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厚みに着目したSHIMANO互換ブレーキパッドの比較
手元にあるシマノの純正ブレーキパッドと、互換パッド(ベスラ・グロータック)を見比べていて気付いたことが有ったので書き残しておきます。
まえがき
話は、昨日「ブルーグラス所沢」というお店でベスラのブレーキパッドを買ったところから始まります。
ベスラの互換パッドを購入
ブルーグラス所沢は、所沢にある自転車ショップです。大型の看板犬二匹が出迎えてくれます。
そちらでオススメ頂いた「ベスラ(Vesrah)」のシマノ互換ブレーキパッドを購入しました。シマノより耐久性が良いとのことで。
私のディスクロードに付いているのはシマノのブレーキキャリパーではなく、グロータックのEQUALブレーキキャリパー。ただ、EQUALのパッドはシマノ製のパッドも使えるので、それならばシマノ互換のパッドも使えることになります。
ブレーキパッドの寿命
今私が使っているのは、グロータックがEQUALブレーキ用に販売しているブレーキパッド。
EQUALブレーキに組み替えてから4ヶ月。走行距離は3000kmになります。
苦戦しながら何とか前輪のブレーキパッドを交換した。左が新品、右が使用後。まだ行けたような気もするけど、新年だし…ってことで。
たぶん使用距離は3000kmくらい。 pic.twitter.com/5tWzllyN4u
— ばる (@barubaru24) January 12, 2021
前に使っていたシマノのブレーキパッド(L03A)は3000kmで前側が写真の状態でした。厚みを実測(全体の厚み – プレートの厚み)してみましたが、一番薄い所は0.4mm。シマノ的には0.5mmを切ると寿命とされているので、既に寿命は終わっています。
リムブレーキのブレーキシューが4~5000km持ったことを考えると、ディスクブレーキのブレーキパッドが3000kmというのは短い気もします。
検索してみると他の方も前側のブレーキパッド(シマノのレジンパッドの場合)は3~4000kmで寿命となっているケースが多いようです。そういうものなんですね。
パッドを交換しようとするも…?
そんなこんなで、所沢から帰宅後、ブレーキパッドを交換することにしました。
「また以前みたいに相当パッドの残りが少ないんだろうなー」と思いながら外してみたら、明らかにパッドがまだまだ残ってるんですよね。
ちなみに私はオンロードでしか使用せず、主な用途はロングライドです。雨天走行は一度ありましたが、3000kmのうちの100kmにも満たないはずです。
実測してみると、パッドは1.3mm残っていました。シマノの言う「0.5mmを切ったら交換」を基準とすれば、あと0.8mm分は寿命が残っているということです。
ちなみに、左右のパッド共に残りは1.3mm程度でした。EQUALブレーキはいわゆる「片押し」なので、ピストンのある側の方のパッドが減りそうなイメージでしたが、左右均等な減り方をしています。こまめにパッドの位置を調整していたのが良かったのかもしれません。
あと何km使えるのか?
ここで気になるのは、「あと何km使えるのか?」ということ。
あと0.8mm分は寿命が残っているわけですが、それは一体何kmの走行に相当するのか。それを知るには、「3000kmで何mm減ったか」を知る必要があります。
「何mm減ったか」を知るには、減る前の厚みが必要です。幸い、うちには予備用として買っておいたグロータックの新品ブレーキパッドがありました。
ノギスを使って計測してみると、プレートの厚みは2.1mm、パッドの初期厚みは1.8mmであることが分かりました。
3000km走行後のパッドの厚みは1.3mmであることから、摩耗して減った厚みは0.5mmであるということになります。400kmブルベのラスト50kmは雨天走行だったというのに、思った以上に減ってない。
0.5mmのパッド消費で3000km走れるということは、残り0.8mmのパッドで走れる距離は約5000kmと計算できます。
つまり、グロータックのパッドを使って新品から寿命までに走れる距離は、
3000+5000 = 8000km
ということになります(前輪の場合)。
ブレーキパッドの減り方は、ブレーキングの仕方や乗り手の体重によっても変わるので、あくまで「私の場合は」ということになりますが。シマノのパッドが3000kmで寿命を迎えたことを考えると、随分長持ちですね。
まだまだ使えそうなEQUALのパッドは掃除をしてそのまま元に戻しました。あと5000kmくらい走ったら交換することにします。
他のパッドはどうなのか
ここまでやって気になったのは、「他のパッドはどうなのか?」という点。
前置きが長くなりましたが、この記事の本題は「厚み」に着目したブレーキパッドの比較となります。
性能は一旦置いておいて、厚みにフォーカスして考えていきます。
3つのブレーキパッドの比較
用意したのは3種類のブレーキパッドです。
・Vesrah「BP-052 Trail」
・GROWTAC「EQUALブレーキパッド」
これらについて、「厚み」を中心に考えていきます。
測定値
まずは、新品状態でのプレート厚・パッド厚を精密ノギスで測定してみました。
製品名 | プレート厚 | 初期パッド厚 | 重量 |
SHIMANO「L03A(レジンパッド)」 | 1.7mm | 2.3mm | 15.4g |
Vesrah「BP-052 Trail」 | 1.6mm | 2.3mm | 14.8g |
GROWTAC「EQUALブレーキパッド」 | 2.1mm | 1.8mm | 8.1g |
シマノとベスラはほぼプレートとパッドの厚みが同じですが、グロータックだけ様子が異なります。グロータックはプレートが厚く、パッドが薄いんですね。
一応グロータックのパッドもベスラが製造しているはずなんですが、明らかにグロータックのパッドは独自の設計になっています。
(2022年2月7日・追記)
Twitterにて、グロータック公式から以下のご指摘を頂きました。
大変申し訳ありません!
