GROWTAC EQUALブレーキを導入(後編)

最近話題になっているメカニカルディスクブレーキ「GROWTAC EQUAL」を導入することになった話の後編です。

前編の記事では、導入までの経緯から注文をしたところまでを書きました。

後編では、組換後の納車時の様子と、実際に使ってみた感想を書いていきます。

予想外に早い仕上がり

これまでの経緯は↓の記事をお読みください。

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前編の記事を書いた数日後に、いつもお世話になっているショップであるサイクルキューブに自転車を預けました。

施工例の多いショップ

店長日記

当店で試乗もできる実走感抜群のローラー台……

サイクルキューブさんは、EQUALブレーキ発売前からプロトタイプを入手し、組付けのテストをされていました。

5月の正式発売後も施工例は多かった様子。組付けの知見も溜まっていそうだったので、こちらにお願いをするのがベストだと考えたのです。試乗もさせてもらいましたしね。

もう組み上がり?

先週の月曜日にショップにINFINITO CVを預けたのですが。

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水曜日に不足品のパーツを預けに行ったところ、なんと「もう組み上がった」とのこと。早い!

油圧の組付けだったらこんな早く終わることはなかったはず。メカニカルディスクだからこそですね。それにしても早すぎますが、それはサイクルキューブさんの手際の良さがあってのことでしょう。

この日はまだ工賃の計算が終わっていなかったこともあり、後日改めて受け取ることになりました。

組換内容

ここで、一応今回の組換内容を振り返っておきます。

目的は「ハンドル周りの軽量化」。ディスクロードの反応性の悪さは、機械式変速の油圧STIにあると仮定し、軽量なリムブレーキ用のSTIが使えるEQUALブレーキに組み替えを行うことにしました。

具体的なパーツの変更点は以下です。

 

組換前
(機械式変速
油圧式ディスクブレーキ)
組換後
(機械式変速
メカニカルディスクブレーキ)
STI
(デュアルコントロールレバー)
SHIMANO ST-R8020
554g
SHIMANO ST-9001
364g
ディスクブレーキキャリパー SHIMANO BR-R8070
276g
GROWTAC EQUAL
272g
ハンドル 3T ERGONOVA TEAM
200g
CADEX RACE
157g
ディスクローター(後側) SHIMANO RT-MT900 (160mm)
109g
SwissStop Catalyst (140mm)
121g
合計重量 1139g 914g

全体で225gの軽量化ですが、ディスクローターは逆に重くなっているため、ハンドル周りだけに限れば237gもの軽量化となりました。

新生INFINITO CV、完成!

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「BRM1016大洗・銚子300」を完走した翌日、早速サイクルキューブにINFINITO CVを迎えに行きました。

 

こちらが新生INFINITO CVです!

 

比較用として、組換前のINFINITO CVです。こうやって同じ場所で比べてみると、ディスクブレーキ用の機械式変速・油圧STIがいかに巨大であるかがよく分かります。重さも凄いんですが。

さて、構造の説明や掛かった金額などは後回しにして、次章では早速「乗ってみた」感想を書いていきます。

乗ってみた感想

前編の最後にはこんなことを書きました。

果たして、ずっと感じていた「走りの重さ」は解消されるのか?

試乗の時に感じた「INFTINITO CV」の走りは戻ってくるのか?

結論から書くと、この2つの疑問の答えは両方とも「YES」でした。正直、感動しました。

まだ乗った距離は200km程度ですが、その中で感じた今回のEQUALブレーキ乗せ替えによる「良かった点」を書いていきます。ちょっとまだ未知数かつ不安な点については「懸念点」として挙げます。

良かった点①: 走りが軽くなった

今回のカスタム後は、本当に走りが軽くなりました。インプレ用語を使うと、「キビキビ走るようになった」という表現になるでしょうか。

 

