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CATEYE「VOLT800 NEO」ファーストインプレッション
ついに発売となったCATEYEの新作ライト「VOLT800 NEO」を購入しました。
購入直後の速報記事となります。
購入まで
2023年1月28日。ようやく発売となったCATEYE「VOLT800 NEO」を買いました。言うまでもありませんが、名作ライト「VOLT800」の後継品です。
なお、本製品は実店舗販売限定で、通販では販売されていません。
私とVOLT800
CATEYE「VOLT800」は私がもっともメインとして長く使ったライトです。
発売の半年後(2016年3月)に購入し、以来7年間に渡ってブルベにおけるメインライトとして使ってきました。
周囲のブルベ参加者を見てもVOLT800の人気は未だに根強く、まさに「ロングライドにおける定番ライト」であると言えます。
一時期、OLIGHT「RN1500」をメインに据えようとしていたものの、「点灯開始30分で明るさが6割まで落ちる」ということに気づいてからはVOLT800をメインに戻しています。
待ちわびた7年間
VOLT800を愛用してきた7年間は、裏を返すと「VOLT800の後継機を待ち続けた7年間」でもありました。
その辺りの詳細な流れは↓の記事の「まえがき」部分を見て頂ければと思います。
かいつまんで言うと、「それまで1年毎に出ていた後継機が、VOLT800以降は7年間登場しなかった」ということです。
意欲的にリリースされていたVOLTシリーズは進化を止めました。リリース当時は最先端だったライトも、徐々にスペック的に見劣りするものになっていったことは否めません。
VOLT800 NEO発表&発売延期
そして2022年10月、ようやく「VOLT800 NEO」が発表されました。
私は発表を聞いたその日に、近所のサイクルキューブでVOLT800 NEOを予約しました。
当初の発売予定は2022年12月とされていましたが、後に「2023年1~2月」に延期。
年末には兄弟機であるVOLT400 NEOが先行発売。とりあえず1本買いました。
しかし、私の本命はあくまでも「VOLT800 NEO」です。早く使ってみたいのに中々使えない状態にヤキモキしながら待つ日々が続きました。
ついに発売!
そして1月27日。なんとなくTwitterを「VOLT800 NEO」で検索してみると、ワイズロードのツイートが引っかかりました。
待望ライトが遂に出た!CATEYE VOLT800 NEOの発売スタートしました! https://t.co/46r0sgi3VY
— ワイズロード多摩サイ&西東京地区 (@ystamasai) January 26, 2023
ツイート日付を見ると、1月26日。え、もう発売してたんですか?!
サイクルキューブに入荷の確認をしてみると、「まだ入荷していない」とのお答え。入荷予定日は2月21日で変化なしとのことでした。
検索してみると、入荷しているのは全国でもワイズロード各店舗だけのようです。これが業界最大手のパワー……。
追加でもう1本購入へ
サイクルキューブの入荷を待つことも考えました。
しかし、とにかく早く触りたい。もうこれ以上待てないので追加でもう1本購入することにしました。
私はVOLT700を3本、VOLT800を4本購入しています。どうせVOLT800 NEOも複数購入することは確実。ならばもう買ってしまえ!
ワイズロード各店舗も予約分で売り切れの所が多かったのですが、ワイズロード新橋店に電話してみると在庫があるとのこと。取り置きをお願いしました。
そしてついに手に入れました、VOLT800 NEO!!
何度か実機を触る機会はありましたが、「自分のもの」としてようやく手に入ったことが感慨深いです。
7年間、私はこれを待っていました。
ファーストインプレッション
購入後、数十kmの実走と、屋内でのテストを実施しました。
VOLT800からの改善点
旧版のVOLT800との違い(改善点)を以下に示します。
- バッテリー容量が3400mAh→4800mAhに増量
→ 明るさそのままで点灯時間がより長くなった。
→ 全長は長くなり、重量は35g増えた。 - レンズとリフレクターが一新され、配光が円形から楕円形に
→ 光を縦に潰して横にワイドな配光となった。
→ 上方向への光は完全にはカットせずに「軽減」している。 - 充電端子がmicroUSB→Type-Cに変更
→ 充電が高速化し、バッテリー容量が増えたのに充電時間は短縮。 - 上下反転ギミックを搭載
→ブラケットホルダーを入れ替えることで、ハンドルの上と下、どちらにも取り付けが可能になった。
様々な面で進化したと言えます。
パッケージ
まずはパッケージの表側。
「対向への眩しさ軽減」「ハンドル下でもインジケーター確認可」が強調されています。
次に裏面。
配光とセールスポイントが羅列されています。
書いてあることはVOLT400 NEOとほぼ一緒ですが、「3段階のバッテリーインジケーター」「急速充電(2A)」がVOLT800 NEOのみに搭載されている機能です。
続いて側面。
書いてあることはVOLT400 NEOと全く同じ。
中身
