リムブレーキとディスクブレーキの重量&価格差の変化

  • 2020年7月14日
  • 2020年7月15日
  • コラム
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次のロードバイクを、リムブレーキにするか、ディスクブレーキにするか。

Twitterでも最近よく見かける議論です。つい先日もその手の話題を見かけて、私も少し話に加わりました。

ロードバイクを選ぶ上では人それぞれ基準はあると思いますが、価格と重量は重要なファクターではないかと思います。

本稿では、リムブレーキとディスクブレーキ、価格と重量の差は今どれくらいなのか? を調査した結果を報告します。

私の体験(2016年)

私が2016年に初めて買ったディスクロードは型落ちの半額セール品でした。アルテグラ仕様(クランクとスプロケは105相当)で21万円でしたが、定価は40万円です。リムブレーキでアルテグラの105ミックスであれば当時で30万円台前半が相場。それを考えると、中々高い定価です。

初購入のディスクロード

実測重量は、ペダル無しで8.42kg。当時のリムブレーキのアルテグラ完成車と言えば、7kg台後半が普通です。あまりにも重くて驚きました。

この頃は、各社リムブレーキのモデルをマイナーチェンジしてディスクブレーキのモデルを作っていました。私が買ったディスクロードにもリムブレーキ版があり、その重量は7.6kgほどでした。800gほど軽かったのです。

この傾向は私が買ったメーカーだけではなく、どこのメーカーのどのモデルを見ても、「ディスクの方が値段が高い」「ディスクの方が重い」という傾向がありました。

「高い」「重い」理由

値段が高いのは、同じグレードのコンポでも、ディスクの用のほうが数万円高く設定されているのが理由でしょう。フレームもディスク台座等やスルーアクスルの付属等で少し高く値段を設定されているかもしれません。

重量が重いのは、同じグレードのコンポでもディスク用の方が重いことに加え、ホイール自体もスポークを増やす必要がある&ディスクローターが付くことによる重量化があるのだと思います。

2016年頃の傾向

2016年当時に同グレードのフレーム・コンポで組まれた完成車について、ざっと調べてみたところ、以下の傾向がありました。

・ディスクブレーキの方が5-10万円高い
・ディスクブレーキの方が600-700g重い
一言で言えば、ディスクブレーキは「高いのに重い」わけです。
高いお金と重さという代償を払いながら、得られるのが「安定したブレーキ性能」のみというのはいささかユーザーとしては納得が行きかねるところですが……。私に限って言えば、体重が重くて雨の中でも走るので、「安定したブレーキ性能」に意味があると思ってディスクロードを購入しました。しかし、メリットをあまり感じられない人も多いでしょう。

ディスクをリム並の重量にするための金額

私を含めてロード乗りは軽量化が大好きであることが多く、出来る範囲で車体を軽くしようとします。しかし、600-700gという重量はそうそう簡単に減らせるものではありません。
私は初めて買ったディスクロードを「せめてリムブレーキ版と同等の重さにしよう」と思い立って色々軽量化を施し、最終的には7.7kgまで持っていきました。それまでに、なんだかんだで20万円くらい掛かりました。ホイール・シートポスト・ハンドル・サドル・ローターを変えるとこれくらいは普通に掛かってしまいます。
私は元々半額で購入しているので、ようやく元の定価に収まるくらいの金額しか掛かっていません。ただ、もし定価で買っていた場合、最初にリムブレーキより5-10万円を多く払っているので、総額25-30万円程度は余計にお金が掛かる事になります。
「乗り味が軽ければいいじゃないか」という声もありましょうが、個人的には「持って軽いのも大事」だと思っています。輪行の時にも楽ですし。

重量/価格差は変化したのか?

前の章で書いたのは、あくまで2016年の話です。

それから4年。ディスクロード用のコンポーネントやホイール等のパーツは着実に前進しました。ざっと、その間のディスクロード周辺に起きた変化を示します。

・Dura-Ace R9100発表(2016/06)
・Ultegra R8000発表 (2017/06)
・105 R7000発表 (2018/04)
・各社のホイールがワイドリム化(2016~18)
・GIANTがホイールをフックレス化(2020/04)

シマノの各グレードのコンポーネントにディスク用パーツが加わったのは大きな変化だと思います。それまではグレード外のパーツとしてディスク用パーツが存在していましたが、それらはまだまだ実践的とは言えないものだったと思います。Dura-Aceにディスクブレーキが加わって、シマノが「そろそろディスクに本気出す」というメッセージが発されたわけですね。ブレーキもフラットマウントが当たり前になり、STIも軽量化されました。

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ディスクブレーキになったことで、より太いタイヤが履けるようになったこともあり、ワイドリム化はどんどん進行しています。ワイドリム化は、重量的には増える方向に働くファクターです。ホイール単体で見れば、ここ数年で平均重量は上昇傾向にあると思います。

ホイールに関してもう一つ大きな変化が「フックレスリム」です。チューブレスタイヤ専用のリムで、ビードを引っ掛けるフックを廃すことで大幅な軽量化が可能になりました。GIANTは既に、一部の完成車にフックレスリムのホイールを付けるようになってきています。