今回のカスタムで、ハンドル周りの重量は約240g軽くなりました。一番大きく重量が変わったのは「STI(レバー)」。ここだけで約200g軽くなっています。

地上から最も遠い&ハンドルの回転軸の中心から最も遠い場所に設置されるSTI。その重量が200gも軽くなると、恐ろしく自転車の反応性が高まったように感じられます。

組換前にずっと感じていた信号発進時の重ったるさは完全に消滅。ホイールを完成車付属のアルミからカーボンに変えたときよりも、感触の差は大きかったです。

 

シッティングでは登れないような坂ではハンドルを左右に振りながら登る必要がありますが、そういったシーンでも非常に軽快になりました。組換前のハンドルの重さだと振りが重く、全くリズムが合わなかったので……。

 

ディスクブレーキキャリパーそのものの重量は、組換前と後で大きく変わっていません。

アルテグラの油圧キャリパー(BR-R8070)と、EQUALブレーキの重量はほぼ同じですので。あくまでも軽くなったのは、「STI(レバー)」です。EQUALブレーキを選択したことによって、軽量なリムブレーキ用STIを使用できるようになったことが、大幅な軽量化につながっています。

ハンドル周りの軽量化によって得られた走りの軽さ(=反応性の高さ)が、今回のブレーキ入れ替えの最大のメリットでした。

良かった点②: フレームの本当の実力が見えた

もともとINFINITO CVを購入したのは、試乗した時の反応性の良さ・乗り心地の良さが理由でした。

しかし、機械式変速・油圧ブレーキ仕様で組んだINFNITO CVは、試乗車と比べてまるで反応性が悪く、快適性も試乗の時ほどではありませんでした。購入から一年半も経つのに未だにINFINITO CVのレビューを書いていないのも、正直「イマイチだったから」ではあります。

だがしかし、今回のカスタムでハンドル周りが軽くなったことにより、あの試乗の時に感じた反応性の良さ・乗り心地の良さが感じられるようになったのです。

 

こちらの写真は、私が試乗したINFINITO CVです。よく見ると、こちらは電動のデュラエースで組まれているんですよね。

ディスクブレーキ用の電動デュラエースのSTI(ST-R9170)重量は320g。今回、私が組み替えたリムブレーキ用のデュラエースSTIが364gなので、同等以上に軽いハンドル周りだったということになります。

試乗の際に私が感じた好感触は、恐らく「電動デュラエースを採用したことによるハンドル周りの軽さ」があったからこそ感じられたものなのでしょう。

ただ、試乗の際に撮影した写真を見返すと、電動デュラエースで組まれているにも関わらず、あまり感触の良くなかったフレームもありました。

そう考えると、INFINITO CVは本来は高性能フレームであり、電動デュラエースはそれを邪魔しないコンポーネントであったということなのでしょう。逆に言えば、非電動のディスク用コンポーネントはフレームの本来の性能を覆い隠してしまうということでもありますが……。

今回のEQUALブレーキへの組み換えによって、ハンドル周りの重量はディスク用の電動デュラエースで組んだ場合と同等まで軽くなりました。これによって、INFINITO CVの本来の運動性能が引き出せた気がしています。

ちなみに、INFINITO CVの完成車は一番高いモデルでもディスク用電動アルテグラ(R8070)仕様です。私が試乗したディスク用電動デュラエース仕様は存在しません。

……正直、「してやられた」感はあります。サイクルヨーロッパジャパンさん、おみそれしました。

私から言えることは、「電動コンポーネントで組まれた試乗車の感触が気に入ったフレームを、非電動コンポーネントで組むと高確率でガッカリする」ということです。どうせなら最初から電動で組みましょう。その方が幸せになれます。

良かった点③: ハンドリングが軽くなった

「走りが軽くなった」という点と若干かぶりますが、ハンドリングも軽くなりました。

組換前はハンドルが重ったるく、カーブなどで曲がる場合にも頭の中の想像よりも1テンポ遅れてタイヤが動き出す感覚がありました。恐らくはこれも機械式変速・油圧ブレーキの重量級STIのせいだったのでしょう。

 

