TOT2012(Tokyo-Osaka-Tokyo) ⑥大阪:梅田~三重:四日市

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いまだかつて、自転車で東京から大阪に来てすぐにトンボ返りした人は一人も居ない。こういう「誰もやっていない」ことに手を出すのはロングライドの一つの楽しみである。新雪に足あとを刻むように、ゆっくりと復路を走りはじめた。

天気は物凄く良い。気温も低すぎず高すぎず。おまけに追い風。最高のサイクリング日和だ。・・・これまで550km走って無ければな!

なんとかスタートしたものの、全く踏む気は起きない。メーター読み25km/hという超スローペース。これまで意識したことがなかった大阪城も桜宮橋から見えるくらいのポタリングペースだ。心構え的には「500kmの回復走」である。往路はR1ベースで行ったが、復路はR163~R25の紀伊半島横断ルートを使う。単純に同じルートを通ると飽きるので、気分転換のためだ。

関目からR163に入った所でReskinを張り忘れていたことに気づく。尻の違和感は予想したよりも無かったのだが、それでもまだあと500kmあるのだ。終盤に備えて手を打っておかねばならない。

11:32、デイリーヤマザキ四條畷蔀屋店で休憩(562km地点)。開始から15kmで休憩なんて、やる気がないとしか言いようがない。トイレでReskinを装着し、アイスを買ってしばしボーっとする。いきなり10分の休憩。

四條畷からは一つ目の難所である清滝トンネルへ向けての登りが始まる。実はこのルート、8月に来たばかりだ。TOTの試走として来たのだが、フロントをインナーに落とした所でチェーン落ち。直そうとしたら手がチェーンリングに巻き込まれて大出血。出発からわずか20kmでリタイヤとなってしまった。今回はチェーンキャッチャーを装着済み。二の轍は踏まない。

中野ランプから側道に入り、激坂を登る。生駒山系はどこを登ってもキツい気がする。

清滝トンネルは自転車通行禁止という覚えがあったので、右側の歩道に渡ってトンネルを通ることにする。・・・が、自転車通行不可の標識はどこにも無い。実は通っても問題がないのかもしれない。今回は既に対向車線にわたってしまったため、そのまま歩道を行った。そして出口でまた左側に渡る。これが難しい。いつまでたっても車が途切れない。結局3分ほど待ちぼうけして、ようやく対向車線に渡ることが出来た。

ここから10kmほど爽快ダウンヒル。飲み物が切れたので途中のセブンイレブンでドリンクを補給。この先はコンビニが少ないので補給食も多めに買っておく。

下りきった場所は木津川市だ。木津駅前で北に逸れ、木津川を渡ってすぐに東に曲がる。ここには確かサークルKがあったはずだが、潰れてしまっていた。場所的には悪くないと思うのだけど。キャノボの補給計画が立てづらくなるな。

さて、ダウンヒルの後にはヒルクライムが待っている。月ヶ瀬のヒルクライム3連発だ。一度は足が終わっているだけに登りは本当にキツい。惜しげも無くインナーローを使いまくる。

しかし、3本目の坂を登っている途中、バックミラーにちらつく影がある。気のせいかと思ったが、徐々に大きくなる影。間違いない、自転車乗りだ。地元ローディーだろうか?しかし、後ろから追いかけられると逃げてしまうのがローディーのサガ。無理は禁物のはずなのに、回転を上げて引きちぎりに掛かる。差を広げることは出来なかったが、距離を保ったまま頂上に到達。よし、なんとか逃げ切った。ここからは次のチェックポイントであるローソンまで一直線だ。

14:26、ローソン上野小田店に到着(616km地点)。とりあえずドリンクが切れているので補充。あと、固形物が食べたいなーと思い握り寿司を購入した。駐車場の縁石に腰を下ろし、さて食べようかと言う所で、1台の自転車が現れた。オレンジのK2T2ジャージ。まさか・・・

