RN1500の給電・受電に関する実験

この記事は約 24分で読めます。

RN1500を色々な機器と接続し、給電・受電がどのように動作するかを実験しました。

めちゃくちゃ長いので、結果だけ気になる方は「ユースケース別の考察」の章だけ読んでください。

目次

まえがき

USB TypeC端子を持ち、いざというときはモバイルバッテリーとしても使えるOLIGHT「RN1500」。

しかし、どうにも相性問題があるようで、外部機器を充電できないケースもあるとか。

そこで、この記事では様々な機器とRN1500を接続し、その相性問題がどうなっているのかを調べてみることにしました。

実験の動機

Twitterで以下の質問を頂いたことが今回の実験のキッカケです。

「私はOLIGHTのサポート担当ではないんだけどなぁ……」と内心思いつつも、個人的にも興味のある内容でもありました。

このツイートだけでは状況が良く分からなかったので、詳しく話を聞いてみると以下の状況であることが判明しました。

・モバイルバッテリー: TypeC端子を持っている
・ケーブル: 両端がTypeCコネクタ


上記のモバイルバッテリーとケーブルを使って、バッテリーが減ったRN1500(TypeC端子を持っている)を充電しようとしたが、逆にモバイルバッテリーの方が充電されてしまった。

 


まだ使ったことがない方も多いかもしれませんが、これが「両端がTypeC端子のケーブル」です。RN1500を使ってスマホなどを充電しようと思うと、このケーブルが必要になります。

 


ご相談頂いた状況を再現してみると、こういう状態だと思われます。

今回のご相談内容だと、「モバイルバッテリー→RN1500」という方向で充電したいはず。ただ、こちらの写真では「RN1500→モバイルバッテリー」の方向で充電されています。

RN1500って「充電されている」時にはスイッチボタンが赤く点滅するんですが、消えたまま。外部に給電している際にはこのようにLEDも何も点灯しない状態になります。

疑問1: 受電・給電の役割決定


考えてみれば、モバイルバッテリーもRN1500も双方ともにTypeC端子であるわけで、どちらがIN(給電)でどちらがOUT(受電)なのかって一見すると分からないですよね。

電気を送る側と受け取る側、その役割決定にはなにか法則があるのか?気になってきました。

疑問2: 充電できるケースと出来ないケースがある

もうひとつ、ご相談の中で出てきたのが「充電出来ないケースがある」という話です。これは私にも覚えがありました。

「TypeC端子で出力するACアダプタで、あるケーブルでは充電できるのに、あるケーブルでは充電できない」という問題です。

この時は、ダイソーで買ってきた100円のケーブルが駄目で、ダイソーで200円のケーブルを買ってきたらRN1500からスマホへの給電が可能となりました。

ただ、受電・給電の成功に関しては、ケーブルのみではなく、機器(ACアダプタ・スマホ・モバイルバッテリー etc)との相性も関係してくるはず。

こちらも「充電できる」「充電できない」に何らかの法則性があるのかが気になりました。

実験の準備

疑問が出てきたら実験です。早速、ダイソーに行って必要なものを買ってきました。これだけ買っても990円なのでありがたい。

今回やろうとしている実験は以下の3つです。

① ACアダプタとRN1500の接続実験
② モバイルバッテリーとRN1500の接続実験
③ RN1500同士の接続実験
RN1500と繋ぐ機器を「ACアダプタ」「モバイルバッテリー」「RN1500」と3通りに分け、その中で4種類のケーブルを繋ぎ変えた時の受電・給電のパターンを調査してみることにしました。

実験の前提知識

実験の話を始める前に、「USB TypeC」での充電について覚えておいて頂きたいことをいくつか書いていきます。

USB PD

「USB TypeCによる充電」というと必ず出てくる話題が「USB PD(Power Delivery)」です。

簡単に言うとUSBケーブルを使って高速充電をするための規格です。

USB PDでは、従来よりも大電力(最大100W)での充電が可能となります。これにより、従来は専用のACアダプタを必要としていたノートPC等の機器の充電が、USBケーブルで可能となります。

