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雨天ライドにおける浸水対策 -シューズ編-
雨天ライドでシューズ内を水没させない&水没した後のノウハウの紹介です。
まえがき
ブルベなどのロングライドでは、やむを得ず雨の中を走らなければならない場合があります。
その際に体を濡らさないための対策を紹介するシリーズ、第一弾。今回取り上げる部位は「シューズ」です。
「シューズの中」は、「レーパンのパッド」と並んで、もっとも「濡れると乾かない」部位です。
シューズの中に浸水を許すと、靴下がずぶ濡れになります。ずぶ濡れの靴下は不快ですし、長時間続くと皮膚がふやけて傷が出来ます。出来れば避けるべきことだと考えています。
本記事では、「シューズの中を濡らさない方法」と、「浸水を許してしまった場合にどうするか」を紹介します。
対策①: シューズ内を濡らさない
シューズを濡らさないための対策を、順を追って解説します。
靴底の穴を塞ぐ
この節ではビンディングシューズを前提としてお話します。フラットペダルで普段履きのシューズで自転車に乗っている人には関係ありません。
ビンディングシューズの場合、必ず「クリート穴」があります。ビンディング用のクリートを取り付けるためのネジ穴ですね。こちらの穴は靴底を貫通している場合があり、そこから浸水を招きます。
シマノのSPDシューズの場合、専用の「クリートの穴を塞ぐシール」が付いてきます。果たしてこれで浸水が防げるかは謎ですが、私は貼っています。
また、通気性のために靴底に穴が開いているケースもあります。雨天ライドを走ることが最初から分かっている場合は、インソールを外して養生テープなどを貼って穴を塞いでおきましょう。
当然、穴を塞いでしまうと通気性は落ちます。通気性を重視する方は、普段は穴を塞がないほうが良いでしょう。
前輪に泥除けを付ける
この記事で一番強調したいのはココです。前輪に泥除け。
泥除けというと、「後ろ側だけ」付ける人が多いのですが、個人的には前側のほうが優先度が高いです。雨が降りそうな予報の場合、とりあえず付けていくことにしています。
前輪の泥除けが無いと、前輪が跳ね上げた路面の水がシューズに直撃します。その水の勢いは上空から降ってくる雨よりも遥かに強く、まとまった量がシューズに掛かります。また、雨が止んだ後も路面の水たまりは残るので、長時間シューズに掛かり続けます。
私は、「シューズ浸水の原因の8割位は前輪が跳ね上げた水にある」と思っています。逆に言うと、それを防げればシューズ浸水するまでの時間を大幅に先延ばしすることが可能です。
そのために役立つのが、「前側の泥除け」です。
前側の泥除けを付けた状態でウェット路面を走ると、泥除けから滝のように水が落ちていく様子が見えます。これがシューズに当たるわけですから、そりゃ浸水しますね。また、チェーンリングに掛かる水も減るので、チェーンオイルが流れるのを防ぐ(オイル切れまでの時間を伸ばす)効果もあります。
効果が高いのは、地面近くまでカバーするフルフェンダーです。こちらの写真のモデルはマッドフラップもついており、ほぼ全ての水の跳ね上げをシャットアウト出来ます。
ただ、フルフェンダーは脱着の手間が大きく、重量もあります。また、昨今のディスクロードには付かない場合も多いもの。
個人的にオススメなのは、SKS「S-BOARD」。少し短くはあるのですが、横幅があり、かなり太いタイヤにも対応します。
また、リムブレーキ・ディスクブレーキを選ばず、脱着も簡単。重量も94gと軽量です。
シューズカバーを二重にする
シューズ側の対策です。
各社からレインシューズカバーが販売されていますが、正直それ一枚だけでは浸水してしまうことが多いです。シューズとシューズカバーには隙間がありますし、足裏部分まではカバーしていないシューズカバーが多いもの。前側の泥除けを付ければ足裏からの浸水はある程度減らすことは出来ますが、限界があります。
そこで、こちらのアイテム(ビニールシューズカバー)を使ってシューズカバーを二重にします。
