ORTLIEB SEAT PACK(11L)を購入

久々に「おっ!」と思う大型サドルバッグを見つけて購入してしまいました。

このジャンルの大手であるオルトリーブの製品ですが、これまでの大型サドルバッグの弱点と思われる部分を克服しようという工夫が見られたのが購入の決め手でした。

ORTLIEB SEAT PACK(11L)

今回購入したのは↓の製品です。

オルトリーブのバイクパッキング向けサドルバッグは2種類ありますが、小さい方のサイズの製品です。

購入した理由

大型サドルバッグ黎明期から色々と試している私の家には、既に10個以上の大型サドルバッグがあります。それなのに何故、このバッグをわざわざ買ったのか?

先日初めて実物を見る機会がありまして、その際に他の大型サドルバッグには無い工夫点を見つけたことが理由です。

その工夫点とは、↓の画像で点線で囲んだ部分です。

 

シートポストと接触する部分の内側に補強が入ってるんですよね。それがこのバッグの工夫です。

 

内部を見るとこのような感じで、樹脂製のかなり丈夫そうなパーツが入っています。これは従来の大型サドルバッグには無かった独自の工夫です。

補強の意味

「この補強に何の意味があるのか」ですが、重要な意味があります。

この補強があることによって、シートポストとの接触面(以後は、“バッグの先端”と呼びます)が潰れなくなるのです。ここが潰れないと、走行中のバッグの安定度が増します。

大型サドルバッグの構造的な問題点

大型サドルバッグは通常、バッグの先端には補強が入っていません。

つまり、バッグの中に何も入っていない状態で取り付けると、バッグの先端にシートポストがめり込みます。

この状態で中途半端に中に荷物を入れるとどうなるか?

 

こんな感じで、荷物の重さでバッグは垂れ下がり、一層バッグにシートポストが食い込みます。この状態で走行すると、ペダリングのたびにサドルバッグは左右にユラユラと動いてしまうでしょう。

また、タイヤとバッグのクリアランスがギリギリである場合、垂れ下がったことに寄ってバッグがタイヤと擦ってしまうこともあります。これは揺れるより問題ですね。

ではこの状態を解決するにはどうすればよいか? バッグ内にパンパンに荷物を詰め込みます。荷物を骨組みの代わりに使うわけですね。

 

こちらが、同じバッグにパンパンに荷物を詰め込んだ時の写真です。

中に荷物を入れたことで、先端がシートポストに食い込まず、バッグも本来の形状を維持しています。この状態ならば、走ってもさほど揺れることはありません。

だがしかし。毎回、荷物の出し入れをするたびにこのように綺麗な状態にパッキングするのは、中々手間がかかります

また、大型サドルバッグには「最低容量」というものがあります。大体、バッグの最大容量の半分程度が最低容量だと思ってください。

荷物の量が最低容量に満たない場合、バッグ内をパンパンにすることは出来ません。すると、前述の通り、先端が潰れてバッグにシートポストが食い込み……ブラブラと揺れる大型サドルバッグが出来上がります。

私はブルベを走る時には、大型サドルバッグ内には雨具を入れてます。荷物の8割くらいが雨具です。

当然雨が降れば、サドルバッグから雨具を取り出して身につけるわけですが。そうなると、荷物の量がバッグの最低容量を下回るケースが出てきてしまうわけですね。こうなると、バッグが揺れやすくなります。

何とかならないかと思いつつも、「大型サドルバッグはそういうものだ」と私は諦めていました。大型サドルバッグがペダリングのたびに揺れるの、本当に嫌いなんですけどね。

オルトリーブのソリューション

その悩みを解決するかもしれないのが、オルトリーブがシートパックに組み込んだ「先端の補強」という対策です。

恐らく、オルトリーブの開発者たちも大型サドルバッグが揺れることに悩んでいたのでしょう。そして、それが「先端が潰れること」に起因することにも気付いたんだと思います。

「じゃあ、先端を補強して潰れなくすれば良いんじゃないの?」

という、シンプルかつ合理的な解決手段を彼らは導き出しました。

大型サドルバッグの安定した取り付け方に関しては私も常日頃考えていたのですが、こんな単純な解決策があったとは思いもしませんでした。さすがドイツの技術者です。

補強が付いた時期

ちなみに、私が購入したのは昨年リニューアルした2020年モデルですが、この先端の補強自体は2017年末の前モデルの登場時には既に付いていたようです。

バイクパッキング用のバッグは2015年頃から流行し始めましたが、オルトリーブの参入は結構遅かった印象があります。こうした問題点を解決するまで待って、納得の行くクオリティに達してからリリースしたのかもしれませんね。

ファーストインプレッション

しばらくブルベも無いので実戦投入の機会はまだまだ先になりそうですが、現段階でのファーストインプレッションを書いておきます。

重量

代理店サイトに掲載されている重量は公称325gなんですが、実測は368gと大幅にオーバー。さすがに12%の上振れは看過できません。

ただ、このサドルバッグを持っているフォロワーさん二人に実測をお願いしましたが、二人とも約370g。個体差で重いわけではなく、370g程度が普通なのだと思われます。