ただし、USB PDでの充電を実現するためには、「ACアダプタ」「ケーブル」「充電対象機器」の全てがUSB PDの規格に対応している必要があります。一つでもUSB PDの規格に非対応の製品が混じっていると、「TypeC Current」という、通常速度(最大15W)での充電となります。

近年はTypeC端子を備えたACアダプタや機器が増えましたが、全てがUSB PDに対応しているわけではありません。

HanpenBlog
USBの仕様上、USB PD非対応のUSB Type-Cケーブルは存在しない メーカーのホームページや製品パッケージなどに「このケーブルはUSB PDには対応していません」的な説明が書かれている場合がありますが、USBの仕様上、USB PD非対応のUSB T...

ケーブルに関して言えば、両端がTypeC端子になっているケーブルは基本的に全てがUSB PDに対応しているそうです。

 

一方、写真のように片方がTypeAで片方がTypeCのようなケーブルはUSB PDには非対応です。

RN1500とUSB PD

RN1500はTypeC端子を備えていますが、公式サイトを見ても「USB PD」対応とは明言されていません。恐らくはUSB PD非対応と思われます。

恐らく、RN1500が混じった場合には「TypeC Current」による通常速度での充電が行われるはずです。

TypeC端子の裏表

リバーシブルのイメージが有るTypeC端子ですが、細かく見ると実は裏表があります

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規格に沿って作られていれば裏表で差異は生じないはず、とのこと。しかし、規格に沿っていない製品が出てくるのは世の常でもあります。

TypeCの端子を差し込む際の裏表でスマホの充電速度が変わったりした経験はないでしょうか? 私はあります。恐らく、ちゃんと規格に沿って作られていないケーブル、または機器だったということでしょう。

実験結果を述べる前のネタバラシになってしまいますが、RN1500もおそらく規格に沿っていない機器だと思われます。

ソース(給電側)とシンク(受電側)

前述の通り、USB TypeCのケーブルは両端ともにTypeCの端子(オス側)を備えています。このケーブルで機器を繋いだ時に、どちらが電力を供給して、どちらが電力を受け取るのかの役割を決める必要があります。

USBの世界では、電力を供給する機器を「ソース」と呼び、電力を受け取る機器を「シンク」と呼びます。

そして、TypeC端子を備える機器は「ソースにしかなれないもの」「シンクにしかなれないもの」「ソースとシンク両方になりうるもの」が存在します。

種別名 概要 機器例
Source Only 電力を供給する(給電)だけの機器。 ACアダプタ
Sink Only 電力を受け取る(受電)だけの機器。 USBメモリ
DRP(Dual Role Power) 給電も受電も行う機器。 ノートPC、スマホ、モバイルバッテリー

RN1500は、DRPにあたる機器です。一つのTypeC端子しか持たず、そこからRN1500の充電も行いますし、外部機器への給電も行います。

DRP同士を接続した場合

DRPの機器同士を接続した場合、どちらがソースになりどちらがシンクになるかの判定条件は↓の記事に詳しく書いてあります。

認証試験.com - ロゴ認証試験の各...
スマホとスマホと接続したら何が起きるの? USB Type-CのDual-Role-Power - 認証試験.com 概要 USB Type-Cが市場に普及してきました。充電器やノートPC、タブレット、スマホにType-Cが搭載され更に、PDが実装され急速充電にも対応する製品が増えています。今回こ...

こちらの記事によると、機器側で「ソースになるかシンクになるかの確率を30-70%の間で設定できる」とのこと。

つまり、DRP機器同士を接続する場合、「どちらがソースでどちらがシンクになるかは繋いでみないと分からない」ということになります。てっきり電池の残り量が多いほうがソースになるものかと思っていましたが、そういうわけでもないようです。

用意したもの

実験のために用意したものです。

半分は家にあったもの、もう半分はダイソーで買ってきたものです。

ACアダプタ

TypeC端子で出力するACアダプタを3種類用意しました。USB PD対応を謳うものと、USB-PD非対応のもの、ノートPCの電源(ケーブル一体型)です。

① AUKEY「SWIFT 18W 1ポート」

AUKEY USB充電器 Swift 18W PD対応 USB Type-C 1ポート オーキー (電源アダプタ) PD [PSR]

