この記事は約 11分で読めます。
CYCPLUS「AS2 PRO MAX」ファーストインプレッション
CYCPLUSより「AS2 PRO MAX」のレビュー依頼を頂きました。
本記事では、開封からファーストインプレッションまでを書いていきます。
まえがき
まずはレビュー依頼を頂いた経緯について書きます。
DMで依頼が届く
4月半ば、TwitterにてCYCPLUSの公式アカウントからDMが届きました。
どうやら、当サイトの「AS2(CUBE)」と「AS2 PRO」のレビュー記事を見てくださった様子。
CYCPLUSの電動携帯ポンプ「AS2」シリーズは3つのモデルがあります。服で言えば、S・M・Lサイズ。私は既にSサイズとMサイズを購入してレポートしましたが、残りのLサイズは未購入でした。
今回レビュー依頼を頂いたのは、そのLサイズである「AS2 PRO MAX」。空気圧を確認できる液晶が付いた「AS2 PRO」よりも一回り大きなバッテリーを積んだモデルです。
AS2 PRO MAXを買っていなかった理由
前述の通り、CYCPLUSの電動携帯ポンプの「AS2」シリーズは3種類あり、うち2種類は既に購入済みです。残る1種類の「AS2 PRO MAX」も気にはなっていたのですが、購入には至っていませんでした。
理由としては、大きさと重さです。
以下に、CYCPLUSの電動携帯ポンプの大きさと重量を示します。
AS2 | AS2 PRO | AS2 PRO MAX | |
---|---|---|---|
重量 | 97g | 120g | 205g |
大きさ | 横: 46.5mm 縦: 65.0mm 厚: 28.0mm | 横: 49.0mm 縦: 70.0mm 厚: 28.0mm | 横: 60.0mm 縦: 81.0mm 厚: 32.0mm |
AS2→AS2 PROはそれほど大きさも重さも変わりません。一方、AS2 PRO→AS2 PRO MAXは見るからに大きくなり、重さも85gほど重くなります。
ただ、その分だけバッテリーは大きくなるため、使用回数は増えます。AS2 PROはロード用タイヤに7気圧入れようと思うと、2回ほどしか使用できません。これに対し、AS2 PRO MAXは計算上4-5回は使用可能です。「AS2 PRO+モバイルバッテリー」という組み合わせにすると、AS2 PRO MAXと重量差はほぼ無いはず。

「AS2 PROはツールケースに入る」点が魅力でした。しかし、AS2 PROですらサイズは結構ギリギリ。それよりも一回り大きいAS2 PRO MAXでは、恐らくツールケースには入らないだろう……と思い、購入には至っていなかったのでした。
依頼を受けることに
ただし、AS2 PRO MAXのスペック面が気になっていたのも事実です。
空気充填スピードの公称スペックは以下のようになっています。
AS2 | AS2 PRO | AS2 PRO MAX | |
---|---|---|---|
充填スピード | 100PSIまで150秒 | 120PSIまで120秒 | 120PSIまで75秒 |
AS2とAS2 PROを比べると、同一の気圧に達するまでのスピードは確かに早くなっていました。スペック表を見る限りでは、AS2 PRO→AS2 PRO MAXでもスピードが上がりそうです。
この辺りの実際のスピードを手元の既存機種と比較してみたかったこともあり、レビュー依頼をお受けすることにしました。
CYCPLUS「AS2 PRO MAX」

5月8日に国際宅配便が届きました。
とりあえず家で「AS2 PRO MAX」を使ってみてのファーストインプレッションを書いていきます。


兄弟機である、「AS2」「AS2 PRO」のインプレ記事はこちらです。
本製品の位置付け
まえがきでも触れましたが、改めて本製品の位置付けについて触れておきます。
↓に示すのは、AS2シリーズのスペック比較表です。

2023年春に「AS2」が発売され、2024年春に「AS2 PRO」「AS2 PRO MAX」が発売となりました。
2024年発売のモデルは液晶が搭載され、目標気圧に達すると自動で停止する機能が追加されています。
AS2 PRO MAXは、AS2シリーズでは「最大のバッテリーサイズ(使用回数)と最大のパワー(充填速度)を持つモデル」ということになります。
パッケージ

裏面はスペック表示。AS2 PROと同様に、ワット総量(Wh)が書かれています。

パッケージの中身は以下。
- 説明書(7ヵ国語)
- 本体(シリコンケース取付済)
- Type-Cケーブル
- 予備パッキン
- 米式バルブ用ノズルピン
- 延長ホース
- 延長ホース用仏式アダプタ
- ボール用ノズル
- 防水バッグ
本体とマニュアル以外は、AS2 PROと全く同じです。付属する防水ケースも、AS2 PROと全く同じサイズでした。
こちらも、最初から延長ホースが付いてくる点が嬉しいですね。これがないと、振動して熱くなる本体をずっと手で持っていなければならないので。
重量

