この記事は約 7分で読めます。
中華バルブアダプター(米→仏)の実験
Amazonで売っている中華バルブアダプターの話です。
米式バルブ→仏式バルブに変換するバルブなのですが、使えるポンプと使えないポンプがあるので、その辺りの実験結果を纏めました。
経緯
まず、今回取り上げるアダプタはこちらです。
色々なブランドから販売されていますが、モノは恐らく一緒。
現物はこちら。一番左が今回取り上げる「米→仏式」アダプタです。「米式バルブに取り付けて、仏式バルブ用の口金を持つポンプで空気を入れるためのアダプタ」ということになります。
購入した理由
もともとこのアダプタを購入しようと思ったのは、「ローディーTTでお助けチューブを使いたかったから」です。

ローディーTTはこちらの携帯ポンプのこと。性能では当代最強だと思っているんですが、このポンプはいわゆる延長ホース的なアイテムを使うことが出来ません。

延長ホースの代表格が、TNIの「お助けチューブ」です。しかし、この製品は「米式バルブ用の口金を持つポンプ」にしか使えません。お助けチューブの他にも類似製品はありますが、ほぼ全てが米式バルブ用の口金を持つポンプで使うために作られています。

GRUNGEポンプアダプタだけは例外ながら、大きくて重いので持ち歩きたくない。
ローディーTTは「仏式バルブ用の口金」しか持っていません。たいていの携帯ポンプは米式⇔仏式の切り替えができるんですが、軽量化のために省かれたのでしょう。
そこで、「米→仏アダプタ」が必要になったわけです。お助けチューブの米式バルブを、ローディーTTが咥え込める仏式アダプタに変換できれば、お助けチューブを使うことが出来ます。
選択肢がない米→仏アダプタ
そう考えて、「米→仏アダプタ」を買おうとしたんですが……意外にも無いんですよね、このタイプのアダプタ。最初に紹介した中華アダプタしか見つからないんです。
逆パターンの「仏→米アダプタ」はかなり一般的で、airboneのポンプや、マルニのクイックショットにも付属します。でも、「米→仏アダプタ」はほぼ選択肢が無いという。
ようやく見つけたまともそうなアダプタは、お値段なんと3800円。さすがにちょっとこれは高すぎる。
需要がないんでしょうかね、「米→仏アダプタ」。欲しい人はいそうな気がするんですけども……。
結局他にも見つからなかったので先述の中華バルブアダプタを買いました。
ローディーTTに使えない
早速届いたバルブアダプタをお助けチューブに装着。ローディーTTの口金に差し込んでみました。
……が、ロックレバーを上げようとするとバルブアダプタが押し出されてしまい、うまくロックできません。なんとか無理やり押し込めばロック出来ないことはないですが、高圧になるとバルブアダプタが抜けてしまいました。
そもそも形状的にも仏式バルブとはかなり異なる形状をしていますし、果たして本当に仏式用なのか怪しくなってきました。
「まぁ、中華製品だし、そんなこともあるか……」と思って、このアダプタはパーツ箱に放り込まれていました。
使えるポンプもある?
しかし、今日になってフォロワーさんがこの中華バルブアダプタが使えているというツイートをしているのを見かけました。
「私は全然使えなかったのに何でだろう?」と思ったのですが、そういえばローディーTTでしか実験していないことに気付きました。他のポンプなら使える可能性を考えていなかったのです。
実験
そこで、家に無駄にある数々のポンプを使って、この中華バルブアダプタが使えるポンプがあるかを実験してみることにしました。
実験方法
お助けチューブの片方にチューブ、片方に中華バルブアダプタを取り付け、各ポンプで空気を入れます。
空気が入れば「○」、入らなければ「×」、使えなくはないけど不都合がある場合は「△」とします。
実験結果
仏式バルブ用の口金を持つポンプで実験を行いました。最初からホースが付いている携帯ポンプはテストの対象外としています。
# | ポンプ種別 | 結果 | 備考 |
1 | ヒラメ 横カム(フロアポンプ) | ○ | – |
2 | TOPEAK ROADIE TT | △ | 低圧は問題なし、高圧で抜ける |
3 | TOPEAK MICRO ROCKET ALT | × | バルブが口金に付かない |
4 | TOPEAK ROADIE DA | △ | 低圧は問題なし、高圧で抜ける |
5 | Oture 携帯ポンプ(初代・例のポンプ) | ○ | – |
6 | Oture 携帯ポンプ カーボン | × | バルブが口金に付かない |
7 | BBB Teleroad Mini Pump | ○ | – |
8 | Blackburn AIRSTIK SL | × | バルブが口金に付かない |
9 | Blackburn AIRSTIK 2Stage | × | バルブが口金に付かない |
10 | Panaracer 携帯ワンタッチポンプ | × | バルブが口金に付かない |
結果考察
使えるポンプ・使えないポンプがかなり分かれました。同じメーカーであっても使えるモデルと使えないモデルがあったりします。
その差はどこから生まれるのか? 下記の画像が答えだと思います。
仏式バルブは思ったよりも口金の中に深く入ります。しかし、中華バルブアダプタは部分的に太くなっており、かなり短い部分しか口金の中に入らないのです。
この短い部分だけでもバルブを咥え込める口金ならばこのアダプタが使えますし、深く咥え込まないといけない口金ではこのアダプタは使えません。
計測してみると、仏式バルブの径は6mm、中華バルブアダプタの太くなっている部分の径は8mmありました。これじゃ大抵の口金には入りませんね。この部分を削り落として細くすればほとんどの口金で使用可能になる気はするんですけども。なんでわざわざ太く造形しているんでしょうね?
あと、この中華バルブアダプタを使うと、空気圧計は使えなくなります。構造上、仕方ないことですが……。
解決策
フォロワーさんから教えてもらったのですが、この中華バルブアダプタに更にバルブエクステンダーを付けることでほとんどの仏式バルブ用口金で使えるようになるとのことです。
実績があるのはこちらのTOPEAKのエクステンダー。しかし、そこまでして延長ホースを使うのか?という疑問はありますが……。
まとめ
米→仏の中華バルブアダプタの互換性調査の結果でした。
この中華バルブアダプタのレビュー欄では「使える」「使えない」の評価が二分していましたが、非常に納得しました。うちはたまたま(?)沢山あったので実験出来ましたが、普通は家に何本もポンプは無いですからね。
最初のポンプで使えなかったので「なんだゴミか!」と思ってそのまま使っていなかったのですが、実は使えるポンプもあったことは一つ勉強になりました。やはり一つがダメでも他を試してみることは大切なのだなと。自転車の世界はやっぱり現物合わせですね。
追記
airboneのポンプの一部に付属するアダプタが、米→仏式でした。

ただ、このアダプタは単体で買うことは出来ません。
著者情報
年齢: 36歳(レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。