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SR600福島: プロローグ
Super Randonnées(シュペール・ランドネ)、通称「SR600」は、ACPの管轄するブルベの1カテゴリーである。
距離は600km、獲得標高が10000m。この条件を満たさないとコースの承認が下りない、山岳コースのパーマネントブルベだ。2009年に創設された新しいカテゴリーだが、山岳コースを好む日本人には人気があり、既に国内に9コースが設定されている。
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私がブルベを始めたのは2012年。しかし、これまで7年間、SR600には一度も参加したことがなかった。
創設当初、SR600の制限時間は「50時間+α(*1)」と定められていた。これは体重のある私にはなかなか厳しい設定である。完走出来ないことはないだろうが、睡眠時間が十分に取れるかは怪しい。そのため、興味はあったが申込にまでは至らなかった。
*1: 獲得標高が500m増えるごとに、制限時間が1時間延びる。
2017年度。ACPの方針により、SR600の制限時間は、獲得標高にかかわらず一律「60時間」へと緩和された。「そろそろやってみようかな」と思ったが、これと時を同じくして日本の山の火山活動が活発化。日本のSR600コースで定番として組み入れられた渋峠が通行不可になったことにより、関東近辺のコースはほぼ走行が不可能な状態となってしまった。
SR600を走ろうと思った理由はもう一つ。「R10000」表彰の存在である。
R10000はACPが創設したアワードで、所定の条件を満たすと表彰される。私はその条件を2018年末時点でほぼ満たしていた。一つだけ残ったのがSR600。R10000の条件は6年以内に満たさなければならず、その期限は2021年の8月に迫っている。2018年末から「そろそろ取らねば」と思っていたが、ズルズルと先延ばしになっていた。
そんな折、2019年の8月に新コースが2本設定された。「福島」「奥入瀬」である。福島のコースは距離が600.6km、獲得標高も10200mほどと制限の下限ギリギリ。これなら余裕を持って完走できそうに思える。夏のPBPで相当の資金を使ったこともあり、割と近場スタートである福島を走ってみることに決めたのだった。