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クローバー1200 : スタート前日

8/14 13:50、帯広空港に到着。

ここから帯広駅までは30㎞ほどなので自走を考えていたが、同じ便に乗っていたAJ西東京スタッフ・ようさんのご助言により空港バスを利用。駅まで体力を温存することが出来た。

帯広駅のバスターミナルで自転車を組み立て。私の自転車も、妻の自転車も少し塗装が剥がれている部分があった。それでも走行に全く影響はないのがクロモリフレームの良い所。テンションは下がるけれど。

小雨振る中、スタート地点である音更町の「スポーツホテル クロスコート」へ向かう。帯広駅からホテルまでの距離は約5km。十勝大橋を渡れば、そこは音更町。帯広のベッドタウンとして栄えており、大きめの商業施設が多い。ホテルのすぐそばにホームセンターがあったのは良かった。降雨が予想されたため、チェーンオイルの流出防止のために自転車カバーを買った(今回、自転車は野外保管だった)。自転車パーツも充実しており、妻が家に忘れてきたライトも購入。この後も何度かお世話になることになる。

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16:00、ホテルに到着。既に参加者が集まっており、ホテル前は自転車で溢れている。自転車にカバーを掛け、ホテルに入ると見覚えのある女性が。台湾のHanaさんだった。お越しになる話は聞いていなかったが、旦那さんのStanleyのサポート兼、中国語担当のスタッフとしての参加らしい。

1200km以上のブルベの場合、通常のBRMと異なるのが「外国人枠」を設ける必要があること。今回も日本人枠50人に対して、外国人枠が20人ほど。アメリカ、オーストラリア、台湾からの参加者がいて、ホテルのロビーはインターナショナルな雰囲気に包まれている。そして、英語圏の参加者の対応をするのはプロの通訳にして日本にブルベを持ち込んだ井手マヤさんだ。受付には、「チコリンパフ」を編み出したチコリンさんの姿もある。

受付を済ませ、ブルべカードを受け取る。今回はスタート時間を6:00と6:10から選べることになっていたが、既に6:00スタートは満席。6:10スタートとなった。どっちみちこちらを選ぼうと思っていたので好都合。当初の走行計画で走れば、常に隠しマージンが10分ある計算になる。いざというとき、この10分が役に立つ。


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そして、何をおいても次にやったのは、「靴乾燥機を借りる」こと。実は事前にホテルの設備を調べており、そこで目に留まったのが靴乾燥機。これは使えるな……と思い、真っ先にレンタルを申し出た。幸いにもまだ残っており、借りることが出来た。さらに、ブルベ終了まで借りていて良いと言う。これは僥倖。天気予報を見ると、二日間は雨の中を走る。靴の浸水は免れないはず。これが乾くと乾かないでは、足のコンディションにも大きな差が出るはずだ。


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靴乾燥機を借りたら、ホテルの中を妻と二人で見まわる。どこに何の設備があるかを把握するのが目的。重要なのはコインランドリーの場所である。今回のホテルはスポーツホテルということもあり、コインランドリーが3部屋用意されていた。各部屋に、洗濯機が三台と乾燥機が二台。これだけあれば、どこかは空いているだろう。

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17:00、放送が入り、食堂でライダーズミーティング。主催の武田さんより注意事項が読み上げられる。

ミーティング自体は20分で終わり、ここからは睡眠時間をいかに長く取るかの勝負。ホームセンターの向かいにあるスーパーに行き、夕食と明日からの補給食を買い込む。そして、部屋の中には電池と補給食のBarを用意した。


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部屋の壁には、あらかじめ印刷しておいたTODOリストを貼り付け。これで、頭がボケていてもやることを漏らさずに済むはず。なお、貼り付けには壁紙を傷めないマスキングテープを使用。逆に接着力が弱すぎて、三日目に帰ってきたら床にTODOリストが落ちていた。

夕食を部屋で済まし、風呂に入り、21:00には消灯。

翌朝から、決戦が始まる。


(つづく)


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クローバー1200 : 1日目(襟裳・様似方面) 0~315km

8/15 4:50起床。5:00までは朝食が提供される予定となっていたが、さすがにこの時間に大量に食べられないことは分かっていたので、ギリギリまで寝ていた。その分、手持ちの補給食を増やし、走りながら徐々に食べていく作戦である。8時間近く寝られた意味は大きい。

窓の外を見ると、やはり雨。そこまで強く降ってはいないものの、路面はがっつりウェットだ。足元は、ビニールシューズカバー+mont-bellのシューズカバーでしっかりとガード。手元は、テムレス+チコリンパフ。レインジャケットとパンツは小雨用のものにした。

着替えて外に出ると、結構気温が低い。15度前後だろうか。しばらく30度を切らない生活をしていたので、気温以上に寒く感じる。昨日掛けておいたバイクカバーを外すと、大量の雨水が地面に落ちた。どうやら、寝ている間に結構降ったようだ。

慌ただしく残りの準備を行い、下に降りると参加者全員での記念撮影が始まった。そして、間もなく6:00スタートの第一ウェーブの走者が出発。タイヤに追加の空気を入れていると、あっという間に10分が経過し、私たちのスタート時間が訪れた。井手マヤさんの「スタートしてくださーい!」の声を聞き、出発しようとすると同ウェーブの妻が何故か出発する人に手を振って「頑張ってくださーい」と言っている。いやいや、その人たち同じウェーブの人だよ!!

妻を急かし、共に出発。目標は、夫婦揃っての完走。1200㎞の旅路が始まった。

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1日目はホテルを出て南方面へ走る。襟裳岬を回って帰ってくる315km。獲得標高は1600mほどと平坦に近く、特別な難所はない。強いて言うならばトンネルの多発する黄金道路を気を付けるくらいだろう。

開始0kmで妻とは離れ、単独走行。路面がウェットで前走者の跳ね上げる水をもらわないように、なるべく今日は単独で走ることを決める。

スタート後しばらくは帯広の市街地を走行。信号が多い。帰りもここを通るはずなので、結構ストレスになりそうだ。そこから住宅街を抜け、ようやく農道のような道に入る。今日は210㎞地点に現れる野塚トンネル以外は登りが無い印象だったが、序盤は丘越えのコースレイアウトらしい。

一応、雨天装備はパーフェクトにしてきたつもりだが、開始30kmくらいでグローブに浸水を感じた。いくらなんでも早すぎる……と思ったら、カペルミュールのレインジャケットの袖部分の防水ラミネートが剥がれ、穴が開いていた。なるほど、ここから侵入を許したのか。後から知ったことだが、このジャケットは洗濯機では洗ってはいけないらしい。こちらに来る前に一度洗ったが、その時に穴が開いたのだろう。ジャケットはホテルに戻って即処分した。

43km地点の「道の駅さらべつ」でトイレ休憩。ここでフロントバッグの中を見ると、メインコンパートメントに乳白色の池が出来ていた。私は長距離ブルベではここに大量にお菓子を入れる。特に飴が多い。今回も飴を入れていたのだが、その飴はヴェルタースオリジナル。個包装の方法はいわゆる「キャンディ包み」で密閉はされていない。雨が入ってしまい、飴が溶けだしたようだ。トイレットペーパーで拭き取ったものの、かなり甘い香りが残ってしまった。明日の朝、フロントバッグが虫だらけになっていたら嫌だな……と思いつつ先を急ぐ。

弘和での分岐点を越え、大樹の街を抜けてしばらく走ると広尾町。ここに最初のPCがある。混雑防止のため、PCは手前のセイコーマートと、100m先のセブンイレブンの2か所が用意されていた。セイコーマートは道路の右側にあって入りにくそうだったので、左側にあるセブンイレブンへ。

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8/15 9:50 PC1:セブンイレブン広尾本通店(86km)に到着。そんなに早く走ったつもりはないし、一度休憩しているのにグロス平均速度が23km/hを超えている。さすが北海道だ。

中まで濡れてしまったテムレスの代わりにゴム手袋を購入。タオルも買って出来うるかぎり浸水した場所を拭いておく。しばらく無補給区間が続くので、弁当とおにぎりも食べて補給を完了。自分にしては長めな15分ほど休んで出発した。やはり、雨の日はPCでのタイムロスが大きい。

