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TOT2012(Tokyo-Osaka-Tokyo) ⑧愛知:豊橋~静岡:静岡
キクミミさんが目の前を通り過ぎたのを見て、自分とチャリモさんの2人は慌しく準備をして走り出す。タイム差は1分程度か。信号運が良ければ追いつくレベル。
・・・しかし。方や刈谷から走ってきて体も暖まってるキクミミさん。方や起きてすぐの我々二人。スピードは全く上がらず、30km/hにすら至らない。しばらくは見えていたはずのキクミミさんのテールライトも徐々に見えなくなっていった。
聖地「キャノンボウル」の前を2度目の通過。そしてK173~R42で潮見坂を駆け下りる。ここまで来ると浜名湖も近く、かなり視界も開ける。しかし・・・キクミミさんのテールライトは全く見えなかった。タイム差は広がっている。ここまでずっと前を引っ張ってきたが、明らかにスピードが落ちている。体が暖まっても、疲労がそれを上回ってしまってる印象。
チャリモ「先頭交代しましょうか?」
と、チャリモさんが前に出る。すっかり体が暖まっていたのか、R1を33km/hくらいのスピードで引いてくれるのだが・・・自分が全く付いていけない。スピードを30km/hに抑えてもらって何とか付いていく始末。情けない。ここまでで走行距離は800km。これまでの最高距離を200kmも越えている。もう体がいつどうなるか予想が付かない。参り始めているのは明白だった。
チャリモ「しかし、”四日市で宿を取る”ってキクミミさんは言ってたのに・・・
あそこから情報戦は始まってたんですね。」
TOTは競争ではない。完走が全てである。しかし、「なんとなく対抗心がある」のが自転車乗りというもの。シャカリキにもあったが、「前を行く奴がいるのが許せない」のが自転車乗りの本能。前を行く奴には追いつきたい。要するに「とんでもなくガキ」なのである。
なんとか先頭交代をしつつ、真っ暗で車も全く通らない深夜のR1を駆け抜ける。しかし弁天島を越えても影は全く見えなかった。
チャリモ「これはもう多分大分離されてますね・・・」
baru「諦めますか・・・」
足を緩める。行きで休憩したセブンイレブン浜松篠原町店の明かりが対向車線に見える。そのとき、店の前に一台の自転車が止まっているのが見えた。・・・キクミミさんだ!!
「追いついたぜ!!」
真夜中の浜名湖をバックに叫ぶチャリモさん。買い物を終えて店から出てきたキクミミさんがそれに気づき手を振る。ここまでの走行距離はちょうど800km。まさかのタイム差0。こんなことってあるんだ・・・と、あまりにも出来すぎた展開に笑ってしまった。
追い付き追い抜いたのは良いものの、補給は完全に切れていた。スーパー銭湯から40km近く。体力的にもそろそろ休憩が必要な疲労度。まだまだチャリモさんは走れそうだったが、休憩を提案。キクミミさんが休んでいたコンビニよりも2kmほど先のデイリーヤマザキに吸い込まれた。
03:10、デイリ-ヤマザキ浜松小沢渡店に到着(805km地点)。補給を買いながらも、窓の外が気になる二人。しかしキクミミさんは追いついてこなかった。Twitterを見ると、
キクミミ「711浜松篠原町店なう。なんか競争ぽくなってきたからこのへんで終了~」
という訳で、事実上の終結宣言。チャリモさんは「いやいや、これも高度な情報戦術かも・・・」と言っていたが、正直このペースで最後まで行けるとは思えないので、ペースを緩めることを提案。ゆっくり行くことになった。
天竜川を超え、磐田に入る。往路は新天竜川橋を使ったが、復路は天竜川橋。路肩の狭いこの橋は昼間は渡りにくいのだが、夜はガラガラで渡りやすい。次の休憩地点は827kmのセブンイレブン磐田見付だったが、一個手前のコンビニに入ってしまうというミス。事前に決めたCPのため、サポートカーが先行しているはず。スルーするのは良くない。ということで、買い物を一旦済ませた後、本来の休憩地点へ。
04:35、セブンイレブン磐田見付に到着(827km)。この辺りでついに体に痛みが出始める。持病?というのか良く解らないが、500km以上のロングでほぼ必ず出るアキレス腱の痛み。薄軽筆入れさんによると、アキレス腱が何度も管の中を伸縮することによるささくれのようなものが原因らしい。トルクを掛けすぎなければ発症は遅れるはず・・・と思い、今回は770km地点までは回すペダリングを心がけていた。しかしキクミミさん追走で一気に負担が掛かったらしく痛みが発生。サポートカーからエアーサロンパスを取り出してアキレス腱に噴射。こればかりはストレッチは効かないので、消炎剤くらいしか使えないのである。これで収まってくれれば良いが・・・。
結構長いこと休んで出発。ここから先は道中で唯一ルートが不安な区間だ。東京→大阪方面では既に4回ここを通り抜けているのだが、逆方向では1回しか経験がない。大阪→東京キャノボを達成した時だ。あの時は261さんとのエール交換でテンションが高すぎたため、どうやって通り抜けたのか全く覚えていない。案の定、袋井バイパスの回避では結構迷ってしまった。
掛川を過ぎ、金谷峠の入り口まで来たあたりで夜が開ける。これで何度目の夜明けだろうか。もう日時感覚がかなり失われているのが解った。
2度目の金谷峠。東京→大阪の向きは上りが短いのだが、大阪→東京の向きは登りが長い。アキレス腱の痛みもあり、シッティングでトルクを掛けることが出来ないので「休むダンシング」を多用する。この登りはずっとチャリモさんと会話しながらのダラダラヒルクライムであった。
06:10、金谷峠を越える。これで残すはラスボス箱根のみなのだが、既にかなり体は参ってきているのが解る。果たして最後まで持つのか・・・?
