3分ほど時間が少なく出ているそうです。こうしたサイクルコンピューターの表示項目もなかなか興味深いですね。


記録更新時の機材


記録更新時と同じ装備でインタビューに来て頂きました。

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フレームは、GIANT TCR ADVANCED SLを選択。

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ホイールは、BONTRAGERのアイオロスのチューブラー。タイヤはCONTINENTAL GP4000s TUの22C。なかなかロングライドでは考えられない攻めの機材です。

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バッグ類は、フレームバッグとツール缶。ここに補給食と工具類を格納。ボトルはシングルボトルですが、実は強烈に軽い上に750ml入るGIANTのボトルを使用しています。

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工具も見せてもらいました。なんと、アーレンキーを3本のみ。マイナートラブルは諦める覚悟が見えます。

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ハンドル周りも究極にシンプル。ライトはVolt300の1灯のみ。ベルはライトのバンドに共締め可能なCATEYEのOH-2400。サイコンはGarmin eTrex30xです。

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ウェア類についてもご紹介頂きました。真冬のキャノボをどんなウェアで乗り切ったのか、参考になります。

ヘルメットKABUTO AERO-R1(バイザー使用)
ジャケットmont-bell EXライトウインドジャケット
ジャージPEARLIZUMI プレミアムウインドブレークジャケット
インナーおたふく手袋 ボディータフネス
mont-bell ジオライン L.W. ハイネックシャツ
ビブタイツPEARLIZUMI プレミアムウインドブレークビブタイツ
グローブシマノ ゴアテックスウインターグローブ
ソックスASSOS ボンカソックス
シューズカバーPEARLIZUMI プレミアムシューズカバー


もちろん雨具はなし。余計なものは持っていません。

なお、心拍計は付けていなかったとのこと。だいたい感覚で分かるそうです。


今後の展望


多種多様なキャノボを行ってきたHideさんに今後の展望を聞いてみました。

キャノボにおいては、「ミニベロでフル中山道ルートのキャノボをやってみたい」……とこの時点ではおっしゃっていたのですが、私が記事化するのが遅れたため、すでにこの目標は2018年10月28日に達成されています。流石。現在は、「600kmの最長距離記録のキャノボ達成」を狙っておられるそうです。

キャノボ以外では、「ソロでのアメリカ横断ライド」が長い間の目標とのこと。Twitterのアカウント名でもある「Transam」は、「Trans America」の略で、その思い入れの強さが伝わってきます。

既に50歳となられたHideさんですが、衰え知らず。素晴らしいですね。


まとめ


Hideさんに、最速記録を更新した感想について聞いてみました。

  「今回はあくまで、自己ベストのタイムを狙ったんです。
   人の記録は全く意識していませんでした。
   人と争うより、自分のベストを追求したいんです。」

   
初めて東京大阪間を24時間以内に走った藤田さんの「記録は自分の中に持っていればいいんですよ」というメッセージと共通した想いを感じます。タイムトライアルの相手は他人ではなく、過去の自分。だからこそ飽きること無く新しいことに挑戦し続けられるのでしょう。


最後に、Hideさんにキャノンボールにおいて重要なものは何かを聞きました。

  「結局の所、一番重要なのはセルフマネジメント能力です。
   何が重要かを見極め、優先度を付けて計画を一つ一つ準備していく。
   走行中も細かな判断の連続ですしね。
   でも、何より重要なのは、自転車が本当に好きであることだと思います。」



綿密な計画と、セルフマネジメント。そして、その裏には尽きることのない自転車への情熱があったのでした。

(完)


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PBP 2019 プレレジストレーション方法の紹介【追記あり】

