PBP2023: 本編① START:Rambouillet~WP1:Mortagne-au-Perche(119km)

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2023年のPBPがスタート。

第一区間は、モルターニュ・オ・ペルシュまでの119km。PBPにおける最長区間です。

目次

START:Rambouillet~WP1:Mortagne-au-Perche(119km)

300人がほぼ同時にスタートする最初の区間は必然的に大集団となります。

スピードに乗る区間でもありますが、ここで身の丈に合わないトレインに乗ってしまうと、いきなり脚が終わる事態になりがち。自制が必要な区間でもあります。

最初は高速トレインで

今回も我々夫婦の作戦は、私の前待ち作戦。私はしばらく速めのトレインに乗って距離を稼ぎます。

ランブイエのスタート地点から数kmはパレード走行のような雰囲気でしたが、ある所から痺れを切らした人が前に出てアクチュアルスタート……という感じ。

私は18:45スタートのL組。L組の先頭集団はさっさと行ってしまいましたが、2番目の集団の速度感が丁度よいのでこちらに着いていくことに決定。

大集団の風よけ効果は凄まじく、ほとんど漕いでいないのに登りで27-8km/h。本当に列車に乗っているような感覚で、最初の1時間で30kmを走破していました。この間、信号ストップは無かったはず。

開始早々にハンガーノック気味になってしまった前回と違い、今回はウェルカムミールでカロリーも十分に摂取済み。緩い斜度の続く前半区間では無理なく集団に着いていくことができました。

反射ベストを着用

スタートから3時間ほど過ぎた所で、周囲が暗くなってきました。そろそろ反射ベストを着なければ。

日本のブルベでは1日中反射ベストを着ることを求められます。一方、PBPでは日中の反射ベスト着用義務はありません。夜と視界の悪い場合(霧など)のみ着ていればOKです。

特に今回の大会はスタート時点で気温が30℃あったので、反射ベストを着ている人はほとんどいませんでした。

地の果てまで続くテールライトの列。PBPの象徴的な風景の一つですね。

ここらで高速トレインを離脱し、路肩に停止。サドルバッグに括り付けていた反射ベストを着用します。

メーターを見ると、ここまでの走行距離は3時間で81km。グロス27km/hとは、やはり高速トレインの効果は絶大でした。

前回までのPBPであれば、この段階で反射ベストの下にレインジャケットも着込むのですが、まだまだ気温は20℃超え。これならばレインジャケットは必要なしと判断し、反射ベストのみを着用しました。

マイペース走行開始

反射ベストを着ている間にトレインは行ってしまったので、ここからはあらかじめ決めていた「省エネ走法」に切り替えます。

ここまでは坂の斜度も緩やかでしたが、モルターニュが近づくと5%を超える坂もチラホラと出てきます。こうなると、ちょっとトレインに着いていくのも辛いという事情がありました。

実は7月中旬にコロナを初罹患しまして。7月頭に在宅勤務が解除となって早々にウイルスをもらってしまいました。

家庭内の隔離には成功して妻は感染しなかったのですが、私は7月中旬の10日間ほどは全く走れずに療養を余儀なくされました。

7月中旬の3連休にはPBP前の最終仕上げとして「SR600上毛三山」にエントリーしていたのですが、こちらもキャンセル。その間、妻には1人で450kmほどを走ってトレーニングを積んでもらいました。

罹患中の症状はそれほどでもなかったのですが、いわゆる後遺症は出てしまいました。私の場合は体温の上昇です。

元々私は低体温気味で、基礎体温が35.5~35.8℃ほどでした。しかし、罹患後は36.3~36.7℃ほどに上昇。心拍数も若干上がりやすくなりました。

36℃代の方が健康的な体温ではあるんですが、それまでとのギャップなのか暑さに弱くなってしまいまして。渡仏前の練習中、特に暑い中で心拍を上げると(150bpm以上)すぐにオーバーヒート状態になるということに悩まされていました。

「どうせフランスは寒いから大丈夫でしょ」とタカを括っていたんですが、蓋を開けてみればフランスも猛暑。21時を過ぎても気温はまだ高く、この状況でトレインに着いて急斜度の坂を登ったらオーバーヒート状態になることは目に見えていました。

そこで、ここからは事前に考えていた以下の方針で単独走行を行うことにしました。

  • 登りは頑張らない。斜度5%を超えたら即インナー。
  • 登りの出力は200W未満に抑え、心拍が150bpmを超えないようにする。
  • その代わり、下りに入っても100W以上は常に掛けてスピードに乗せて次の登りの中腹まで回し続ける。

PBPは常にアップダウンを繰り返しますが、テクニカルな下りはほとんどありません。例外は街中の下りですが、街と街の間の丘はカーブもほとんど無い見通しの良い坂が続きます。つまり、下りではそれなりにスピードが出せます。

多くの参加者は登りをそれなりに頑張って登って、下りでは脚を止める……という走り方をします。従来のPBPでは私もそういう走り方をしていたのですが、今回はそれをすると登りでオーバーヒートを起こす予感がありました。一方、下りならば負荷をかけても走行風で冷却されますし、体重もあるのでスピードは乗ります。

ということで、単独走行になってからは「登りで多くの人に抜かれる」「下りで多くの人を抜き返す」「次の坂の中腹までは勢いで登って、また登りで多くの人に抜かれる」という状況に。

そんなリズムで残り40kmを走り、最初のWP(ウェルカムポイント)のある街「モルターニュ・オ・ペルシュ」に辿り着きました。

 

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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