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PBP2023: 本編⑨ PC6:Brest~PC7:Carhaix-Plouguer(699km)

ブレストで折り返して復路に突入。
ここからは制限時間が緩んで楽になる……と思っていたら、そうは問屋が卸しませんでした。
PC6:Brest~PC7:Carhaix-Plouguer(699km)
8/22 10:10、PC6:Brest(606km)到着。クローズ53分前。
ここまでの経過時間は39時間22分。実に上出来なタイムです。
前回はなかったゲート、今回はありました。これがあると「遥々来たもんだ」という気分になります。まだ半分なんですが。
PC6、到着
妻と共にブレストのゲートを潜ろうとすると、駆け寄ってくる女性の姿が。
スタート前にもお会いした、台湾のHanaさんでした。恐らくStanleyさんの応援で一足先にブレスト入りしていたのでしょう。「すごい!すごい!」と日本語で称えてくれました。
Hanaさんにお礼を言い、ゲートを潜ってPC内へ。ブレストのPC内でも結構やることがあります。
- ブルベカードにスタンプを貰う。
- トイレに行く。
- メカニックサービスでフロアポンプを借り、タイヤに空気を補充する。
- チェーンにオイルを塗布する。
- 30分ほど昼寝する。
まずはブルベカードにスタンプをゲット。
今回のコントロールの位置は2015年と同様だったと思います。
施設内のトイレは便座がなかったような記憶があったので、今回は外の仮設トイレ。綺麗でした。
妻がトイレに行っている間に、③と④を済ませておくことにします。
まずはコントロールブースの隣のメカニックサービスでフロアポンプを借りて、空気を補充。2台目の妻の分は、メカニックブースのお兄ちゃんが入れてくれました。ありがとうございます。
次に、チェーンに注油。ルブは安定のヴィプロス「muon」です。
空気圧、変速ともに良好。これで復路600kmも走り切れるでしょう。
芝生でお昼寝
戻ってきた妻に「30分寝よう」と提案。
3日目の工程は301km。1日目、2日目が200km台だったので、それよりも長くなります。時間に余裕がある今だからこそ一度小休止して体力を回復させるべきと考えました。
ブレストのPCにはいい具合に日陰になっている芝生がありまして、そこで寝ている人が多数。我々もそこに混ざることにしました。
芝生が朝露でしっとりしていたので、こちらの防水シートを敷いてからゴロ寝。
芝生から見上げた空。
……正直、PCの仮眠所よりもこっちの方が快適なのでは……? 風が気持ちよく、すぐに寝入ってしまいました。
リスタート
30分後にアラームで起床。野外なので、普通にスマホの音が鳴るアラームです。
妻を起こして、自転車を駐輪場から取り出してリスタート。
昼寝を入れたことでブレストのPC滞在は1時間20分と長めになりましたが、だいぶ元気が戻ってきました。相変わらず胃酸は出ていますが、なんとかなりそう。
11:30、ブレストのPCをリスタートしました。スタートからの経過時刻は40時間42分です。
胃薬を買う
PCを出発すると登り坂。その登り坂の途中に緑十字を発見。薬局です。
妻には先に行ってもらい、私はここで胃酸過多を抑える薬を買うことにしました。
翻訳アプリに「胃酸の分泌を抑える薬をください」と入力して店の方に見せると、薬を持ってきてくれました。
今回出してもらったのは、パントプラゾールという薬。
調べてみると、逆流性食道炎用の薬のようです。1日1錠、8錠入りで8ユーロだったと思います。
早速飲んだ所、その後は胃酸に悩まされることがありませんでした。素晴らしい。
2錠使っているのは、ゴール後の夜にまた胃酸過多に悩まされたからです。道中の使用は1錠だけでした。
プルガステル橋へ
薬局の買い物はスムーズで、2-3分で離脱。すぐに妻にも追いつきました。
PBPにおける象徴的な場所の一つ、「プルガステル橋」です。
川の河口にある橋で、眼の前は大西洋。日本で言えば銚子大橋的な場所?