 

箱の記載は公称345gに修正されています。ただ、これでもかなり実物との差は大きいですね。

取付

取付は他の大型サドルバッグと同様。

ただ、サドルレールに通す側のベルトを固定するためのバックルがめちゃめちゃ硬いですね。爪が剥がれるかと思いました。ここにこんな強力なバックルが必要なのか疑問ですが、相当重いものを入れることを想定しているのかもしれません。

 

もう一つの特徴が、こちらの空気抜きバルブです。

このバッグは完全防水であり、気密性も非常に高いのが特徴。となると、バッグをロールアップした際に風船のようになってしまうわけです。

しかし、このバルブがあることで、ロールアップ時にここから空気が抜けてくれます。ロールアップが完了したところでバルブを閉じれば、あたかも衣類圧縮袋のごとくバッグが荷物に密着。バッグの中の荷物が走行中に暴れることも防いでくれるわけですね。便利!

安定性

素晴らしい安定性です。先端の補強がめちゃめちゃ良い仕事をしてます。

 

中に何も入れないでバッグを取り付け、20kmほど走行してみました。

中身に何も入れない大型サドルバッグは、普通はまともに走れたものではないのですが、このバッグの場合は特に問題なく走れてしまいました。全然揺れません。

これで、ブルベ中に雨具を中から取り出して中身が空っぽになったとしても、バッグが揺れなくて済みます。

防水性

防水規格は「IP64」とされています。IPX4は「水の飛まつに対して保護」なので、等級としては高くはありません。

しかし、オルトリーブの防水性の高さは折り紙付き。随分控えめに書いていますが、大雨の中を走ってもぜんぜん大丈夫だと思います。

 

念のため、当サイトの名物でもある「水攻め(1分間シャワーをあらゆる方向から掛ける)」も実施しましたが、内部への浸水はありませんでした。

荷物の入れやすさ

このバッグ、容量11Lにしては口が随分大きく、荷物の出し入れがしやすいです。

 

参考までに、容量10Lのオベハネグラのサドルバッグとの比較。オベハネグラは特別口が小さいんですが、それと比べると口の大きさが倍近くあります。

縦の薄さ

実際に取り付けてみて驚いたのは、このバッグが縦方向にかなり薄いことです。つまり、サドルとタイヤのクリアランスが小さくても取り付けられるということです。

 

試しに、妻(身長157cm)のロードバイクに取り付けてみました。普通に取り付けが可能です。

特筆すべきは、必要とするシートポストの出しろが相当小さいこと。5cmくらい出ていれば付けることができそうですね。

身長の問題で大型サドルバッグを諦めた方も、このバッグならば取り付けが可能かもしれません。

まとめ

先端の補強に感動して購入しましたが、間違いではありませんでした。従来の大型サドルバッグよりも一歩進んだ製品だと思います。さすがオルトリーブ。

重量の詐称だけは許せないところですが、公称重量を考えなければそこそこ軽い部類なんですよね。11リットルで400g切っていれば上等です。完全防水ですし。

先端の補強による安定性確保や、空気抜きバルブ、バンジーコードというギミックを考えると、このくらいの重量で収まっているのは相当頑張っていると言えますね。

重量はそこそこあるものの、現時点では多くの人におすすめできる大型サドルバッグだと感じました。買ってよかったです。


 

今回衝撃だったのは、「中身を入れなくても走行中に揺れない」ということでした。

大型サドルバッグの構造上の弱点と思われた、「荷物を骨組みにしないと不安定になる」という所の解決を単純かつ合理的な方法で成し遂げた点が素晴らしいです。

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もちろん、最小容量に満たない場合には中で荷物が暴れますが、バッグ自体が揺れないだけで走行への影響はかなり小さくなるはずです。


 

さて、次に気になったのは、「他社は先端の補強をしているんだろうか?」ということでした。

 

モンベルウェブサイト

大容量ながらも揺れを抑える独自の構造を搭載したサドルバッグです。本体上部には雨具などを収納できるストレッチメッシュポケッ…

ちょっと調べてみたのですが、mont-bellが最近リリースした「ツーリングドライ サドルバッグ」は先端にちゃんと補強が入っていました。

 

Alternative Bicyclesサイトより引用

また、APIDURAの最新作である「バックカントリーシリーズ」のサドルバッグも先端に補強が入っています。こちらのバッグはドロッパーポスト前提ということで、接触面が小さくても安定するようにこのような構造になっているとのことでした。

このように、最新世代の大型サドルバッグは先端を補強している製品が少しずつ出てきています。安定性を上げるための定跡として、今後の定番となるかもしれませんね。

 

なお、この記事を書いた時点ではAmazonは欠品しています。買うならば楽天市場が良いでしょう。

著者情報

年齢: 36歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。


この記事を書いた人
ばる
ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019年の2回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間13分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)