EQUALブレーキに組換後は、カーブやダウンヒルのライン取りも重った通りの場所をトレース出来るようになりました。

……ただ、どうも組換を担当してくれたスタッフの方いわく、

「ヘッドのダストカバーがフレームと接触してました。
本来はアルミのスペーサーを入れてやらなきゃいけないんですけどね」

とのこと。単純な重量でハンドリングが重くなっていたのかと思いきや、ヘッドの回転が渋いからそう感じられていたのかもしれません。もちろんSTIが重いのも原因であったはずですが……。

良かった点④: 快適性が上がった

これは全く想定していなかったんですが、ハンドル周りの振動が減って乗り心地が快適になりました。

 

単純にこれだけ重いものがハンドルの先端に付いており、路面からの衝撃を受けるたびに揺れるわけですから、乗り心地がいいはずもありません。

あと、シマノのディスクブレーキ用STI(電動・非電動問わず)に共通の「変な仕様」がありまして。

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こちらの記事に書いたように、レバーが逆方向に動くようになっており、振動でレバーが動いてしまい「カタカタ」と異音を出すケースもあります。これは音だけではなく、手には振動として伝わります。

INFINITO CVは「振動を消すカーボン」と言われるCountervailを使用していますが、それでもSTIの振動までは消すことが出来なかったようです。考えてみれば手に直接触れている部分ですから、フレーム側ではどうしようもないんですけどね。

リムブレーキ用のSTIには「レバーが逆方向に動く」という仕様が無いこと、そして単純に重量が軽いことから、ハンドル周りの振動が減少したものと考えています。

良かった点⑤: スプリントがしやすくなった

いつもの夜練コースでなんとなくスプリント的な動きをしてみた所、以前とは別次元にもがきやすくなっていて驚きました。

これもSTIの重量が減ったことによる効果だと思われます。

INFINITO CVはロングライド用に組んだので、スプリントする用途は本来無いんですが。「このフレームはこんなにキレのあるフレームだったのか」という発見がありました。

元々はパリルーベ等のクラシックレース向けに設計されたエンデュランスフレームですから、スプリント性能も実は高いのでしょう。

良かった点⑥: ブレーキとしても申し分なし

さて、肝心のブレーキとしての性能はどうなのか?

私の用途(山岳を含むマイペースなロングライド)ですと、絶対的な制動力・コントロール製ともに不満はありませんでした

一般的なロード乗りよりは体重があるので、「果たしてワイヤー引きのメカニカルディスクで大丈夫か?」と心配はしていましたが、全くの杞憂でした。

先達のインプレを見ると「馴染みが出るまではあまり効かない」との記載があることが多いんですが(ソフトアウターとハードアウターの継ぎ目が存在するため)、私の場合は使い始めから現在に至るまで大きな変化は感じられません。サイクルキューブさんがしっかりと馴染み出しをやってくれたということでしょうか。

 

後述しますが、ワイヤーの伝達効率の強化&ブレーキキャリパーへのワイヤーの入り方を工夫したことで、EQAULブレーキは異様な引きの軽さと制動力の高さを実現しています。多くのメカニカルディスク経験者が心配するリヤブレーキの引きの重さに関しても、フロントよりは若干重くなるものの、十分な軽さになっています。

15%超の坂のダウンヒルであえて引きずるようなブレーキや、加速からの急停止などもやってみましたが、十分に止まりますし、不安感はありません。

ワイヤー引きであるということは、フルードを使っていないということ。フルードに熱が加わることで起こるヴェイパーロック現象が絶対に起こらないというのは嬉しい点です。体重のある人間としては、長い峠のダウンヒルでのヴェイパーロックはちょっと怖かったんですよね。

聞く所によると、グロータックの社長が20kgの荷物を背負ってヤビツ峠をブレーキを掛けながら下るテストもやったそうで、耐熱テストは十分に行われているようです。

 

シマノのロード用油圧キャリパーもリムブレーキの制動特性を目指して開発しているようですが、EQAULブレーキはワイヤー引きであることもあるのか更にリムブレーキ的な力の立ち上がり方をする印象。当て効きも出来るし、握り込めばロックまで容易に到達します。リムブレーキからの乗り換えでも違和感が少ないのではないでしょうか。

