4iiii「PRECISION」が2→3にバージョンアップ

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4iiiiのクランク式パワーメーターがメジャーバージョンアップ。

かなり面白い変化をしているので取り上げてみたいと思います。

目次

4iiiiがバージョンアップ

Twitterを眺めていたら、4iiiiがバージョンアップした旨のツイートが流れてきました。

4iiii PRECISION

4iiiiの販売する「PRECISION」は、人気の高いクランク型パワーメーター。CR2032のコイン電池で稼働するのが特徴です。

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私も使っています。精度的にも問題なく、温度補正機能も付いているということで不満なし。現在2本所有しています。

なお、4iiiiは充電型の「Podiiiium」も販売しています。

新型「PRECISON 3」発売

road.cc
4iiii makes new Precision 3 power meter slimmer for better frame compatibility The latest in 4iiii’s Precision range claims a weight of just 9g, an 800-hour battery life, +/-1% accuracy and backwards compatibility with the current Precisio...

そんなPRECISONに新型発売のニュースが流れてきました。

その名も「PRECISON 3」。それまでは「PRECISION 2.0」だったので、分かりやすくバージョンが2→3に上がったということですね。



発表と同時に販売も開始されており、PBKでは既に新型PRECISONを購入可能です

なお、今回発売となったのは左クランクのみの片側計測タイプで、右側クランクや両側クランクの製品は発売されていません。

(2022/3/13追記)

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国内代理店のトライスポーツのサイトにもPRECISON 3の情報が掲載されました。記載時点ではPBKの販売価格よりも国内価格のほうが安くなっています。

新型PRECISONの変更点

今回は色々と興味深いバージョンアップをしているので、一つ一つ見ていこうと思います。

稼働時間が100→800時間(!)に

驚いたのは、稼働時間の大幅増加。なんと、100→800時間と一気に8倍になっています。

電池は相変わらずCR2032×1枚なんですが……何か技術革新でもあったんでしょうか?

制限時間120時間前後のLEL(ロンドン-エジンバラ-ロンドン)でPRECISON 2を使った場合は電池交換が必要になる可能性がありますが、PRESICION 3ではどんなに距離の長いブルベに出ても大丈夫そうです。

・Garmin Vector3: 120時間
・Stages Power: 200時間
・SHIMANO FC-R9100-P: 300時間
・ASSIOMA: 50時間

これはライバルメーカーのパワーメーターと比べても明らかに長いですね。

厚みが8.2→5.5mmに

個人的に一番興味を惹かれたのはここです。

なんと、従来よりも2.7mmの薄型化に成功。その分、ユニットの横幅は大きくなっているようですが。

4iiiiは以下のように主張しています。

高さ5.5mmのPRECISION3は、市場に出回っているほぼすべての自転車フレームと互換性があります。

これは恐らく、グラベルロードとBB脇ブレーキの層を取り込みに来ましたね

こちらの画像は、私がかつて乗っていた「BOTTECCHIA T1 Tourmalet」のチェーンステー部分を拡大したものです。

チェーンステーから張り出したBB脇ブレーキと、クランクのクリアランスが非常に狭いことがお分かりでしょうか。写真のクランクは普通のクランクでパワーメーターは付いていませんが、ここにパワーメーターが付くと干渉してしまうのです。PRECISON 2でも実験をしましたが、見事に干渉。

BB脇のブレーキのフレームはこうなることが多く、従来は工夫(張り出しの少ないサードパーティーのブレーキに変更する)をしないとクランク型パワーメーターを使うことが出来ませんでした。

しかし、今回の新型PRECISIONは、特に工夫もなくこうしたフレームでも取り付けできる可能性があります

前回、PRECISION 2で試した時には、ブレーキと1mm程度の干渉をしていました。今回のバージョンアップで2.7mm薄くなっているので、恐らく干渉することはないのではないか?と見ています。

ただ、干渉の度合いはブレーキの付く位置でも変わるので結局は現物合わせになってしまうのですが。

また、昨今流行りのグラベルロードはチェーンステーの張り出しが大きく、従来のクランク型パワーメーターでは干渉の可能性がありました(写真は紙一枚でギリギリ干渉しなかった様子)。これについても解消される可能性は高いです。

これまで「干渉」が理由でクランク型パワーメーターを諦めて、ペダル型を使っていた人は少なくなかったと思います。そういった層を4iiiiは薄型化で取り込もうとしているわけですね。素晴らしい。

インジケーターライトを搭載

本体に電池残量を表すインジケーターが搭載された模様です。

まぁ今までも電池残量が少なくなると、サイコン側に通知が来るようにはなっていました。それでも、本体側で電池残量が分かるのは便利。

変更点まとめ表

2→3の変更点を一覧化してみました。

PRECISION 2 PRECISION 3
稼働時間 100時間
(CR2032×1枚)
800時間
(CR2032×1枚)
ユニット最大厚 8.2mm 5.5mm
重量 9g 9g
精度 ±1% ±1%
通信規格 ANT+, Bluetooth ANT+, Bluetooth
防水規格 IPX7, IPX5 IPX7
動作温度 0-50℃ 0-50℃
パワー範囲 0-4000W 0-4000W
ケイデンス範囲 30-150rpm 30-170rpm

よく見ると、防水規格が退化していますね……。IPX5&IPX7だったものが、IPX7のみになっています。

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こちらの記事でも書きましたが、自転車製品にとって適した防水規格はIPX4・IPX5・IPX6あたりで、IPX7は適しません。

IPX7は「水に沈めた時」の防水性なので、「クランクを水の中に沈めることがあるのか?」という話。無いですよね。

PRECISION 2はIPX5だったので雨天走行も安心でしたが、PRECISON 3はちょっと不安です。

まとめ

新型PRECISIONの紹介でした。

私はPRECISION 2で特に困ってはいないので、今のところはPRECISION 3は静観の構えです。初物は精度とかも分かりませんし。

しかし、こういう順当なバージョンアップは素晴らしいですね。

動作時間を伸ばし、今まで使えなかった人が使えるようにし、値上げはおよそ2500円程度。実にまともな「モノづくり」の姿勢です。

ちょっと気になるのは防水性。これまで大雨の中でも無事でしたが、果たして新型はどうなんでしょう。

著者情報

年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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