サイクルモード東京2022 参加レポート(前編・西ホール)

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2年5ヶ月ぶりの開催となった「サイクルモード東京」。幕張から有明に会場を移しての開催となった国内自転車界最大のイベントのレポートです。

前編は西ホールのブース、後編は南ホールのブースと試乗コースについて書きます。

目次

サイクルモード東京

2019年10月を最後に開催されていなかった、東京でのサイクルモード。

2年ぶりの開催

私としてはパーツメーカーの中の人と話が出来たり、知らない新製品と出会える貴重な場として毎年楽しみにしているイベントでした。そのイベントがコロナの影響で2回連続で中止。結構辛い2年間でありました……。

例年は10月だったサイクルモードですが、今年は4月に開催となることが発表されました。とは言え、暖かくなり始める時期には感染者数も増えるもの。果たして開催されるのか?

戦々恐々としておりましたが、世間の雰囲気的にも問題は無さそう。

かくしてサイクルモード当日を迎えました。

東京ビッグサイトへ

今年の会場は千葉・幕張メッセではなく、東京ビッグサイト。神奈川の我が家からは随分と近くなりました。

妻がデローザオーナーズクラブの特典で頂いたチケットを使わせて頂きます。

会場到着。コミケ以外ではあまり来ないので、何となくコミケ気分。

しかし今日はコミケではなくサイクルモード。

コミケのように全ホール貸し切りというわけではなく、西3-4ホールと南3-4ホールを使っての開催でした。

入場

あまり試乗する気はなかったのですが、試乗受付の用紙に記入し、リストバンドをもらって入場。

いやー……この雰囲気。ついに帰ってきましたね、サイクルモードが!

ブース紹介(西ホール)

ほぼ全てのブースを回ったと思いますが、その中で気になった・面白かったブースを紹介します。

本記事では西ホールのブースを紹介します。

CATEYE

まずはどこよりも先に「CATEYE」に行くと決めていました。

大阪のサイクルモードで若干の「匂わせ」発言があったらしいCATEYE。噂の「Volt後継機」が発表されるのでは……と予想していたからなのですが。

残念ながら新製品として展示されていたライトは、「VIZ300」と「AMPP130」という、サイクルモード大阪で展示された新製品と同じ内容でした。

ただ、スタッフの方に聞くとVolt後継機にあたる製品は鋭意開発中とのこと。こまめにご意見コーナーから要望を出していたのは無駄ではなかったようです。楽しみに待つことにします。

他のライトも見学。久々に「Volt6000」の現物を見ました。

Volt6000を実際に壁に照射して明るさを確認出来るコーナーも。

点灯すると壁が昼間のような明るさに包まれます。同時に、勢いよく回りだす背面のサーキュレーター。展開のCATEYEがバッテリー別体型のライトでここまでやるわけで、やはり5000ルーメンでバッテリー一体型のライトというのは無理があるんじゃないのかな……と思ったのでした。

追記(2日目分)

CATEYEのコンセプトバイクが置かれていました。細かい所までこだわりの詰まった一台になっています。

Muc-off

ケミカルブランド「Muc-off」のブース。

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先日、超高級チェーンルブの「Ludicrous」を購入して使用中ということで、このチェーンルブについてスタッフの方に聞いてみました。

Ludicrousの「持続距離1600km」は、相当慎重に施工した場合に限られるそうで。

超音波洗浄器を用いて徹底的に脱脂した上で、今度は超音波洗浄器を用いて隅々までチェーンルブを行き渡らせないとこの距離は出ないとか。私の場合、脱脂のときには超音波洗浄器を使ったものの、注油の際には使わなかったので、少々施工の手間が足りていなかったかもしれません。

LEZYNE

ライトとポンプで有名なLEZYNE。あまりめぼしい新製品は見つけられませんでした。

そして今年も水に沈められているライトたち。LEZYNEはこの展示方法が好きですけど、この方法では自転車用ライトの防水性アピールとしては不適切だと思うんですけどね……。

なお、CATEYEも同様の展示をしていたので、ライトメーカー的にはこれがスタンダードな防水性アピールなのかもしれません。

Turtle Planning

「サイクルファンディング」コーナーの一角に展示されていたサイクルスタンドのブランドです。

吸盤で壁に貼り付けるタイプのサイクルスタンド。

元々は車のパーツを持ち上げるための吸盤を扱っているメーカーで、耐荷重は余裕を持って20kgに設定しているとのことでした。

吸盤なのでツルツルした壁がないと接地は不可能ですが、ツーバイフォー材とアクリル板を使って施工した例もあるとか。ちょっと面白そうな製品です。

iGPSPORT

日直商会扱いのサイクルコンピューターブランド「iGPSPORT」。

先日発表されたばかりの新製品「iGS630」が早速展示されていました。27000円という価格と35時間稼働というあたりがランドヌールの物欲をそそります。

実機があったので触ってみましたが、なかなかレスポンスは良かったです。地図もOSMが使えるとのこと。gpxファイルも使えると言っていました。

現時点では日本語が若干怪しかったですが、4月中旬のファームウェア配信でこの辺りは是正されるとのことでした。

CLASSIFIED

同じく日直商会扱いのCLASSIFIED。無線変速可能な内装変速ハブを展示していました。

仕組みがよく分かりませんでしたが、スルーアクスルをアンテナとして信号を受信し、ハブ内部のギアをシフトする方式。フロントシングルでもフロント変速に相当する動きができるようになるそうです。

