Fleche2014 本編④PC3:浜名湖~PC4:島田

この記事は約 4分で読めます。

16:41、PC3:セブンイレブン 新居町浜名店(246km)に到着。

ここでも速攻で買い物を済ませ、「あと3分だよ!!」とタイムキープ。出発まで11分掛かったが、それでも30分近いリードを維持出来ている。良い調子だ。

一路、浜松バイパスを東進。初の大阪東京キャノンボールで、261さん改めざくさんと擦れ違った場所を通る。

 「ざくさんとは、ここで初めて会ったんですよね。」
 「思い出一杯、東海道だね。」

とキクミミさん。まさか、3年後に同じルートをチームで走っているとは、当時は想像もしなかったけれど。

バイパスが東から北へと進み始めたところで、目の前に手を振るローディーの姿。青い水玉のジャージに、青い水玉のCervelo。間違いない、キャノンボーラーのなるさんだ!練習帰りに待っていてくれてたとのこと。ありがたい。

一番退屈になりやすい中盤で、この応援の力はかなり大きかった。目に見えて集団のスピードが上がった。……が、勢いあまってバイパスから側道に降りるところを、ふぃりっぷさんが間違えそうになる。すんでの所で回避し、バイパスを降りて天竜川橋を渡る。

磐田を過ぎ、袋井への坂を上っている途中でAZEさんが、

 「足攣った……」

との訴え。信号停止のタイミングで秘密兵器「芍薬甘草湯」を手渡す。この漢方薬、足の攣りに即効性のあるナイスアイテム。なんとかAZEさんにも効いたらしい。話を聞いてみると、AZEさんはしばらく「走りながら攣りを直す走法」をやっていたらしいが……そんなことが可能なんですか!?やはり、この人は規格外である。

BlYKDV2CcAE5grP.jpg

掛川では、ルート上に従来は無かった自転車通行禁止の「看板」が出現。どうやら最近設置されたものらしい。迂回ルートをGooglemapで調べ、なんとか計画ルートに復帰。あとで調べたところ、この「看板」は「規制標識」ではないので法的拘束力は無いものらしい。紛らわしい。

Twitterを確認すると、「niconico B」チームが30分ほど前に掛川を通過したらしい。彼らとは、袋井~三島までのルートは共通。恐らくは金谷峠の先あたりでキャッチアップ出来るはずだ。

掛川の街を抜けると、徐々に道は金谷峠に向けて上り始める。一人で走ったときには、この辺りで足が一杯一杯であったが、さすが集団というべきか?足は残っている。なるべく初期加速を緩める作戦としたのも、無駄な足を使わずに済んだ要因だと思う。

BlA45w-CQAA0Kv4.jpg

しばらくして峠に到着。煌々と光る、峠のラブホテルを横目にダウンヒル開始。

ここで、気付いたのだが、どうもライトの光が弱い。最大出力にしても、いつもの半分以下の明るさしかない。これは電池の残量が少なくなっているときの症状だ。ちゃんと出発前に充電してきたはずなのだが……充電に失敗していたのだろうか?金谷峠は路面こそ悪くないが真っ暗なので、慎重に下る。

ダウンヒルを終え、大井川を渡ったところで、チャリモさんに声を掛ける。

 「予備の26650を持ってたら貸してくれない?どうも充電に失敗してたみたいで。」
 「あー、良いけど。あと少しでチェックポイントだから、そこで良い?」
 「OK!」

26650とは、特殊な形式の充電池のこと。1本で5200mAhと、非常に大容量なのが特徴。

チャリモさんと私はこの電池を使う同じタイプのライトを使っていたので、予備があれば貸してもらおうと思ったのだった。とはいえ、次のPCまではあと3kmほど。わざわざ暗い中で電池を変えなくても、PCでゆっくり作業をすればよい。

そう考えたのだが、これがトラブルを生むのだった。

まもなく、PCに設定した「ローソン島田中央店」が現れる頃。青い看板が見えた!と思ったのだが、ローソンがあったのは道の右側。あれ?基本的には左側にあるコンビ二を指定したはず……と思ったが、移転などもありうる。一応確認しておこうと、そのローソンに入った。

入口にある店舗名を見ると「ローソン 島田中溝店」とある。どうやら、サイクルコンピューターの距離と実走距離が多少ずれていたらしい。ターゲットのローソンはもう500mほど先のようだ。

 「すみません、もう一個先のローソンみたいですね。」

と、メンバーに声を掛けて、車道に出ようとした刹那のことだった。

 ぐるん

と世界が回転して、左半身に強い痛みが走った。一瞬何が起こったのか解らなかったが、チャリモさんが「大丈夫か!?」と駆け寄ってきたところで解った。

どうやら落車したらしい。歩道と車道の間にあった縁石に気付かず、乗り上げて落車。ライトが暗かったため、全く縁石の存在に気付くことが出来なかった。

さらに悪いことに、縁石に乗り上げたことで前輪はパンク。チューブを交換しようとツール缶を開けようとしたのだが、手が震えて上手く開けられない。

 「パンク修理はこっちでやるから、ちょっと休んでて!」

チャリモさんがパンクしたホイールを手に取り、手際よくチューブの交換を始める。他のメンバーは、自転車へのダメージがあった時に備え、携帯で近場の自転車店を調べてくれていた。一人ならば、しばらく放心していたであろう場面。少しでも状況を前に進めてくれる仲間がいることを非常に有難く思った。

一息、深呼吸。動悸は未だ激しいが、落ち着いて体のダメージを確認する。体の左側が地面に叩きつけられたようで、腕に擦過傷、わき腹と太腿、膝にアザが出来ている。とっさに地面についた手のひらは内出血。頭を打った覚えは無かったが、ヘルメットも確認。特に傷はついていない。どうやらクリティカルなダメージは無さそうだ。

そうこうしているうちに、パンク修理は完了。とりあえず、本来のPCであるローソンへ移動しようということになった。

自転車に跨ってみると、ハンドルが曲がっていることに気付く。タイヤの空気圧も十分ではない。ただ、変速のトラブルやホイールの触れ等は無いようだ。

とりあえずマシンは問題ない。痛む左半身を庇いながら、数百メートル先のPCへと向かったのだった。

(続く)

記事のシェアはこちらから
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

目次