パッケージの中身を見ていきます。
含まれるのは以下のもの。
- ライト本体
- フレックスタイトブラケット
- Type-Cケーブル
- マニュアル
Type-CケーブルにもCATEYEマークが入っています。
各部写真
各部の詳細を見ていきます。
充電端子
前作VOLT800はmicroUSB端子でしたが、NEOはType-C端子を搭載。
昨今、スマホもサイコンもType-C端子が一般的になったので、統一されるのが嬉しいです。ブルベでも持ち歩くケーブルが減らせますし。
充電端子のフタは「CATEYE Voltシリーズの充電端子のフタの話」の記事でも書いた、防水透湿シート入のもの。たぶん内部の結露防止を狙ってます。
レンズ・リフレクター
これまでのCATEYEとは異なるカットのレンズを採用してます。縦スリットは確か、横方向に光を拡大させる役割があったような。GVOLT70のレンズにも縦スリットが入ってますよね。
VOLT400 NEOと同じく、レンズ下方向にも切り欠きが入っています。
サイド方向の切り欠きは側方被視認性の観点から理解できますが、下方向は意図が良く分かりません。
スイッチ
VOLT800に比べてスイッチが大きくなり、かつクリック感も明確になりました。冬用グローブでも操作しやすくなっています。
VOLT800 NEO特有なのが、スイッチが3色のインジケーターを兼ねていることです。VOLT400 NEOは赤一色だったので、差別化されています。
点灯中のバッテリー残量を下記の様に示してくれます。
残量50%以上 | グリーン |
残量20-50% | オレンジ |
残量20%未満 | レッド |
実際のインジケーターの写真を以下に示します。
写真だと明確にグリーンに見えますが、肉眼だとここまではっきりグリーンとは認識できませんでした。
なお、充電中もインジケーターが点灯します。
充電完了 | グリーン |
充電50%以上 | オレンジ |
残量50%未満 | レッド |
実際のインジケーターの写真を以下に示します。
重量
重量を実測しました。
実測175g。公称が176gなので、ほぼ公称通り。
VOLT800が140gだったので、35gの増量です。上下入れ替えギミックで+10g、大容量バッテリーの採用で+25gといったところでしょう。
一応、BA-4.8バッテリーのみで実測してみました。
実測99gでした。BA-3.4バッテリーが73gだったので、+26gです。
上下入れ替えギミック
ブラケットホルダー(写真中央のパーツ)を差し替えることで、ハンドル吊り下げ時でもスイッチが上を向きます。
ハンドルから吊り下げて使えますが、全長が伸びたので膝に当たらないように工夫が必要かもしれません。
大きさ
VOLT800、VOLT400 NEOとの大きさを比べてみます。
だいぶ長くなりましたね。
バッテリー自体が18650(長さ65mm)から21700(長さ70mm)に変わっていますが、上下入れ替えギミックの分の長さも増えている感じ。
逆さ吊りにしたときに、立ち漕ぎで膝が当たるケースがあるかもしれません。
モード
公称の明るさは前作のVOLT800と変わっていません。バッテリー容量が増えた分、各モードのランタイムがおよそ1.5倍になっています。
VOLT800 | VOLT800 NEO | |
High | 800lm / 2時間00分 | 800lm / 3時間00分 |
Mid | 400lm / 3時間30分 | 400lm / 5時間00分 |
Low | 200lm / 8時間00分 | 200lm / 12時間00分 |
カンデラ値は、Highモードで6500カンデラから6000カンデラに減っています。
後述しますが、VOLT800 NEOは従来よりも横方向にワイドな配光に変化しました。
カンデラ値は一番明るい部分の明るさを表すので、ルーメンが同じで配光がワイドになるとカンデラ値は小さくなります。
操作
モード切替はいつものCATEYEと同じ。
長押しで起動し、シングルクリックでモード切替。モードは、
ハイ→ミドル→ロー→ハイパーコンスタント→点滅
の順に切り替わります。ダブルクリックでどこからでもハイモードが起動します。
出来ればRN1500のように、点灯系と点滅系のモードはループを別にしてほしかったですね(VOLT400 NEOと同じことを書きました)。
連続点灯テスト
当サイト恒例の連続点灯&照度テストも実施しました。
ブルベでの常用モードになると思われるLowモード(200ルーメン/12時間00分)をテストしています。
結果は以下のようになりました。
初期値が14200ルクス、公称点灯時間である12時間経過時点が13190ルクスでした。7%程度の低下であれば、一定光量と言っても差し支えないと考えます。
なお、消灯までの点灯時間は15時間02分でした。公称12時間の所、3時間もの逆サバです。
ただ、計算してみると当然のようにも思えます。
容量3400mAhのバッテリーを積んだVOLT800は、ローモードで10時間程度は使えました。ならば、4800mAhのバッテリーを採用したVOLT800 NEOであれば1.4倍ほどの時間は使えるはず。「12時間と書いてあるが、14時間程度は使えるだろう」とテストする前から思っていました。