実際にローラーで試してみましたが、ハンドルに付けられたスイッチを押すとフロント変速をしたかのようにペダルが重くなったり軽くなったり。見た目では何も変化がないのですが、ギヤの重さが変わるのは新感覚でした。

FULCRUM

ホイールの定番ブランドであるFULCRUM。個人的に疑問に思っていたことが有ったので代理店の方に聞いてみました。

疑問に感じていたのはスポーク。リムブレーキ時代はエアロスポークを使っていたのに、ディスクブレーキになってからフルクラムは丸スポークを使用するようになったのです。これは何故なのか。

「ローターの影響でフランジ幅も小さくなっているため、剛性を確保するために丸スポークを採用しているようです。
空力的には丸スポークのほうが不利になるのは確かです。
ただ、スポーク本数は他社が24本に対し、フルクラムは21本なので問題ないと考えています。」

とのことでした。割と納得。21本でエアロスポークでも十分剛性は確保できそうな気はしますが、フルクラムの基準には満たないのかもしれませんね。

KABUTO

新製品「AERO-R2」を発表済みのKABUTO。今回は現物を試すことが出来ました。

AERO-R2。フィット感はIZANAGIと変わらない感じ。BOAダイヤル採用なのもありますが、帽体も近いように感じました。色合いも良し。

ただ、発売日は少し予定より遅れるようで、5月中旬以降になりそうとのことでした。出たら多分買います。

Panaracer

AGILESTを発表したばかりのPanaracer。黒山の人だかりが出来ていました。

展示の中心はもちろんAGILESTなのですが……

私が一番気になった製品はコレでした。何気なく置かれた携帯ポンプ。……あんた、見ない顔だね?

スタッフの方に聞いてみると新製品とのこと。そしてこの形状……まさか例のポンプ方式を採用したフロアポンプタイプの携帯ポンプがついに登場? しかも空気圧計付きです。

早速試してみましたが、引きストロークに抵抗感があります。おそらくは「例のポンプ一族」ではないかと推測されますが……発売されたらすぐに試したいですね。

なお、空気圧計は携帯ポンプでよくある「しばらく動かず、いきなり0.5気圧くらい動くタイプ」のもので、そこまで精度は高く無さそうでした。

頂いたカタログにも掲載されており、公称重量は200g。しかし私が持った感じだとせいぜい150gではと言った印象。

そして説明文の「高圧対応」とあることからも、「例のポンプ一族」であることが伺えます。発売が楽しみ。

追記(2日目分)

2日目にもう一度試してきました。気になったのは、高圧性能です。

一旦、フロアポンプで7気圧まで入れた状態からこちらの携帯ポンプで空気を入れてみました。結果としてはかなりポンピングが軽く、やはり「例のポンプ一族」なのではないかと思われます。

例のポンプと同様の構造を採用したフロアポンプタイプの携帯ポンプは恐らく初。フロアポンプタイプの携帯ポンプを好む人も多いので、今後流行りそうな製品だと感じました。

OSTRICH

輪行グッズといえばオーストリッチ。ただ、最近はバッグ類にも力を入れています。

強烈に目を引いたのがこちらの「スマートイージーパックmini-x」。既に販売されている「スマートイージーパック」のミニバージョンですが、ただサイズを小さくしただけのものではありません。

従来のスマートイージーパックは容量7リットルで約500gでしたが、今回のmini-xは、容量5リットルで220gを実現。

従来品は一般的な生地に防水加工を施していたそうですが、今回はULアイテムでよく使われる高性能生地「X-PAC」を採用したことで大幅な軽量化が実現出来たとのこと。

もう一つ拘ったのが「先端の細さ」。オーストリッチの社長である伊美さんが「太ももに当たるのが嫌だった」ことから、先端を徹底的にスリムにしています。先端部のサイドにもプラ板が入っており、荷物を詰め込んでも膨らまない工夫が施されています。

このサイズ感、そして太ももに当たらない形状。これは欲しくなりました。

MET

KABUTOの「AERO-R2」と並び、被ってみたかったのがMETの「TRENTA 3K CARBON」です。

METのフラグシップモデルで、転倒時の脳へのダメージを抑える機構の最軽量版である「MIPS AIR」を採用。

MIPSを搭載してMサイズ・225gという重量は非常に魅力的でしたが……横方向が細すぎてLサイズでも全く被れず。このモデルはアジアンフィットも無いとのことで、典型的な日本人頭には厳しい帽体のようです。残念。