さて、ここからは海沿いの黄金道路を走って襟裳岬を目指す。なぜ黄金道路という名前なのかと思って調べてみたが、「黄金が敷き詰められるほどお金の掛かった道路」ということらしい。確かに山が道のすぐそばにせり出しており、東海道における由比あたりの地形がずっと続く印象。確かにこれは工事が大変だったのだろう。

黄金道路は通行止めになることが多いことでも知られており、なんと10年間で112回。運営側もそれを予期して代替ルートが提示されていたが、幸いにも今回は通行止めにはならなかった。

ただ、雨脚はPCを出てから強くなった。こうなると、断続的に現れるトンネルと洞門がありがたい。そういえば、本州では「洞門」と呼ばれる片方が開いたタイプのトンネルは、北海道では「覆道」と呼ばれるらしい。

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もう一つ気になったのが、この「昆布作業中」。調べてみると、昆布漁のシーズンに漁師さんがよく道を横断するので、こうした看板が立っているようだ。道に昆布が散乱していなくて良かった。

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そして、ある意味本日のクライマックス「えりも黄金トンネル」。北海道最長を誇る、長さ約5kmのトンネルだ。笹子トンネルのような狭さと暗さを想像していたが、2011年完成のこのトンネルは路肩も広く、明るい。車の通行台数も天気のせいか少ないので、結果的には雨を避けられる快適な区間だった。……が、えりも黄金トンネルを抜けると、豪雨。叩きつける雨が痛い。空は明るくなってきているのに、なんだろうこの天気は。

襟裳岬に近づくと、徐々に高い木が減ってくる。そして、それに伴って少しずつ太陽が見えだした。これはようやく晴れるのか?

 「baruさんですか?」

と不意に近くにいた参加者から声を掛けられる。Twitterで知り合った「っきー」さんであった。話しながら襟裳岬まで。

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8/15 11:55、フォトチェック:襟裳岬(131㎞)到着。相変わらずグロス平均速度は23km/h近く。やはり北海道は、貯金を作りやすい。

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襟裳岬で気になったミステリーラーメン。うに丼も有名らしく、食べていこうか迷ったが、先を急ぐことに。宿での睡眠時間確保が最重要命題なので。

再出発すると、雨が上がった。この先の空を見る限り、しばらく雨に降られることは無さそうだ。Yahoo地図の雨雲レーダーでも確認したが、次のPCまでは雨具を脱いでも良さそうである。路面はウェットなのでレインパンツとシューズカバーは着たままとし、ジャケットのみを脱いだ。たった一枚の差でもかなり空気抵抗が減るのを実感できる。

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襟裳岬から様似町の区間は追い風。雨もなく、非常に快適な40㎞だった。様似のセブンイレブンでトイレ休憩&食べ物を買い込み、近くのホームセンターでテムレスを2セット追加購入。やはり普通のゴム手袋は蒸れるので処分した。

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8/15 14:10、PC2:セイコーマート 浦河西幌別店(178km地点)に到着。

ここでフロントバッグからチェーンオイルを取り出して注油。東京大阪キャノンボールでも油切れを起こさず、長時間の使用で信頼していた「Vipro's muon」を今回はチョイスしたが、さすがに雨の区間が多すぎたらしい。ギシギシと鳴りだしてしまったので、小分けにして持ってきていたオイルを継ぎ足した。

スマホを見ると、妻から13時に襟裳岬に到着したとの連絡が。中々良いペースだ。

出発してしばらく走ると、スタッフ仲間のkajisanが馬を撮影していた。この辺りは競走馬のふるさととしても有名で、馬のいる牧場がたくさんあった。私はそこまで馬には興味が無いのでそのまま進む。

……ポツリ。頬に雨粒が当たった。そのまましばらく走っていると、道路に広がる雨の染みがだんだんと大きくなってくる。もう今日は雨具を着ずに走れると思っていたが、そうはいかないらしい。路肩に自転車を停めてレインジャケットを着こんでいると、kajisanが横を走り抜けていった。

さて、ここからは本日最大のヒルクライム。野塚トンネルへの登りである。最大と言っても距離が18㎞と長いだけで、平均斜度は約3%と緩い。北海道の国道は除雪車が走る前提で設計されているので、基本的には「長く」「斜度が緩い」ところが多いようだ。斜度的には5%以下なのだが、何故か辛い。レインウェアのせいだろうか。

1時間ほど登り続け、標高580mの野塚トンネルに到着。このトンネルは2011年に「えりも黄金トンネル」が出来るまでは北海道最長を誇ったトンネルである。妻はどうしているかとスマホを取り出すも、圏外。一応、それなりのカバー範囲を誇るUQモバイルであっても、北海道は電波の届かない場所は結構多いようだ。

トンネルを抜けると、雨の中のダウンヒル。道幅も広く、勾配も緩やかなので恐怖感は余り無い。そして、今回のためにチョイスしたブレーキシュー・BBBのウルトラストップがとても良かった。ウェットでもコントローラブル。コレを付けてきて正解だった。

一気に28㎞の下りをこなし、往路でも通った豊似の交差点に戻ってくる。この辺りまで来ると人里となり、少し安心する。が、どうもこの交差点のすぐ手前で熊が出たらしい。私が通過する30分程前のこと。結構熊って人里近くに降りてきているのね……出会ってしまったらどうしようもないが、気を引き締めた。

再び雨脚は強くなる。腹も減ってきたので、大樹町のセブンイレブンで休憩。多くの参加者たちがここで休んでいた。ハンバーガーを食べて暖を取る。あまり休みすぎても体が冷えるので、さっさと出発。残り63㎞。

しばらく走っていると、バックミラーに映る影。一人後ろに付いてきている。顔を見ると、台湾から参加のStanleyだった。彼と走るのは初めてだが、PBPにも参加しているだけあって速い。このままゴールまで一緒に走ろうかと思っていたが、残り30kmほどになった所で痛恨のボトル落下。雨でボトルが手から滑ってしまった。なかなかボトルは見つからず、5分ほどロス。幸い、草むらの中からボトルは見つかり、特に破損も無かった。

残り10㎞。帯広の市街地に入ると、懐かしき信号峠に遭遇。しばらく北海道らしい信号の無い走りに慣れていたので、なんとなくリズムが崩れる。本来、キャノンボーラーなのでこちらの方が体には合っているはずなのだけど。

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十勝大橋を越え、ホテル横の電波塔が見えてきた。この電波塔はNTTドコモの帯広無線塔で、高さは106.5m。夜になると光り、帰ってくるときの良きランドマークとなっていた。

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8/15 20:41、PC3:ホテルクロスコート(315km)に到着。1日目が終わった。結局、315km中の270kmくらいは雨だった。

サドルバッグを取外してホテルに入ると、ロビーのソファーにはビニールシートが被せてあった。ここに座ってウェアを脱ぐようにとのことらしい。ウェアを脱いでいる間にブルべカードをスタッフの方に渡して1日目のチェック。通常のブルベではゴール時に纏めてレシートのチェックを行うが、今回は1日ごとにレシートを提出する形式となっている。レシートを無くしたらと思うと気が気ではないので、この形式はありがたい。

そして、受付を待つ間に、ロビーにいた外国人女性に、

 「ピンクガールはまだなの?」

と聞かれる。この方はShabさんと言い、「ブルベスタッフのプロ」のような方らしい。ベストサポーターとして表彰もされているとか。ピンクガールとはうちの妻のこと(自転車もウェアもピンクづくし)。どうやらShabさんは、うちの妻がいたく気に入ってしまったようだ。

1日目のレシートと襟裳岬のフォトチェックはどちらも問題なし。ブルべカードを返却頂き、自室へと戻った。

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さて、まだすぐには寝られない。洗濯峠という大きな峠が残っている。

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まずは部屋でシューズを靴乾燥機に掛ける。驚くことに、中はほとんど濡れていなかった。汗や結露によって湿ってはいるものの、普段の雨天ライド後とは雲泥の差だ。そして、部屋から自転車カバーを持ち出し、自転車にかぶせる。恐らくこの雨でカバー無しだとチェーンオイルは全て流れてしまうだろう。買っておいてよかった。

