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TOT2012(Tokyo-Osaka-Tokyo) ⑩神奈川:箱根湯本~東京:日本橋
三枚橋交差点に立っていたのは3人のサイクリスト。ロングライダースの仲間、はにべあさん・44君。そして急遽駆けつけてくれたとしさんだった。
精一杯元気ぶる。実際はボロボロである。
はにべあ「引きましょうか?それとも後ろに付きましょうか?」
一瞬「えっ?」となる。てっきり写真を取るために待機してくれていたのかと思いきや、ここから日本橋まで一緒に走ってくれるというのだ。・・・嬉しい。なんだろうこの嬉しさは。安田団長の「大阪→東京」DVDを思い出す。箱根を降りてきた団長の元に、地元のサイクリスト達が次々と駆けつけ案内を買って出る。そのシーンを見て羨ましく思った。同時に、こんなことは自分には訪れないのだろうな、とも思った。
しかし、自分にも駆けつけてくれる仲間がいた。
疲れきった体に今一度力が戻る。戻るばかりか、どんどん力が湧いてくるようだ。
baru「前を引いてもらうと眠くなってしまうので、後ろから付いてきて下さい!」
小田原では弱虫ペダルで坂道くんがコケたクランクへと入らず直進。そこからすぐに左折する。これにより、厄介な小田原市民会館前の二段階右折を回避可能。細かい抜け道だが、少しでもストレスを減らすために全力を投入する。
小田原の街を抜けた所の「味わい回転寿司 禅」の看板に吸い込まれそうになりながらも直進。国府津~二宮と抜け、大磯で右折しR134へ。夕暮れ迫るR134は予想通りの混雑。本来ならぶっ飛ばせる所だが、あえてスピードを抑える。
16:20、セブンイレブン茅ヶ崎サザンビーチ店に到着(1015km地点)。ラストのチェックポイントだが、サポートカーは既にゴールの日本橋へ向かっている。ここでは素早く買い物のみを済ませ、ロスタイム5分ほどで出発した。
藤沢を抜け、遊行寺の坂を登る。地味にキツイ2段構えの坂。臆面も無くギヤはインナーに落として登る。かなりの混雑となっている藤沢バイパスに合流し、戸塚方面へ。
戸塚ではキャノボ定番の抜け道を使用。戸塚の中心部を抜けずに踏切も避けられるコース。普段使いしているので、体が自然にこのルートを通っていた。不動坂の交差点に差し掛かった所で、信号の向かいにキャノボジャージ。Tossy君であった。
baru「キクミミさんはどのくらい前に来た?」
Tossy「30分くらい前だと思います!」
あと40kmで30分差・・・さすがにこれは追いつかないな。そして目の前には箱根駅伝の難所と言われる権太坂。しかし、先ほどの遊行寺の坂に比べれば緩い。Tossy君の応援で気合が入り、30km/h超で坂を駆け上がる。アキレス腱の痛みはどこに行ったのだろう。久々に精神が肉体を凌駕しているのを自覚した。
横浜に入り、4度目の夜を迎える。あと30km。ここまで来れば先の見通しも解る。経験上、あと1時間20分で着く!
「19時40分までに!」
とTwitterにゴール時間を宣言した。後は目標に向かって走るのみ。
R15とR1が交わる青木通交差点。ここは大阪→東京の向きでは中々抜けづらい場所である。車線が4車線あり、左側2車線が左折車線なのだ。そして常に左折信号は点灯している状態。R15を直進したい場合、ここは面倒臭い。
そこで今回使用したのがこの抜け道である。これはニコ生自転車部のぜっとさんに教えてもらった道だ。青木通の一つ前の交差点で左折し、東海道線沿いを走ってR1を横切る。そして宮前商店街の中を突っ切ってR15に合流するというもの。地味ではあるが大変スムーズに抜けられる。大阪→東京の向きで走る際には使用を検討していただきたい。
ここからはひたすら一直線。川崎に向かってR15をひた走る。生麦を過ぎた辺りで後ろを振り返ると、先ほどまで居たはずの、はにべあさんと44君が居ない。・・・そういえば、何かが倒れる音をさっき背後で聞いた気がする。落車があったのだろうか?嫌な予感は尽きない。果たしてこのまま進むべきか。それとも待つべきか。とりあえずTwitterから二人に対してメンションを送ろうとしたところ、ちょうど二人が追い付いてきた。
やはり落車はあったらしい。大したことはないと言うが、はにべあさんは手に怪我をしていた。自分に付きあわせて怪我をさせてしまったことを申し訳なく思った。それに報いるには、とりあえず最後まで安全に走り切ること。今一度、気を引き締め直しペダルを踏み込む。
川崎に入り、1050km地点で家のすぐそばを通過する。ここで曲がれば部屋で寝られるのである・・・が、先に進まねばならない。六郷橋に差し掛かった所で、左手にロードバイク乗りの姿を認める。もしかして応援の人だろうか?・・・と思ったが、止まっている暇もないので歩道から六郷橋へ突入。
18:44、65時間ぶりに東京へ帰ってきた。ここで、これまで外していたヘルメットライトを装着。都心で明るいのになぜヘルメットライトが必要か?答えは路地から出てくる車に対する予防線である。時間は夕方、R15は道の脇にファミレスやスーパーがあり、出入りする車が多い。そういった車に対して顔を向けるだけで存在を知らせることが出来るのがヘルメットライトなのだ。
快調にR15を走っていると、後ろを走る人が増えているのに気づく。良く見ると、先ほど六郷橋でスルーしてしまった人。さらによく見ると、@hang_uduki君だった。板橋区からわざわざ来てくれたことをとてもありがたく思う。そして立会川からは前日キャノボを完走した@gensuke_hinoさんが登場。キャノボジャージは洗濯中?なのか見たことのないジャージであった。
更に2人の仲間が加わり、力がどんどん湧いてくる。残りあと10km。
なぜかここに来て巡航速度は35km/hを超えていた。「皆さんの応援のおかげで頑張りました」と、多くのスポーツ選手は口にするが、ただのリップサービスだと思っていた。これが応援の、仲間の力なのだろうか。
品川を抜け、田町~浜松町と走る。そして新橋のガードを抜けると銀座。きらびやかなネオンはさながらフラムルージュ。
「もう終わりなんだ」
2つの気持ちが入り交じる。そして・・・
19:38、宣言通り19:40前に日本国道路元標到着!!
出発から67時間38分。
走行距離1075km。
多くの仲間に迎えられ、長い、本当に長いチャレンジが終わった。
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