TRISPORTS

マイナーだけど強烈な個性を持った製品を発掘してくるTRISPORTS。今回も面白いものを社長自ら説明してくれました。

それがこちらの「Tyre Glider」。タイヤを簡単に取り付けられるタイヤレバーのようなもののようですが、一見しただけでは使い方が全く分かりません。

このようにビードを挟んで、Tyre Gliderをスライドさせていくとビードがスルスルとハマっていくという代物。最後の部分は結構固くなりますが、概ねスムーズに全てのビードをリムに落とすことが出来ました。

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TyreKeyと思想は似ていますが、今回のTyre Gliderのほうがより実践的に思えます。ただ、これってディスクブレーキ用リムだとスライドする面にデカールが貼ってあると剥がしてしまいそうな懸念はありますね……。

また、鮮やかなカラーのシリコンバーテープも気になる一品でした。シリコンバーテープってかなり重いものが多いんですが、これは軽かったです。

追記(2日目分)

1日目に見忘れた4iiiiの新型パワーメーターを見てきました。

 

 

画面奥に旧型、画面手前に新型。やはり新型はかなり薄くなっていることがわかります。

センサーのフタの位置もペダル側に少し移動しています。干渉がより減りそうですね。

GROWTAC

EQUALブレーキのグロータックです。社長と一度お話してみたかったのですが、話すことが出来ました。

気になったのは、こちらの新製品「EQUALペダル」。かなり様々なパラメーターを変更出来るペダルです。

見た目は結構ゴツいのですが、重量は左右で300gとそれほど重くはありません。

この樹脂製のメインボディがかなり軽いのが理由だとか。SPD-SLクリート互換だそうです。

もう一つ気になったのは、手組み用のカーボンリム。30/40/50mmで発売予定だそうです。30mmハイトはリム重量が300g台でかなり軽いホイールが組めそうでした。

CONTINENTAL

ミズタニさん扱いのCONTINENTAL。ミシュランもIRCもパナレーサーも新作を出したのでそろそろ新製品の発表があるか?と思いましたが特に無し。

気になっていたGP5000S TRの前提リム内幅について聞いてみましたが、新ETRTO発表前に設計されたものなので17mm幅前提だそうです。

KUKiiRE

今回の会場で唯一「電動携帯ポンプ」を出品していたブースです。

バッテリー容量が4000mAhで、ママチャリのタイヤなら20回は使えるというパワー。

最大気圧も150PSIと、ロード用としても十分使える性能はありますが……重量は440g。サイズもツール缶には入らないサイズでした。

「どうにか、バッテリー別体で超ハンディサイズとか作れないでしょうか?」と要望してみましたが、難しそうではありました。同じような要望は他の方からも出ていたようです。

CARRADICE

先日、バイクパッキング用のバッグに参入することが発表されたキャラダイス。代理店の東京サンエスブースにそのバッグが置いてありました。

キャラダイスと言えば、アタッチメントを使った横型の帆布製サドルバッグが有名ですが、現代的なフォルムのバッグを始めるということで話題になりました。

とりわけ興味があったのは、サドルバッグ。本来あるべきサドルレールを通すベルトが無いんですよね。どういう仕組なのかと思ったら……

サドルレールに取り付けたアタッチメントにバッグを通すという方式。シンプルですが左右への揺れを抑制できる仕組みです。そして、このアタッチメントを使うやり方は「キャラダイスらしい」手法ですね。

中身が重くなった時に備えて、バッグ底部にはストラップを通すループも設けられています。ループとサドルレールをストラップで結ぶことで、より重い重量にも耐えられるとのこと。

ブースにいらっしゃった東京サンエスの社長さんともお話しましたが、「現物を見たらちゃんとキャラダイスらしさが残っていたので販売を決めた」とのことでした。

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アタッチメントにバッグを通すやり方は、かつてスペシャライズドがやっていました。向こうはサドルレールに通すベルトもあったのでアタッチメントが補助的な役割を果たしていましたが、キャラダイスではメインの役割を担うことになります。

MICHELIN

1日目に見忘れていたのでミシュランのコーナーを見てきました。

「なんで見逃したんだろう?」と思ったら、ミシュランのコーナーはたったこれだけ。新作タイヤのPOWER CUPです。

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先日記事を書いた、個人的にも注目しているタイヤです。

前作のPOWER ROADはパターンがありましたが、今作は完全スリックです。

 

まとめ

サイクルモード東京2022、西ホールのブース紹介でした。

西ホールは比較的ロードバイク向けパーツが多く、楽しめるブースが多かったです。やはり開発者や代理店の詳しい方と話ができるのは本当に貴重な時間ですね。

後編では、南ホールのブースと試乗コースの様子を書いていきます。

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著者情報

年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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