次に、ウェア類を全て洗濯。一応着替えは4日分あるが、どちらにせよレインウェアは一度洗わなければならない。知らない人も多いが、レインウェアは内側と外側の汚れを落とし、更に乾燥機で熱を掛けることで撥水性能が維持される。汚れたままだと性能は低下してしまうのだ。

洗濯している間に大浴場へ。スポーツホテルと言うことで、普通の風呂の他に水風呂も用意されている。水風呂にもしっかり浸かり、筋肉の炎症を取った。

風呂から上がったら、洗濯機から乾燥機へウェアを移動。乾燥機を動かしたら、そのまま食堂へ。少しでも時間を効率的に使うように動く。

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食堂では20時~翌朝5時まで夕食が提供される。てっきり作り置きのものが出てくると思っていたが、調理担当の人がキッチンに詰めていた。この方も一緒に戦ってくれている。そして、このカレーがとっても美味しい。業務用カレーでは無く、しっかりと作られたカレーだ。更にサラダバーもある。長時間のロングライドでは繊維質不足から便秘などにもなりやすいので、これは嬉しい。

乾燥機からウェアを取り出して部屋に戻る。何とか1人分なら30分で乾くようだ。しかし、二人分となると1時間は見ておかないとならないだろう。

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部屋の気温を24.5度にセット。これは少し肌寒い方が入眠がスムーズであるため。歯磨きもしっかりして布団にもぐりこむ。時刻は22:20。やはり、洗濯峠+風呂+夕食を済ませると1時間半ほどは掛かってしまうようだ。恐らくグローブを水没させて帰ってくるであろう妻用に、道中買った新品のテムレスを置いておいた。


……………

………




物音で目が覚める。妻が帰ってきたようだ。時刻を見ると0:20。予定タイムより20分遅れだが、雨でこの時間なら上出来だ。そのまま大浴場に行ってしまったようで、しばらくはウトウト。大浴場から妻が帰ってきたところで、

 「3時にアラームをセットしておいてね」
 
とだけ言い、そのまま寝落ち。今度こそ1日目が終わった。


(つづく)


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クローバー1200 : 2日目(富良野・美瑛方面) 315~616km

8/16 3:00、起床。二日目の始まりだ。妻は眠いらしく「あと5分」と言っていたので、その間に準備を進める。

天気予報をチェックすると、やはり今日も雨。ただ、帯広のあたりは強く降るものの、今日向かう富良野方面の雨は1mm前後の予報だ。昨日、カペルミュールのレインジャケットは捨ててしまったので、mont-bellのサイクルレインジャケットを取り出す。

妻を起こして、二人で準備開始。昨日よりも低温の予報であるため、長袖ジャージを装備。レーパンもタイツタイプとした。その他の装備は基本的に昨日と同様。充電しておいたライトを持って自転車へ。雨はほとんど降っていなかったが、やはり路面は完全ウェット。掛けておいた自転車カバーには今日も大量の水が溜まっていた。

自転車カバーを外して、2台ともチェーンに注油を行う。恐らくこのオイル……というか大抵のオイルは一日雨だと150km程度しか持たない。妻も昨日のPC2で注油をしたと言っていたが、恐らく復路で流れてしまっているだろう。雨だと本当にやることが増える。

そして、妻が昨日足元の暗さに不安を持っていたようだったので、持ってきていたハブ軸ライトホルダーを取り付け、Volt800を装着。これで今日は問題ないだろう。

一応、フロアポンプも借りて空気を入れたが、ほとんど空気圧は落ちていない。これは明日以降の空気入れは省略できそうだ。

受付にあるスタートボードに出発時刻を書き込む。2日目以降はここに毎日時間を書く運用らしい。確かにこれがあると帰ってくる時刻もだいたい予想できる。上手い仕掛けだ。

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8/16 3:50、ホテルを出発。昨日とは異なり、まだ夜は明けていない。雨は弱め。これくらいなら全く問題ないのだが。

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2日目は西方面へと走る。景勝地として有名な美瑛まで行って帰ってくる298km。狩勝峠と樹海峠という2つの峠を往路と復路で越える中級山岳コースだ。獲得標高は4日間のうちで2番目に多い2060mとなっている。

昨日は早々に妻とは別行動になったが、今日は前半の平坦部分はペースメーカーとして帯同することに。獲得標高の多いコースで、少しでも平坦部分で貯金を作ってもらえれば後が楽になるはず。スタート時間を揃えた最大の理由は2日目と3日目の序盤のペースメイクであった。狩勝峠の手前、40km地点の新得までをグロス20km/hのペースで引いて解散。そこからは別行動となった。


狩勝峠は9kmで420mを登る。北海道らしく、緩く長い峠だ。ただ、何故か「1合目」「2合目」とご丁寧なカウントがあるので距離以上に長く感じる。大して高くないのに、何か謂れのある峠なのだろうか? ちなみに、名前の由来は「石狩」「十勝」の間にある、という所かららしい。峠の勾配は厳しくないのだが、登るほどに雨脚が強くなった。朝の霧雨は鳴りを潜め、本降りの雨の峠。今日もまたこれか……。

8/16 7:16、狩勝峠を越えて下りに入るが……寒い!! とにかく寒い。レインウェアを着ているとはいえ、雨粒が付着した状態でのダウンヒルは気化熱が容赦なく奪われる。それでも昨日は気温が高かったから良かったのだが、恐らくこの時の気温は一桁。北海道の早朝の峠を舐めていた。ギヤを軽くし、なるべく脚を回して体温を上げつつ下っていく。

峠を下りきった場所、幾寅の街にはセブンイレブンがあることは事前の調査で分かっていた。迷わず立ち寄り、カレーヌードルを購入する。こういう時はやはり温かい汁物である。一気に体温が上がるのを感じる。周りを見ると同じように吸い込まれてきたランドヌールがたくさん。またすぐに峠が控えているので、ここで休んでおくのは皆に共通した判断だったのだろう。15分ほど休んで出発。


樹海峠は物騒な名前だが、峠としては全く大したことはなかった。いつの間にか峠を通過。ただ、下りはやはり寒い。

西達布郵便局の先を右折し、麓郷方面へと進む。この辺りは後ろから追いついてきた外国人の集団と前後しながら走っていた。話している言葉から推測するにアメリカからの参加者だろう。この辺りは丘を何度も越えるレイアウトとなっているが、彼らは登りはそこまで早くはないにもかかわらず、下りは異常に早い。PBPでも見たが、欧米のランドヌールはこうした走り方をする人が多い。どうしても日本、特に本州の急な山に慣れていると、下りでそこまで稼げないので登りで頑張る走り方が身についてしまう。北海道では彼らの走り方のほうが間違いなく適しているだろう。

この外国人集団の中で、体の力が抜けているにもかかわらず、一人だけやたら早い人物がいた。チタンフレームを駆り、前輪にはハブダイナモが付いているのに登りはかなり早い。身長は185cm近くはあるだろうか。どこの誰かはわからないが、さぞや名のあるランドヌールだろう。


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美瑛が近づくにつれ、開けた風景が増えてきた。恐らく晴れていれば渋峠の上のような開放感が楽しめるのだが、残念ながら雨はしっかり降っている。スタッフの見せたかったであろう風景が見られないのは残念だ。

ベベルイの急坂を降りた辺りで、ようやく雨が止んだ。このまま晴れてくれれば……と思ったが、有名な観光スポットでもある「新栄の丘展望公園」に差し掛かった所でまた雨が降ってきた。霧も出てしまい、残念ながら眺望は霞んでしまっていた。返す返すも残念である。

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8/16 11:19、PC4: セブンイレブン 上川美瑛店(462km地点)に到着。クローズまで1時間40分。果たして妻は間に合うだろうか?

