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PBP2023: 本編⑧ PC5:Carhaix-Plouguer~PC6:Brest(606km)

胃酸の逆流を飴パワーでなんとか抑えて、カレ・プルゲールに辿り着きました。
PC5:Carhaix-Plouguer~PC6:Brest(606km)
4:45、PC5:Carhaix-Plouguer(516km地点)に到着。クローズが5:06なので、21分前に到着できました。
PC5、到着
飴のおかげで何とかカレに到着。医務室に真っ先に行きたいところですが、まずはコントロールへ。
配置は今回も変わらず。そそくさとコントロールへ行き、ブルベカードにスタンプを貰うことが出来ました。
妻は補給も足りているようなので、トイレを済ませたら早速リスタートするとのこと。私は医務室で胃薬を調達したかったので、妻には先に行ってもらうことにしました。
医務室へ
さて、医務室へ行き、係の人に「胃酸を抑える薬はないですか?」と翻訳した画面を見せてみるも……「ここにはない」というツレないお返事。胃腸系は結構メジャーなトラブルな気がしますが、無いものなんですね……。
「昼になったら薬局へ行くといい」と教えてはくれました。どうやらあと6時間くらいは薬を手に入れる方法はなさそうです。
ブレストまでは、飴メソッドで乗り切ることを決めました。まだ90kmあるんですけどね。この辺りになってくると、「すぐそこ」という感覚になってきます。
リスタート
クローズ4分後の5:10リスタート。予定通りの25分で離脱。
今回のPBPの最大のテーマは、「折り返しのブレストにクローズ45分前に到着する」こと。具体的には、スタートから39時間33分以内にブレストのPCに到着することが目標です。
こちらは、ひらまつさんによる2019年大会のデータを解析したグラフです。ブレストに到着した時間が40時間代より前であれば、ほぼ完走できていることが分かります。
今回のPBPではブレストの足切りタイムが40時間19分で設定されているので、このタイムを目標に動けば良いはずと考えて予定を立てました。
45分前の到着を目標としたのは、ブレストで色々とやりたい作業(タイヤに空気の補充・チェーンに注油・可能ならば昼寝)があったからです。
今の感じだと、グロス18km/hで進めば想定通りの貯金が作れそうではありました。ここまでは実に上手くやれています。
最高標高地点へ
カレ~ブレストの区間はPBPで言うと標準的な獲得標高の区間ですが、一つ特徴的なのは「PBPルートにおける最高標高地点」を通過することです。
Roc’h Trevezel(ロッコ・トゥルヴゼル)という山を越える峠で、この山はブルターニュ地方で2番目に高い山です。と言っても、山頂の標高はわずか384m。峠の標高は350mほどしかありません。日本で言えば高尾山の大垂水峠くらいの標高です。
こちらはPBPルートの標高図ですが、青色で囲んだ部分がRoc’h Trevezel。
細かいアップダウンを繰り返すのが特徴であるPBPコースの中で唯一の長い登り&下りを持つ区間であることが分かると思います。
登りも下りも20km程度ありますが、平均斜度は1.5%ほど。20kmで300m登って、20kmで300m下るイメージ。登りでもさほどスピードは殺されず、下りは直線基調で気持ちよく下れます。
朝焼けの中を淡々とヒルクライム。飴のおかげで胃酸はまだ抑え込めています。
Roc’h Trevezelの山頂には電波塔があり、そこを目指して登っていきました。
山頂に到着。
Roc’h Trevezelは周囲に高い建造物がなく、日本で言えば2000m級の山を登ったかのような眺望があります。朝焼けの時間に来られてよかった。
前回まではここを往復ともに通るルートになっていましたが、今回は往路のみの通過。復路は別ルートになっています。風景を目に焼き付けました。
長いダウンヒル
最高標高地点からは20kmの長いダウンヒル。
ただし、斜度は緩めなので自分で漕がないとスピードは出ません。35km/hくらいの速度になるように調整しつつ、朝日の中のダウンヒルを下っていきました。
実はPBPの道中で一番寒いと感じたのはこの区間。
気温センサーの値を見ると13-4℃とそれほど寒くないんですが、この区間はそこに走行風による冷却が加わります。ルデアックでウールの冬用靴下に着替えてきていたんですが、それでも爪先は冷えで感覚が無くなるほどでした。20kmもの間、冷やされ続けるとこうなってしまうわけですね。
例年通りの気温の低さだったら、やっぱり凍えていたかもしれません。
坂の街・ブレスト
20kmのダウンヒルを終えて、一つ丘を越えるとランデルノーという大きめの街を通過します。
ランデルノーとブレストは、PBPルートでも例外的に信号が多い街。とはいえ、東京都心ほどの信号密度ではなく、日本の地方都市くらいの信号頻度です。
ランデルノーで妻にようやく追いつきました。カレを出た時間の差は10分ほどだったはずですが、追いつくのに80kmも掛かるとは。実は見てない所では妻は結構速いのかもしれません。
そのまま連れ立ってブレストの街へ。
港町として知られるブレストですが、坂が非常に多い街でもあります。姉妹都市である横須賀市とよく似ていますね。
ブレストの街中の路面には、ツール・ド・フランスのスタート地点になったことを示すペイントがありました。

2021年のツールのグランデパール(1日目のスタート地点)がブレストだったので、恐らくその時のものでしょう。前回は無かったし。
そして、どうやら目標時刻より少しだけ早く、折り返しのブレストのPCに到着できそうです。