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EQUALブレーキに付属するブレーキパッドの性能も不満はないです。オートバイ用のブレーキパッドでは有名なメーカーであるベスラ製。シマノ互換でシマノより若干高いんですが、リピートするかもしれません。

今回、これだけのブレーキ性能が出ているのは、INFINITO CVが割と素直なケーブルルーティングをしている点が大きいとも考えています。

 

メンテナンス性を考慮して、あえて「完全内装ではない」ことを条件にディスクロードのフレームを選択した結果がINFINITO CVだったわけですが、それが今になって活きた格好になります。メカニカルディスクへの組換なんて全く想定していませんでしたが。

逆に、昨今流行りの「ケーブル完全内装(ケーブルが一切外に出ない)」のディスクロードでは、ワイヤー引きであるEQUALブレーキの性能は完全に引き出せない可能性が高いです(屈曲部分で抵抗が生じ、引きが重くなる)。そういったフレームの場合には、ケーブルの曲げに強い油圧ディスクブレーキの方が合理的だと考えます。

完全内装フレーム+EQUALブレーキの組み合わせで組んでいる方もいますが、引きの重さが実際どうなのかは私には分かりません。

良かった点⑦: ローターを擦る音が消えた

油圧ディスクキャリパーの場合、パッドが減ったら自動でローターとのクリアランスを調整してくれる機能があります。ただ、パッドとローターの距離は決まっており、手動でクリアランスを大きくすることは出来ません(ピストンシールの既定値で決まってしまうため)。

油圧ブレーキ、自動調整、しくみ…

油圧ディスクキャリパーでパッドが自動で調整される仕組みはこちらの記事がわかりやすかったです。ご興味ある方はご一読ください。

シマノのR8000シリーズの場合、パッドとローターのクリアランスはかなり小さめに設定されており、少しでもローターが歪むと「シャンシャン」という音が発生します。

特に急ブレーキ等でローターに高熱が加わった場合には、冷えるまでこの手の音が出る可能性が高いです。冷えればローターは元の形に戻るので音はしなくなるんですけどね。

昔からディスクブレーキを使っていた人は「ローターのシャンシャン音は発生するものだから気にするな」と言うのですが、私はどうしてもこれが気になりました。何度かレバーを握ると音が消えたりするんですが、その再現性の無さも気持ち悪いのです。

その点、メカニカルディスクキャリパーの場合はパッドとローターのクリアランスを任意の大きさに調整可能です。逆に、クリアランスの自動調整機能はないので、パッドが減ったら手動で位置調整を行う必要があります。

EQUALブレーキでクリアランスを少し大きめに取れるようになったことで、ローターが擦れる音は今のところ発生していません。これは、熱で変形しにくいSwissStopのローターの影響もあるかもしれませんが。

また、スプリント時や激坂を登る際には、フォークやハブ軸が若干たわむため、ローターが擦れる音が発生しやすいものです。

しかし、組換後はやはりこうした音も発生しなくなっています。ほんの少しクリアランスを大きくするだけでかなり違うものですね。

シマノもこの擦れる音を気にしていたのか、次期デュラエースではクリアランスが従来よりも10%拡張されるそうです。

良かった点⑧: 輪行が少し楽になった

油圧のINFINITO CVが納車されてから一年半、組換前に輪行をしたのは1回だけでした。

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その時の様子がこちら。文章の端々からにじみ出ているように「面倒」「時間がかかる」と、どうにもディスクロードの輪行に苦手意識を持ってしまいました。

前述の通り、油圧ディスクキャリパーは自動でパッドが出てきてくれる機能がメリットの一つです。ただ、ローターを挟まない状態でレバーを握ってしまった場合、パッド同士が接触したまま離れなくなるという事態が発生します。

 

