PBP2019: スタート直前編

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8/18(土)、いよいよスタート当日。

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この日は昼過ぎまで寝ている予定だったが、妻がドロップバッグにライトのバッテリーを入れ忘れたことが発覚し、朝からSaint-Quentinのibisへ。TrappesとSaint-Quentinは隣町で、距離は約5km。幸いにも雨は弱まっていた。

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Saint-Quentinのibisは、前回のスタート地点であるベロドロームのすぐ隣りにあった。従来のPBPでは、このホテルはスタッフの宿泊地として刈り上げられていたようだが、今回はスタート地点がRambouilletに移動したことで急にキャンセルされたらしい。そこを日本のツアーが一挙に抑えたようだ。やっぱりここスタートが良かったな。距離は伸びるけど。

今回のドロップバッグ受付は、8/17のRambouilletと、8/18のSaint-Quentinの2か所。私たちはRambouilletでドロップバッグを預けていた。担当者の方に話を聞くと、「今回は荷物が多すぎて、果たして取り出せるか分からない。取り出せる位置に合ったら荷物を入れ替えて良いですよ」とのご回答。

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果たしてどうか……と、ドロップバッグが積みこまれた車に入ってみると、なんと一番上に妻のバッグが置かれていた。ピンクで分かりやすく飾り付けられているので一発で見つけることができ、無事にバッテリーを入れることが出来た。

サンカンタンのibisは日本からのPBPツアーの宿になっていることもあり、ロビーは日本人だらけ。そこで、このブログ読者であるというkousansonさんから声を掛けられた。聞けば、今年からブルベを始め、ここまで来てしまったという。今回のPBPは前年の登録が無ければプレレジストレーションが出来なかったが、登録キャンセルが多数出て追加募集があった。ここに滑り込んだらしい。彼とは道中何度か会うことになった。

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再びTrappesの宿に戻り、遅めの朝食。やはりこれも少なかった。

部屋に戻ると、雨脚がどんどん強くなっていくのが分かる。雨樋を落ちる水の音が尋常ではない。現在時刻は10時。スタートは17時45分。果たしてスタートまでに雨は止むのだろうか? 雨音を聞きながら、再び14:00まで仮眠を取った。

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目を覚ましてカーテンを開けると、雨はすっかり上がっていた。雲の隙間からは日の光も見える。これは悪くないスタートが切れそうだ。

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軽く食事を摂り、最後の自転車点検。特段の問題は無さそう。濡れていた地面も徐々に乾き始めていた。

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15:00にホテルを出発する予定だったが、若干の遅れ。駅に着いたのは15:20だったが、目の前でRambouillet駅行きの電車が発車してしまった。次の電車は30分後の15:50。ランブイエの到着は16時10分ごろと思われるが、私たちのスタート時刻は17:45。スタート地点の集合時刻は17時であることを考えると、中々のギリギリ進行である。

ホームで電車を待っていると、同じ宿に泊まっていた坂東さん、本田さんもやってきた。その様子を見ていたフランス人と思われる参加者の人に声を掛けられた。

 「君たちはフクシマを知っているかい?」

そう言いながら彼が見せたのは、「Audax Japan」の文字の入ったバンダナだった。2011年、震災の年にAJが作成したバンダナである。当時、日本人参加者と交換したバンダナを今回も持ってきたのだと言う。こういう交流があるのもPBPの素晴らしいところである。一緒に記念撮影をした。

15:50、電車に乗車。昨日の受付前に乗った電車ほどではないが、参加者と思われる人たちが大量に乗車していた。

16:10、Rambouillet駅に到着。駅を降りると、そこは黄色いベストを来た参加者で溢れていた。町中がPBPの雰囲気。このお祭り感がPBPだ。昨日はなんとなく他の参加者に着いていったが、今回はルートをあらかじめ予習していた。最短ルートでスタート地点へと向かう。

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……が、そこにはこんな石畳が。乗って通過して行く参加者も多かったが、またパンクしても嫌なので、ここは押し歩いた。スタート地点の門の前後にも石畳があり、ここも押し歩き。徹底的にリスクを排除した。

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スタート地点は、昨日車検をした施設から1㎞ほど離れた野原である。ここに着いた段階で時刻は16:35。私たちのウェーブであるHグループの集合時刻まで、あと25分しかない

PBPでは、エントリー時にウェルカムミールなるものを予約できる。スタート前に食事を摂れるサービスである。これを食べにいこうと思ったが、食事を摂れるのは車検をした場所だと発覚。距離は1㎞。これは食べて帰ってくる時間が無い。電車に乗り遅れたことが今更ながら悔やまれる。混雑する人波をかき分けて、前日の車検場所に辿りついたのは16:45。やはり食事をしている時間は無い。ここで偶然にも井手マヤさんと出会い、エールを頂けたのは嬉しかった。

仕方なく、ここではトイレだけ済ませた。そして、ここで食事を摂れなかったことが、後々に大きな影響を残すことになる。

なお、このウェルカムミール、前回まではバイキング形式で、行っても食べ物が残ってなかった……という事態が発生していた。今回からは改善が図られ、定食形式で提供されるようになっていたらしい。私は残念ながら食べられなかったので写真は無いが、これは良い変化だと思う。

(ななしきさん提供)

【追記】
ななしきさんよりウェルカムミールの写真をご提供頂いた。これを食べられていたら前半の苦労が少しは減ったのかな……。

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また1kmかけてスタート地点に戻ると、既に整列が始まっていた。自転車を持って、Hグループの列に並ぶ。同じグループには、昨年のCH1200を共に完走したしゃいんさんや、一緒にフレッシュを走ったはるさんの姿も。はるさんは直前にSR600を走ったとかで、その影響で唇がカピカピになり、ものすごい量のリップクリームを塗っていたのが印象的だった。列に並んでいると、ななしきさんからも声を掛けられた。彼は私達より少し後のスタートのはずだが、なんだか元気がもらえた。

待機場所の道路はかなり幅が狭く、Hグループの全員が収まっていなかった。スタート10分前になっても列は全く進まず、5分前になってようやく列が動き始めた。

 ……これ、もしかして定刻通りにスタートしないんじゃないか?

その予感は当たった。ブルべカードにチェックを貰ったのが本来のスタート時刻の17:45。ここからスタートゲートまではパレードラン。ゲートを抜けた所から本スタートとなる。この時、

 「Pink Girl!!」

という声が飛んだ。ゲート脇を見ると、Shabさんの姿が。一瞬ではあるが、元気にスタートする妻の姿を見せられて良かった。

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17:49、定時より4分遅れでゲートをくぐり、90時間の時を刻む時計が動き始める。妻と「また後で!」とお互いに声を掛けあい、私たちのPBPがスタートした。

 

次のエピソード
PBP2019: 本編① START~Mortagne-au-perche (118km)   Rambouilletのスタートゲートを出ると、道は左に折れ、進路は西に変わる。早速、これから何百回と繰り返すPBP名物「丘超え」の一発目が始まった。 今回もいつも...
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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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