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BRM509興津600 ⑦PC5:西八代~GOAL:興津
12:46、PC5: ローソン六郷町店(523km地点)に到着。スタートからここまでで、ちょうど東京~大阪間の距離をこなしたことになる。30時間以上掛かっていることを考えると、「キャノンボールって大変なんだな」と改めて感じる。
ここをラスト休憩にするつもりだったので、ガッツリと補。塩分喪失に備えて、冷やし中華をつゆまで完飲。水は2リットル買い、1リットルをボトルへ、0.5リットルを掛け水に、残りをその場で飲みきる。これで最後まで持つはず……と思ったが、実際にはそうでもなかった。
向かい風の中を出発。ほどなくして、身延の市街地に到達する。このあたりでは一番大きな街だ。そして、街を抜けると激坂が待ち受けている。激坂と言っても15%は無いのだが、ここまで550kmを走ってきた身には十分に脅威になりうる坂だ。
この坂を登っている途中で、不意にあることを思い出す。思い出したのは、この時ちょうど「大阪→東京キャノンボール」に挑戦中の雪ミクさんのことだった。
雪ミクさんは夜12時に大阪を出発している。現在時刻は13:54。達成ペース(グロスAve23km/h)に乗っているならば、
23[km/h] * 13.9[h] = 320[km]
320km地点は、大体、金谷峠を越えた藤枝のあたり。……あれ、もしかしてこれは、由比のあたりで擦れ違えるのでは?
今回のブルベは、一部キャノンボールコースと重複している。重複しているのは、由比~蒲原の約7kmのエリア。キャノンボールコースで言えば、約360km地点、興津600のコースで言えば、約590km地点である。
・藤枝から由比までは約40km。
・自分の現在地から由比までは約40km。
つまり、雪ミクさんと同じペースで走れば、計算上はこの重複期間で擦れ違えるということになる。つまり、その為にはグロス23km/hで走る必要があるということだ。
ここまで550km走ってきた体でこのスピードを出せるかは未知数だが、出来るならば是非応援したい。彼は前回のキャノンボールに失敗しており、今回はかなりの準備を積んでリベンジを狙っていた。そして、道中の応援はかなり力になることを、私は知っている。一度目のキャノンボールに失敗し、二度目のキャノンボールで、「ざく」さんとのエール交換で力を貰って達成に漕ぎ付けた自身の経験を思い出していた。
気付いてしまったものはしょうがない。ここから由比までは踏んでいく決意を固めた。激坂を一気に登り切り、先へ進む。途中止まった信号で雪ミクさんのツイートを確認すると、想定通りのペースで進んでいるようだ。やはりこのまま行けば擦れ違えるはず、と確信を強める。
山梨県と静岡県の境には、短いながらも勾配がキツめな坂が2箇所連続する。ここもケイデンス高めにして、なるべく早くクリア。ここ一時間のグロスAveも24km/h近く出ている。良い調子だ。しかし、ここで水分が足りなくなって自動販売機で補給。やはり暑い。またハッピードリンクショップの世話になってしまった。
静岡県に入り、富士川沿いに引き続き南下。富士市の中心に近づくに連れ、見覚えのある風景が増えてくる。15:27、588km地点からキャノンボールのコースに合流。ここからは対向車線に注意を向ける。自転車乗りの多い道ではあるが、彼の自転車はディスクホイールだったはず。痛ディスクを見逃さないように前に進む。
15:45、595km地点で、前から痛ディスクの自転車乗りを視認。間違いない、あれだ!!
「頑張れ~!!」
「はい!!」
いきなり声を掛けられて一瞬驚いたようにも見えたが、あちらも私のジャージ(キャノボジャージ)を見て察してくれたようだ。見た目はまだまだ元気そう。しかし、この時間で由比駅周辺にいるのは、かなり際どい。なんとか踏みとどまって貰いたいと願いつつ、先に進んだ。
応援任務を終えたので、あとはゆっくりゴールするだけ。寺尾交差点には行かず、サッタ峠方面へ向かい、倉沢の集落を抜ける。西倉沢の交差点を押しボタンで渡り、太平洋自転車道へ。
しばらく漕ぐと、駿河健康ランドが見えてきた。新興津川橋の反対側では、AJ神奈川の人たちが手を振っていた。ようやく長かった旅路が終わる。
15:57、駿河健康ランド(601km地点)にゴール!
野外に設置された受付にブルベカードとレシートを提出し、完走サインを終える。33時間57分で、無事認定を頂ける事になった。これで今年もSR獲得である。
そして、PBPへの正式エントリーの権利をこれで獲得した。あとは認定番号を貰えれば、本エントリー可能。ようやく、今年の最大目標への参加を確定することが出来たわけだ。嬉しい。
しばらく、受付に用意された椅子に座ってボーっとする。目の前は海。気温も下がってきており、海風が気持ち良い。苦手の600kmを完走できた達成感をかみ締めながら、しばし余韻を楽しんだ。
(つづく)