USB PD対応のACアダプタです。

18W対応なのでノートPCを充電するのにはパワーが足りませんが、大抵のスマホならばこれで十分。

② ダイソー「Type-C ACアダプタ」

USB PD非対応のACアダプタです。ダイソーで500円の製品。

出力は5V/3.0Aと標準的なもの。

③ Lenovo「45W ACアダプタ」

LenovoのノートPC用のACアダプタです。

ケーブル一体型で、USB PD対応。最大45Wの出力に対応します。

モバイルバッテリー

ACアダプタ以外で「給電する側」の代表としてモバイルバッテリーを用意しました。

① Auskang「モバイルバッテリー」

TypeC端子で給電・受電を行うモバイルバッテリー。バッテリー容量5000mAh。

ライト

「受電する側」「給電する側」どちらにもなれるライトとしてRN1500を使用します。

① OLIGHT「RN1500」

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今回の実験のメインテーマとなるのはRN1500。バッテリー容量5000mAh。

RN1500同士の接続実験では、2本のRN1500を使用します。

スマホ

「受電する側」の機器の代表として、TypeC対応のスマホも実験対象に加えます。

① OPPO「Reno A」

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typeC端子を持つスマートフォン。今私が使っているものです。バッテリー容量3600mAh。

USB PDには非対応。

ケーブル

TypeCによる充電で一番相性問題が大きいのはケーブルだと思い、3種類用意しました。

① ダイソー「アルミプラグ 充電・転送ケーブル」

ダイソーのTypeC-TypeCケーブル。100円。

最大3.0Aまで対応しています。

② ダイソー「充電&データ転送 60Wケーブル」

ダイソーのTypeC-TypeCケーブル。200円。

PD対応を謳っており、最大60Wまでの充電に対応しています。

③ ダイソー「高速充電・通信ケーブル + 変換アダプタ」

ダイソーの「TypeA-TypeC」ケーブルに、「TypeA-TypeC」アダプタを組み合わせたものです。これでケーブルの両端がTypeC端子になります。

規格上このケーブルはUSB PDには対応しないため、低速充電になる可能性はあります。「TypeA-TypeC」ケーブルは恐らく多くの人が持っていると思われるため、アダプタを使ってRN1500から給電を行うケースを想定して今回のバリエーションに加えました。

実験1: ACアダプタとRN1500の接続実験

まずは、ACアダプタとRN1500を接続してみるケースです。

ACアダプタはSouce Onlyの機器であるため、「ACアダプタがソース側」「RN1500がシンク側」に必ずなります。

シンク側の比較対象として、スマホも接続してテストします。

実験内容

ケーブルの左端に「機器1」、ケーブルの右端に「機器2」を接続して、充電がされるかどうかをテストします。

TypeC端子の裏表でも違いがある可能性を考え、機器2側の端子を裏と表で2回指し直して測定します。

また、ケーブルC(アダプタ付きケーブル)は、機器1側にアダプタが来る場合と、機器2側にアダプタが来る場合の両方のケースを測定します。

カテゴリ サブカテゴリ 製品名 ラベル名
機器1(左) ACアダプタ AUKEY「SWIFT 18W 1ポート」 ACアダプタ①
ダイソー「Type-C ACアダプタ」 ACアダプタ②
Lenovo「45W ACアダプタ」 ACアタプタ③
機器2(右) ライト OLIGHT「RN1500」 RN1500①
スマホ OPPO「Reno A」 Reno A
ケーブル ダイソー「アルミプラグ 充電・転送ケーブル」 ケーブルA
ダイソー「充電&データ転送 60Wケーブル」 ケーブルB
ダイソー「高速充電・通信ケーブル + 変換アダプタ」 ケーブルC