これを防ぐために存在するのが「ダミーローター」です。名前の通りの製品で、ローターの代わりに挟み込んでおくだけの道具です。

挟んで固定するだけで大した手間ではないんですが、リムブレーキ時代の輪行に比べて手間が増えるのは確か。また、この部分はパッドの削れカスが溜まっており、結構手が汚れるのも嫌でした(出来れば触れたくない部分)。あと、「ダミーローターを挟むまでに誤ってレバーを握ってしまわないか」という心理的な焦りもありました。握ってしまうと復旧が結構面倒なのです。

 

その点、メカニカルディスクキャリパーならばダミーローターを挟む必要はありません。勝手にパッドが出てきませんからね。

ローター連結式は手間が掛かるのでやめて、サンドイッチ方式での輪行にしたらリムブレーキより少し遅いくらいの時間でパッキングを完了させることが出来ました。

田舎の駅に到着して「あと5分で電車が出発!次の電車は一時間後!」みたいなシチュエーションが割とよくあるので、輪行を素早く出来るということは私にとっては地味に嬉しい変化でした。

ただ、サンドイッチ方式の輪行となると一番外側にディスクローターが来るので、(一応養生はしてますが)曲がりのリスクは残ります。ディスクロードの輪行はまだまだ改良の余地がありそうです。

懸念点①: パッドのクリアランス調整頻度

さて、ここからはちょっと心配な点です。

これまでさんざん書いてきたように、メカニカルディスクキャリパーはパッドとローターのクリアランスが自動調整されません。パッドが減ったらその分、レバーを握る量は増えます。あまりにもパッドが減ってしまうとブレーキの効きも悪くなるので、ある程度減ったらパッドとローターのクリアランスを調整してやる必要があります。

問題は、その手動調整の頻度が「100kmに1回」なのか「600kmに1回なのか」。

前者だったら嫌ですが、後者なら許容出来ます。リムブレーキを使った場合でも1000kmブルベならリムとブレーキシューのクリアランス調整をすることはありますしね。

私にEQUALブレーキを勧めてくれた「ゆー」さん曰く、SR600(600kmで獲得標高10000m以上を走る山岳ブルベ)中にパッド調整をした回数は1回のみとのことでした。もちろん、スタート前にはあらかじめ調整されているはずです。

使用する天候や乗り手の体重、パッドの素材によっても違ってくるでしょうが、数百kmに1回の調整程度で済みそうではあります。この辺りは自分でブルベを走ってみないと細かい点は分かりませんね。

 

パッドのクリアランス調整も練習してみましたが、簡単でした。写真の「PAD IN」の位置にボルトがありまして、そのボルトを3mmの六角レンチで回すだけ。慣れれば数秒で調整できるはず。

 

こちらは逆サイド(ホイール側)。同じく3mmの六角レンチで調整可能です。

レース中に止まって調整なんて事はできませんが、ブルベ等のロングライドであれば信号停止や任意のタイミングで止まって調整するだけのこと。許容できる手間だとは思っています。

私の場合、油圧時代には何度かパッドを気づかずに使い切ってることがありました。勝手にパッドが出てきてくれるから、目視確認しないとどれだけパッドが減ったか分からないんですよね。

その点、メカニカルディスクキャリパーは、パッドの減りが感覚で分かります。調整の手間はかかるものの「それはそれでアリなんじゃないか」と思っていますが、果たして。

懸念点②: 左右のパッドの減り方の差

ここまで来て初めて触れますが、EQUALブレーキは「片押し」のメカニカルディスクキャリパーです。両押しにしなかった理由は製造元が資料を出しているのでそちらを読んで頂ければと思います。

制動力やコントロール性には全く不満はないことは前述のとおりですが、気になるのは左右のパッドの減り方の差です。

EQUALブレーキの場合、右側のパッドは基本的には動かず、左側のパッドだけが動いてローターに押し付けられます。その勢いでローターが右のパッドにも押し付けられてブレーキが効くわけですが。

組んで頂いたサイクルキューブのスタッフ曰く、「押し付ける側(左側)のパッドの方が若干減りが早い」とのこと。基本的に左右同じだけ減っていく両押しのキャリパーと違うわけですね。

