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BRM919宮城1000 ③PC2:一関~PC3:花巻
9/20 03:20、PC2:ファミリーマート花泉金沢店(161km地点)に到着。
だいぶ冷えてきたこともあり、ここで第一カップヌードル。お湯を入れて3分経つ前に食べ始める。やはり寒空の下で食べるカップヌードルは最高だ。
停止時間15分ほどで出発。スタートから間もなくして、岩手県に突入。久々の一関市だ。そしてここからは国道4号線を走る。ここは東北地方で数少ない「知っている道」。自然と巡航速度も上がっていく。
ここで、先行していたちばさんに追いついた。しばし雑談。
「確か、この先のセブンイレブンにイートインがあるはずなんですよね。
そこで寝ようと思ってます。」
国道4号線は本州一周TTで通った道。確かこの先、北上へ行くまでの途中の丘の上に、大きなイートインのあるセブンイレブンがあったはずなのだ。夜明け付近に睡魔に襲われることは経験上解っていたので、その前に仮眠を取るつもりだったのだが……
ルートは平泉で右に曲がった。国道4号線を外れ、県道206号へ。イートインで仮眠をするという目論見は崩れ去ってしまったのだった。しかも、この先はどう見ても山の中であり、イートイン付きのコンビニは望めそうにも無い。
眠れないと解ると眠くなるのが人間。急激に眠くなってきた。こうなると、左右を見渡しながら「寝られそうな場所」を探す体勢に入る。すると、道路の脇に光を放つ場所が見えてきた。精米所だ! 精米所は割りと24時間開いていることが多く、仮眠したと言う先達の話を聞いていた。ここなら寝られるかもしれない。
ちばさんに別れを告げ、精米所に入る。……確かにドアは閉められるが、虫が多い。それに、かなり明るい。最大の問題は座れそうなところが無いことだった。うーむ、床に座って寝るのもなぁ……と思い直し、外に出る。道路の向かいを見ると、屋根のついたバス停があった。ドアなどは無いが、ここなら座ってしばし仮眠できそうだ。タイマーをセットし、しばし目を閉じる。
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15分ほどウトウトして、再起動。夏場とは言え、夜に寝てしまうと起きたときの冷え込みが怖かったが、そこまで体温は下がらなかったようだ。
白んできた空のもと走り出すが、スピードは上がらない。眠気は完全には抜け切っていないらしい。夜が明けてくると、実は大規模な水田の真ん中を走っていたことが解った。若干、PBPの序盤を思い出す風景。
「おはようございまーす」
と、声を掛けられてパスされた。KimKenさんだった。一度仮眠を取ったらしく、かなり元気そう。羨ましい。こちらはまだ睡魔が残っており、もう一度眠る場所を探していた。
しばらく走ると大きな川沿いの道に出た。東北最大の流域面積を持つ北上川だ。立派な芝生の土手を見て、思いついたことは一つ。
(ここなら寝ても大丈夫じゃ……)
眠くなると、何でもかんでも寝床に見えてくるもの。とはいえ、土手の芝生で寝るというのは、一般的に考えてもそこまで変な行為ではない。テレビドラマやマンガでも、土手に寝転ぶシーンは多い。歩道や精米所で寝るよりも、ずっとありふれた風景である。
コレだ!!と思い、土手で寝られそうな場所を探したが、なかなか良い感じの場所が無い。人目に付きづらく、それでいて適度な斜度の土手……そんな選り好みをしていたら、いつしか芝生は無くなり、ただのコンクリートの堤防に移り変わっていた。
これは次のPCまで寝るのは無理か……と、諦めかけたその時。路肩に公園を発見! 北上展勝地という場所らしい。川沿いにはベンチが設置されており、寝転ぶことが可能だ。
ベンチ脇に自転車を置き、サドルバッグを枕に寝転ぶ。タイマーを20分後に設定し、しばし眠りに落ちた。
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なんとか意識が落ちたようで、睡魔は飛んでいた。これでしばらくは走れる。辺りもすっかり朝になっていた。明るくなると、眠気というのは不思議とどこかへ消えていく。
この辺りで考えていたのは「夜スタートの難しさ」。多くの人は、明け方までに最初の睡魔に襲われる。うまく睡眠が取れればよいのだが、それが叶わないと早晩リタイヤもあり得る。リタイヤまで行かなかったとしても、その疲れは徐々に体を蝕んでくる。やはりスタート前に十分に睡眠を取るか、仮眠が出来る場所を予め抑えておく必要があるだろう。
北上川を渡ると、まもなく花巻。長かった最初の夜が終わり、1000kmブルベの2日目が始まる。
(つづく)