朝日に輝く大井川を越え、島田を抜けると藤枝市。時刻を見るともうすぐ7時。朝飯時だな・・・と思い、こんな話を振ってみた。
baru「そういえば藤枝には朝ラーメンの習慣があるんですよ。
朝6時くらいからラーメン屋がやっているんです。」
藤枝周辺の「志太」地区では、「志太系ラーメン」と呼ばれるご当地ラーメンが存在する。「温」「冷」の2種類のラーメンが存在し、その両方を一度に食べるという全国でも珍しいスタイルのラーメンだ。早朝から営業し、夜には閉店してしまう。なんでも漁業関係や茶畑で働く人々のために朝から営業したのが起源だとか。4年前、初めて川崎→大阪をやった時に食べて印象に残っていたのだ。
チャリモ「いいですね、行きますか!!」
ニヤリ。チャリモさんも乗ってきてくれた。という訳で、東海道から外れて志太系ラーメンの店へと向かった。藤枝市役所前から約2km、「森下そば」。・・・が、まさかの臨時休業。どこか代わりの店はないか・・・と辺りを見ると2軒隣に「らーめん」の暖簾。居酒屋っぽいが、朝はラーメン屋で営業しているようだ。その店「まごころ」へ突入した。
時刻は朝7時だというのに、店内はほぼ満員。朝ラーメン文化が相当根付いていると見える。体がたんぱく質を求めていたので、チャーシューメンを注文した。
正直あまり期待はしてなかったのだが、以前食べた「森下そば」と遜色ない味わいだ。チャリモさんも味にはご満足いただけた様子。そして朝ラーメン写真をツイートすると、皆から一斉に「何やってんの」突っ込みが入る。今回のTOT、ここまでの食事はすべてコンビニである。わざわざ大阪まで行ったのに結局たこ焼きも食べていない。そもそもタイム制限が無い以上、少しくらいはご当地グルメも楽しみたいではないか。そのうち、東海道のグルメを網羅しながら旅するのも良いな、と思った。
藤枝を出るとすぐに宇津ノ谷峠。峠とは行っても、トンネルまでの登りなので大したことは無い。先日の試走でも確認したが、平成宇津ノ谷トンネルは自転車通行不可の標識は無いのでそのまま通過。試走の時は@HAL660さんが待っていてくれたため、今回もいらっしゃるかな?と思ったが見当たらず。その代わり?宇津ノ谷から下ってくる人の中に反射ベストの人がいた。もしかしてOTO(岡崎→東京→岡崎)をやっている@ke_ichi7さんだろうか。面識が無いので挨拶は出来なかったが、多分そうだったのだろう。
08:25、ミニストップ静岡丸子店に到着(888km地点)。またしてもサポートカーからエアーサロンパスを取り出してアキレス腱に噴射。痛みは増すばかりである。とりあえず休むのが寛容・・・とばかりにミニストップのイートインで盛大にだらける。
Twitterを見ると、キクミミさんはどうやら御前崎ルートに行ったようだ。元気だなぁ。御前崎ルートは距離が10kmほど延びる。その分、信号も無い快走路だ。しかし・・・
キクミミ「日本坂で詰んだなう」
日本坂!?焼津からは海沿いの大崩海岸を行くのが定石だ。というか、自転車で通行可能なルートはそこしかない。焼津-用宗間の日本坂トンネルは自転車が通れないのだ。30分前の書き込みだったが、無事にルートに復帰できただろうか・・・。
そんなことを思いながらコンビニの外に出ると、そこにはなんとキクミミさんが!話を聞くと、焼津の地元の人に話を聞いてR1に復帰したらしい。後から調べたが、K213を使うと、焼津からこのコンビニまではたった10km足らずしかないのだ。
900km地点で再び全員集合。引かれあうロングライダーたち。3人は最後の壁、箱根へと向かうのだった。
コメント
コメント一覧 (1件)
それではこちらにもw
引き込まれる展開で
毎回楽しみに読んでます♪( ´▽`)
800キロ先で引かれあう…
2クール放送の23話辺りの
盛り上がりをカッテに想像中w