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寒冷地の「低温ひび割れ」について
寒冷地、特に北海道内陸部の峠道に良く現れる「低温ひび割れ」についての情報と対策をまとめたページです。
「低温ひび割れ」について
冬場に冷え込む寒冷地に現れる「低温ひび割れ」。
ブルベなどでコレに遭遇し、何も対処をせずに走ると、それなりに長く続くダメージを負うことがあります。この記事は「低温ひび割れ」という厄介な障害物の存在を知ってもらうことと、その対策を考えることがテーマになっています。
低温ひび割れとは
まずはこちらの写真を見てください。
写真右下、矢印で示した部分が「低温ひび割れ」です。
該当部分を拡大して見た図。等間隔に、道路を横切る形で現れます。間隔は場所によりますが、20~50mごとに現れるでしょうか。
低温ひび割れで負うダメージ
見た目では大したことないように見えますが、峠の下りの速度域だと、結構な衝撃を受けます。
50mに1回出現するとして、5kmの峠の下りで100回の衝撃を受ける計算です。1回1回のダメージは小さくても、積み重なると結構なダメージとなります。
この衝撃を甘んじて受け続けた場合、下記のようなダメージを負います。
・手の痛み、痺れ
・尻の痛み、痺れ
・足裏の痛み、痺れ
要は、「自転車と接している体の一部が突き上げによる衝撃でダメージを受ける」ということですね。
![](https://cannonball24.com/wp-content/uploads/CH1200_day4-1-300x264.jpg)
私が過去に低温ひび割れによるダメージを負ったのは、「Clover1200」の4日目、阿寒湖から足寄(あしょろ)町に向かう、足寄峠の下り。
1200kmブルベのラスト150km地点で割りと疲労が溜まっており、衝撃を受け流すような事も出来ず。尻が痛かったのでペダルの上に立って対処していたところ、足裏にかなりのダメージを負いました。ブルベ後、2週間位は痺れと痛みが残った記憶があります。
また、自転車側にもダメージを受ける可能性も。固定の甘いライトやサイコンが吹き飛んだり、マウントが破損する可能性もあります。
発生のメカニズム
「低温ひび割れ」という名前の通り、低温が理由で発生します。
北海道にある国の研究機関「寒地土木研究所」によると、その発生メカニズムは以下のとおりです。
低温ひび割れは、急激な温度の低下によって、舗装体が収縮し延長方向に引っ張られることで、横断方向に、ほぼ一定間隔に生じ、経年的に増えるのが特徴です。
物体は温度が低下すると収縮しますが、道路でもそれが起こるということですね。「温度応力ひび割れ」という別名もあるようでした。
低温ひび割れが出現する場所
「急激な」という所がポイントらしく、北海道でも海に面した場所ではあまり低温ひび割れを見かけることはありません。
一番よく出現するのは、北海道の内陸にある山間部です。内陸は寒暖の差が激しく、低温ひび割れの発生条件を満たしやすいのでしょう。具体的には、先程挙げた足寄峠や、「宗谷岬600」ブルベで通る朱鞠内湖周辺の峠などに出現します。
また、北海道以外でも北陸地方(福井県など)で低温ひび割れを見かけたという報告もあります。
国道16号の千葉・市原付近でも道路を横切る形のひび割れがありますが、あれは低温ひび割れとは別のメカニズムで発生しているものと思われます。
自転車側の対策
さすがに道路行政を動かしたりは難しいので、自転車側で出来る対処を考えてみました。主に、衝撃を緩和する方向性です。
太タイヤ・チューブレスタイヤの使用
タイヤを太くし、エアボリュームを増やして低圧で走ることで、タイヤによる衝撃緩和を狙います。
先日の「宗谷岬600」はコース中に低温ひび割れが出現することを知っていたので、28Cタイヤを入れ(普段は25C)、いつもより気圧を低めにして走りました。多分、通過時点で6気圧くらいだったはず。
これは結構効果があり、衝撃が緩和されていることを実感できました。
他にも、チューブレスタイヤを採用して低圧にする方法もあると思います。いっそのこと、グラベルロードを採用して30Cを超えるタイヤで走ることもアリかもしれません。
サスペンション系パーツを使う
衝撃を緩和するためのアイテムとして、サスペンションシステムがあります。
フォークのサスペンションは言うまでもありませんが、「ステム」「シートポスト」にもそういった機構を搭載したパーツが存在します。
![](https://cannonball24.com/wp-content/uploads/2020/03/IMG_0037-300x225.jpg)
こちらはサスペンションステム。
![](https://cannonball24.com/wp-content/uploads/2020/03/2020_03_01_06-300x225.jpg)
こちらはサスペンションシートポスト。
どちらも結構重量は嵩むのですが、衝撃対策としては効果があるはず。
バニーホップ
「当たらなければどうと言うことはない」というわけで、ジャンプして低温ひび割れを避ける方法です。
着地した時の衝撃よりも低温ひび割れによる衝撃の方が大きいので、効果はあると思います。ただ、ブルベの終盤など、疲れている時にはやりたくても難しい場合もあります。
まとめ
「低温ひび割れ」のメカニズムと、対策案を紹介しました。
存在を知っているのと知らないのとでは結構差があると思うので、北海道を走る予定がある人は是非、「低温ひび割れ」の存在を頭に入れておいてください。北海道内陸の山間部を通るようなブルベの場合には、遭遇する確率はかなり高いはずです。
対策を取るかどうかは個々人の判断にもよるでしょう。私のように体重が重い場合、受ける衝撃も大きくなるので、そういった方は何か対策を考えておいたほうが良いと思います。
著者情報
年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。
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