青森→東京 耐久ラン ⑤安達→宇都宮

仮眠からのリスタート

目を覚ますと、時計は7時43分を指していた。40分ほど眠れたらしい。膝の痛みは多少引いていた。

道の駅「安達」からは、日本百名山にも選出される安達太良山を望むことが出来る。仮眠前、小雨の降っていた空はすっかり晴れ渡っていた。

さらに、空には大きな虹。眠る前の陰鬱とした気分はすっかり洗い流され、残り距離を走る気力が湧いてきた。まだイケる。


という報告を入れると、次々に「あと1ブルベちょっと!」「もう少し!」と激励の言葉をリプライで頂く。あと200kmが「少し」というのは少々おかしいのではないだろうか……と心の中で苦笑しつつも、こうして背中を押してくれる声を嬉しく感じた。

昔、自分と同じように耐久ランを走った人はこんな風に応援の声を見ることも出来なかったのだ。それに比べれば、自分は恵まれている。絶対に、完走してやる。

気分は上向いたが、膝の痛みが完全に消えたわけではない。時折道端に止まってストレッチを入れながら、二本松~郡山を走り抜けた。郡山はバイパスを通らず、敢えて街中を抜ける。こちらの方が距離は短い。

残り200km

須賀川~矢吹を越えると、那須に向けてルート最後の登りが始まる。その登り始めの地点で「東京まで200km」のキロポストを発見。ここまでの走行距離は524km。本当に「あと200km?もうすぐだな」という気分になってくるのがロングライドの怖いところである。

栃木入り

11時12分、ミニストップ白石女石店に到着。やはり座って食事の取れるイートインはありがたい。天ぷらそばをガツガツと食べる。この期に及んで固形物が食べられる胃腸を有難く思った。

新白河の駅を過ぎ、淡々と登っていくと不意に県境が現れた。「栃木県那須町」。出発から28時間02分、距離にして543km。ようやく東北を抜け、関東地方に突入!!残り距離は180kmあるものの、ここからはほぼ下り基調。よほど大きなトラブルが無ければ走り切れるはずだ。

「栃木に入ったらすぐに宇都宮」と、漠然と思っていたのだが、実は県境から宇都宮までは70kmの距離がある。試走時は追い風だったため、確かにあっという間に駆け抜けたのだが、今回は相変わらずの向かい風。向かい風は嫌いではないのだが、さすがに600kmも向かい風なのには参った。

580km地点、矢板のあたりでようやく風向きの変化を感じる。先ほどまでの南風が収まり、北風へ。残りはたったの150km。当初の目論見では福島から300kmは追い風の恩恵を受けられるはずだったのだが……上手くいかないものだ。

ランドヌールとの出会い

追い風に乗って順調に距離を刻む。氏家駅前の「川岸」交差点で信号待ちをしていると、背後から声を掛けられた。

「ブルベの方ですか?」

振り向くと、自分同様に反射ベストを付けたサイクリストの姿。彼も「いかにもブルベ中」といった出で立ち。しかし、この時間にここを通るブルベなんてあっただろうか?コースが被りそうな「千葉400ハート」は今日の午前で終わっているはずだ。

「いえ、今日は違うんです。青森から走ってまして……そちらは?」
「こちらは”いろは坂”の400kmです。」

実はこの日、AJ千葉主催のブルベが2本同時に行われていた。「BRM1012千葉400ハート」と、「BRM1012千葉400いろは坂」。そういえば、「千葉400ハート」に参加するぜっとさん(本誌Vol3.0「すべりこみランドヌール」)が、

「”千葉400いろは坂”は”千葉400ハート”の15時間後スタートだよ。
本当は同時スタートのはずだったけど、夜間通れない場所があって
急遽変更になったらしい。」

と言っていた。どうやら彼は先頭を走っていたようだが、更にその前に居た私を見かけて声を掛けた……ということらしい。まぁ、確かに自分の格好も「いかにもブルベ中」である。勘違いされても仕方がない。

これから2年後、彼とはPBPで再会しました。ランドナーで70時間台のゴールと、かなり速い人でした。

私は「川岸」交差点を直進、彼は左折していった。後からコースを調べて分かったことだが、「千葉400いろは坂」のコースと、「青森東京」のコースの重複部分はたった1kmのみ。嬉しい偶然だった。

 

次のエピソード

宇都宮バイパス 宇都宮に入った。ここから、R4は二股に分かれる。本道とバイパス。今回はバイパスを使う。 宇都宮から越谷まで、約80kmもの区間を走る通称「新4号バイパス」は、ほぼ全編通して自転車通行可能なバイパスである。交差する道の[…]