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Fleche2017 本編⑥御前崎
4/9 午前1時。御前崎突端のコンビニ、セブンイレブン御前崎港店に到着。ここまでの走行距離は287㎞。
腹が減ったのでカップヌードルを買う。気づけば、NAOさん以外の全員がカップヌードルを食べている。過酷なライド中のカップヌードルは、たまらなく美味い。
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この辺りで、そろそろ「終わりをどこにするか」を考えないとならない。
フレッシュは、「各チームが色々なコースを走り、最終的にナイスプレイス(今回は日本橋)に辿りつくイベント」と言うことになっている。ただ、実はルール上、ゴールはどこであっても問題ない。決められた時間までにナイスプレイスでゴール受付をすれば良いのだ。
問題は、そのゴール受付である。今回のゴール受付場所は、東京・日比谷。ここに4/9の午前11時半までに辿りつかなければ認定されない。私たちのチームは、4/9の午前8時までは走り続ける必要があり、そこから何らかの手段で日比谷に3時間半以内に辿りつくように動かなければならない。
自走ではどう考えても間に合わないので、電車で行くしか無いだろう。しかも、輪行の時間を計算すると、新幹線を使わなければ間に合わない。この先、ルート通りに行けば、通過する新幹線駅は、「静岡」「新富士」「三島」の3つ。それより先は箱根が挟まるので無理。
①静岡駅まで行くと350㎞ (残り63km)
→認定最低距離に10km不足。
②新富士駅まで行くと376km (残り89㎞)
→認定最低距離を満たす。
③三島駅まで行くと400㎞ (残り113km)
→認定最低距離を満たす。
天候と時間帯を考えると、残り7時間で三島駅までの113㎞は少々厳しい。現実的には、「新富士駅ゴール」もしくは「ゴールした地点の最寄駅から輪行して、三島駅から新幹線に乗り換える」と言うプランになることを、チームメンバーと確認した。
ゴールしてから息つく暇も無く行動する必要があることが分かってゲンナリしたが、時間内にゴール受付をすることは不可能ではないことも分かった。ようやく、認定までの道のりが見えてきた。
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御前崎のPCを出発した直後、メンバーの一人が口を開く。
「なんか寒くないですか?」
確かに寒い。しかし、Garminに表示されている気温は18度と、深夜にしては高すぎるほどの気温だ。
「ウェアが雨や汗で濡れて、そこに走行風が当たるから冷えるんですよね。
せめて、コインランドリーか何かでウェアを乾かせたら良いんですけど。」
私は、それに対して「でもコインランドリーは無いだろうな」と、考えていた。ブルベで地方を走ることは多いが、ここ数年で深夜営業のコインランドリーは著しく数を減らしている。防犯上の理由や、深夜営業してもコストに見合わないと判断されるケースが増えたのだろう。
現在の時刻は深夜1時半。こんな時間にやっているコインランドリーは、それこそ都会の住宅街にでも行かなければないはずだ。
……と、考えていたのだが。
不意に、視界の隅に煌々と光る建物が目に入った。あれはまさか……いやいや、まさか都合よくこんな所にあるはずがない。きっと、コインランドリーを望むあまり、幻が見えたのだ。現に、前を走るチームメンバーたちは全く気づいていない。そう考えて、もう一度光の方を見る。
それは、まぎれも無くコインランドリーだった。
「あった! コインランドリーあった!!」
興奮気味に声を上げる。
「え、嘘!?」
「あ、ほんとだ!!」
さすが皆、本当にあるとは思わなかったらしく、驚いていた。そりゃそうだ。「コインランドリーが欲しい」と話した直後にコインランドリーが現れるとは。
満場一致で停止を決定。ここでウェアを乾かしていくことになった。
(つづく)