実験結果

以下のようになりました。

機器1 ケーブル 端子向き
(機器2側)
機器2 結果
ACアダプタ① ケーブルA RN1500① 受電せず
Reno A 機器2側が必ず受電
RN1500① 機器2側が必ず受電
Reno A 機器2側が必ず受電
ケーブルB RN1500① 機器2側が必ず受電
Reno A 機器2側が必ず受電
RN1500① 受電せず
Reno A 機器2側が必ず受電
ケーブルC RN1500① 機器2側が必ず受電
Reno A 機器2側が必ず受電
RN1500① 機器2側が必ず受電
Reno A 機器2側が必ず受電
ケーブルC(逆向き) RN1500① 受電せず
Reno A 受電せず
RN1500① 受電せず
Reno A 受電せず
ACアダプタ② ケーブルA RN1500① 機器2側が必ず受電
Reno A 機器2側が必ず受電
RN1500① 機器2側が必ず受電
Reno A 機器2側が必ず受電
ケーブルB RN1500① 機器2側が必ず受電
Reno A 機器2側が必ず受電
RN1500① 機器2側が必ず受電
Reno A 機器2側が必ず受電
ケーブルC RN1500① 機器2側が必ず受電
Reno A 機器2側が必ず受電
RN1500① 機器2側が必ず受電
Reno A 機器2側が必ず受電
ケーブルC(逆向き) RN1500① 受電せず
Reno A 受電せず
RN1500① 受電せず
Reno A 受電せず
ACアダプタ③ ケーブル一体 RN1500① 機器2側が必ず受電
Reno A 機器2側が必ず受電
RN1500① 受電せず
Reno A 機器2側が必ず受電

考察

このケースでは必ずRN1500がシンク側(充電される側)になります。

PD対応のACアダプタでは端子の裏表を見る?

まずは、USB PD対応のACアダプタ①と③を使った場合の結果を見てみます。

ACアダプタ①とケーブルAとケーブルBを組み合わせたケースでは、Reno A(スマホ)への充電は端子の裏表に関係なく成功。しかし、RN1500については、ケーブルAでは端子が表、ケーブルBでは端子が裏の時に充電に失敗しました。

ACアダプタ③はケーブル一体型ですが、こちらもACアダプタ②でケーブルBを使った場合と同様の結果となりました。

念のため、別のRN1500でも試してみましたが、やはり端子が表で失敗するケーブルは表で失敗し、裏で失敗するケーブルは裏で失敗しました。ちゃんと再現性があります。

次に、USB PD非対応のACアダプタ②を使った場合を見てみます。

ケーブルA・ケーブルBともに、Reno AもRN1500も端子の裏表に関係なく充電に成功しています。

この結果を見ると、「RN1500は、PD対応のACアダプタとケーブルを使った場合、端子の向き(裏表)によって充電が失敗する場合がある」ということになります。PD非対応のACアダプタ②では裏表に関係なく成功していることから、「TypeC Current」での充電の場合には端子の裏表の影響を受けないということなのでしょう。

USB PDで充電する場合には双方の機器が信号を送り合って(ネゴシエーションという)電流・電圧を決定するようですが、それにRN1500が上手く対応できていないのではないかと思います。スマホ(Reno A)はちゃんとそのあたりにも対応できているということなんでしょうね(PD非対応のはずなんですが)。

 

なお、今回の実験ではこちらの面を「表」。

 

こちらの継ぎ目がある面を「裏」と解釈しています。

変換アダプタを使う場合はケーブルの向きに注意

ケーブルCの結果を見てみます。このケーブルは、「TypeA-TypeC」ケーブルに、「TypeA-TypeC」変換アダプタを組み合わせて、両端がTypeC端子のケーブルとなっています。

TypeA-TypeCケーブルはUSB PDには非対応なので、このケーブルを使うと強制的に「TypeC Current」での充電になるということです。

 

まずはケーブルが正向き(ACアダプタ側に変換アダプタが来る)のケースを見てみます。このケースでは、ACアダプタがPD対応・非対応に関わらず、全パターンで充電に成功しています。

 

