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フレームオーダーの記録 (1本目/2017年 細山製作所 QUARK)
自転車と言えば、自転車屋で購入するもの。しかし、工房に依頼して自分好みのフレームを作成してもらう「オーダーフレーム」という手段もあります。
私はこれまでに2本、フレームをオーダーしました。
なぜ既製品のフレームではなく、工房にフレームをオーダーしようと思ったのか。オーダーする際にどんなことを気を付けたか。完成したフレームに乗ってみてどうだったのか。
その辺りのことを、当時残しておいたメモを元に書いていこうと思います。ちゃんと記事にしておいたほうが、次に自分でオーダーしようと思ったときに振り返りやすいので……。
本記事では、1本目のフレームをオーダーした際のことを書いていきます。全5ページ。
製作動機
「いつかはオーダーフレーム」と言うのは、自転車乗りの多くが持っている夢だと思います。
私も毎年開かれている「ハンドメイドバイシクル展(ハンドメイドのオーダーフレーム展示会)」は欠かさず見に行っており、年々自分の中での関心も高まっていました。
細山製作所に初訪問
2016年のある日、不定期に行っている企画「サイクルショップ巡り」で、細山製作所を訪れる機会を得ました。
最初はただ巡るだけでしたが、とある老舗ショップで妻が長年探していた「OFF THE FRONT」のバーテープを発見。
以来、「サイクルショップ巡り」は「OFF THE FRONTを探す旅」になりました。
そこで、妻が収集しているビンテージバーテープ「OFF THE FRONT」を発見。妻は大興奮で、「いつかここでフレームを作る!」とも。
その日はバーテープを買うだけ買って帰ったのですが、実際の工房を見たインパクトは中々頭を離れませんでした。
愛機が寿命を迎える
そんな中、ロングライド・ブルベ用のメイン機として使っていた「LAPIERRE XELIUS」がそろそろ限界を迎えようとしていました。
「カーボンフレームに寿命は無い」とも言われますが、走行距離は5年で5万km。そろそろ休ませたほうが良いでしょう。2015年のPBPもこのフレームで完走しましたし、十分に役目は果たしてくれました。
本来は、2015年末に購入した初めてのディスクロード「SCOTT SOLACE DISC」がその位置に収まるはずでした。しかし、二度ほどSOLACE DISCでブルベに出てみて、乗り心地の悪さと進まなさにガッカリ。「これではとてもブルベに使うことは出来ない」と感じ、次のフレームを探すことにしました。
オーダーという選択肢
そこで思い浮かんだのが、「オーダーフレーム」という選択肢です。
これからもブルベは続けるでしょうし、それならば5年で寿命を迎えるカーボンフレームよりも、「一生もの」とも呼ばれるスチールフレームの方が良いのではないか?
こうして、ロングライド特化の「自分だけの一台」を作ろうと思い立ちました。
工房選択
フレームをオーダーするには、オーダー先の工房を決める必要があります。
候補に挙がっていたのは、RAVANELLO、MAKINO、LEVEL、NAKAGAWAなど。どこも魅力的ではあったのですが、一番縁を感じた細山製作所を選ぶことにしました。
妻のバーテープの件もありましたし、ビルダーの細山さんが「東京~糸魚川ファストラン(以下、糸魚川)」の常連であったことが決め手となりました。私の原点も「糸魚川」。
レースともツーリングとも少し違う「ファストラン」分野を長くこなしてこられた細山さんならば、知見も色々持たれているはず。「自分と近い自転車の楽しみ方をしているビルダーさんに製作を頼む」作戦で行くことにしたわけですね。
この写真は、2016年「糸魚川」のゴールで撮影したもの。「東京~糸魚川ファストラン」の実行委員長の愛車です。各メーカーがディスクロードをリリースする前から、細山さんは雨天でのファストランを見据えたディスクロードを独自に製作されていました。こうした独自ノウハウは他にもあるはずです。
こうして、細山製作所にオーダーを決意。まずは、オーダーに向けて、自分の構想を固めていくことにしたのでした。
オーダー構想
せっかくオーダーをするという事で、まずは自分の要望を具体化していくことにしました。具体化した情報は、印刷してオーダー当日に持参しました。
用途
前述のように、ロングライド(ブルベ・ファストラン)用途。レース用のロードバイクはSCOTT FOILがあったので、オーダーフレームはロングライドに振った性格のものにしようと考えました。
ブルベを疲れずに走り切りたい。それでいて、長距離をなるべく早く走りたい(ファストラン)。そんなコンセプトです。
特殊工作
ツーリング用ならば様々な積載に備えた工作を加えるものですが、今回はファスト志向です。なるべく軽いパイプを使い、荷物積載のための特殊工作は無し。泥除け用のダボ穴は設けず、ロードバイク用の軽量な泥除けを使うことにしました。
ただ、ダウンチューブ下にツール缶を付けることが多い私。「そこに最初からボトルケージが付けられたら便利だな」と思い、ダウンチューブ下にダボ穴を付けてもらおうと考えました。
ジオメトリ
基本的にはビルダーさん任せの想定。ただし、スローピングフレームにすることは決めていました。
この時点ではほとんどジオメトリの知識は無し。大体フレームを選ぶ時には、「トップチューブ長のホリゾンタル換算が550mm前後のものを選ぶ」程度しか考えていませんでした。
カラーリング
「黒メインで赤を刺し色」という、私のいつものパターンで今回も行くことにしました。
あまり凝ったカラーリングに出来るセンスもないので、なるべくシンプルに塗り分けたいと考え、ラグのみを赤くする方向でイメージ画像を作ってみました。パワポで。
ブランド
細山製作所は、2ブランドを持つ珍しい工房です。
レース用途の「QUARK」、ツーリング用途の「FUTABA」。今回は用途的にはFUTABAなのですが、QUARKブランドでお願いすることにしました。