 「あれ、baruさんだ。」
 
振り向くと、北狼さんが立っていた。彼は今回のブルベには参加していないが、たまたま美瑛の丘を見に来てここに寄ったらしい。コンビニで買ったうどんを食べながら、しばし立ち話。そして、チェーンから異音がしていたことを思い出し、注油。やはりずっと雨だとオイルは持って150km。今回のライドで身を持って得た知見である。

ここで少し不安になり、北狼さんに伝言を頼むことにした。

 「妻がチェーンオイルを注油してなかったら差すように言っておいてください。」
 
普通に連絡をすれば良いとも思ったが、何故か今日は全く返信が帰ってこない。もしかしたらスマホが水没したのかもしれないと思い、念のため伝言を頼んだのであった。


体が冷え切る前に出発。次のPCまでの区間は今回のブルベで最も短く33kmしかない。本降りの雨ではあるが、この区間は平坦だし楽が出来そう……と思ったが、それは大きな間違いだった。

上富良野駅前を過ぎ、国道237号から市道に入る。この道は見渡す限り周囲に田んぼしか無い平坦路で、容赦なく向かい風に襲われることになる。更に北海道にしては道幅が狭く、水たまりも多かった。必然、車が巻き上げた水が体に掛かりまくる。今日のルートは平地が少なく、しかもここは微妙に下り勾配が付いている。本来であれば貯金を作ってもらおうという温情溢れる区間のはずが、全く進まない区間となっていた。大排気量の外国人参加者たちもここでは苦戦をしていたようだ。

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8/16 13:08、PC5: セブンイレブン 富良野若松店(495km地点)に到着。早速スマホを取り出して確認すると、北狼さんが12:30頃に妻が到着した旨のツイートをしていた。クローズ30分前到着。かなり頑張ったようだ。

コンビニの中では外国人参加者たちが店内のゴミ箱前で長々と談笑している。彼らは走り方も特徴的だが、休憩の仕方も特徴的だ。ガーッと走って長く休む。休みを最小限にして巡航スピードを落とす私とは真逆の走り方だ。コンビニで買い物を済ませて出てくると、自転車が倒れていた。先程からの風で倒れたらしく、フレームの塗装に無残な傷が……それでもやっぱり凹んだりしていない辺り、スチールフレームは丈夫である。


20分ほどゆっくり休んで出発。ここからは行きに通った峠を逆の順番で越える。まずは目指すは樹海峠だ。

PC5を出て30分ほど走ったところで、コンビニで談笑していた外国人参加者の集団が追いついてきた。

 「Hey!!」
 
そう言って、集団の先頭にいた例のやたら登りの早い外国人が自らの後ろを指差す。どうやら集団に加わるように誘ってくれているらしい。刺激の少ない区間であるので、せっかくだから乗っていくことにした。妻以外の参加者とトレインを組むのはこれが初めてだ。集団の人数は6名ほどだったが、明らかに楽。負荷は2割減、スピードは1割増と言った所。

そのまま集団で10kmほど。このまま狩勝峠まで行けたら楽だな……と思っていたが、何故か自分が先頭に出て牽こうとしたら誰も付いてこなかった。うーん、何か不味いことをしてしまっただろうか? だが、戻るのも変なのでそのまま一人で先を急ぐ。

樹海峠を下り、往路でも通った幾寅の街に入ると外国人集団が追いついてきた。そしてそのまま、示し合わせたように往路でも寄ったセブンイレブンにIN。それもそのはず、この先は狩勝峠を下るまでコンビニは一切ない。往路で全員がそれを分かっているので、やはりここで多くの人が休んでいた。イートインの椅子にレジ袋を敷いて座り、一息つく。

Yahoo地図の雨雲レーダーを見ると、周囲は完全に雨雲に包まれている。

 「うわー、緑色だ!」
 「え、緑って?」
 「この雨雲レーダーで緑色は結構な豪雨ってことなんですよね……」

 
周りに雨雲レーダーの画面が見えるように掲げると、イートインコーナーに居た人たちの視線が画面に集まる。それを聞いていた例の登りが早い外国人が仲間たちにすかさず翻訳を行っていた。

 「Green color means strong rain.」
 
彼の名前はEricというらしい。自転車に乗っていない姿を見てもやはり強そうだ。


同時に着いた人たちは雨が弱まるのを待とうとしていたが、雨雲レーダーを見る限りしばらくは雨脚の強さは変わらないだろう。覚悟を決めて出発することにした。

往路の狩勝峠は400mほどを登る必要があるが、復路は200mほど登れば峠に辿り着く。淡々と登っていると、後ろからEricが追いついてきて、そのまま追い抜いていった。やはり早い。あれでハブダイナモが付いているのだから恐ろしい。峠手前で後から追いついてきた他の外国人2人にもパスされる。自分も結構弱っているらしい。


復路の狩勝峠には16:51到着。往路同様に気温はかなり低い。そして全身濡れねずみ。この状況で400mの標高差を一気に下ることになる。往路よりも恐らく冷えは酷いだろう。頂上のトンネルではジャケットから外していたフードを装着。少しでも体温を逃さないように努める。

ダウンヒル開始。寒い。そして、雨脚が強いところを下るので、雨粒が痛い。何だって北海道まで来てこんな状況で走っているのだろう。最初に思い描いていたライドとはあまりにも違う。ただ、泣き言を言っても始まらない。今は一刻も早く下りきってコンビニに入ることだけを考えよう。


峠から15kmほど下ってきた所にあったセブンイレブンに入る。低体温寸前。ホットコーヒーとフライドチキンを食べると、即座に体温の上昇を感じる。我ながらチョロい体である。恐らくそろそろ狩勝峠に差し掛かるであろう妻に向けて「とにかく幾寅のセブンイレブンで温かいものを食べておくように!」とだけメッセージを送っておく。あとは妻の対応力を信じる。ハブ軸のライトがここで役に立つはずだ。

ここまで来ればあと42km。しかも下り基調。ログを見ると、セブンイレブンからホテルまでを僅か1時間38分で駆け抜けている。グロス平均速度は約26km/h。ゴールが近づくとこれだけパワーが出るのは現金なものだ。

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8/16 19:26、PC6: ホテルクロスコート(616km地点)に到着。600kmを越えたので、ここからはしばらく制限時間が緩む。しかし、今日は丸一日、乾いた路面を見ることがなかった。そろそろ乾いた路面が見たい。

1日目と同様に、スタッフのエイコさんにブルベカードとレシートを手渡す。今日もチェックは問題なし。良かった。そして今日もまた、Shabさんに「ピンクガールはまだ?!」と聞かれたのだった。

そして、ロビーではYO-TAさんにお会いする。残念ながら雨で皮膚に問題が起きてしまい、リタイヤとなったそうだ。やはり雨は過酷である。

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さて、ここから寝るまでが長い。長いので一覧表で書いていく。

 ・シューズを靴乾燥機に掛ける
 ・ライトを充電する
 ・自転車にカバーを掛ける
 ・ウェア類を洗濯機に掛ける
 ・風呂に入る
 ・ウェア類を乾燥機に掛ける
 ・夕食を食べる
 ・歯を磨く

 
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今日の夕食は麻婆豆腐と豚汁。これもまた美味い。欲を言えば花椒が欲しいところだが、そんな贅沢は言ってられない。毎日座って温かい飯が食べられるとは、なんて幸せなのだろう。

スマホでTwitterを見ると、AH2400の方は大変なことになっているようだ。知床峠で熊が出没し、まさかの10時間足止め。こちらもサバイバルな気候だったが、向こうは完全なる大自然との戦いになっている。


食後は乾燥機からウェアの取り出し。やはり予想通りまだ湿っている。今日の洗濯物には妻の1日目に濡らしたウェアも含まれる。これを乾かさないと明日着るウェアは無いはずだ。すかさず乾燥機の30分延長を決める。

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乾燥を待つ間に、本日特有の任務「eTrex30の電池交換」を行う。今回はリチウム乾電池を使ったので40時間は持つはずだが、既に使用時間が30時間を越えた。ここで新しいリチウム乾電池に交換すれば残り2日は問題なく最後まで持つだろう。……が、裏蓋を開けてびっくり。水滴が付いている。結露か浸水か分からないが、これは良くない。翌朝まで裏蓋を開けたまま乾かすことにした。

