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Fleche2015 本編③PC2:名古屋~PC3:浜名湖
13:05、PC2: ローソン中川東中島店に到着。
まだ予定の時間には乗っているが、昨年よりも10分以上遅い。感覚的にはそれほど遅れていた自覚はなかったが、関~四日市区間(ゆるい下り)で巡航速度が稼げなかったのが原因だろう。やはりロードとそれ以外では巡航速度に大きな差がある。
皆、前のコンビニと同様に素早くトイレと買い物を済ませているが、どうもAZEさんの調子が悪そうだ。胃が痛く、補給が上手く入らないらしい。
AZE「とりあえず後ろにくっついて行きます」
他のメンバーは独り身だが、AZEさんは違う。趣味のイベントで無理をさせてご家族に迷惑を掛ける訳にはいかない。無理はしないようにと伝えた。
こちらのコンビニも予定通り、7分で出発。名古屋の街を横切り、伝馬町の迂回路へ入ろうとした時にトラブル発生。ダンシングをしようとした所、
くるっ
と、バーエンドバーと共にグリップが回転した。落車するかと思ったが、なんとか踏みとどまる。グリップの固定が甘かったらしい。トラブル発生の旨をメンバーに伝え、歩道に停止して対処を行う。
しかし、何度固定しても回転してしまう。このグリップはバーエンドバーと一体型。グリップが固定できないとダンシングが出来ない。さすがに残り360kmをダンシング抜きで乗り切るのは無理だ。
対処をしている間、チャリモさんは縁石に座り込んで体力を回復させようとしていた。しかし、時間が掛かっているのを見かねて、ハンドルを覗きこんできた。
チャリモ「ああ、これはダメだよ。グリップが奥まで入っていない。」
チャリモさんの指摘を受けてよく見てみると、ステムからグリップまでの距離が明らかに違う。回転した左側のグリップの方が明らかに外側にあった。ブレーキレバーとシフトレバーの位置をステム側に近づけ、よりグリップを奥へと押し込み、固定。これでようやく回転しなくなった!ロスタイム約5分。
伝馬町駅付近の陸橋は自転車通行禁止なので、一旦右側に渡って迂回路へ。踏切を渡って、陸橋の下を潜る。陸橋が終わったところでR1に復帰。最初に来たときには迷ったものだが、今は全くロスすることが無く抜けられるようになった。
松田橋の交差点を右折すると、進路は南方面へ。昨年はここから追い風フィーバーが始まったのだが……まさかの向かい風。ここでのペースアップを見込んでいたため、多少焦る。ここで無駄な力を使うわけにはいかないので、速度を上げすぎないように走る。
豊川駅ガード下の自転車通行不可箇所を回避すると、安城から本宿まで軽い登りが始まる。ここに来て登りが得意なはずのAZEさんが遅れ始めた。
AZE「補給が全く入らへん……」
名古屋のコンビ二で既に調子が悪そうだったが、余計に悪化してしまったらしい。「チーム紹介」の自転車の写真を見てもらうと解るが、AZEさんのマシンは超・前傾。これで内臓が圧迫されたことと、急激に上がった気温で消化器に異常をきたしたのではないかと推測される。
水は飲めるものの、ウイダーインゼリーすらも吐き気がして入らないとのこと。ロングライドにおいて、補給が取れないということは致命傷である。ゆっくり休憩する余裕があるようなライドなら回復まで待つ手はあるが、今回はそれも出来ない。
しばらくは騙し騙し付いてきていたものの、本宿手前で決定的に遅れ始めた。……仕方ない。事前の作戦会議で、こういう時にどうするかは決めていた。
baru「AZEさん、申し訳ないですが……
補給が入らない以上、引導を渡さなければなりません。」
AZE「解りました。
だましだまし浜松まで走って、そこから新幹線乗ります。」
200km地点で、AZEさんリタイア。ルール上、Flecheは3人がゴールまで辿り着けばよい。逆に言えば2人まではリタイアが許される。全員でゴールしたい想いも当然あったのだが、「調子が悪い人や決定的なトラブルが発生したら、待たずにチームとしてのゴールを優先する」と作戦会議で決めていた。それに従っただけではあるのだが……やはり割り切れない気持ちだった。
残り4人。愛知と静岡の県境である潮見坂に辿り着いた辺りでは、予定に対して10分近くまで遅れが拡大していた。このままでは不味い……と思っていたのだが。潮見坂を下りきり、進路が西になった瞬間、追い風を感じた。昨年は北西風だったのに対し、今年の風は南西風。やっと南に進む区間が終わり、向かい風成分がなくなったのだ。
浜名湖は、今回のルート上で最も南に位置する。東京はルート上で最も北。つまり、風向きが変わらなければ、以後は基本的に追い風であるということだ。多少の勝算は出てきたか……と思いつつも、背負った借金を返して予定通りの時間にまで復帰しなければならない。
少しでも遅れを取り戻すべく、スピードアップ。浜名湖畔のPC3まで、最も元気なふぃりっぷさんを先頭に駆け抜けたのだった。
(つづく)