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箱根越え 主要4ルートの比較
キャノボ最大の難関・箱根。
箱根の越え方はどれが良いのか、キャノンボーラーたちは長年に渡り議論を重ねてきました。本ページでは、箱根越えの主なルートについて比較を行います。
箱根越えルートの変遷
箱根越えのルートは流行り廃りがあります。その歴史を振り返ってみます。
~2010年
2010年あたりまでは、R1で箱根越えをするのが主流でした。
箱根旧道に比べると斜度は緩やかなので、登るのも下るのも体への負担は少なくて済みます。ただし、箱根旧道に比べると100mほど余計に登る必要があり、距離も長いのがネックでした。
2010~2017年
2010~2017年くらいまでは、箱根旧道を通るルートが主流になります。
距離の短さ・獲得標高の低さが正義だということがデータとして分かってきたのが大きかったと思われます。
2017年~
2017年から主流になったのが、箱根を通らずに御殿場を経由するR246ルート。
距離こそ箱根旧道を通った場合と変わらないものの、神奈川県内のアップダウンの多さから、かつては敬遠されていました。
しかし、最高標高が500mに満たないほど低くて麓との気温差が小さいことや、R1で箱根を越える場合よりも更に斜度が緩いことなどが見直され、最近はこちらが主流になってきています。
初の熱海経由による達成
そして、2019年。ほとんどの人が選択しなかったルートで初の達成者が現れます。熱海を通る、熱函街道経由のルートでの達成でした。
R246ルートよりも更に獲得標高が少なくはなりますが、距離がかなり伸びてしまうのがネック。
しかし、このルートを選んで達成した「おゆ」さんは、熱海から小田原までの風を味方につけて、見事に24時間切りを達成しました。
なお、おゆさんはこの時が初達成ではなく、それ以前に複数回挑戦し、達成も経験されています。
主なルートの比較
これまでに達成実績のある4つのコースについて、距離・獲得標高・最高標高の観点から比較を行います。
静岡県・東田子の浦駅~東京都・日本国道路元標までの区間で比較を行います。これは、R246ルートが東田子の浦駅あたりから分岐するためです。
比較対象のルートは以下の4つ。ルートはいずれも、なるべく短くなるように引いています。この他にも、富士サファリパークルートや、中原街道ルートなどがありますが、達成数が0なので今回は対象外としました。
数値的な比較結果は以下のようになりました。
ルート名 | 距離[km] | 獲得標高[m] | 最高標高[m] |
箱根旧道ルート | 139.0 | 1231 | 847 |
箱根R1ルート | 144.2 | 1314 | 877 |
R246ルート | 137.6 | 1186 | 458 |
熱函街道ルート | 146.0 | 960 | 416 |
各数値で最も小さいものは緑背景、最も大きいものは赤背景にしています。
距離も獲得標高も小さい方が有利なので、すべてが緑のルートが良いはずですが、どのルートも一長一短があります。
以下に、各ルートの特徴を述べます。
箱根旧道ルート
緑背景も赤背景も無い、最も中庸なルート。そこそこ登るけど、そこそこ距離は短く、達成者数も最も多いルートのはずです。
最高標高は800mを越えるため、麓からの気温差は大きくなります。冬場は特に冷えるので、ここで体を冷やしてリタイヤしてしまう人もしばしば。冬場にこちらのルートを選ぶ場合は、防寒対策をしっかりと行う必要があるでしょう。
なお、小田原側の斜面は、いわゆる激坂です。
最大斜度は15%を越え、噂に名高い「七曲り」もあります。東京発の場合は足を使いすぎないように注意し、大阪発の場合はブレーキングに気をつけてください。
箱根R1ルート
かつてはメインであったルート。私が達成したのはこちらのルートです。しかし、獲得標高・最高標高ともに大きく、今ではほとんど使う人はいません。
記念撮影スポットでもある「国道1号最高地点」を通るため、達成感は大きいです。また、小田原側の斜度は旧道に比べれば緩くなっています。
このため、東京発ならば足への負担は小さく、大阪発ならばブレーキングで握力を使いすぎることも無いでしょう。
ただし、距離も長めで獲得標高も多いため、こだわりが無いのであれば、今の時代にあえて選ぶ必要はないと思います。
R246ルート
近年人気のルートです。かつては長後街道を使うルートがよく使われていましたが、現在は御殿場~日本橋間をフルにR246で走ってしまうルートがよく使われます。
これにより、距離的には4つのルートの中で一番短く走れるルートとなりました。最高標高も458mと低く、上りの斜度も緩いので、脚が残せるのも人気の理由。
ただし、獲得標高は箱根旧道ルートとほぼ同じです。
ヤビツ峠そばの善波峠を始め、R246はとにかくアップダウンが多くなっています。一つ一つの坂は小さいので、下りの勢いで登りきれる坂は多いのですが、谷部分で信号に引っかかることもしばしば。自転車通行不可の陸橋もR246には多いので、事前の予習は必須です。
また、昼夜を問わず交通量が多く、路肩も狭いので、被視認性を高める装備は多く身に着けたほうが良いでしょう。
熱函街道ルート
距離は4つのルートの中で一番長いですが、獲得標高・最高標高ともに一番小さいルートです。
ブルベでは頻出のルートですが、キャノボで使う人はあまり多くありません。やはり、距離が相当伸びるのが理由でしょう。
最短のR246ルートに比べると、実に8.4kmの差があります。1-2km程度なら獲得標高の差で取り戻せる可能性は高いですが、8km差はそうそう取り返すことは出来ません。
また、熱海側の上りは非常に斜度が急です。箱根旧道と同様に厄介な坂であると言えます。
このルートを使って達成した、前述の「おゆ」さんは、大阪発で強い南風の日にこのルートを選択しました。熱海から小田原までの約20kmは追い風の恩恵を受けることに成功しています。
このような限られた条件の場合は強みを発揮するルートと言えるでしょう。
まとめ
箱根越えの4つのルートの比較を行いました。
どのルートも一長一短ですが、季節や風向き、脚質によっても最適なルートは変わってくるはずです。自分の挑戦時に最も有利になるよう、ルートを選んでみてください。
(完)