PBP2019: 本編② Mortagne-au-perche~Villaines-la-juhel (217km)

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8/18 22:39、WP1: Mortagne-au-perche(118km地点)に到着。

今回も例によって、PCごとの到着時間を定めた計画表を持って走っている。予定では22:33到着の予定だったが、6分遅れ。とはいえ、スタートが4分遅れているので、実質的な遅れは2分。さらに、今回はそれなりに強い向かい風も吹いている。向かい風+補給ミスという条件で、これだけの遅れで済んだのは不幸中の幸いと言えるかもしれない。

ここはWelcome Pointなので、ブルべカードのチェックは無い。素通りしても良いのだが、スタートから120㎞というPBP中最大のノンストップ区間の終わりにあるだけあって、ほとんどの人は立ち寄っているはずだ。まだ序盤で人がバラけていないということもあり、相当混雑している。

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駐輪場に自転車を置き、ボトルを取り出す。Controlのある建物前の屋台は六角形をしており、六面の注文カウンターがあったが、どこも混雑していた。とりあえず空いてそうな列にならび、注文を行う。

 「Sandwich Sausage and Coca!」

ほとんどのPCでは、バゲットに縦に切り込みを入れ、そこに具材を挟むパン(フランスではこれをサンドイッチと呼ぶ)が売られている。具材はチーズ・ソーセージ・野菜からの選択制。とにかくカロリーの足りなさを自覚していたので、一番腹に溜まりそうなソーセージを選択した。大体400kcalと言った所だろう。コーラも350mlで200kcal近くある優秀なカロリー源である。ちなみに、フランスでは「コカ」と呼称するのが一般的であるようだ。

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食べ物を持って建物に入り、レストランから空き席を探す。既にラッシュタイムのようで席に空きはなかったが、そこで見覚えのある人を見かけた。AJたまがわスタッフのtriさんだった。彼はひとつ前のウェーブであるG組のスタートのはず。既に出る準備をしていたようだった。

 「ここ、使っていいよ!」

と言われたので有難く座らせて頂く。

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triさんを見送ったら、サンドイッチをかじりつつスマホを広げる。妻への連絡のためだ。前待ち作戦の良い所は、先行してPCの特徴を知らせることが出来る点である。とりわけ、PCがだだっ広いPBPにおいては有効な作戦だと思う。以下のようなことを伝えた。

 ・向い風とスタート遅れがあるので、予定からの遅れは気にしないこと。
・スタート前の補給が足りていなかったはずなので、WPでしっかり食べること。
・WPでやること
・今後の指針

これを書いていると10分ほど経過していた。予定では滞在時間20分。そろそろ出なくてはならない。トイレを済ませて、バーでパンを2個購入。給水所で水を汲み、WP1を出発した。

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8/18 23:00、予定より7分遅れでリスタート。次の休息ポイントであるPC1までの距離は99㎞。先ほどまでの区間よりは短いとはいえ、99㎞は長い。

WP滞在中にすっかり日は暮れた。出発直後は街の明かりがあるが、街を抜けると暗闇の丘越えに突入する。昼間であれば風景で気が紛れるが、夜間の丘越えは「作業」と言って良い。幸い、この日は満月に近く、雲が切れた時間帯には夜間の風景を眺めることも出来た。

気温は徐々に落ち始め、サイコンに表示される温度は12~3度を指していることが多かった。まだレインジャケットは着ず、少し強度を上げて走る。ウェアは薄手の長袖ジャージに反射ベストという構成だったが、反射ベストの保温性が優秀なのでまだ寒さは感じない。ただ、次のPCから出る際にはレインウェアを一枚着る必要があるだろう。

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午前0時を回っても、通過する街には必ずと言って良いほど私設エイドが出ている。WPでそれなりのカロリーを補給し、パンを購入したとはいえ、手持ちのカロリーは少ない。何度か私設エイドで止まっては、パンやクッキーを有難く頂いた。

ちなみにこの私設エイド、「PC外サポートにあたるのでルール違反なのでは?」という話が良く出るが、個人的には問題ないものだと思っている。ブルベではPC外でのサポートは禁止されているが、「誰でも利用できるサービス(例えば、コンビニやホテル)」の利用についての言及は無い。私設エイドが「特定の人に便宜をもたらす」ためのものならば違反と思われるが、誰もが利用できるならば問題はないはずだ。

休憩中にスマホを確認すると、妻からの返信が来ていた。23:40にWP1に到着。予定からは10分遅れだが、向かい風でこれならば上出来である。それよりも気になるのは、「お腹を壊した」と書かれていた点。PBPにおいて多くの人のリタイヤのきっかけとなるのは、眠気と胃腸トラブルである。その片方が早速出てしまっている。これはちょっと不味い。

とはいえ、この時点では良いアドバイスは浮かばない。冷えによるものか、何らかの食べ物によるものかが文章からでは察することが出来なかった。対策を考えつつ、先へと進むことにする。

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PBPにおける夜間走行は変化に乏しいが、たまに街の中に現れるオブジェは見ていて楽しい。実際の自転車に電飾を巻いたり、派手なネオンの看板があったりと、街の人の歓迎ぶりが伝わってくる。

200㎞地点の通過タイムはスタートから約10時間。前回に比べると大分遅い。まだカロリー不足が響いているようである。WP1でエナジーバーの補給食を買っておくべきだったかもしれない。パン2個で約800kcalあるとはいえ、やはりこれも足りていない。

トイレを済ませてから4時間ほど。さすがにトイレに行きたくなってきた。周りの参加者が突然脇道に逸れてお花を摘みに行く様子を何度も見たが、どうも自分はそれに抵抗があった。どこかに公衆トイレは無いかな……

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あった。実に都合よくあった。ちゃんと夜でも電気の付いている公衆トイレ。これで次のPCではトイレに行かなくても済みそうだ。次のPC:Villainesのトイレは記憶によると、仮設トイレ。この仮設トイレの中は息が出来ないほど臭い。出来れば利用したくなかったのだ。

走行距離は210kmを超え、Villainesの街に入った。PCまであと少し!と言う所で、一軒のパティスリー(ケーキ店)が目に留まった。時刻は午前3時を回っているのに、元気に営業中。PBP参加者のためにわざわざ開けてくれているのだ。そんなパティスリーには、もしかしたらアレがあるかもしれない。入ってみると……

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やっぱりあったパリブレスト! PBPをモチーフに作られたお菓子ながら、実はほとんどのPCではパリブレストを食べることは出来ない。今回のPBPで言えば、TinteniacとDREUXのレストランには置かれていたらしいが、他では見た覚えが無い。意外と「PBP中にパリブレストを食べる」というのは難しいのだ。アーモンド風味のクリームが入った、正統なパリブレスト。とても美味しかった。

一息付いて、まもなくPC。さすがにこの時間になると眠気が出てくる。仮眠計画を頭に描きつつ、VillainesのPC入口の門をくぐった。

 

次のエピソード
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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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