いつもであれば南側からのアプローチなんですが、今回は北側からのアプローチ。新鮮な風景でした。
大西洋を前に記念撮影。
ここで、写真を撮ってるtriさんに出会いました。
「ぜっとさんから聞いたかもしれないけど、途中のベッドがある私設エイドでbaruさんにそっくりな人が寝てるのを見たんだよね~。
でも起きたら全然別人で!しかも日本人じゃない!」
どうやら私のそっくりさんが参加者の中にいるようです。誰だったんだろう?
初ルートの洗礼
橋の終わりで妻とは別行動を開始。次に会うのは、計画通りならばルデアックのホテルです。
プルガステル橋を渡り終えて10kmほど走ると、そこから先は従来のPBPでは使われたことがない新コースとなる区間でした。
この区間、数値の上では全区間中もっとも斜度がキツイ区間。平均斜度は1.28%。
とはいえ、そこまで大したことはないだろう……と高をくくっていたのですが、甘かったです。
PBPコースに現れる坂は、街の手前を除いて5%未満のアウターで登れるような坂が大半を占めます。日本の峠道のような、7-10%の坂はかなりのレアキャラです。
しかし、この区間だけは違いました。
出てくる坂の斜度は6-8%ばかり。日本の峠道っぽい斜度ですが、これまでの区間との坂のリズムの違いに苦しめられました。他の区間が軽快なロックミュージックだとすれば、この区間だけヘヴィーメタルです。
恐らく初参加の人は「こんなもんだろう」と受け流した人が多いかと思います。一方、リピーター参加者はブレストからの折返し後はそんなにキツくないイメージを持っているため、「記憶と違う!!」となっていたと思います。私はそうでした。
次回もこのルートが採用されるならば、折返したあとも気を抜いてはいけません。
更に厄介だったのは、そこに暑さが加わることです。
ブルターニュ地方、中でもブレストのあるフィニステール県はフランスの中でもっとも涼しい地域。暑いイメージが全く無かったのですが、今回はとても暑かったです。
あまりに暑いので、途中の街では積極的に休憩を入れていました。
これはHôpital-Camfroutという街にある「Boulangerie Le Goff」というパン屋で買ったケーキ。フランスのケーキはどの店も美味しい。やっぱりクリームの濃厚さが違いますね。
このパン屋の前はいい具合に日陰になっていたこともあり、多くの参加者が吸い寄せられていました。さかきさんともここでお会いしたはず。
その後も他区間よりもキツめのアップダウンが繰り返されたので、時々木陰の芝生に寝転んで1-2分ほど空を見上げて身体を冷却していました。信号で止まったと思えば、この程度の停止はなんてことはありません。
シークレットPC(復路)
ブレストを出発してから54km、Pleyben(プレバン)という街に入りました。
坂を登りきった所で、スタッフシャツを着た方が「Controle!!」と呼び込みをしています。あれ、復路のシークレットPCはGouarecだと予想していたのに……どうやら違ったようです。
プレバンのシークレットPCで、ブルベカードにスタンプをゲット。「SALLE ARVEST Pleyben」という劇場がPCに指定されていました。
今回は往復共にWelcome Pointではない場所がシークレットPCに指定されていました。前回は「WPだからスルーしちゃおう」って人が多かったということかもしれません。不意打ちのほうがシークレットとしては気づきやすいですし。
しかし、この斜度が厳しい区間でシークレットPCが挟まるのは辛いですね。15分くらいはロスしますし、ギリギリ隊の人にとどめを刺すようなシークレットの配置だったと思います。
ここでは、外の売店でガレット・ソーセージを食べました。
カレ手前のパン屋で休憩
その後も暑い時間帯の走行ということで、適宜休止を入れながら進んで行きました。
この区間、グロス17km/hを見込んでいましたが、現実的には15km/hほどしか出ていません。見積もりが甘かった。
17時すぎに、ようやくカレの街に入りました。あと1kmほど走ればPCですが、この辺りは多くの飲食店がPBPのために店を開けてくれています。混雑するPCよりも、ここで食事とトイレを済ませておいたほうが得策と考えました。
前回も立ち寄ったパン屋「Ar Boued Mad」がテラス席を出して営業していたので、こちらで休憩していくことに。
クリーム入りのパンと飲み物で休憩。トイレも貸して頂きました。
これで次のカレはブルベカードにスタンプを貰うだけで離脱できそうです。
