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BRM804ロマンチック片道 ⑤草津~GOAL
草津の街は温泉客で賑わっている。そんな中、汗だくでこれから山に登ろうとする自分。一体何をやってるんだろうか。
さて、渋峠だ。渋峠は大好きな峠で何度も来ている。しかし、いつもはすぐ近くまで輪行してきて登るのだ。これだけさんざん山を登ってきてから登るのは初めて。
天狗山レストハウスの前を曲がり、ツールド草津のスタート地点を通過する所でLAPボタンを押す。一応タイムアタックだ。・・・が、予想通り全く力が出ない。モンスターエナジーなんて出ないじゃない!200円返せ!・・・まぁ仕方ない。ここまでで獲得標高は4400m。伊豆半島一周+箱根分登ってきたのだ。疲れないはずがない。そしてさらにここから目指すゴールは1000m上だ。気が遠くなる。
こういう時は何も考えないに限る。とりあえず殺生河原までは淡々と登った。殺生河原のロープウェーが見えてくると、周りの森が消えていく。
森林限界を超えた。広がる眺望。ヨーロッパのアルプスの山のような雄大、壮大なこの景色。・・・来たぞ、渋峠!!
体は疲れているはずだが、どうしようもなく心が踊る。ここに来て、このコースを作成した人が何故この場所をゴールに設定したのかが解った気がした。苦労をしたのに見合うだけの風景が見られる場所、渋峠。ここがゴールならば頑張らざるをえないじゃないか。
不思議なもので、心が復活すると体も復活する。キャノボ途中の出会いのように、渋峠の風景は心を復活させるだけの素晴らしさがあった。・・・とは言っても出力が完全に復活するわけではないのだが。
風景に見とれながらも、淡々とペダルを回す。少し前に、反射タスキを付けている人が見えた。確か、この人は滝ヶ原峠で先にいってそのまま一度も会っていなかった人だ。ここまでで無理をしすぎたのか、かなり辛そうだった。声をかけてパスする。
間もなく、白根山レストハウスに到着。天狗山レストハウスからは67分。ツールド草津より23分遅い。まぁそんなもんだろう。倍の時間が掛からなかっただけでも上出来だ。
ここから一度下って、そこから少し登ればそこは日本国道最高地点。すなわち、ゴールである。ここでラスト燃料、梅丹サイクルチャージの「金」を投入。頭の中に例のテーマが流れる。「梅丹本舗の~スーパーアスリートッ!!」
下った勢いのまま、登る登る!Edgeが示す残り距離は2km、1kmとどんどん短くなっていく。そして何度も見たラストのつづら折りを曲がったところには、日本国道最高地点のモニュメントが。いつもならここで止まって記念撮影するが、数百メートル先のゴールに向けてスプリントを掛ける。
苦しかったここまでの8つの山の風景がよみがえる。昨年、この場所で感じた悔しい思い。それを上書きするためにやってきた今日。ようやく、終わる。
15:24、ゴール!!11時間23分に及ぶ、「最凶山岳ライド」が終わった。あまりの達成感に少し涙ぐんでしまった。
ブルベカードとレシートをスタッフの方に手渡し、確認していただく。
「お疲れ様でした。認定OKです!!」
その言葉を聞いた瞬間、両足が攣った。
(つづく)
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