この記事は約 8分で読めます。
ロガー付き照度計を購入
ライトの明るさを測るために、新たな照度計を購入しました。
今度の照度計はロガー付き。照度の時間変化をSDカードに記録してくれる機能が付いています。
購入まで
ロガー付きの照度計を購入しました。
購入した製品
今回購入したのは、マザーツールというメーカーの「LX-1128SD」という機種です。
これを選んだ理由は、ロガー機能付きで一番安かったからです。計測上限は10万ルクスまで、精度は±4%ですが、自転車用ライトの計測なら十分でしょう。
購入理由
前々から「もう少し正確にライトの照度変化を計測したいな」と思っていました。
自転車用ライトには、大きく分けて「一定光量」のものと「ダラ落ち」のものが存在します。
ダラ落ち: 点灯開始時が一番明るく、徐々に暗くなっていく
ライトのスペック表記の規格
ライトのスペック表記には、事実上の世界標準となっている「ANSI FL1」という規格が存在します。
ANSI FL1では、ライトの点灯時間を以下のように定義しています。
初期値の10%に到達した地点までを「点灯時間」とする。
10%の明るさに達するまでに、明るさがどのように変化するかについては定められていません。
点灯開始後に200ルーメンのライトであれば、「20ルーメンまで明るさが落ちるのに掛かる時間」がそのライトの「点灯時間」として表記して良いとされているわけです。
これも「200ルーメンで8時間持つライト」ですし……
これも「200ルーメンで8時間持つライト」であると表記することが許されているわけです。
新旧の照度計について
ライトの計測にこだわる理由
昔からライトには結構こだわっていましたが、より強くこだわるようになったのは2019年のPBPがキッカケです。
4年に1度、フランスで開かれる1200kmブルベの残り100km地点で、手持ちのライト(Volt800×2と予備バッテリー)が同時多発的に全て赤ランプが点灯(電池残量10%以下)。
チェックポイントまであと2km、しかしPBPのチェックポイントは大抵丘の上にあるもので(フランスの街の多くは砦を兼ねていたため丘の上に置かれた)、そこに何とか消灯前に辿り着こうと踏みまくってアキレス腱を故障。最終的に無念のタイムアウトとなりました。
ちゃんと充電したはずのVolt800が何故急に全て電池残量が尽きたのかは、未だに分かっていません。
ただ、ライトが原因でタイムアウトに追い込まれるということが現実に起こることは分かりました。そうした事態を防ぐためにも、ライトの正しい特性を把握しておくことは重要だと考えるようになったわけです。
なお、ライトを全て同じ製品で揃えると、同じ原因で同時に不具合が出ることが分かったので、以後は複数系統のライトを持つようになりました。
現在は、ハンドルに2種類(Volt800、RN1500)のライトを付け、サドルバッグにURBAN2(電池式ライト)を忍ばせる運用にしています。
測定環境の構築
これまでの照度測定は割と雑で再現性のあまり無い方法でやっていました。理系出身者としては恥ずかしい話ではありますが……
今後はなるべく値の再現性が出る&正確な値が取れるようにするために、ちゃんと測定環境を構築することにしました。
これまでの測定環境
前の照度計(Tondaj「デジタル照度計 LX-1010B」)を使っていた時は、こんな測定方法でした。
壁から1mの場所にライトを設置し、照射。
そして、一番明るい(最大照度)と思われる場所を、一定時間ごとに計測するという方法でした。超アナログ。
ただ、一度目の計測と二度目の計測で同じ場所を再現できる保証はないですし、部屋の明るさも昼と夜で異なります。照度には部屋の明るさも合算されるので、値が不正確になるわけですね。
今考えると、これで一定光量かどうかを判断していたのは、さすがにいい加減すぎて申し訳ない気持ちになってきました。
今後の測定環境
今後は以下のような環境で測定を行うことになります。
段ボール箱の中に、照度計のセンサ部分のみを入れ、三脚に固定したライトから光を照射します。
三脚の脚が接地する部分にはカッターで切り込みを入れていまして、場所は必ず一箇所に定まるようにしました。照射距離はライトの先端~センサーまでを30cmに固定しています。