一方、ケーブルを逆向き(充電対象機器側に変換アダプタが来る)パターンでは全パターンが充電失敗。

TypeA-TypeCケーブルは、「TypeA側がソース、TypeC側がシンク」というように使う向きが決まっています。ケーブルを逆向きにすると、充電対象機器からACアダプタを充電する(?)という謎の構図になるので、何も起こらないということですね。

変換アダプタを使う場合には、変換アダプタがソース側に来るようにケーブルの向きに気をつける必要があるでしょう。

実験まとめ

家やホテルでTypeC出力のACアダプタからRN1500を充電する場合、ACアダプタはPD非対応のものにしたほうがケーブルを選ばず充電に成功すると思われます。

PD対応アダプタで充電に失敗した場合は、RN1500に差し込んだ端子の裏表を変えることで充電できる可能性があります。

なお、表には出していませんが、TypeA出力の普通のACアダプタ+TypeA-TypeCケーブルで充電する場合は全パターンで成功しました。TypeC出力のACアダプタを使うよりも、通常のTypeA出力のACアダプタとケーブルを持ち歩くほうが無難かもしれません。どうせRN1500はPDには対応していませんしね。

実験2: モバイルバッテリーとRN1500の接続実験

次に、モバイルバッテリーとRN1500を接続してみるケースです。

モバイルバッテリーもRN1500もDRPの機器であるため、どちらがソース・シンクになるかは繋いでみるまで分かりません。

比較対象として、スマホも接続してテストします。

実験内容

ケーブルの左端に「機器1」、ケーブルの右端に「機器2」を接続して、充電がされるかどうかをテストします。

TypeC端子の裏表でも違いがある可能性を考え、機器2側の端子を裏と表で2回指し直して測定します。

また、ケーブルC(アダプタ付きケーブル)は、機器1側にアダプタが来る場合と、機器2側にアダプタが来る場合の両方のケースを測定します。

カテゴリ サブカテゴリ 製品名 ラベル名
機器1(左) モバイルバッテリー Auskang「モバイルバッテリー」 モバイルバッテリー①
機器2(右) ライト OLIGHT「RN1500」 RN1500①
スマホ OPPO「Reno A」 Reno A
ケーブル ダイソー「アルミプラグ 充電・転送ケーブル」 ケーブルA
ダイソー「充電&データ転送 60Wケーブル」 ケーブルB
ダイソー「高速充電・通信ケーブル + 変換アダプタ」 ケーブルC

実験結果

以下のようになりました。

機器1 ケーブル 端子向き
(機器2側)
機器2 結果
モバイルバッテリー① ケーブルA RN1500① どちらかの機器が受電(ランダム)
Reno A 機器2側が必ず受電
RN1500① どちらかの機器が受電(ランダム)
Reno A 機器2側が必ず受電
ケーブルB RN1500① どちらかの機器が受電(ランダム)
Reno A 機器2側が必ず受電
RN1500① どちらかの機器が受電(ランダム)
Reno A 機器2側が必ず受電
ケーブルC RN1500① 機器2側が必ず受電
Reno A 機器2側が必ず受電
RN1500① 機器2側が必ず受電
Reno A 機器2側が必ず受電
ケーブルC(逆向き) RN1500① 機器1側が必ず受電
Reno A 受電せず
RN1500① 機器1側が必ず受電
Reno A 受電せず

考察

このケースでは、モバイルバッテリーもRN1500(or スマホ)も双方がDRPなので、TypeC-TypeCケーブルで繋いだ場合には一定確率でソースとシンクが入れ替わります。

PD対応ケーブルではソース/シンクが入れ替わる

ケーブルAとケーブルBはどちらも両端がTypeCのPD対応ケーブルです。

この場合、前述のようにDRP同士の接続になるので、機器ごとに設定された確率でソースとシンクが入れ替わります。つまり、ある時はモバイルバッテリーからRN1500に電気が流れるし、またある時はRN1500からモバイルバッテリーに電気が流れます

ただ、10回実験すると7回はRN1500がソースを取っていました。Auskangのモバイルバッテリーがシンクになりやすい設定となっている可能性もありますので、他のモバイルバッテリーを使った場合にはまた違う結果となるはず。ただ、「どちらがソースになるかは確定しない」ことは確かだと思います。