乾燥機からウェア類を取り出し、自分と妻の分に分類して、本日の夜任務は終了。時刻は21時20分。到着からの時間は2時間ほど。やはり昨日より長い時間が掛かった。

妻からのメッセージは特になかったが、きっと頑張っているのだろう。とりあえず休みつつ、妻の帰りを待つことにした。


……………

………




ドアの開く音で目を覚ます。雨天走行を二日間も強いられ、流石に妻の消耗も激しい。特に暗くなってからの狩勝峠の下りはかなり辛かったはずだ。さっさと寝られるよう、シューズを受け取り靴乾燥機へ。eTrexも受け取って電池を交換。さっさと風呂に行くように促す。

風呂から戻ってくると、歯を磨いて即布団に入る妻。ものの1~2分で寝息を立て始めていた。その様子を確かめて、再度の就寝。一度起きてからの再睡眠は可能か不安であったが、割とスムーズに入眠出来たようだ。

これにてようやく2日目終了。明日は一番山岳が厳しい正念場の日だ。


(つづく)


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クローバー1200 : 3日目(上川・留辺蘂方面) 616~903km

8/17 2:10、起床。さすがに自分にも疲労の色が出てきた。二日間、ほぼフルで雨天走行を行ったのは初めての経験である。やはりウェアのせいで空気抵抗は増えるし、集中すべき時間が増えるので疲れる。

そして、窓の外は今日も雨。オーケー分かった、もうこれはブルベ期間中は止まないって考えれば良いんだな?? 残念ながら秘策のビニールシューズカバーは4セットしか持ってきていなかった。今日は足の浸水を覚悟せねばならないだろう。

外に出ると、雨脚以上に気温の低さを感じる。気象庁のデータによれば、この時間帯の温度は12度だったらしい。更に今日は北の山に向かうルート。相当な低温を覚悟せねばならないだろう。……今何月だっけ?

タイヤの空気圧は問題無さそうだったので、二人分のチェーンオイルを注油。スタートボードに出発時刻を書き込もうとすると、かなりの参加者がリタイヤしていることに気づいた。2日連続の雨は予想以上に厳しかったようだ。この時点で生き残りは約半数。果たして今日も生き残れるか……?

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8/17 2:51、ホテルを出発。昨日より約1時間早いスタート。準備がスムーズに行ったことも有り、予定よりスタート時刻は10分ほど早い。今日のコースプロファイルを考えると、この10分の意味は大きい。

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3日目は北方面へと走る。北海道の国道で一番標高の高い三国峠(1139m)を越える287km。東京都の一番高い峠が風張峠(1146m)なので、ほぼ同じ高さだ。隣の石北峠も標高は1000mを越えており、4日間のうちで一番獲得標高の大きい山岳コースとなる。足切り時刻の計算が緩くなっている(600-1000kmは平均12km/hで計算)とは言え、既に2日間を走ってきた体には厳しい。

ホテルをスタートした直後から登りが始まる。と言っても、77km地点で三国峠の本格的な登りに入るまでは平均斜度1%未満。北海道らしく、ダラダラと長い登りが続く。

今日も序盤は妻のペースメーカーを担当。ゆるい上りに加えて、風は逆風。序盤のゆるい斜度の部分で稼げるだけ稼ぐ作戦である。


32km地点の上士幌町にあるセブンイレブンで最初の休憩。少し早い気もするが、事前調査の結果では、ここから100km以上コンビニがない。三国峠の自販機と、個人商店が頼みの綱。このコンビニで買えるだけ買い込んでおく。

コンビニを出てしばらくすると、民家が消える。糠平(ぬかびら)温泉までは少し斜度の上がったヒルクライムとなる。一定間隔で「ヒグマ出没多発地域」「森は動物が主役」なる看板が出ている。北海道に来る前はクマ対策をどうしようかと考えていたが、正直雨ですっかり存在を忘れていた。


糠平湖まで登ってくると、人里が現れる。ぬかびら源泉郷である。区域内の「ひがし大雪自然館」に公衆トイレがあったので利用。これだけ無補給区間が長いとトイレはあるうちに行っておかなくてはならない。

この温泉街の中にある「大和みやげ店」で出来れば補給を追加で買えないかと思っていたが、残念ながら営業時間外。現在時刻はまだ6:16。これは仕方ない。やはりコンビニで補給を買っておいて正解だった。

ここから音更川に沿って更に北上していく。しばらく走ると、前から1台のロードが降りてきた。どうやらクローバー1200の参加者のようだ。まさかクマでも出たのか!?と思ったら、タイヤがバーストしてしまったらしい。さすがに替えタイヤは持ち歩いていないので、申し訳ないがそのまま先に進むことに。


今日のスタートから77km地点、ここから斜度が上がるため、妻とは別行動となる。出来ればグロス平均速度18km/hは稼いでおきたかったが、この時点では16km/hほど。今日の後半はほぼ登りはないので、そこで取り返せるだろうが……あとは妻の踏ん張りに賭けるしか無い。

単独アタック開始。ここから峠までは10km、平均斜度は4.4%。ようやく雨が上がり始めた中を淡々と踏んで登っていく。峠まで残り3kmくらいのところで、かなり高い位置に通る道路が見え、「あそこまで登るのか……」と気分が落ち込む。たっぷり1km以上掛けて迂回するから、結局斜度はそこまでキツくはないのだが。

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峠手前の橋、「松見大橋」からの風景。眼下に広がる大雪山系の風景。奇跡的に霧はなく、ようやくご褒美を貰えた感がある。

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8/17 8:53、三国峠展望台(703km地点)に到着。雨はほとんど降っていないが、寒い。気温計に表示された温度は、なんと5度である。8月半ば、夏真っ盛りの朝9時にこの気温とは。まさに試される大地。

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三国峠は写真チェックとなっているので、撮影。Twitterに上げようかと思ったが、圏外。とりあえず自動販売機で水だけ買って先へと進む。


展望台を出てトンネルに入る。1.5kmほどの長さだが、交通量は少なくあまり恐怖感はない。

問題はトンネルを出た後。峠ではほぼ止んでいた雨だが、再び強く降り始めた。やはり峠の前後では天気が大きく変わるものである。路肩に止まり、ジャケットのフードを装着する。再び下り始めるも、指先がとてつもなく寒い。テムレスの指先についた水滴が走行風で冷え、さらに気化熱が持って行かれる。5度の気温を考えると、テムレス一枚では寒いのは当たり前だ。防寒テムレスを持ってくればよかった。

三国峠を降りきると大雪湖。この辺りはほぼ平坦だが、雨の勢いは強いまま。大雪ダム手前にトンネルがあったので、そこの歩道で一旦サドルバッグからタオルを取り出して全身を拭いた。少しはこれで寒さも和らぐはずだ。

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続いて石北峠(737km地点)。三国峠に比べると登る距離は短く、あっという間に登り切る。そして峠の気温は8度。もう11時になろうというのに、この有様。後から知ったことだが、コースから10kmしか離れていない大雪山系の黒岳で、この日の朝初冠雪。観測史上もっとも早い初冠雪だったらしい。もの凄い異常気象の中を走っていたことになる。

石北峠から次のPCまでの距離は約40km。ほぼずっと下りである。少しでも体温を下げないように足を回しつつ下っていく。10kmほど降りると九十九折のダウンヒルは終わり、川沿いを緩く下っていく区間に切り替わる。最後のコンビニから約100km、さすがに手持ちの食べ物も底をついてきたが、本当に商店らしい商店がない。次のPCまであと10kmの温根湯温泉でようやくコンビニが現れたが、もうすぐPCなのでそこまで飴を舐めて乗り切ることにした。

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8/17 12:26、PC7: ローソン留辺蘂旭店(780km地点)に到着。温根湯温泉から10km引っ張ったので、体は完全にガス欠。やはりさっさと食べておくべきだった。美味しそうなかき揚げ丼が売っていたので、食べたらすぐに体温もやる気も復活。やはりカロリーは大事。チェーンにも注油をしておく。