あんまり左側だけ集中的に減って「左側のパッドだけ交換」みたいな事態はちょっと嫌だなーと思っています。この辺りもしばらく使ってみないと分かりませんね。

製品情報

ここからはEQUALブレーキの製品スペックなどの話です。「乗ってみた感想」が長くなりすぎたので手短に行きます。

より詳しく知りたい人は、EQUALブレーキの取扱説明書を読んでみてください。なかなか珍しい、「分かりやすい説明書」だと私は感じました。

重量

EQUALブレーキは前用・後用の区別はありません。実測重量は、パッドを含んで片方137g。両方合計で274gでした。

引きの軽さについて

前述の通り、EQUALブレーキは従来のメカニカルディスクよりも格段にレバーの引きが軽いです。それは主に2点の理由によります。

 

一つは、ケーブルラインがストレートであること。写真はリヤブレーキですが、ほぼまっすぐアウターケーブルがブレーキに接続されていることが分かると思います。屈曲を減らすことで引きを重くする要因を排除しているわけですね。

 

もう一つは、専用のアウターケーブル。EQAULブレーキのセットを購入すると付属します。

「ソフト」「ハード」の2種類のアウターケーブルが付属していて、ハンドル周りのような屈曲が多い部分には「ソフト」、それ以外の部分には「ハード」を使うことが推奨されています。写真でいうと、銀色のコネクタの左側が「ソフト」、右側が「ハード」です。

ハードのアウターケーブルは写真で見ても分かるように、外周部に螺旋状の強化が入っていて、たわみにくくなっています。これにより伝達経路でのロスが減り、スムーズな引きを実現しているとのことでした。

ただ、一般的なアウターケーブルだけで組み上げても普通にEQUALブレーキの効きは良いという話も聞きます。アウターケーブルの改善は最後のコンマ数ミリを詰める工夫なのかもしれませんね。

他にもカム機構の工夫とか色々あるようですが、そちらの説明は公式の資料に譲ります。

GROWTAC

近年、大手メーカー主導により、ロードバイクにも多くディスクブレーキが採用されるようになりました。一方、ロードバイクにはリ…

グロータックの公式サイトにも、「なぜEQUALブレーキはメカニカルディスクなのに効きが良いのか?」を説明したページもあるので、気になる方は御覧ください。

組換費用

気になっている方が多いと思われる費用面の話も書いておきます。

 

分類 製品名 金額
パーツ代 GROWTAC EQUALブレーキセット 33,220
SHIMANO ST-9001 (家にあった) 0
日泉ケーブル ステンレスシフトアウター 1,650
日泉ケーブル SP31シフトインナー 2,820
SUPACAZ STARFADE バーテープ 3,960
CADEX RACE HANDLEBAR 44,000
工賃 油圧ばらし&機械式ブレーキ組立 37,500
合計 123,150

今回の組換に掛かった合計金額は、123,150円でした。

私は徹底的なハンドル周りの軽量化のためにCADEXのカーボンハンドルを新規購入しましたが、ハンドルをわざわざ変えない人はもう少し費用を抑えられるはずです。

ただ、リムブレーキ用のSTIが家に余っている人も少ないと思うので、これを新規購入すると結局12万円前後は掛かってしまうかもしれません。特にこのカスタムはリムブレーキ用STIの中でも軽量なデュラエースのSTIを使ったほうが効果が大きいカスタムですので、ここは是非デュラエースのSTIを使って欲しいところです。

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参考として、STI(デュアルコントロールレバー)の重量比較記事を↑にリンクしておきます。

ちなみに、機械式変速・油圧ディスクを新型アルテグラ(R8100シリーズ)に換装した場合、組換費用はおよそ30万円掛かります。CADEXハンドルはもちろん含めずに、です。

多分走行性能的には両者とも大きくは変わらないはずですが、値段は2.5倍。私はこの金額差を考えてEQUALブレーキを選んだのでした。

見た目

EQUALブレーキは5色展開です。

最近は黒一色みたいなカラー展開のパーツが多い中、それなりに高価格なブレーキが多色展開するというのはちょっと驚きではあります。CHRIS KINGやPHILWOODと同じ路線を狙っている?