PBP2019のプレレジストレーション(先行登録)が、1/14より始まりました。この記事では備忘録として先行登録の手順を画面とともに紹介します。



プレレジストレーションとは


PBPでは開催前年度にブルベを完走した人を対象にプレレジストレーション(以下、先行登録)を実施しています。

PBPの参加枠は約7000人。通常、PBPは先行登録ですべての参加枠が埋まることは例年ありません(※1)。この先行登録の目的は「スタート時間を選ぶ」ことです。

PBPでは15分毎に300人程度のウェーブスタートとなります。一番参加人数が多い90時間部門の場合、18:00-21:00の中から好きなウェーブを選択可能です。各々の戦略によって早い時間にスタートしたい人もいれば、遅い時間にスタートしたい人もいると思いますが、大体早いスタート時間から先に埋まっていきます。

そして、この「スタート時間を選ぶ」権利は、2018年度(2017/11/01-2018/10/30)のブルベの完走実績によって決まります。端的に言えば、「2018年度のブルベで長いカテゴリのブルベを完走した順」です。1000km以上のブルベを完走した人は最優先でエントリー、600kmのブルベを完走した人はその次……と言った具合です。

以下に先行登録の日程を示します。いずれも現地時間で0時からオープンとなるため、日本時刻では朝8時にオープンです。いずれも月曜日なので、日本では平日の通勤時間帯にオープンということになります。有休を取るか、スマホでエントリーする等の手段を用意しておく必要があるでしょう。


 ①BRM1000km、またはRM1200km以上を完走
  →2019/01/14 より先行登録が可能
 ②BRM600kmを完走
  →2019/01/28 より先行登録が可能
 ③BRM400kmを完走
  →2019/02/11 より先行登録が可能
 ④BRM300kmを完走
  →2019/02/25 より先行登録が可能
 ⑤BRM200kmを完走
  →2019/03/11 より先行登録が可能


  

2018年度にブルベの完走実績がない場合は先行登録は行われず、いきなり本登録ということになります。

本登録の期間は、2019/05/25-07/03までとなっていますが、先行登録の内容が有効なのは2019/06/20まで。それまでにSRを確定し、認定番号を入手しておく必要があります。

※1: ただし、今年は従来にないペースで枠が埋まっているので、先行登録だけで枠が埋まり切る可能性もあります。

以下、長いので珍しく折りたたみます。[続きを読む]をクリックしてください。



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「せんにひゃくぶんのいちライド」電子書籍化のお知らせ

2018の冬コミで頒布した同人誌「せんにひゃくぶんのいちライド」が、BOOK☆WALKERにて電子書籍化されました。

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 文章: baru
 漫画: 絹山サメハル


本のテーマ


2018年8月に開催された1200kmブルベ「Clover Hokkaido 1200」をテーマとしたレポート本です。

熾烈なエントリー峠や、本番までに行った練習、そして走行直前にホテルで行った準備などを余さず収録。走行中のレポートは文章と漫画、私と妻の2つの視点から綴られております。また、1200km中800kmが雨というコンディションであったため、雨天ライド攻略本で書いた内容の実践編にもなっています。

事前準備や練習、装備や持ち物、そして走行計画は、初めて1000kmオーバーの距離に挑む妻に合わせて作成したものです。これから超長距離のブルベに挑む方には参考になる内容となっていると思います。


頒布先


以下のサイトにて頒布させていただいております。

 ・COMIC ZIN (紙媒体)
 ・BOOK☆WALKER (電子書籍)

どうぞ宜しくお願いいたします。

(完)


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ばる

Author:ばる
群馬産のキャノンボーラー。
普段はラーメンかカレーを食べに行くグルメライドばっかりやってます。

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【長距離自転車TT記録】
大阪→東京:23時間02分
東京→大阪:23時間18分
東京⇔大阪:67時間38分
青森→東京:36時間05分

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2005年に書かれた東京~大阪の自転車向けルートガイド。情報は古くなっているものの、今でも十分使えます。


拙著の「東京→大阪キャノンボール」レポート掲載。タイムテーブルや、戦略等を詳しく書いています。


シクロツーリストの田村編集長による長距離走行ガイド本。時短法やキャノンボール挑戦時のエピソードが掲載されています。

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