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自転車乗り目線の「DBスペシャリスト試験」合格記
令和三年度のDBスペシャリスト試験に合格しました。
自転車乗りには情報系の技術者も結構いるみたいなので、「自転車乗り目線のDBスペシャリスト試験 合格記」を書き残しておこうと思います。
なお、DBは「ディスクブレーキ」ではなく「データベース」の略です。以後、「DB=データベース」の意味となります。
DBスペシャリスト試験とは
情報処理推進機構(IPA)が行っている高度情報処理技術者試験の一つで、データベースの専門知識が問われる国家資格です。
合格率は毎回15%前後。難易度については、Wikipediaに「日本国内で実施されるデータベースに関する試験の中では、オラクルマスターのプラチナ級と並び、最難関と言えるほどである。」との記載もあります。オラクルマスターは受験したことがないので本当かどうか分かりませんが……。
試験は年に一回の開催。2019年までは春期(4月)の実施でしたが、コロナの影響で2020年からは秋期(10月)に移動しています。
ドラマ「逃げ恥」における設定で、津崎平匡 (星野源)が持っていた資格としても有名です。
受験者について
- 年齢: 37歳
- 職業: システムエンジニア (2008年~)
- 論理設計: たまにやる程度
- 物理設計: ほとんど経験なし
- SQL: 日業的に使用する
- 保有資格: 基本情報技術者、応用情報技術者、認定スクラムマスター
- 受験回数: 4回 (2018年~)
- 学習時間: 300時間 (4年間合計)
DBはシステムの一部として触る程度で、特にそちらの設計が専門というわけではありません。
データベースの論理設計はやる機会がありますが、物理設計はほぼ経験無し。ということで、選択問題も論理設計の問題を中心に選んでいました。
私の部署は「高度情報処理技術者を**名以上在籍させる」という目標を掲げており、その対象に選ばれてしまったため3年前に初受験しました。
結果
- 午前Ⅰ: 免除
- 午前Ⅱ: 92点
- 午後Ⅰ: 82点 (問1・問3を選択)
- 午後Ⅱ: 60点 (問2を選択)
情報処理試験は各問題が60点以上で合格となります。午後Ⅱは60点なので本当にギリギリでしたが、なんとか合格となりました。
これまでの結果
全4回の受験の戦績です。
令和2年度で午前Iの免除が切れてしまったので、令和3年度の春期試験で午前Iだけを受験して免除資格を取得しました。
1回目: 平成30年度(2018年) 春期試験
午前Ⅰから受験。
勝手が全く分からず、午後Ⅰも午後Ⅱも空欄だらけ。全く実力が足りていなかった。
午後Ⅰが60点に満たず、不合格。
2回目: 平成31年度(2019年) 春期試験
午前Ⅱから受験(午前Ⅰは免除)。
午後Ⅰの論理設計の問題が自転車乗りにはお馴染みな「スポーツエントリー」のシステムにそっくりで、瞬時にデータ構造を把握。「これは貰った!」と思ったが……午後Ⅱ、伝説の「パン屋問題」に挑んでしまい、あえなく撃沈。
午後Ⅰは60点を超えたが、午後Ⅱが60点に満たず、二度目の不合格。
3回目: 令和2年度(2020年) 秋期試験
午前Ⅱから受験(午前Ⅰは免除)。
さすがに同じ試験に2回落ちたのは初めてだったので、それまでよりも気合を入れて勉強して会場へ。
午後Ⅰは淡々と回答。カフェイン200mg入りの自転車用補給食を入れて午後IIを迎えたが、やはり難しい。物流業務の知識の少なさが出てしまい、何とか解答欄を埋めるに留まる。
午後Ⅱが60点に満たず、三度目の不合格。三度目の正直はならず、さすがに凹んだ。
番外: 令和3年度(2021年) 春期試験
午前Ⅰ試験の免除期間(午前Ⅰ合格から2年間)が切れてしまった。このままだと次のDBスペシャリスト試験は午前Ⅰから受験する必要がある。
午前Ⅰから試験を受けると午後Ⅱまで集中力を保つのは難しい。また、情報処理試験は大抵かなり辺鄙な場所で行われるので、午前Ⅰから受験すると家をかなり早く出ないとならない。
このため、午前Ⅰ免除の資格を得る目的で「システムアーキテクト」試験を受験。午前Ⅰのみを受験して帰宅。
