BRM804ロマンチック片道 プロローグ

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2011年6月。キャノボを両方向達成した自分は次の目標を探していた。

そんな時見つけたイベントが、AJ宇都宮のブルベ「ロマンチック片道」である。毎年AJ宇都宮が夏に開催している「山岳」ブルベの一つで、2011年に新設されたコースがこの「ロマンチック片道」。宇都宮森林公園を出発し、ロマンチック街道をひた走った先に待つ日本国道最高地点「渋峠」を目指す。超級山岳の頂上ゴールという、「それどこのツール・ド・フランス?」といった風情の難コースだ。

コースの難しさの指標となる獲得標高は5300m。ヒルクライムのメッカ「乗鞍」の高低差が大体1200m。乗鞍を4回登って、更にまた半分くらい登るだけの獲得標高である。200km走る間にそれだけの山が各所に散りばめられているのだ。

これは面白い。

山岳はあまり得意ではない自分。距離こそ少し物足りないが、これだけの登りを一気に走ったことはない。しかし、ブルベでは獲得標高は考慮されない。どれだけ登っても、200kmブルベは13:30の制限時間内にクリアしなければならないのだ。これは次の目標にちょうどいいのではないか?

だがしかし。開催時期を見て考えが変わる。7月の後半、おそらく気温は35℃を超えてくる。5月の糸魚川で熱中症に陥った自分は夏にあまり強くないことが解った。糸魚川ほどの速さで走るわけではないが、山岳を登る以上、必然的に運動強度は上がる。その状態で果たして熱中症にならずに走りきれるのか?と。

・・・結局そんな感じで迷っているうちにエントリーは締め切られていた。

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そして2011年7月17日。この日、自分と自転車仲間2人+いしこうさんの4人は渋峠にいた。実はこの日がロマンチック片道の本番の日ということはすっかり忘れていたのだが、偶然にもツーリングの行き先が渋峠だったのだ。Twitterを見ていると、いしこうさんがゴールを迎えに来ていることを知り、せっかくなので自分たちもゴールで参加者たちのゴールを見届けることになった。

ちらほらとゴールをしている人はいるものの、ほとんどの人は獲得標高と暑さにやられ、途中リタイヤ。このまま8割以上がリタイヤ・またはタイムアウトのまま規定時間の13時間半を迎えるのか・・・と思いきや。13時間を過ぎてから次々とゴールしてくるランドヌールたち。計算されつくした走り・・・とでも言うのだろうか?TTではない、「ブルベの走り」だ。

そうこうしているうちに目を疑う光景が。

RIMG4950.jpg

  MTB…だと…!?
  
なんと、フラットバーのMTBが渋峠に現れたのだ。しかもビンディングではなくフラットペダル。ロードバイクでもリタイヤ続出の中で、重いはずのMTBでクリアする人がいることに驚いた。・・・と思ったら、これはまだまだ序の口だった。

RIMG4952.jpg

  ママ…チャリ…!?!?
  
どう考えても日本国道最高地点に似つかわしくないママチャリが、確かにそこにいた。ホイールこそDURA-ACEが付いていたが、その他はどノーマルのママチャリだ。ライダーは「カゴに補給を入れられてイイ」などとうそぶいていたが、恐ろしい健脚でなければこのコースをママチャリでクリアすることは出来ないはずだ。

MTB、ママチャリでこのコースをクリアする人がいる。結局エントリーもせずに逃げた自分が恥ずかしい。彼らのようにハンデ付きでは難しいだろうが、ロードならやれないはずがない。

2012年6月。「今年こそは」の思いを込めて「BRM804 ロマンチック片道」のエントリーのボタンを押した。

(つづく)

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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