ビニールシューズカバー単品だけだと、クランク側と干渉してしまうため、外側のシューズカバーで抑えるわけですね。
外側のシューズカバーはビニールシューズカバーを抑えることが目的であり、何を使っても良いと思います。防水性能はビニールシューズカバー側で担保します。
ビニールシューズカバーは透湿性がないので当然蒸れますが、雨で水没するよりはマシだと考えています。なお、元々はこちらの記事で私はこの方法を知りました。
ただ、こちらのビニールシューズカバーは中々出先では手に入りません。出先で急に大雨にふられた場合などは、コンビニ袋(大)を購入して代用する方法もあります。クリート用の穴を開けるのは大変ですが、穴を開けなくてもビンディングシステムは使えないこともないです(かみ合わせは悪くなる)。
足首部分をカバーする
ここまでの対策をすべて実施しても、シューズが水没する場合があります。それは、シューズカバーの足首部分がノーガードだからです。
降ってきた雨が皮膚を通じて、シューズカバーの足首部分に到達。毛細管現象で隙間から水が入り込み、靴下が浸水。その水が足裏に到達し、シューズ全体が浸水します。
ということは、足首部分を何かでカバーすればよいわけです。
代表的な手段としては、レインパンツが挙げられます。
レインパンツの裾を、シューズカバーの足首部分に被せるように履けば、足首部分からの浸水は起こり得ないことになります。時々、シューズカバーの方をレインパンツの上に重ねている人がいますが、あれでは効果がありません。レインパンツを上にして重ねましょう。
自転車用レインパンツの場合、裾を絞る機能が付いています。これでしっかりシューズカバーの足首部分が露出しないようにカバーしましょう。
対策②: 浸水してしまったら
対策をしていたとしても、シューズ内に浸水を許してしまうことはあります。その後にどうするか?の紹介です。
防水ソックスを履く
一つオススメしたいのは、サドルバッグ内などに、ジップロックに入れた状態の防水ソックスを持っておくことです。
DexShellやシールスキンズといったメーカーから防水ソックスが出ています。
「雨が止んだ後」に、足を拭いて防水ソックスを履くと、シューズ内が濡れていても足裏はドライを保つことが出来、快適です。重要なのは「雨が降っている最中」ではなく、「雨が止んだ後」に履くことです。この方法は、Vさんに教わりました。
「最初からこれを履いておけばいいじゃん」と思ってしまいますが、足首部分をガードしていないと浸水を許します。防水ソックスは一度浸水すると、まず乾きません。
新聞紙を詰める
複数日に渡るツーリングなどで、ホテルにたどり着いた後に、翌日に向けてシューズを乾かす際の話です。
とりあえずインソールは外しておきましょう。別々にしておいたほうが、表面積が増えて乾くのが早くなります。
また、シューズ側には新聞紙を丸めて詰めておくと良いです。吸水性が高いので、早く乾くはずです。
靴乾燥機を使う
雨天ライドを終えて家に帰ってきたあとの話です。
濡れたままのシューズをそのままにしておくと、雑菌が繁殖し、悪臭が発生します。一番良いのは洗濯することですが、とりあえず殺菌をしつつ乾かす方法があります。
それが靴乾燥機。ブルベで泊まった宿で初めて存在を知りましたが、これは便利です。梅雨のシーズンには普段履きの靴も浸水したりするので、その対策用に家に常備するようになりました。
まとめ
シューズの浸水対策&浸水した後の対策の紹介でした。
「対策①: シューズ内を濡らさない」を対策をしっかりやっておけば、一日中雨でも浸水することはなかったです。先日の宗谷岬600は1日目が雨でしたが、ホテルに到着してもシューズ内はドライなままでした。多少は蒸れていましたが。
ただ、なかなか完璧にセットすることは難しいので、浸水した後のことも考えて準備しておくと良いでしょう。
著者情報
年齢: 38歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。