東京の冬至(夜が一番長い日)でも、日の入りから日の出までが14時間15分なので、VOLT800 NEOのローモードはまさに「一晩中使える」ライトということになります。キャノボならコレ一本で良いかもしれません。
配光
VOLT800 NEOは、光を縦方向に潰したような光の形状になるように設計されています。
左がVOLT800 NEO、右がVOLT800。
リフレクターとレンズで光を調整し、上方向への光を低減しつつ、ワイドな配光を狙ったことが伺えます。あと、若干800 NEOの光は黄色いですね。
いつもの場所で撮影してきたVOLT800 NEOの主観照射図を↓に示します。
比較対象として、VOLT800の主観照射図も示します。
ローモードの200ルーメン同士で比較してみると、明らかにNEOの方が明るく見えます。ただし、VOLT800は光が白色寄り、VOLT800 NEOは暖色寄りなので、人にとって見えやすさが分かれそうではあります。
また、NEOのほうが照射範囲も広いです。特に10~15m先の路面で、光の明るさ・幅ともに最大になるように設計されているようで、実走でも走りやすく感じます。
実際の数値以上のルーメン値が出ているような印象がありますが、ルーメンを計測する機器はないので証明はできません。
少し引いたサドル上の視点からの主観照射画像を↓に示します。
手前は暗め、そして欲しい所に光があるという感じ。ワイドな配光で、路肩もしっかり照らしてくれます。
次に、横方向からの照射画像を示します。
正面~上方向の光を低減していることが分かります。
一方、この手の上方向の光を完全にカットしてしまうと困るのが、「目線より上に設置されている、標識や青看板が見えない」ということです。GVOLTシリーズは上方向の光を完全にカットしているので、こうしたものが見えずに困った経験があります。
VOLT800 NEOは、上方向の光を「カット」ではなく「軽減」するという方向で対処しています。
例えばこれくらい前下がりに設置した場合を見てみます。
青看板の100m手前から点灯した場合、目線より上方向の青看板も照らせていることが分かります。青看板や標識は表面に反射材が使われているので、少量の光でも十分明るく見えるのです。
上方向の光は軽減されており、一番眩しい中心光もやや下方向を向いて照射されているので、対向から見ても眩しくないように調整されています。実に絶妙な配光です。
充電
VOLT800 NEOは、2Aでの高速充電に対応しています。VOLT400 NEOは1Aだったので、上位機種として差別化されています。
実際に充電時の電流を計測してみたところ、このようなグラフになりました。
温度による充電制御がされているようで、十分に低温な時しか2Aは出ないようです。
ただ、公称充電時間の4時間に対して、実測は3時間19分で満充電となりました。
ブルベ中の短い仮眠時間でも満充電まで持っていくことが可能ということですね。素晴らしい。
防水性能
当サイト恒例の「水攻め」も実施しました。
1分程度のシャワーでは特に問題なし。各部のパッキンも確認しましたが、水の侵入は許していませんでした。
公称の防水性能はIPX4となっていますが、雨天走行には十分なスペックを持っていそうです。
また、上下反転ギミックを搭載したことにより、充電端子が常に下方向を向くようになりました。その意味でも防水性能が上がっていると思います。
購入特典
ワイズロードではVOLT800 NEO購入キャンペーンをやっていました。
本来は予約購入者はヘッドウェア、予約なしでの購入者はサイクルキャップと告知されていました。
ワイズロードでは予約なしで購入したのでサイクルキャップがもらえるはずでしたが、まだ特典が入荷していないということでヘッドウェアを頂きました。
こんな柄です。
価格
VOLT800 NEOの定価は17000円+税です。
これに「高い!」という反応をしている方は結構多いのですが、実はVOLT800から定価は据え置きです。
この通り、どちらも定価は同じ。かなり製品としては進化しているのに、定価据え置きというのは驚きです。
正確には、2015年の発売時のVOLT800の定価は16000円+税でした。2021年に1000円値上げされています。
VOLT800は発売当初から通販での割引額が大きく、その意味で多くの人は「12000円くらい」とイメージされるのではないかと思います。実は17000円くらいしたんですよね。
まとめ
現時点での感想を一言で言えば「素晴らしい」です。
7年間は長かったですが、それだけ待った甲斐のある製品に仕上がっていました。
私のようにブルベを走る人間を狙い撃ちしたかのようなスペックですが、長時間使用出来る(=充電の頻度が少ない)ので通勤用途にも良さそうです。通勤に投入するにはちょっと豪華過ぎるお値段ですが。
2月18日に参加する300kmブルベに早速VOLT800 NEOを投入する予定です。恐らく、今年のPBPにも投入するでしょう。
使っていくうちに気になる問題が出てくることも考えられるので(RN1500はそうだった)、しっかりと使い込んだ後、また詳しくレビューしようと思います。
著者情報
年齢: 38歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。