プレートの厚みに関しては、仕様変更がございまして、購入時期や在庫等によって新旧が混在しております。
新仕様はTrail同様にプレートが薄くなり、パッドの厚みが増えました。
パッド素材の変更もないため、単純に寿命が延びるといった仕様となっております!— グログロ君@GROWTAC公式 (@growtac) February 7, 2022
ということで、現在の仕様(プレートとパッドの厚み)はベスラのものと共通であるようです。
私が現在使用中のパッドと手元にあった予備のパッドは旧仕様のものであるようで。新仕様はプレートが0.5mm薄くなり、パッドが0.5mm厚くなっているようです。
パッドの素材はそのままということなので、単純に寿命が0.5mm分伸びるということですけども……そうなると推定寿命は11000kmってことになるんですが。本当にそれだけ持つなら凄い。
パッドの距離あたりの減り方
次に、EQUALブレーキパッドと、シマノのL03Aパッドがどのように減るかを比べてみたいと思います。ベスラはまだ使っていないので対象外。
私が使った場合の前側のパッドについてのデータをまとめると以下のようになります。
製品名 | 初期パッド厚 | 走行1000kmあたりの摩耗量 | 残0.5mmに至るまでの走行距離 |
SHIMANO「L03A(レジンパッド)」 | 2.3mm | 0.63mm | 3000km |
GROWTAC「EQUALブレーキパッド」 | 旧仕様: 1.8mm 新仕様: 2.3mm |
0.16mm | 旧仕様: 8000km 新仕様: 11000km |
1000kmあたりの摩耗量を計算してみると、「グロータックよりもシマノのパッドのほうが4倍減りやすい」ということになります。
シマノのほうが使用可能なパッド厚は0.5mm大きいわけですが、4倍早く減るので最終的な寿命はグロータックの方が長くなるわけですね。結構びっくりする差です。
ただ、「パッドが削れやすい」ということは、言い換えれば「ローターへの攻撃性が低い」ということでもあります。
グロータックのパッドの成分はレジンがメインながらメタル成分もブレンドされており、純粋なレジンパッドよりはローターへの攻撃性が高いはず。
シマノのレジンパッドはあえて削れやすくすることで、ローターの寿命を伸ばす設計思想なのかもしれません。
その割に、シマノのレジンパッドでしか使っていなかったローターはたった7~8000kmで寿命を迎える計算となりましたが……EQUALブレーキパッドで使ったらもっと早く寿命を迎えてしまうんですかね? そこは実験をしてみないと分かりませんが。
まとめ
意外と、各社のパッドの「厚み」に関する違いは大きいことが分かりました。初期のプレート・パッドの厚みにも違いがありますし、削れやすさにも差があります。
パッド交換作業って意外と面倒なもの。なるべく削れにくいパッドを選ぶと交換頻度は減らせるはずです。ただ、その分だけディスクローター側の寿命が早くなる可能性はありますが。
3000kmでパッド交換はちょっと面倒なので、私はしばらくシマノ以外のパッドを使おうと思っています。EQUALブレーキパッドは特に制動力にも不満はないですし、現在シマノのパッドは供給が不安定ですしね。
とりあえずEQUALブレーキパッドを寿命まで使った後、ベスラのTrailパッドを使ってみようと思います。
追記(2022/4/11)
シマノがロード用のブレーキパッドの新バージョンを発売したようです。
今回発売されたのは、ロード用のフィン無しレジンパッド「K05S-RX」。K03Sの後継品のようです。
なるしまのサイトによると、「耐摩耗性が50%向上」しているとのこと。
額面通りに受け取れば寿命が1.5倍になるということで、これまでの3000kmが4500kmまで持つようになると計算出来ます。これくらい持てば実用的な気はします。
なお、既にAmazonでも購入可能です。私は早速1ペア買ってみました。
フィン付きの「L05A-RF」も近日発売されるようです。こちらは「L03A」の後継品です。
著者情報
年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。