午前Ⅰは合格しており、2年間の午前Ⅰ試験免除資格をゲット。
4回目: 令和3年度(2021年) 秋期試験
午前Ⅱから受験(午前Ⅰは免除)。
前年とはちょっと勉強法を変えた上でボリュームを増やしたのが功を奏し、それなりにスラスラ解けた。ただ、午後Ⅰが中々難しかった印象。午後Ⅱは手応えがあった。
結果、手応えとは裏腹に午後Ⅱはギリギリだったものの、ようやく合格! 四度目の受験で宿願成就となった。
試験対策
3度も落ちた人間の学習法に需要があるか分かりませんが、4度目(合格時)に行った学習法について書いていきます。
開始時期など
試験が10月10日(日)ということで、2ヶ月前の8月初旬から学習を開始しました。
8月の頭に参考書を注文。
学習時間は、平日夜(ブログを書くのに使っていた時間)と、週末の休日の片方(たいてい日曜日)を使っていました。週末は自転車で100km以上走らないと体調が悪くなるので、天気の良い日は走り、天気の悪い日を勉強に充てました。
これまで3回の受験で基本的な知識は頭に入っていたので、ひたすら過去問を解いていた気がします。
使用した参考書
3回目の受験時に使ってみて好感触だったこちらの本の最新版を8月上旬に購入しました。受験者の間では「みよちゃん本(三好さんが書いているから)」と呼ばれているそうです。
この参考書が良いと感じたのは「序章に解答テクニックがまとめられている」「19年分の過去問がダウンロードできる権利が付属する」という点が理由。
過去問は本の中には1年分しか掲載されていませんが、本に書いてあるパスワードを使うことで19年分をPDFでダウンロード可能となっています。全て、著者による解説も付き。これがかなりありがたい。解説の文章には少々クセはありますが、内容も分かりやすいと思います。
2018年と2019年の受験前には会社の「DBスペシャリスト対策研修」も受けましたが、今考えると役に立っていなかったですね。この参考書と過去問のほうが役立ちます。
午前対策
午前Ⅰも午前Ⅱもマークシートの四択問題です。そして、出てくる問題は8割くらいは過去問の使い回し。選択肢の順番や数字まで使い回しであることがほとんど。必然的に過去問をこなすことが対策となります。
私はスマホアプリで対策を行いました。
午前Ⅰ対策
午前Ⅰは免除となっていたので、今回は何もしていません。
半年前に午前Ⅰを受験した際には、ひたすら「応用情報技術者試験」の午前の過去問題を解いていました。高度試験の午前Ⅰは、応用情報技術者の午前問題の再利用が非常に多いんですよね。
↑の記事に書いてある方法を実践すれば、午前Ⅰは問題なく突破できると思います。
午前Ⅱ対策
こちらのアプリをスマホにインストールし、移動時間や寝る前にポチポチと解いていました。
試験の2週間ほど前からアプリを使い始め、以下の要領で5年分の過去問の答えを暗記しました。
・正答率 10/10を3回連続出したら、次の年度の問題へ。
とりあえず正答率 10/10 を3回連続で出せるようになれば、その年度の問題はほぼ完璧です。5年分もやっておけば十分だと思います。
私は上記アプリが使いやすかったのですが、受験者の間では「データベーススペシャリスト過去問道場」というサイトを使うのが定跡となっている様子。やることは同じなので、好きなアプリ・サイトを使ってください。
午後対策
午後Ⅰと午後Ⅱは記述式です。過去問がそのまま出ることはありませんが、大体パターンは決まっているので、そのパターンを網羅するように過去問を解いておけば対応できるはず。
午後対策のポイントは「午後Ⅱから取り組み始める」こと。
順番的に言えば午後Ⅰから取り組むもの。そう思い、3回目の試験までは実際にそうしていました。
ただ、購入した参考書には、「午後対策は午後Ⅱからやれ。午後Ⅰは後回しでいい」的なことがよくよく読むと書いてありました。去年は気づかなかったんですけどね。
理由としては、「午後Ⅰは所詮、午後Ⅱのコンパクト版に過ぎない」から。午後Ⅱのボリュームと難易度を落としたものが午後Ⅰ。ならば、午後Ⅱを対策しておけば、おのずと午後Ⅰの対策にもなるわけですね。
