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Fleche2014 本編⑤PC4:島田~PC5:蒲原
19:51、PC4:ローソン 島田中央店に到着。
「マシンにどこかトラブルは無い?」と言われ、「ハンドルが曲がってます。あと、空気圧が足りない。」と伝えると、F1のピットのごとく、他のメンバーが私の自転車を囲んで修理開始。「今のうちに買い物しといて!」と言われたので、店の中に入る。そして買い物をしながら考えを巡らせた。
……ここからどうするべきだろうか。
まだ残り距離は200kmある上に、その中には箱根も含まれる。万全の体調でもキツい時間設定だというのに、落車したこの体で耐えられるのだろうか。今はそこまで痛みは強くないが、それは落車直後でアドレナリンが出ているから。時間が経てば痛みは徐々に増してくることは想像に難くない。
リタイヤするならば、まだ新幹線はある。今からでも家に帰り着くことは可能だろう。
しかし、それで後悔をしないだろうか。
今の所は何とか24時間以内に東京まで辿り着けそうなペースで来ている。普通のブルベやキャノンボールであれば、後日リベンジすれば良いが、今回は事情が違う。
たまたま今年、東海道近くにNice Placeが設定され、たまたま強力なメンバーが集まり、たまたま天気にも恵まれた。この条件を揃えてリベンジが出来る機会は、この先には訪れないかもしれない。
ならば可能性を追いかけたい。他のメンバーには負担を掛けてしまうかもしれないが、まだこのライドを終わらせたくは無い。
買い物を済ませて外に出ると、マシンの修理はすっかり完了していた。
「どう?走れそう?」
「痛みはありますが……走ります。」
とりあえず走る。ダメそうならばそこで離脱する。そういった条件で継続の意志を表明した。
チャリモさんがコンビ二から出てきた。手にはゼリー。しかし、よく見るとそれは普段私が良く食べているゼロカロリーのゼリーであった。これだけハードなライドの最中に、カロリーの無いゼリーを補給してどうするのだろう?と、思わず突っ込みを入れる。
「チャリモさん、それゼロカロリーだよ。」
一瞬、固まってラベルを凝視するチャリモさん。そしてツカツカと歩いてゴミ箱に近づき、半分ほど食べ終えたゼリーを勢い良く投げ捨てた。
「ゼロカロリーなんて食うだけ時間と体力の無駄!紛らわしい!」
その様子を見て一同爆笑。同時に、ようやく人に突っ込みを入れられる程度に精神的な余裕が出てきていることにも気付けた。体は多少痛いが、行けそうだ。
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20:04、PC4を出発。金谷峠時点で35分あった貯金は、15分まで減っていた。あれだけコンビ二の休憩時間を切り詰めさせておきながら、一人で20分もロスしてしまった。非常に申し訳なく、情けない。なんとかこれ以上は足を引っ張らないようにしないと。
しばらくは先頭のローテーションには加わらず、集団の真ん中で走ることになった。内出血した手のひらは痛いし、ダンシングすると膝とわき腹が痛む。ただ、なんとか巡航のペースには付いて行く事が出来た。
藤枝のファミレス前で、駐輪場にいた人から声援を頂く。良く見ると、「niconico B」チームの、shinyaさん。ここで大休憩を取っていたらしい。出来れば他のメンバーとも路上で会いたかったが……遅れたのは自分の落車が原因なので仕方ない。
岡部宿を抜けると、宇津ノ谷トンネルへ向けて勾配が上がり始める。いつもであれば大した問題にはならないのだが、やはり負荷をかけると膝は痛い。だましだまし登ってトンネルを抜けた。
静岡の街中では、ちらほらと反射ベストの集団を見かけた。西から鎌倉を目指すチームは多かったこともあり、そろそろルートが交差しだしたらしい。
清水、興津を通過すると、富士由比バイパスに出る。ここは車道は自転車通行禁止だと思われているが、実は新興津川橋以外は走ることが出来る(寺尾交差点まで)。
R1の1本西の市道で興津川を越え、そこからR1に合流すれば車道を走ることが可能だ。そして、申請ルートは車道を通るルートであった。
時間は夜10時とはいえ、相変わらず猛スピードで車が走っている。全員、全ライトを点灯。平地のスペシャリスト・チャリモさんを先頭に、一気に駆け抜ける作戦とした。
じわじわとスピードは上がり、40km/h超で巡航。それでもかっ飛ばしている車とはスピード差があり、怖い。約4kmの道を7分で駆け抜け、なんとか寺尾交差点へと辿り着いた。この交差点、最近歩道橋が出来て道のつくりは変わったが、大阪側から車道を走る分には、以前と通行法は変わらないらしい。
由比の街を抜ければ、次のPCはすぐそこだ。
(続く)