妻にしばらく前にメッセージを送っていたが、反応はない。圏外の区間は多いので仕方ないが、さすがに少し心配である。あの気温と、その中での雨のダウンヒルを乗り切れているだろうか。妻に対して追加でメッセージを送る。

 「今日の天気はこれまで自分が経験した中でもトップクラスに厳しい。
  判断力が鈍ったら大人の判断も考えてください。」

  
あえて婉曲的な表現をした。ブルベは個人的なサイクリングである。最終的にタオルを投げ込めるのは走者本人しかいない。妻もSuperRandonneur取得済みのロングライド名人、その判断を尊重することにしている。


結局、このPCで30分近くを過ごして出発。あと残るは標高700mの名もなき峠のみ。あとは下っているだけでゴールできる。

しかしどうにも雨がやまない。小ぶりになってきた所でフードを取ると、また強く降り始める。何度もフードの上げ下げを繰り返すうちに面倒になり、フードをかぶったまま走ることにした。真夏にレインジャケットを着込んでフードを被ってもそこまで暑いと感じないあたり、この日の寒さは相当に厳しかったようだ。


あまりに信号の無い道だったので、何もない所で止まって休憩。スマホを見ると、妻からメッセージが返ってきていた。かなり泣きの入った発言ではあったが、まだまだやる気らしい。この土壇場で、レインウェアとジャージの間にバスタオルを巻くという体温維持策を編み出したようだ。手近なもので問題を解決するのはランドヌールに求められる能力の一つ。「これで駄目なら諦める」とは書かれていたものの、このしぶとさならば今日を乗り切れるかもしれない。

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8/17 15:25、置戸町と足寄町の間にある標高700mの名もなき峠(825km地点)に到着。やたら「鹿に注意」の看板が多い。

下り始めてしばらくすると、トイレに行きたくなってきた。前のPCからは約2時間半、気温はずっと15度前後。トイレが近くなるのも無理はない。数km下ったところで駐車場があったので、トイレもあるかと思ったら……

  「公衆トイレまで15km あと少し我慢して!」
 
との看板が立っていた。いやいや、15kmで後少しって。道民感覚恐るべし。

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そこから下ること更に数km。ついに路面に乾いた場所が現れ始めた。峠のあたりで既に雨は止んでいたが、路面はウェット。乾いた路面を最後に見たのは170km地点なので、実に650km以上ぶりの乾いた路面だ。同時に空も晴れてきた。ようやく我慢の時間が終わったのだ。


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そして、先程の駐車場から15km、予告されていた公衆トイレにたどり着いた。用を足して、自転車を見るとクランクのロゴが大きく削れている。いつの間に……と思ったが、恐らくビニールシューズカバーが入ったことにより、シューズカバーが膨らんでクランクに当たっていたのだろう。それが2日間繰り返された結果がこれである。悲しい。


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公衆トイレのすぐ先の個人商店「すがさき」で食べ物を購入。人懐こい猫が2匹居た。

 「あなた自転車で来たの? 今日、山の方は雪が降ったそうよ。」
 
雪が降ったのを知ったのはこの時。ただ、まさかコースのすぐ近くで降っていたとは、この時は知らなかった。


少しだけ登り返し、また緩い下りが始まる。空はすっかり晴れ、空気も暖かさを取り戻している。


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これこれ、見たかったのはこういう風景。「夏の北海道」という言葉に相応しい風景を見るまでに、スタートから850kmも掛かったことになる。


870km地点の上士幌町で、往路の道と合流。ここからはホテルまでほぼ一直線だ。見通しも良いので、下ハンを握ってTTモードで走る。交通量の少ない、広い一直線の道をひたすらに走る。これもまた求めていた北海道である。

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残り26kmのセイコーマートで休憩。このままホテルに帰っても、残念ながら夕食提供タイムの前に着いてしまう。少し時間調整。このカツ丼はとても美味しかった。

食後もまたTTモードで。ホテルまでの26kmを55分で駆け抜けた。

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8/17 19:00、PC8: ホテルクロスコート(903km地点)に到着。2日目までは予定していた時間よりもホテル到着が遅れていたが、この日は予定時刻ピッタリに到着。やはり後半80kmが下り基調、しかもドライ路面というのは大きかった。

そういえば、昨日あれだけ一緒になったはずの外国人集団をこの日は一度も見かけなかった。彼らは生き残っているだろうか?

「ピンクガールはまだ?」の問答を今日もこなし、部屋へと向かう。

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さて、ホテルでのルーチン開始。雨は降っていないので、自転車カバーは省略した。

 ・シューズを靴乾燥機に掛ける
 ・ライトを充電する
 ・ウェア類を洗濯機に掛ける
 ・風呂に入る
 ・ウェア類を乾燥機に掛ける
 ・夕食を食べる
 ・歯を磨く
 
これに加えて、今日はテールライトの電池を交換する。リチウム乾電池を使ったので最後まで持つかと思われたが、光量が半分以下に落ちていたので交換。もう残りは1日なので、買っておいたアルカリ乾電池と入れ替えた。

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3日目の夕食は牛丼。偶然、井手マヤさんがいらっしゃったので同席させていただいた。ブルベの受付などで少し話したことはあるが、じっくり話したのは今回が初めて。色々と興味深い話をお聞きした。

諸々の作業を終えて、床についたのは21:20。妻のメッセージを見るとあと50kmほどの所まで来ているようだ。タイムアウトまでは3時間20分ある。下り基調であることを考えると、問題無く間に合うだろう。


……………

………




妻が帰ってきたようだ。昨日と同様にシューズと洗濯物を受け取り、風呂へ行くように促す。時刻は0時過ぎ。タイムアウトまではまだ余裕がある。よくぞ帰ってきた! しかし、このままだと寝るのは0:30頃になるだろう。

当初計画では翌朝のスタートは2:40。余裕を持って次のPCに辿り着くように置いた時間だが、それだと睡眠時間があまりにも確保できない。これはギリギリまで睡眠を取り、その後逆転するプランに変更したほうが良いのではないか?と思い始めた。

次のPCまでの距離は102km、クローズ時刻は9:33。仮に4:00スタートとすると、グロス平均速度18.4km/hが出ていれば間に合う。コースプロファイル的には目立った登りもなく、平坦。風向き的にも悪くはない。PCまで私がペースメーカーをやれば、問題なく間に合う……はず。


こうして、翌朝の起床時刻は3:15とした。スタート時刻は3:50目標。1時間10分のセルフ借金を背負うことになるが、睡眠時間のほうが大事だ。

ほどなく、妻が戻ってきたので起床時刻を伝え、就寝。明日はいよいよ最終日だ。


(つづく)


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クローバー1200 : 4日目(阿寒湖・足寄方面) 903km~1202km

8/18 3:15、起床。そういえば今日は私の誕生日。昨夜、妻から「誕生日おめでとう」の言葉を貰ってそのまま寝落ちた。今年もまた、エクストリームな誕生日である。

カーテンを開けてみるが、雨の気配は一切なし。天気予報を見ても降水確率10%。最終日になって、ついに雨の降っていないスタートを迎えられたことにテンションが上がる。今日は雨具を着なくてもいいんだ!