スマホもDRPのはずですが、何度やってもモバイルバッテリーがソース、スマホがシンクになりました。恐らく、スマホ(Reno A)はDRPでありつつも、ソースになる確率がかなり低く設定されているのでしょう。

PD非対応ケーブルでは…

PD非対応であるケーブルCの結果を見てみます。このケーブルは、「TypeA-TypeC」ケーブルに、「TypeA-TypeC」変換アダプタを組み合わせて、両端がTypeC端子のケーブルとなっています。

ケーブルが正向き(モバイルバッテリー側に変換アダプタが来る)のケースでは、必ずRN1500側がシンクになりました。スマホでも同様です。

ケーブルが逆向き(充電対象機器側に変換アダプタが来る)のケースでは、逆に必ずRN1500側がソースになりました。一方、スマホの場合には何も起こらず。「スマホがモバイルバッテリーを充電する」ということは起こりませんでした。

実験まとめ

外出先でTypeC出力のモバイルバッテリーとRN1500を接続した場合、望んだ方向に電気が流れない可能性があります。

RN1500の電池が切れかかっていてモバイルバッテリーを使って充電しようとしたら、逆にRN1500が電気を吸われてトドメを刺されるケースこともあるということです。TypeC-TypeCケーブルの場合に限りますが。

TypeA-TypeCケーブルに変換アダプタを使うと充電方向を確定できます。

実験3: RN1500同士の接続実験

次に、RN1500とRN1500(or スマホ)を接続してみるケースです。

RN1500はDRPである上に同じ製品なので、どちらがソース・シンクになるかは繋いでみるまで分かりません。

比較対象として、スマホも接続してテストします。

実験内容

ケーブルの左端に「機器1」、ケーブルの右端に「機器2」を接続して、充電がされるかどうかをテストします。

TypeC端子の裏表でも違いがある可能性を考え、機器2側の端子を裏と表で2回指し直して測定します。

また、ケーブルC(アダプタ付きケーブル)は、機器1側にアダプタが来る場合と、機器2側にアダプタが来る場合の両方のケースを測定します。

カテゴリ サブカテゴリ 製品名 ラベル名
機器1(左) ライト OLIGHT「RN1500」 RN1500②
機器2(右) ライト OLIGHT「RN1500」 RN1500①
スマホ OPPO「Reno A」 Reno A
ケーブル ダイソー「アルミプラグ 充電・転送ケーブル」 ケーブルA
ダイソー「充電&データ転送 60Wケーブル」 ケーブルB
ダイソー「高速充電・通信ケーブル + 変換アダプタ」 ケーブルC

実験結果

以下のようになりました。

機器1 ケーブル 端子向き
(機器2側)
機器2 結果
RN1500② ケーブルA RN1500① どちらかの機器が受電(ランダム)
Reno A 機器2側が必ず受電
RN1500① どちらかの機器が受電(ランダム)
Reno A 機器2側が必ず受電
ケーブルB RN1500① どちらかの機器が受電(ランダム)
Reno A 機器2側が必ず受電
RN1500① どちらかの機器が受電(ランダム)
Reno A 機器2側が必ず受電
ケーブルC RN1500① 受電せず
Reno A 機器2側が必ず受電
RN1500① 受電せず
Reno A 機器2側が必ず受電
ケーブルC(逆向き) RN1500① 受電せず
Reno A 受電せず
RN1500① 受電せず
Reno A 受電せず

考察

RN1500もスマホも双方がDRPなので、TypeC-TypeCケーブルで繋いだ場合には一定確率でソースとシンクが入れ替わります。

PD対応ケーブル

PD対応のケーブルAとケーブルBでは、実験2のケースと全く同じですね。

やはりDRP機器同士を組み合わせた場合は、どちらがどちらを充電するかは事前には分からないようです。

ただし、スマホは必ずシンク側になりました。スマホからRN1500に対して給電されるケースは私のスマホではありませんでしたが、「RN1500からスマホの電気を吸われた」という例もTwitterで聞きました。ソースになる確率がそれなりに高く設定されているスマホの場合はそうなるのかもしれません。