 

「黒基調で赤を差し色」というデザインでロードバイクを統一している私にとっては、「ブレーキキャリパーを赤に出来る」というのはかなりテンションの上がる出来事でした。

 

このメカメカしい見た目も結構気に入っています。ロードバイク用としては少々メカメカしすぎる気もしますが。

どんな人に向くか?

EQUALブレーキはどんな人に向くか?

私の考えでは、こんな人に向くと思います。

・レースよりもロングライド派。
・少しでも費用を抑えて、それでいて軽快なディスクロードを組みたい。
・ディスクロード(機械式変速・油圧ブレーキ)を買ってみたけど、漕ぎ出しの重さに辟易している。
・立ち漕ぎの時、割とハンドルを左右に振るタイプ。
・パッド調整の面倒をちゃんと見られる(重要)。
更に言うと、リムブレーキにガッツリ乗ってきて、これからディスクロードを組むという人には割と向いているんじゃないでしょうか。リムブレーキの資産も一部使い回せますので。
既に油圧ディスクでの運用になれている人には向かないと思いますし、電動油圧のコンポで組んでいる人は変化を感じにくいと思います。「パッドは何が何でも自動的に調整されて欲しい」という人は素直に油圧を使ったほうがいいです。

まとめ

とりあえず今思うのは、「EQUALブレーキに組み換えて良かった」ということ。

 

乗る気が起きないほど走りが重かったINFINITO CVが、今回の組換でまるで別物に生まれ変わりました。機械式変速・油圧ディスクの重量級STIが消えたことで、ようやくフレームが本来の性能を発揮できるようになったわけですね。正直、乗るのが楽しいです。

直接的な性能の変化はリムブレーキ用STIに変更したことが大きいのですが、その条件で十分な性能を持ったEQUALブレーキが誕生してくれたからこそ、今回のカスタムが実現しました。

EQUALブレーキのメリットとしては「リムブレーキ資産を活かせる(=安価に導入できる)」という方向性で語られることが多いのですが、最大のメリットは「ブレーキ性能を妥協せずに、ハンドル周りを軽く出来る」ことにあると私は思っています。

 

EQUALブレーキの箱にはこんなメッセージが書かれています。今回の組換で、ようやくINFINITO CVが「うちの子」になった気がしました。


完成車で購入する段階で「電動アルテグラ」仕様を選んでいれば、恐らく私はディスクロードに満足していたでしょう。

当時の私は「電動変速にしたら15万円くらい高くなる。それならば、そのお金でホイールをアップグレードしよう」と考えて、機械式変速のINFINITO CVを購入しました。リムブレーキであれば、その方が同じ金額でも性能は確実にアップするからです。

しかし、ディスクブレーキではその常識は通用しませんでした。

ディスクロードにおいては、電動化の価値(=ハンドル周りの軽さ)がリムブレーキの何倍も大きかったのです。当時の私はそれに気がついていませんでしたし、誰もそのことを教えてくれませんでした。

結局、随分と遠回りをして「メカニカルディスク+リムブレーキ用STI」という選択に行き着きましたが、後悔はありません。色々と考える良い機会になりました。

シマノは、次期デュラエース・アルテグラには機械式変速のSTIをラインナップしませんでした。結局、「ロード用の機械式変速・油圧ディスクSTI」は1世代しか存在しなかったわけです。恐らくはそれが答えなのでしょう。


これまで、INFINITO CVはブルベには使ってこなかったのですが、今後は積極的に使っていく予定です。

手始めに、今週末の400kmブルベに投入してみます。本来の性能を取り戻したINFINITO CVでのブルベが今から楽しみでたまりません。

 

著者情報

年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。


この記事を書いた人
ばる
ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019年の2回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間13分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)