ライトを固定する装置は、マイクスタンドを採用。三脚の先にマイクスタンドをネジ止めしています。ブラケットを付け替えなくても、簡単に測定をするための工夫です。
そして、測定時はダンボールの蓋を閉じて、照度計の画面のみは確認可能な状態にしておきます。
値は30秒ごとにSDカードに記録されるので、画面表示が0ルクスになった段階で計測を終了。SDカードからデータを読み出します。
LEDライトは、あまりにも明るいと本体が発熱します。そして、光が強すぎると照らされた側が発火してしまう可能性も考えられます。
こういった事態を防ぐため、この装置では500ルーメン以下の計測しか行わない予定です。あと、必ず在宅していないと、何かあった時にちょっと怖いですね。
個人的には、ロングライドにおいて一番よく使う明るさは200~300ルーメン程度だと考えているので、計測するのは500ルーメン以下のモードで十分だと考えています。
測定結果例
せっかく環境を構築したので、2本のライトを計測してみました。比較しやすいように、どちらも最大800ルーメンのライトの200ルーメンモードを測定しています。
あくまでも「照度」なので、「ある範囲の明るさ」しか表現していません。ワイド配光であれば同じルーメンであっても照度の値は小さくなりますし、スポット配光であれば照度の値は大きくなるので、あくまでルクス値はご参考としてお考えください。
① CATEYE「VOLT800」
まずはブルベの定番品・VOLT800から。Lowモード(200ルーメン)を計測しました。バッテリーは、容量3400mAhの「BA-3.4」を使用しています。
約13000ルクスから始まり、約10時間は約12000ルクス(初期値の92%)の照度を維持しました。少しずつ暗くなっているものの、概ね「一定光量」と言って差し支えないと思います。
消灯までの時間は10時間17分でした。
公称の点灯時間は8時間となっていますが、これはバッテリー容量3100mAh時代から表記が変わっていません。ある時、容量が3400mAhにアップしたので、点灯時間も10%は伸びるはず。実際には10%どころか27%ほど伸びていました。
② Olight「RN800」
次に、Volt800に近いスペックを持つRN800。Lowモード(200ルーメン)を計測しました。バッテリーは内蔵タイプで、4000mAhとされています。
約16000ルクスから始まり、ほぼ一定照度を保ちました。なぜか最後に花火のように明るくなって一気に消灯しています。
消灯までの時間は8時間20分でした。
ルーメンの値で見るとVolt800と同じはずで、Volt800の3400mAhよりも大きな4000mAhを積んでいるにも関わらず、点灯時間は2時間ほど短い。どちらもほぼ一定照度であることから、LEDの質の差ではないかと推測します。Volt800の方が効率の良いLEDを使っていそうですね。
ルクスの値はVolt800より大きいですが、目視ではそこまでの差は見られません。Volt800のほうがワイド配光なのかもしれませんね。
まとめ
ロガー付き照度計を買った報告でした。
結構高かったですが(16000円)、電池切れまで一定照度だと思い込んでいたVolt800が8%ほど暗くなっていることが早速分かりました。肉眼では多少暗くなっていても気づかないものですが(慣れがあるので)、照度計ならごまかされませんからね。ライトの正確な特性理解のためには必要な買い物だったと思います。
ちなみに、レビューとかを見ても照明業者の人とか不動産業者の人のコメントしかありません。中々自転車用ライトの性能測定のために照度計を買う人も珍しいようで。
今後、購入するライトに関しては実用モード(200-500ルーメン)の照度計測を必ず行ってレビューに掲載したいと思っています。
これまでに購入したライトも順次計測は行いたいとは思っていますが……何分、一回の計測にすごく時間が掛かる上に、在宅している時じゃないとボヤを起こしかねないので、更新頻度は期待しないでください。
著者情報
年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。