これらの変化から、私は一つの仮説を立てました。

「リムブレーキとディスクブレーキの重量差/価格差は縮まってきているのではないか?」

ワイドリム化という逆向きのファクターもありますが、これはリムブレーキでも同じこと。そして、ディスクブレーキ用パーツは全体的には軽量化の方向へ向かっています。

価格差については縮まる要素は特に見当たらないのですが、各社ともにディスクブレーキを売りたい・注力していくことは確かだと思うので戦略的に値段を下げてくる可能性はあるかもしれないと考えました。

現状の調査結果

ということで、2020年7月現在、「リムブレーキとディスクブレーキの価格/重量差はどれくらいあるのか?」を調査してみました。

調査方法

以下の条件に当てはまる完成車を抽出し、リムブレーキ版とディスクブレーキ版の重量・価格の差を調べます。

・リム版とディスク版で同グレードのコンポと同等のパーツで組まれた完成車が同時にラインナップされていること
・公称重量が公開されていること
例えば、GIANTのTCRにはリムブレーキ版とディスクブレーキ版が現在でも同時にラインナップされています。こういった物を探すわけです。
調べてみると、もはや「フレーム売りのみ(完成車を売らない)」「ディスク用のフレームしか作っていない」メーカーが多すぎて、上記の条件に当てはまるメーカーは両手で足りるほどしかありませんでした。サンプル数が少なくてデータとしては微妙かもしれませんが、ご了承ください。あと、公称重量もアテにはならないのですが(大抵サバ読んでいる)、同じメーカー同士なら同じようなサバ読み方をすると見ています。
フラグシップでリムブレーキのフレームを出しているメーカーがかなり減っており、ちょっと衝撃を受けたことを書き添えておきます。

調査結果(2020年)

これが2020年7月現在の調査結果です。

重量比と価格比の平均を取ってみると、ディスクブレーキのほうが「15.2%高い」「5.7%重い」という結果になりました。

例えば、リムブレーキ版が「300000円で8kg」のロードがあったとして、そのディスクブレーキ版は「345600円で8.46kg」くらいが普通、ということになります。30万円台のミドルグレードで45600円の価格差、460gの重量差をどうみるか?ですね。

調査結果(2018年)

比較として、2018年モデル(2017年12月/Web Archiveより)のデータも見てみましょう。本来は2016年のデータを出したかったのですが、その頃はディスクロードを出していたメーカーがそもそも少数だったので、ほぼ全メーカーがディスクロードをラインナップした2018年モデルのデータを取りました。

重量比と価格比の平均を取ってみると、ディスクブレーキのほうが「18.9%高い」「8.9%重い」という結果になりました。

例えば、リムブレーキ版が「300000円で8kg」のロードがあったとして、そのディスクブレーキ版は「356700円で8.71kg」くらいが2018年の相場だったということです。2016年頃に体感としてあった「5~10万円高くて、6~700g重くなる」というのは、ミドルグレードでは正しかったということになります。

2018年モデルと2020年モデルとを比べると、価格も重量もリムブレーキとの差は縮まっています。2018年には既にDura-AceとUltegraは現行品が出ていましたので、コンポの部分では特に変化はないはず。となると、フレーム化ホイールで多少の軽量化が進んだということでしょうか。リムブレーキとディスクブレーキだと、後者のフレームが重いのが常識でしたが、その差は縮まってきているのかもしれません。

あと、ホイールもフックレスリム化や新設計の影響で多少は軽くなった可能性もあります。2020年モデルの完成車に付属することが多いFulcrum Racing5 DBは、1610gとそこそこ軽いんですよね。

まとめ

2018年と2020年のデータの変化を見ると、リムブレーキとディスクブレーキの完成車の価格差・重量差は徐々に縮まってきているようです。

ただ、比較ができるのも、各社がリムブレーキ版とディスクブレーキ版のフレームを並行販売しているからです。ディスクブレーキ版のみになったら比較も出来ません。

既に2020年モデルの時点で、大半のメーカーがフラグシップをディスクブレーキ版のみに絞ってきています。リムブレーキのフレームが欲しければ、ミドルグレード以下か型落ち品を買うしか無いという状況に既になってきているわけです。リムブレーキとディスクブレーキではフレーム設計の勘所も違うでしょうし、現在並行販売しているメーカーであっても、この先は上位モデルから順にリムブレーキ版は消えていくのだと思います。

来年にもリリースされると予想される、R9200 Dura-Aceでは、更にリムブレーキとディスクブレーキのコンポの重量差は縮まってくるでしょう。ただ、リムブレーキ用のコンポが出ない可能性も囁かれていますが……そうなると比較も出来ませんね。もしそうなったら、望む望まざるにかかわらず、ディスクブレーキに移行する必要が出てきてしまいます。リムブレーキのロードフレームはヴィンテージと化します。

昨年、IT業界では「Windows7のサポート終了」という出来事があり、強制的にWindows10へのアップデートが進みました。似たようなことが自転車業界で起こる気配はあります。

リムブレーキにもディスクブレーキにも良い点があります。その人の使い方によって選べたり、使い分けられるのが理想だと思うのですが……。どちらも生き残る未来を模索してほしいものです。

著者情報

年齢: 35歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。