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Fleche2014 本編⑧元箱根~GOAL1:茅ヶ崎
夜の箱根旧道ダウンヒルは相変わらず怖い。走り屋の出現する時間にはまだ早いものの、黒いブレーキ痕が不安を煽る。ライトを全点灯し、慎重に下った。
旧道を下り切った所の、セブンイレブン箱根湯本店で作戦会議。箱根は80分で登る想定だったが、90分掛かっている。加えて、芦ノ湖でコンビニに寄ったこともあり、30分程度足が出てしまった。日本橋まで、あと94kmで残り4時間10分。必要なAveは22.3km/h。ギリギリだ。
気がかりなのはチャリモさんの体調である。残りのメンバーの余力を考えると、日本橋到達は可能だと思われる。しかし、箱根でのチャリモさんを見る限り、そこまでの余力は無さそうだ。
こうなると、選択肢は2つ。
「最後まで5人で走って出来うる限り距離を伸ばす」
「4人で走って日本橋到達を目指す」
フレッシュで多くのチームが直面するであろう問題。仲間を優先するか、目標を優先するか。
個人的にはチームの目標を優先すべきだと考える。フレッシュでは5人中3人がゴールすればよい。言い換えれば、2人までは見捨てることが可能だ。
ただ、今回は落車の件などで時間を使ってしまった負い目がある。さらに、チャリモさんにはパンクの修理もしてもらった。ここで見捨てて先に行けるほど、私もドライでは無かった。
「チャリモさんどう?日本橋まで行ける?」
結局、判断は本人に委ねることにした。ここで「無理」との答えが返ってくれば、目標を下方修正しようと思っていたのだが。
「行く!!」
と即答。顔は疲れきっているが、まだ瞳の奥には闘志が感じられる。
“全員で日本橋を目指す!”
作戦は決まった。そうなれば、うかうかしては居られない。さっさと出発し、まずは申請上のゴールである茅ヶ崎を目指す。
午前2時を過ぎていることもあり、車はほとんど走っていない。走行風は期待できないが、渋滞も無い。小田原~国府津~大磯と快調に歩を進める。R134に入ると、キクミミさんとふぃりっぷさんの引き。この期に及んで40km/h近く出ている。やはりこの二人、強い。
真夜中のR134を駆け抜け、セブンイレブンに飛び込んだ。
(続く)