……と思って外に出てみたが、非常に寒い。気象庁の統計データによれば、この時刻の帯広の気温は8.9度。昨日の夕方から晴れた影響で、放射冷却が大きかったのだろうか。4日間で一番寒い朝だ。結局、上だけはGORE-TEXのレインジャケットを羽織っていくことにした。雨の心配は無さそうだが、もはや朝のルーチンとなっている注油もやっておく。

スタートボードに時刻を書き込もうとすると、昨日とは違ってDNF数が集計されていた。71人中、35人がDNF。既に残りはスタートした中で半分。2日連続の雨はボディーブローのようだったが、3日目の雨は例えるならばフィニッシュブロー。ここでKOされてしまった人も多かったようだ。自分もかなり辛かったが、雨天ライド攻略本を書いてしまった手前、雨を理由にDNFは出来ない」という特有の事情で何とか踏ん張れた所はある気がする。

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8/18 3:46、出発。起床から出発まで30分と、これまでで一番早い。やはり晴れた日は出発前にすることが少ないのが効いているのだろう。雨はタイムロスがあまりに多い。路面抵抗は下がるけど。

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ラスト4日目は東方面へと走る。大きな山岳は無く、阿寒湖温泉(標高645m)まで1回登るだけの298km。獲得標高は1600mほどと、4日間で一番少ない平坦ステージだ。ただ、1000~1200kmの区間は足切りの平均速度が13.3km/hと、若干早くなることには注意する必要がある。

さて、当初予定よりも1時間10分遅いスタート。ここから借金を返していかねばならない。102㎞地点のPCのクローズ時間は9:33。5時間47分で102㎞を走ればよいので、求められる平均速度は17.6km/hとなる。102km地点のクローズ時刻を守れば、残りは196kmを14時間37分。求められる平均速度は13.5km/hで済む。妻の走力を考えれば、これは問題ない数値のはずだ。

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ただ、前日にhideaさんがアップしていた風向き予報を見ると、PCの後の阿寒湖温泉までの登りが強い向かい風予報となっていた。出来ればその前に少しでも貯金を増やしておきたい。努力目標20km/h、現実目標は19.0km/hでペースを刻むことにする。


十勝大橋手前で右折し、川沿いに東へ。まもなく空が白んできたが、朝もやが凄い。これまで毎日朝の雨で気づかなかったが、晴れの日はこうなるのか、と一人で納得。そういえば、同じような時期に同じような気候で行われるPBPも、朝もやが凄かったことを思い出す。

利別の街に入ると、霧が晴れてきた。スタートから23㎞ほどしか走っていないが、ローソンでコンビニ休憩。事前の調査によると、音別の街に至るまでコンビニは無さそうだったので寄っておいた。食べ物を多めに買って、7分で離脱。

ここからはしばらく田園地帯を走る。しばらく走っていると、クラシック音楽が聞こえてきた。何だろう?と思ったら、前を走るランドヌールの自転車から聞こえてきていることが分かった。サドルバッグに括り付けられたヨッシーのぬいぐるみ、そして立派な口髭がトレードマークのRマリオさんだった。余談ではあるが、彼の自転車のスピーカーから佐々木功の「銀河鉄道999」が流れてきたときは妙にテンションが上がった。彼は「蟹ラーメン」を食べに行くといっていたが、残念ながら営業していなかったようだ。


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海が近づいてくると、霧は完全に晴れた。目の前には、「これこれ、北海道と言ったらこれだよ!」と言いたくなる風景。誰かが言っていたが、この風景は3日間我慢した参加者へのご褒美に思えた。

海沿いに出て進行方向が北寄りに変わると、若干の向かい風成分を感じる。コースレイアウトを見ると小さな丘越えが続くのだが、ここに来て妻が付いてこられない場面が増えてきた。止まって話を聞いてみると、特に痛みがあるわけではないとのこと。眠気も問題なし。となれば、スピードが出ない理由は一つ、「補給不足」だ。600㎞ブルベまでは補給が多少足りずとも、体内に蓄えられた栄養素で補える。しかし、それ以上の距離の場合、意識してカロリーを取らないと途端に出力が低下する。

取った解決手段は単純。30分ごとに敢えて立ち止まり、「食べてる??」と言うだけ。耳にタコが出来るほどしつこく繰り返した。これで「スピードが出なくなる=補給が足りない」と意識に刷り込むのが狙い。幸いにも、妻は胃腸が強い。残り1日、自分が離脱した後もこのリズムを崩さなければ、補給が足りなくなることは無いはずだ。

そういえば、先程話に出た「銀河鉄道999」でもメーテルがこんな事を言っていた。

 「まず食べなさい。それからが戦いよ。
 震えながらでも食べる人は、食べない人よりも生き残る可能性がうんとたくさんあるわ。」


やはりこの作品には大事なことが多く書かれている。


そして、この辺りでは同時開催されていたAH2400(北海道一周2400km)の参加者たちとすれ違うことが多かった。最終日のこの場面でスライドするとは、粋な演出だなと思った。

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8/16 9:10、PC9: セイコーマート本通白糠店(1003km地点)に到着。クローズ23分前、今日のスタートからの平均速度は19.1㎞/h。20km/hには届かなかったが、十分な数値だ。

そして、妻もついに初めての1000kmオーバーに突入。祝福と同時に、注意点を伝える。チャリモさんが良く言っている「ロングライドは1000kmから」という話についてである。この言葉は字面だけ見ると、

 「1000㎞以下なんてロングライドじゃない」

と言う意味に見えてしまうが、その真意は異なる。正しい意図は、

 「体や機材に、普通起きないトラブルが出てくるのが1000km」

というもの。ブルベ的に言えば1000㎞は約3日間で走る距離。これだけの距離を走ると、体のケアを怠ればガタが出て来るし、機材のケアを怠ればメカトラが出てくる。ロングライドにおける「厄年」のような距離、それが1000㎞なのである。

体を少しでも回復させるため、ここのセイコーマートでは20分休憩。妻も私もガッツリと補給を取った。ストレッチもしっかりと。1000kmの壁に負けないように対策を取っておく。そして、ここでようやくレインジャケットを脱いだ。


再スタートし、白糠から北向きに進路を変える。やはり予報通り強い向かい風。当初計画ではPC9まで妻のペースメイクをする予定だったが、この向かい風を考えてもう少し一緒に走ることにした。

釧路空港の前後は、空港らしく小高い丘になっている。スケールは異なるものの、美瑛で見られなかった風景をここで取り返した感じ。空港から下ると、後ろから来たhideaさんに追い抜かれる。空港の北にある「釧路市動物園」に寄り道をしてきたとのこと。軽やかなペダリングで進んでいく姿は、とても1000㎞以上を走ってきたとは思えない。


1043㎞地点、阿寒湖温泉への登りが本格的に始まる所で妻のペースメイクを終了。ここまでの平均速度は17.5km/h。残り160㎞、12時間15分。平均速度13.1km/hで走れば認定完走ということになる。幸いにも妻には目に見えた故障は無いようだ。ならば、後は最後までマイペースで走ってもらうのみ。別れ際に「ちゃんと食べてね!!」とだけ念押しをして、一足先に阿寒湖温泉への登りに入った。


ルートラボを見ると阿寒湖温泉には一直線に登っているように見えたが、実際には異なっていた。少し登って下りながら徐々に高度を上げていくタイプの峠。例えるならば、甲州街道の富士見峠に近い。下り区間での勢いを殺さないように登るよう心掛けるが、向かい風が吹いているのでペースは上がらなかった。そして、この国道240号線(まりも国道)は北海道の道にしては路肩が狭く、交通量も多くて走りづらい。我慢の時間だ。

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13:50、PC10: ローソン阿寒湖温泉店(1079km地点)に到着。いよいよラストPCだ。ここまで来れば後は120km。この後しばらくコンビニの無い区間が続くので、しっかり食べておくのが重要である。ハンバーグ弁当食べたが、蜂が飛んでいて落ち着いて食べることが出来なかった。

そして、折角多めに補給を購入したのだが……

 「お兄さん!バッグからカラスが何か持ってったよ!!」

バイクツーリングの方に呼ばれてバッグの中を見ると、つい先ほど購入したばかりのクッキーが無くなっていた。温泉街の中にあるこのコンビニには、観光客の食べ物目当てのカラスがいるようだ。トンビにパンを持って行かれた経験はあったが、カラスは初めてだ。


20分ほど休んで出発。間もなく、今回のブルベラストの峠である「足寄峠」に向けての登り返しが始まる。ここでkajisanを何度目かのパス。かなりキツそうだったが、話を聞くと「今年のブルベは200kmを1本と1000㎞を1本しか走っていない」とのこと。それでここまで生き残っているのが凄い。

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足寄峠(標高645m)で、下りに備えてレインジャケットを着込む。気温はそれほど低くは無いが、念には念を。

峠からの下りは、特にタイトなコーナーは無く下りやすいのだが、いかんせん北海道特有の横方向のクラックが多い。3日目の夜の段階で手には痺れが出てきていたが、ここのクラックを越える際の振動で止めを刺された感じ。解放感に任せて普通のグローブで来てしまったのは間違いだった。チコリンパフへの信心が足りなかったことを悔やむ。