公称205gで、実測205g。ピタリ賞です。過去に怪しい電動携帯ポンプを買ったら、公称の2.5倍の重量のポンプが届いたことがありましたが、CYCPLUSはしっかりしていますね。
付属するシリコンケースは25gでした。
大きさ
「AS2」「AS2 PRO」「AS2 PRO MAX」を並べてみました。


やはりPRO MAXは明らかに大きいです。

シリコンケースと口金を外した状態であれば、ツールケースにもギリギリ入りました。シリコンケースが付いていると全く入れることは出来ません。
空気充填
空気の充填機能を見ていきます。
使用方法
使用方法ですが、AS2 PROと全く同じです。AS2 PROのインプレ記事に書いた内容を再掲します。
- 電源ボタンを長押しして電源を入れる。
- +ボタンと-ボタンで目標気圧を設定する(最大120PSIまで)。
- 電源ボタンを短く押すと充填開始。
- 目標気圧に達すると、電源が自動的に切れる。
最初に発売された「AS2」はリアルタイムの気圧が分からず、「大体これくらいかな?」というところで、手動でストップする必要がありました。
「AS2 PRO」と「AS2 PRO MAX」は液晶にリアルタイムの気圧が表示され、目標気圧に達すると自動的に電源が切れます。気圧を監視する必要もなく、かなり便利でした。
デフォルトの空気圧表示はPSIですが、+ボタンと-ボタンを同時押しするとBAR(気圧)表示に切り替えられます。

初期状態はPSI表示。この単位設定は再起動しても保存されていました。
液晶の左下に出ている3本の線は、バッテリー残量を表しています。バッテリーが減ると本数が減っていきます。
ちなみに、気圧計の表示はかなり正確。Panaracerのデジタルエアゲージと1%程度の差しかありませんでした。
充填速度
いくつかの条件で、兄弟機の「AS2 PRO」と充填速度を比較しました。
最初は「内幅17mmのリムに7.6気圧」という条件で測定していましたが、今はもっと内幅の広いリムにワイドタイヤ&低圧で乗る人が多いだろう……ということで、5.0気圧での測定も追加で行いました。
目標気圧に達するまでの秒数を以下の表に示します。
測定条件 | AS2 PRO | AS2 PRO MAX |
---|---|---|
リム内幅: 17mm タイヤ幅: 25C 目標気圧: 110PSI (7.6気圧) | 94秒 | 93秒 |
リム内幅: 17mm タイヤ幅: 25C 目標気圧: 74PSI (5.0気圧) | 50秒 | 45秒 |
リム内幅: 21mm タイヤ幅: 28C 目標気圧: 74PSI (5.0気圧) | 62秒 | 50秒 |
なんと、7.6気圧に設定した時の秒数は「AS2 PRO」も「AS2 PRO MAX」もほとんど同じでした。
一応、公称スペックでは120PSI(8.2気圧)に達するまでの秒数は「AS2 PRO: 120秒」「AS2 PRO MAX: 75秒」と、1.6倍ほどの開きが出るはずでしたが……。
何かの間違いかと思い、4回ほど「AS2 PRO MAX」で7.6気圧まで空気を充填してみましたが、結果は変わらずでした。高圧に設定すると、思ったほどスピードは出ないようです。
ただ、5.0気圧に設定した場合は「AS2 PRO MAX」のほうが明らかに早く終了しました。そして、その差はタイヤ幅が太くなるほどに大きくなります。
単位時間あたりに送り出せる空気量は「PRO MAX」の方が多いものの、高圧に逆らって空気を入れるパワーは「PRO」も「PRO MAX」も大差ない……のかもしれません。
音
電動携帯ポンプの宿命として、「動作音が爆音」という点が挙げられます。
「PRO」と「PRO MAX」ですが、PRO MAXの方が作動音が低い感じはあります。音量は同程度。
あと、ケースを付けた状態と付けない状態では音量と質に違いが出ます。ケースを付けたほうが音が低くなり、音量も小さくなります。
熱
もう一つの電動携帯ポンプの宿命が、「本体がとても熱くなる」こと。
シリコンケースを付けていれば、火傷するほど熱くはなりませんでした。ケースを付けない状態で使用する時&ホースをバルブから外す際は火傷にご注意ください。
なお、CYCPLUSの電動携帯ポンプには高温になると自動停止する安全装置が付いているようで、「7.6気圧まで入れる」テストを3連続で実施した際には液晶画面に「HOT」表示が出て停止しました。
実使用時には連続で使うシチュエーションはなかなかないでしょうが、一度使用した後には少し冷却する時間を置いたほうが良いと思います。
使用回数
「1度の充電で何回使用できるか」を、AS2 PROとAS2 PRO MAXで比較してみました。
測定条件は以下です。
リム内幅: 17mm
タイヤ幅: 25C
目標気圧: 110PSI (7.6気圧)
この条件で、「何回使用できるか」を測定します。結果は以下のようになりました。
- AS2 PRO
-
2.1回
(110PSIまで2回充填完了、3回目は10PSIで停止) - AS2 PRO MAX
-
3.9回
(110PSIまで3回充填完了、4回目は105PSIで停止)
PROに比べ、PRO MAXの方が、1.9倍の回数だけ使用できそうです。ワット総量からみても妥当な値だと思います。
今どきは7.6気圧まで上げることも稀なはずで、5-6気圧までで良ければ更に使用回数は増えるはずです。
バッテリー充電速度

