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Fleche2017 本編③鳥羽~名古屋(144km)
フェリーターミナルのロビーから出て、自転車まで戻る。外は既に雨が降り出しているため、雨具を纏う。
そんな中、リーダーのNAOさんが何かを手に持っていることに気づいた。土産売り場で何かを買ってきたらしい。
「伊勢海老せんべい。これを東京まで運ぶよ!」
他のチームメンバーは皆「やれやれ」という空気にもかかわらず、NAOさんは明るい。リーダーにして、チームのムードメーカー。30cmはあろうかと言う伊勢海老型のパッケージをサドルバッグに括り付け、フェリーターミナルを後にした。
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フレッシュのルールの中には、こんな一文がある。
「同じルートを通ってはいけない」
出来うる限り一直線ルートを取ることが望ましいフレッシュならではのルールである。厄介なのは、鳥羽フェリーターミナルが袋小路のような場所にある点。北へ向かう主要道は、国道42号線しかないが、この道は伊勢から走ってきた道。既に通った区間を回避しつつ、北へ向かわなければならない。
どう見ても生活道路である裏道を繋ぎ、既に通った道を通り過ぎたところで国道42号線に復帰。「伊勢1000」に出場経験のあるコトノハさん以外は土地勘がまるで無かったが、「大きい道を行けばなんとかなるだろう」という事で、深く考えず先に進む。
二見浦駅のあたりまでは海沿いを走ることになるが、霧が凄い。一瞬、霧が晴れたように見えたが、この様子であれば欠航もやむなしと言った所だろう。内陸に入ってからは国道23号線に接続。バイパス的な道で、交通量は多いが路肩も広く走りやすい。雨も小康状態となり、借金タイム(※)を順調に返済していく。
※借金
ブルベでは、休憩を含めた平均速度が15km/hで制限時間が設定されている。
例えば、90㎞地点でのボーダーラインのタイムが6時間ということ。
90㎞地点までで7時間かかっていた場合、「借金1時間」となる。
四日市市に入ったところで、一旦休憩。雨具を着て走るのも暑くなってきたので脱ごうとしたが……雨雲レーダーを見ると、背後に大きな雨雲が迫っている。四日市を抜けるまでは雨に降られそうだ。休憩が終わると、予報通りに雨が降ってきた。脱ぎ掛けた雨具を再度纏って出発。
四日市の中心部で、国道1号線に合流。ここからは勝手知ったるキャノボルート。しばらくは私が先頭固定でルート案内をする。
四日市~桑名の区間は、路肩が狭く交通量が多い。時間も昼時なので、ロードサイドの店に入る車が多く神経を使う。そして、一番厄介なのが、木曽三川を渡る橋。車道は路肩があまり広くなく、歩道はスピードを落とさせるための段差が設けられている。しかも、記憶では、その段差部分は金属だったはず。雨は上がっているとはいえ、濡れた金属板の上は走りたくない。
西から木曽三川を越える場合、まずは伊勢大橋を渡る。この伊勢大橋、段差部分のみが金属だと記憶していたが、歩道全体が金属であった。これは雨の日にはちょっと通るのは難しい。車道を行くことにした。次の尾張大橋も、歩道自体はアスファルトだが、やはり金属板の段差がある。ここも車道で。
まもなく、名古屋。このまま天気が持ってくれると良いのだが……。
(つづく)