PD非対応ケーブル

PD非対応であるケーブルCでは、実験2との差が出ました。

RN1500同士をケーブルCで繋ぐと、正向きでも逆向きでも反応なし。

実験まとめ

RN1500同士をつなげた場合も、やはりどちらがソース・シンクになるかは確定しないようです。そして、変換アダプタを介した場合には充電が出来ませんでした。まぁ、RN1500同士を繋ぐケースは実用上はないと思うんですけどね。

RN1500をソースとて使う場合、繋ぐ対象として一番有りえるのはスマホでしょう。RN1500とスマホを繋いだ場合、ケーブルはどのパターンでも(ケーブルC逆向きを除く)スマホ側が充電されました。スマホもDRPなので、スマホ側の設定によっては充電方向が逆になる可能性はあります。

ユースケース別の考察

実験結果から、「どのような組み合わせにすれば確実に望む方向で充電できるのか?」をユースケースごとに考えてみます。

家/ホテルでRN1500を充電する場合

家やホテルでRN1500を充電したい場合は、TypeA出力のACアダプタを使った方が無難そうです。

そもそもRN1500はPDには対応していないので、わざわざTypeC出力のACアダプタを使う理由もないはずです。

TypeC出力のACアダプタを使って充電に失敗した場合は、端子の裏表を変えて指し直すと充電に成功する可能性があります。

出先でモバイルバッテリーでRN1500を充電する場合

出先でモバイルバッテリーを使ってRN1500を充電したい場合は、TypeA出力のモバイルバッテリーを使ったほうが無難そうです。

TypeC出力のモバイルバッテリー+TypeC-TypeCケーブルを組み合わせた場合は充電方向が一定しません。充電するつもりが、逆に給電するケースもありえます。

TypeC出力のモバイルバッテリーを使う場合は、TypeA-TypeCケーブルを使って変換アダプタを使うと充電方向を確定は可能ですが相性問題が心配。

出先でRN1500でスマホなどを充電する場合

出先でRN1500を使ってスマホ(TypeC端子搭載)などの機器を充電したい場合は……なかなか推奨出来る組み合わせがなさそうです。一番ありえるユースケースのはずなんですが。

TypeA-TypeCケーブルに変換アダプタを使えば充電方向を確定出来ますが、相性問題で充電に失敗する可能性があります。

とはいえ、スマホはDRPでありながらソースになる確率は低く設定されている確率が高いはずなので、TypeC-TypeCケーブルで接続すればRN1500→スマホの方向で充電される確率はかなり高いはずです。

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なお、TypeC-microBというケーブルも買ってRN1500とGVolt70を接続してみましたが、この場合はGvolt70側が充電されました。このタイプのケーブルだと、TypeC側が必ずソースになり、microB側がシンクになるようですね。規格上、microBがソース側になるというのはあり得ないのかもしれませんが。

まとめ

RN1500の給電/受電について色々と実験して調査しました。

ちょっとした調査で終わらせるつもりが、実験していくうちに「端子の裏表」「ケーブルの向き」などなど、変更すべきパラメータが増えて大変な実験となりました。

PD対応のACアダプタで端子の裏表によって充電の成功・失敗が変わるのは、RN1500側の設計の問題な気がします。比較として使ったスマホのように、端子の裏表によって結果が変わらないはずなので。TypeC端子は仕様が複雑怪奇なのでちゃんと実装するのは難しいのかもしれません。

なお、同じくTypeC端子を備えるMagicshineのRay2600は、RN1500が充電失敗するACアダプタ・ケーブルの組み合わせでも問題なく充電に成功していました。同じ会社が製造しているはずですが、Ray2600の方がTypeC端子周りの設計はしっかりしていそうに見えます。

RN1500の次期バージョンが出ることがあれば、TypeC端子の規格にしっかりと対応した設計で出してほしいものです。

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著者情報

年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

 

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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