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Fleche2012(阿賀野→犬吠埼)~①阿賀野~会津若松
気温が上がって解けた雪を後輪が跳ね上げまくる。泥除けが上手く付かなかったため外してきたのが仇となり、スタートしてすぐに尻はビショ濡れとなった。ホラフキーさんとマリオさんは泥除け装備。アーツさんは泥除けはつけていなかったものの、オルトリーブのサドルバッグLが泥除け代わり。この辺りにも悪天候走行の経験の差が見える。
PC1は山を越えた会津のセブンイレブン。この時点で会津の予報は吹雪。スタート直前に見た郡山のライブカメラも一面の銀世界が広がっていた。恐らくPC1には辿り着けないだろう。そこまでは尻がビショ濡れでも我慢することにしていたのだが・・・
寒い。とにかく寒い。空は晴れているが、気温は一桁。それにプラスして、ビショ濡れとなったタイツとシューズから寒さが流れ込んでくる。まだ夜も迎えていないのに、体の芯が冷えてきているのが自覚できた。
・・・これは体温を上げなくては不味い。しかし、ブルベのペースは自分には少し遅すぎた。心拍が全く上がらず、体は冷える一方。協調性を乱すのは気が引けたが、このままでは走れなくなってしまう。
「すいません、ちょっと体暖めます!」
と宣言をして、ガチ走行開始。幸い登りなので、ダンシングをしなければまずコケる心配も無い。雪で走れなくなるところまで行って待っていることにした。
福島に入ると、少しだけ雪がパラついてきた。しかし走れなくなるほどではない。恐らく後続の3人も同様の判断をするだろうと思い、先へ進む。西会津に入ると、雲が切れて晴れ間も出てきた。結構温かい。これはもしかすると、PC1くらいまでは行けるんじゃないか?会津若松まで行けば輪行もしやすい。
あと少しで一旦休める。盛り上がった気分のまま、PC1前の最高標高地点である七折峠のトンネルに突入する。ここを抜ければあとは下るだけ!トンネルの出口めがけて一直線!
―――トンネルを抜けると、そこは猛吹雪だった。
トンネルは山と山の間にある。山一つ向こうは別世界だったのだ。
「会津が吹雪なんて予報嘘じゃん☆」
などと思っていたが、嘘ではなかった。・・・こりゃーもう無理だな。ここまでだろう。残念だがPC1には辿り着けなかった。でもここで引き返すのも大人の決断。
携帯を見ると、ホラフキーさんからメールが入っていた。
「マリオさんの提案によって60km地点の道の駅で休憩してます。」
どうやらマリオさんの調子が悪いらしい。昨年はPBPを完走したマリオさんだが、今年に入って60kmしか乗っていない状態で今回のFlecheに突入。さしものブルベ超人もカンを取り戻すのに手間取っているようだ。
とりあえず戻ろう。トンネルを逆方向に抜けて、10kmも走れば合流できるはずだ。そう思って再びトンネルを抜けると・・・
また吹雪だった。峠の向こうの雪雲がこちらにもやってきたらしい。行くも地獄、戻るも地獄。これはもう一旦、どこかに逃げ込むしかない。来る途中に見たセブンイレブンに飛び込んだ。冷え切った体を温めるため、から揚げ、フライドポテト、ココアを投入。温まる・・・。
しばらく待っていると雪も上がったので、合流すべく元来た方向へと走り出・・・そうとしたら、対向車線に見覚えのある3人組。私がコンビニで休んでいる間に追いついてきたようだ。
baru「トンネル抜けたら猛吹雪でしたよ・・・PC1たどり着けますかね?」
アーツ「とりあえず行ってみましょうか。」
再び七折峠のトンネルを越えると・・・アレ、雪は残ってるものの、吹雪は止んでいた。山の天気は変わりやすいということか。・・・できればこのままリタイヤしたかったのだが、止んでいるこの状況ではそれも言い出しにくい。若干路面に雪は残っているものの、走るには問題なさそうなので、PC1へと坂を下った。
13時54分、出発から4時間54分で80km地点のPC1に到着。グロスAveは16km/hと、辛うじて貯金は保てている。
ホラフキー「とりあえずこれで遭難の心配はなくなりましたかね。」
マリオ「おそらくこの先、雪が振りそうな所はないはずです。」
先ほどまでの吹雪が嘘のように、路面は乾いていた。空の様子を見ても、怪しい雲は我々が来た方向のみ。目指す方向の空に問題はなさそうだ。
当然ここで終了とはならず、PC2を目指すことになった。また一つ、引き返すことの出来る選択肢を無視して・・・。
(つづく)
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