  「あれ~見たことある人がいるなぁ?」

間違いない、チャリモさんである。

後からサポートのおっちゃんによる写真のタイムスタンプを確認した所、自分よりきっかり10分後に、キクミミさん・チャリモさんは出発したらしい。「良かったらサポートカーで眠れますんで」と言っておいたはずだが、全く休まなかったようだ。というか、彼らも復路には同じR163~R25ルートを選んだことにちょっと驚いた。

  「あれ、キクミミさんはどうしたんですか?」
  「登りでは一緒だったんですけど・・・下りで千切っちゃったみたいです。」

  
  
ここでTwitterを確認すると、

  キクミミ「一時間のお昼寝の後、ファミマ伊賀三軒家に到着でござるニンニン」
  
  
どうやら途中のコンビニで休憩していたようである。行方不明にはなっていなかったようで一安心。

というわけで、ここからしばらくはチャリモさんとパックで行く事になった。実はこの後400kmずっと一緒のままだとは、この時思いもしなかったのであるがw

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梅田でサポートカーに忘れた反射ベストを装着して出発。往路はSportfulの反射ベストだったが、復路はブルベでお馴染み、AJ埼玉の反射ベストだ。やはりこれは軽い。視認性はSportfulの方が上な気がするがポケットへのアクセスがしやすいのがいい。

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ここからは加太へ向けての最後の登りが始まる。頂上の直前になるまでは1%以下の緩い登りが続く。風は向かい風。普通なら萎えるところだが、群馬生まれの自分的には一番パワーが発揮できるシチュエーションである。自分でも驚くほど軽快に登っていくことができた。

伊賀ICで、バイパスとの分岐を過ぎると交通量はぐっと少なくなる。

  チャリモ「そういえば10年以上前にここ通ったことがあるんですよ。
       バイパスにいつの間にか入ってて、警察に下道に降ろされて。
       しばらく行くとダートがあったような・・・」

       
その通り、この先には200mのダート区間がある。最後の登りを一気に登り、しばらくは爽快にダウンヒルができるが、そこから徐々に路面は悪くなり、ついにはダートになる。

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ダート。シクロクロスのチャリモさんはそのまま乗って行くが、自分は担ぎ。気分はシクロクロス。といっても短いのですぐに終わる。ここを越えてしまえば、もうすぐ関駅だ。路面の悪いダウンヒルをこなしていくと、R25とR1の合流点に行き当たった。

  
  チャリモ「え、もう着いたんですか!?伊賀越え速いなー!!」
  
  
この時点で復路出発から大体5時間。キャノボならば達成できないようなペースだが、確かにR1を通ってくるより遥かに近く感じる。実際距離もR1使用時より20kmも短い。

  baru「帰りは亀山バイパスを通ります。」
  チャリモ「え、あそこ通れるんですか?」
  baru「通れます。問題無いですよ~」

  
  
東京→大阪の方向では路肩が狭いこともあって自分は亀山バイパスを使わない。しかし、大阪→東京の向きでは路肩も広く、信号の少なさ、路面の綺麗さから積極的に使用する価値がある。しかも大阪→東京では、全編ダウンヒルだ。気持よく駆け抜け、あっという間に井田川駅近くの亀山バイパス入り口に到達した。往路では雨にやられていたこの辺り、それもあってか本当にワープしたような錯覚さえ覚える。

そして四日市手前で、新ルートを開拓。内部駅近くから伸びるK407である。こちらのルートを使うと、ほんの数100mだがショートカット可能。更に信号が少ない。東京→大阪の向きでは対向車線に渡る回数が増えるため使う意味はあまり無いが、大阪→東京の向きでは使う価値がある。これは薄軽さんから見せてもらった「チャリンコひと漕ぎ 東京~大阪」という本に書いてあったルートだ。この本は正にキャノボ攻略本であるので、もし見かけたらぜひ確保して欲しい。ていうかこの本、私が欲しい。

9004.jpg

17:05、ミニストップ四日市浜田町店に到着(674km地点)。なんとか日が暮れる前に四日市に到着することが出来た。

3度目の夜が、始まる。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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