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PBP 2015 本編⑬Villaines-la-Juhel ~ Mortagne-au-Perche(1088km)
8/19 13:15、PC11:VILLAINES-la-JUHEL(1008km地点)に到着。
PCの入口まで来て驚いた。何やら、音楽は流れているし、MCのアナウンスも聞こえてくる。ゲートを抜けると、左右には柵があり、人の壁が出来ている。
これはアレだ。ツールドフランスのゴール地点。惜しみない拍手と「Bravo」という声に、感激する反面、少々照れた。スター選手でもない、一介の自転車乗りがここまで賞賛される舞台はそうそう無いだろう。
気分は既にゴール後だが、実はまだ200km以上残っている。コントロールでチェックを済ませ、次のPCまでのエネルギー補給のためにレストランに行くことにした。
往路では気付かなかったが、レストランは道を挟んだ場所にあった。往路で食事を取った場所はバーだったことに今更気付く。道理でパンと飲み物しかなかったはずだ。
このPCではPBPに伴って、同時に色々なイベントが行われているようだった。PBP参加者とは関係のない人もレストランで食事を取ることが出来るようになっているらしく、列は建物の外まで伸びている。
(一体何分待つんだろう……)
とは思ったが、そういえば明日朝のゴールに目標を変更したのだった。今更時間を気にすることもない。そう思って列に並んだところ、
「あなたはこっちよ!」
と、スタッフらしき女性に誘導され、なんと列の一番前に通された。PBP参加者優先ということらしい。順番を守らないのは好きではないのだが、ここは好意に甘えることにした。若干、最前にいた方は納得行ってないようだったけれど……。
納得の行ってない方に急かされたので、またもボロネーゼパスタ。今回も、やたら肉を大量に盛り付けてくれた。一般の方とは明らかに盛りが異なる。こんな所でもPBP参加者優先らしい。
席を探してキョロキョロしていると、老婦人に肩を叩かれた。彼女の指差す先を見ると、見慣れた顔の人物が。
ふぃりっぷさんだ! 彼が私に向かって手を振っているのを見て、親切にも老婦人は声を掛けてくれたのだった。
てっきり、既にふぃりっぷさんは先に出発しているものと思っていた。Twitterを見て私が近くにいることを知り、待っていたとのこと。実に850km振りの再会であった。
ここで、今後の走行プランを話し合う。ふぃりっぷさんも痛めた膝の調子が良くないらしく、今日中のゴールは諦めることになった。最終PCであるDREUXで明け方まで眠り、明日の朝9時前後にゴールするプランで、残り200kmを走る。
ふ「それに、朝ゴールの方が絶対盛り上がるよね」
確かにその通り。このまま走れば深夜1時~2時くらいのゴールになるはず。そんな時間にゴールしても、迎えてくれる人は少ないだろう。ならば、多くの観客がいると推測される朝方にゴールしたほうが良い。途中のPCであるこの街でこれだけ盛り上がっているのだ。きっと、ゴールは盛大な歓迎が待っているに違いない……と、この時は思っていた。
ゆっくりと食事をし、出発準備。皮膚保護クリームを塗りなおしたかったので、トイレに行く。コントロール側のトイレは仮設トイレだったが、レストラン側のトイレは綺麗な洋式トイレだった。空いていたし、次回はこっちを使おう。
ふぃりっぷさんとパックで出発。最初こそゆっくり走っていたものの、ふぃりっぷさんのペースは徐々に上がっていく。膝痛いんじゃなかったの?
開放的な田園風景の中を走る。往路は闇の中で気付かなかったが、かなり良い風景だ。
ば「あ、ちょっとストップ!!」
前のふぃりっぷさんに声を掛けて路肩に止まる。
気付けば、左右に大規模なひまわり畑が広がっていた。日本でも色々なひまわり畑を回ったが、桁の違う規模である。1000万本は下らないと思う。
フランスにおける、ひまわりの最盛期は7月の中旬から下旬。つまり、ツールドフランスのシーズンにピークを迎える。既に8月ともなると、ほとんどのひまわりは枯れかけている。しかし、これだけの規模のひまわり畑というだけで、圧倒されるには十分であった。きっとピークの時期にここを走ったら、更に壮観だろう。
50kmほど走った街で商店を見かけたので小休止。ここで買った「MAGNUM」というアイスが大当たり。確か1.5ユーロほどだったが、実に濃厚で美味い。PALMを更に濃くした感じ。日本で言うとハーゲンダッツのポジションだろうか。
ひたすら田園風景の中を走る。次のPCはもうすぐだ。