AS2シリーズは、Type-C端子を採用しており、高速充電が可能です。なお、この充電端子は外部の空気を取り入れる吸気口を兼ねているので、塞いではいけません。
充電テストを実施した所、電流値の時間変化は以下の様になりました。

大体1A前後で充電されますが、なぜか3分に1回程度は電流が流れなくなります。何らかの安全装置が働いてるんでしょうか。
満充電までの時間は1時間25分でした。公称は1時間とされているので、ちょっと長かったですね。
Cycplus AS2 Pro Max(長い…) 高速充電対応を確認。 pic.twitter.com/5rxm5u5Cl7
— すくみずさん (@skmzmw) May 8, 2024
ただ、すくみずさんの環境だと「9V/2A」という高速充電が出来ているようです。
恐らく、USBアダプタとケーブルの組み合わせによってはこれくらい高速になるのだと思いますが、我が家の環境では「5V/1A」にしかなりませんでした。
その他の用途
「パンクに備えて持ち歩く」他に、AS2 PRO MAXが便利に使えそうな用途を考えてみました。
飛行機輪行時
「飛行機輪行後でタイヤに空気を入れる」際に便利そうです。
飛行機輪行ではタイヤの空気を抜くことが求められます。到着先の空港で空気を改めて入れなければならないわけですが、これを手動の携帯ポンプで行うのはかなり骨が折れます。
その点、電動携帯ポンプならば、苦労せずに高圧まで持っていくことが可能です。

昨今はバッテリーのワット総量が印刷されていない機器は飛行機への持込を拒否されるケースが増えていますが、本製品にはしっかりと書かれています。
前述の通り、7気圧程度までなら4回は使えるので、前後輪2本×2台分の空気充填が可能ということになります。AS2 PROだと2回しか使えないので1台分が限界ですが、AS2 PRO MAXであれば連れの分の自転車まで面倒を見ることが可能です。
ラテックスチューブでのロングライド時
乗り心地の良さと転がり抵抗の低さで人気のラテックスチューブですが、「空気抜けが早い」という弱点があります。ブチルチューブであれば1日あたり0.2-3気圧という所ですが、ラテックスチューブは1気圧以上下がります。
乗り心地の良さからブルベでも愛用する方はいますが、1000km以上のブルベになると道中で空気を継ぎ足す必要があります。いわゆる、追いポンピング。
ただ、常用気圧を6.5気圧としても、4.5→6.5気圧まで手動の携帯ポンプで上げるのは結構キツイものです。高圧領域ですからね。

しかし、電動携帯ポンプならば簡単に「追いポンピング」が可能です。AS2 PRO、AS2 PRO MAXならば空気圧計も付いているので、数値を合わせて放っておくだけ。試しに70PSIの状態から100PSIまで空気を入れてみましたが、問題なく充填が完了しました。
ラテックスチューブ派の人には福音となりそうなアイテムです。
まとめ
CYCPLUS「AS2 PRO MAX」のファーストインプレッションでした。
高圧条件での充填スピードがAS2 PROとあまり変わらない点は残念でしたが、その他はサイズなりのスペックアップを果たしていることが確認できました。
「ロードバイクのパンクに備えて携帯する」という用途であれば恐らく「AS2 PRO」の方が適任でしょうが、「AS2 PRO MAX」は「フロアポンプの代用品」という立ち位置で使えそうな感触がありました。しばらく飛行機輪行の予定はありませんが、その際にはAS2 PRO MAXを持参することになるでしょう。
もう少し色々と試してみて、改めてレビュー記事を書きます。
現在、CYCPLUS製品の5%割引クーポンコードが発行されています。
対象:ストア内すべての製品
回数制限: なし
著者情報
年齢: 39歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。