逆に、午後Ⅰをどんなに対策しても、午後Ⅱの対策量が少なければ駄目ということにもなります。午後Ⅰから取り組んでしまうと、結果的に午後Ⅱに掛ける時間が少なくなるもののようで。私も去年まではその罠に陥っていました。
自転車ブログらしくブルベに例えてみると、午後Ⅰと午後Ⅱの関係は以下のような感じ。
午後Ⅱ: 600km(獲得標高5000m)ブルベ×1本
午後Ⅱ対策
ということで、「午後Ⅱの過去問を解く」「過去問の解説を読む」をひたすら繰り返していました。
購入した参考書には、「取り組むべき過去問」がリストアップされています。最小限の努力で全てのパターンを網羅すべく、著者の方が優先度付けをしてくれているわけですね。これはありがたい。
過去19年分の問題から優先度の高い10問を解いて、解説を熟読しました。
今年の受験で解いた過去問の束。
午後Ⅱはとにかく情報量が多く(問題文だけでA4が15ページ前後)、分割でやろうとしても内容は忘れてしまうことがほとんど。ゆえに一気にやらなければならないのですが、最低でも1問を解くのに120分必要なのがネックではあります。
問題文が長いので、「読み方」を工夫するのもテクニックの一つ。
多くの方が合格後に言うのは、「DBスペシャリスト試験は国語の試験」という話。他の高度情報試験は解答欄に書くワードは自分の頭の中から出してくることが多いのですが、DBスペシャリスト試験は解答欄に書くワードのほとんどは問題文中に書いてあるのです。文章の日本語を正しく理解し、キーワードを短時間で見つけ出すテクニックが必要となります。
詳しいテクニック内容は参考書に譲るのですが、「愚直に頭から読んでいく」のはNG。今回実践したのは、「最初に問題の全体像を把握」「その上で、”こういうことが書いてあるはず”と推測しながら読む」こと。これによって、問題文の理解が効率的になりました。
午後Ⅰ対策
午後Ⅱを大体やりきって、試験2週間前くらいからは午後Ⅰ対策を中心にしました。
ただ、午後Ⅰと午後Ⅱではスピード感が違う(求められる平均速度は午後Ⅱのほうが上)ので、試験直前にはあえて午後Ⅱの過去問を再度解きました。
午後Ⅰも、参考書にリストアップされていた重要な過去問題をひたすら解きました。ただ、午後Ⅰの方が問題のバリエーション(出題ジャンル)が多いので、それなりの数の過去問をこなす必要があります。全部で15問ほどの過去問を解いて、解説を熟読しました。
試験日
試験本番は日曜日。前日はほぼ勉強はせず、リフレッシュタイムに充てました。
また、「睡眠不足はパフォーマンスの敵」というブルベでの体験から、土曜日は早めに就寝。9時間ほどは寝たと思います。午前Ⅰ試験が免除となっていたので、朝8時半まで寝ていられたのは大きかったです。
会場に向かう電車では、再度スマホアプリで午前Ⅱ問題を2年分ほど振り返り。途中で参考書を家に忘れたことに気づきましたが、今更読んだ所で何も変わらないでしょう。
試験会場の最寄り駅では、「こんなに必要があるか?」というほど、大量に食べ物を購入。推し棋士の永瀬王座を見習いました(毎回、対局に大量の食べ物を持ち込むことで有名)。
試験は淡々と受験しましたが、午後Ⅱ試験の前にはカフェイン入りの補給食(メイタンサイクルチャージ)を投入。眠気は吹き飛びますが、試験時間の後半は利尿作用でトイレに行きたくて仕方がなかったです。
まとめ
ようやく合格できました。
ハンター試験におけるトンパのように、「毎回なぜか試験会場にいる常連」になるんじゃないかという不安にも駆られたものの、今回合格したことでその線は消えました。頑張って取り組んで良かったです。
何が嬉しいって、会社からの資格取得の催促が止まることです。
情報処理試験は4月と10月にあり、この時期は自転車イベントもハイシーズン。そんなハイシーズンに勉強で週末を潰さねばならない日々は、趣味人にはかなり辛いことでした。これからしばらくはそういったことを気にしなくて良くなります。
ただ、午前Ⅰ免除の権利が有効なうちに、もう一つくらい高度情報資格を取っておきたい想いもあるのですが……次は何でしょうね。ネットワークスペシャリストでも狙いますか。
著者情報
年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。