なるべく手には振動を与えないように、ペダルに荷重が掛かるように下る。が、今度は足の裏が痺れてくる。なるほど、尻→手→足裏と振動を受ける場所が変わるにつれて、一つずつ痺れていくんだな……と妙に冷静に分析をしつつも、辛いものは辛い。どこかで休もうかな。

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そんなことを考えていると、不意に現れた「ソフトクリーム 果実ソースかけ放題」の文字。迷わず吸い込まれた。

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そして念願のソフトクリーム。美味しい! ソースに使われている果物は自家製らしい。1100㎞を越えて、ようやく初めてのグルメスポットである。

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店の名前は「みどりちゃんのOMISE」。とてもおとなしい犬(撫でても怒らない)と、人に懐いた猫がいる。今度はゆっくり立ち寄りたいものだ。


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足寄町役場前のセイコーマートはスルーし、本別町の中心部手前のセイコーマートにピットイン。ホットシェフは無かったが、美味しそうなドライカレーを見つけて購入。足裏の痺れが気になったので、靴を脱いでしばしリラックスしつつカレーを食べる。

 「あれ、baruさん!?」

顔を上げると、かとさんが立っていた。2日目の復路の狩勝峠でリタイヤし、今日は車でコースを回っているとのことだった。後ろから走ってこられたので妻の様子を聞いてみると「元気に走っていた」とのこと。良かった。スマホのメッセージを見ると、阿寒湖温泉のPCにも私から40分遅れての到着。クローズまでは随分余裕があったようだ。


かとさんに別れを告げて出発。残り55㎞。時刻は17:35。この分だと、掛かっても3時間。20:35にはゴール出来るだろう。


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本別の中心街を抜けると、池田町の田園地帯に入る。ちょうど夕暮れ時を迎え、空の広さに感動した。そして、思わず足を止めたのが、一面に広がるひまわり畑の前だった。

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これは凄い。本州では既にピークを過ぎたひまわりだが、北海道では元気に咲いていた。ここを日が出ている時間にギリギリ通過出来て良かった。

ブルベでは、完走後に辛かった思い出が記憶から消え去り、楽しかった記憶が残る現象のことを「記憶の改ざん」と呼ぶ。普通はゴールの翌日あたりから起こる現象だが、今日はゴールもしていないのに記憶の改ざんが既に始まっているようだ。それほどまでに最初の3日間が辛く、4日目が天気と風景に恵まれたご褒美の一日だったということだろう。


利別の中心部で、往路のコースに合流。朝は霧で良く見えなかった利別の駅も良く見えた。ここからはほぼ暗闇の中を走る。もはや電池を節約する意味も無いので、Voltの点灯モードをミドルモードに上げた。十勝川温泉を抜ければ、残るは音更の信号峠のみ。木野大通西3の交差点を右折し、ゴールまではあと僅か2kmだ。


あと1kmでゴールと言う所まで差しかかったところで、前方にいた3人の集団をパス。追い抜きざまに声を掛けられたので振り返ると、それはタカトリさんだった。この3人、1200kmではなく2400kmの参加者である。

うーん、そのまま集団でゴールすると半分しか走っていない私の影は薄くなりそうだな……と打算の気持ちが働き、ラストは一人でスプリント(と言っても既に40km/hも出ないが)。ホテルクロスコートに滑り込んだ。

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8/18 20:00、GOAL: ホテルクロスコート(1202km地点)に到着! 認定時間85時間50分と、ほぼPBPと同じゴールタイムで自身2度目の1200㎞ブルベを終えた。

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レシートを確認してもらい、全ての証跡を確認。ブルべカードにサインも行い、無事に認定に必要なすべての作業を終えた。メダル購入のチェックが無いのが気になったが、RMは参加費にメダル代が含まれているらしい。

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スタッフの方、特製のスタンプも押してもらう。ブルべカードが返ってくるのが楽しみだ。

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ほどなくして、2400km組もゴール。1200km組も次々に帰ってきて、ゴール受付はちょっとしたお祭りの様相だ。

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折角なので、完走記念撮影。撮影頂いたhideaさん、ありがとうございました!

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さて、残る任務は妻の出迎え。それまで少し寝ようかとも考えたが、万が一寝過ごしたら感じ悪いことこの上ない。そのまま起きていることにした。これまでの3日間同様、以下のルーチンをこなす。

 ・ウェア類を洗濯機に掛ける
 ・風呂に入る
 ・ウェア類を乾燥機に掛ける
 ・夕食を食べる
 ・歯を磨く

ライトの充電は省略。もう明日は走らなくても良いのである。

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4日目の夕食は、1日目と同じくカレー。ホントここのカレーは美味しい。

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食事と洗濯乾燥を終え、時刻は22:00。ここからはロビーに降りて、妻のゴールを待つことにした。

妻からは、あと20㎞の所まで帰ってきているとのメッセージが届く。残りは2時間10分、大きなトラブルが無ければ十分に間に合う時間だ。

しかし、その10分後、妻から「eTrexの電池が切れた!」とのメッセージが。そういえば、リチウム乾電池で2日持たせるためには画面の輝度を下から2~3番目のレベルにしなければならないことを伝え忘れていた。画面を明るくしすぎると、残念ながら2日も持たない。だからといって残り20㎞を切って電池切れとは。残りは一本道だが、ここで妻の方向音痴属性が出ないとも限らない。

幸いにも十勝川温泉のコンビニで単三電池は確保できたとのこと。汎用電池を使っているGPSを選んでおいてよかった。これがEdgeだったら最後の最後で詰んでいたかもしれない。


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そうこうしていたら、2400kmの方に参加していたtriさんがゴール。1200㎞地点でディレイラーがもげ、そこから1200㎞をシングルスピードで完走。相変わらず伝説には困らない方である。


時刻は23:20。順調に来ていれば、そろそろ妻がゴールする時間だ。ホテル敷地入口の明かりは23:00で消灯してしまうため、Volt800を持って敷地入口で待つことにした。「ピンクガール大好き」なShabさんは私より先に入口で待っていた。そして、後からスタッフのチャンさん、マヤさんが駆けつける。聞けば、妻は1200㎞のラスト走者らしい。一番美味しい役回りだ。

雑談をしながら待っていると、車のヘッドライトに混じって小さなライトの明かりが見えた。徐々に近づいてくるピンクの服。こちらもVolt800を振ってゴール場所を示してホテルの敷地へと招き入れる。


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8/18 23:35、無事に妻も完走! 認定時間89時間25分。残り35分、時間一杯楽しんでのゴールとなった。

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早速、レシートを確認。証跡に問題は無し! これにて認定が確定した。妻もついに1200kmフィニッシャーである。つい3年前までは100㎞走るのでやっとだったのに、この急成長(3年前の様子は電子書籍「にひゃくぶんのいちライド」にて好評配信中です)。我が妻ながら、その潜在能力の高さには驚かされた。走力は決して高くは無いが、強い胃腸と諦めない意志は非常にブルベ向きだったということだろう。

とはいえ、適性があるだけでは、この厳しい天気の4日間は乗りきれなかったはず。昨年末、一緒に「雨天ライド攻略本」を作った経験がここで生きることになった。心技体、全てが揃ったことによる完走だと思う。


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夫婦で記念撮影。二人揃って完走出来て、本当に良かった。


(つづく)



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Author:ばる
群馬産のキャノンボーラー。
普段はラーメンかカレーを食べに行くグルメライドばっかりやってます。

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【長距離自転車TT記録】
大阪→東京:23時間02分
東京→大阪:23時間18分
東京⇔大阪:67時間38分
青森→東京:36時間05分

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2005年に書かれた東京~大阪の自転車向けルートガイド。情報は古くなっているものの、今でも十分使えます。


拙著の「東京→大阪キャノンボール」レポート掲載。タイムテーブルや、戦略等を詳しく書いています。


シクロツーリストの田村編集長による長距離走行ガイド本。時短法やキャノンボール挑戦時のエピソードが掲載されています。

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