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PBP2019: 本編④ Fougères~Tinténiac(360km)
8/19 9:20。PC2: Fougères(306km地点)に到着。
このPCは縦に長く、Controlは一番奥側の建物にある。自転車に乗ったまま敷地奥の駐輪場へと向かった。
この朝日差し込む建物にControlがある。バーと隣り合っており、夜はここで仮眠している人も多い。
暖かい建物に入ると、また眠気が襲ってきた。PC1で思ったほど寝られなかった影響が大きかったらしい。これは仮眠所を使ってみるかと思い立つ。恐らくこの時間ならばあまり利用者もいないだろう。
仮眠所は、Controlの一つ南の建物だった。受付で5ユーロを支払うと、レスキューシートを渡され、建物の奥へと案内される。案内の方は、仮眠所の手前で「ここがトイレだ」と教えてくれた。PCにおいて、アクセスが限定されたトイレは希少である。起きた後に使うことにしよう。
仮眠所の部屋は、恐らく教室か倉庫と思われる部屋だった。かなり暗かったが、薄いマットが10枚ほど敷き詰められていた。使用者は2~3人と行った所。雰囲気は健康ランドの仮眠所と言った感じだ。
早速寝ようとしたが、なかなか騒音が厳しい。場所的には静かなのだが、他の人が身体に巻いているレスキューシートの音が思いのほか大きかった。通常、仮眠所で渡されるのは毛布かタオルケットであり、大きな音はしない。これに対し、レスキューシートはカサカサと異質な音がする。それでも疲れが勝り、意識は遠のいていった。
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30分ほどで起床。やはり騒音のせいで眠りが浅かったのか、スッキリしたとは言い難い気分だった。もう少し寝ていたくもあったが、予定外の仮眠であったので、この辺で起きておくことに。仮眠所のトイレをありがたく利用させて頂き、今度はレストランに移動する。
Fougèresのレストランは、全PCの中でも1・2を争うほどにメニューが充実している。ガラスケースの中からサラダやフルーツ、飲み物を選び、メインの料理は目の前で配膳してもらう。いわゆる学食形式となっている。メイン料理はパスタや肉料理があったが、今回はラザニアを選択した。前回のPBPでの食べ逃しを4年越しでリベンジすることができた。
ラザニアは期待したほどでは無かったが、なかなか美味しい。これまで食事での肉成分が少なかったせいか、身体に染み渡る感じがする。ゆで卵のサラダはイマイチだった。
妻の動向をトラッキングサイトで確認すると、6:52にPC1となっている。ただ、PC1のトラッキングデータの読み取り装置はPC出口に設置されていた。この時刻はPCを出た時刻と考えられるので、到着は6:00ごろと言った所だろうか。スタートから12時間で217kmなので、悪くないペースと言える。
メッセージを確認すると、「レインウェアを着たら、お腹の調子が回復した」とのことだった。やはり原因はPBP特有の冷えだったらしい。そういえば、私も前回のPBPのBrest手前で強烈な腹痛に襲われ、尊厳の危機を迎えたことを思い出した。お腹だけを保護する腹巻きのようなものが合っても良かったかもしれない。PC2の構造と注意点を伝えて、出発することにした。
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10:50にPC2を出発。次のPC、Tinteniacまでの距離は54km。これまでと比べるとずいぶん短い。獲得標高も385mと緩め。となると、ここらで良い感じのトレインに乗れれば足を残せるのだが……
そんな事を考えていると、良い感じで走っているイタリアとウクライナの混成トレインがやってきたので乗せてもらう。写真を見てもらうと分かると思うが、イタリアからの参加者のサドルバッグがものすごく揺れていた。ちゃんと閉まってすらいない。とはいえ、彼らは「そんなの関係ねぇ」と言わんばかりの速さで走る。
前回のPBPはまだまだリクセンカウル等のシートポストバッグや、キャラダイスのバッグが主流で、バイクパッキング的な大型サドルバッグの使用者は少なかった。しかし、今回は大型サドルバッグ、とりわけAPIDURAの割合が激増していたのが印象的だった。
PBPと言えばロングライドの達人が集まっているはずなのだが、大型サドルバッグについて言えば使いこなせている人はごく一部。昨年、サイクルスポーツ誌の付録に寄稿した「大型サドルバッグの正しい付け方」の手順を世界に発信したら結構受けるかもしれない……と思いながらこの区間は快走。グロス速度で25km/hほどは出ていた。
途中で見かけた看板。「ECOLE」は学校の意味。前回も似たような看板を見かけたが、絵柄が変わっている気がする。日本アニメの影響を色濃く感じる絵柄に変わっていた。
この区間はほぼ、トレインに着いて走っているだけで終了。2時間20分程で54kmを駆け抜けた。やはりトレインに乗れるか乗れないかは、PBPにおいて大きく結果を分けてくると思う。