機材考察(サイクルコンピュータ編)

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サイクルコンピュータの話です。主に、GPSサイコンの利点と選び方について考察して行きます。

目次

GPSサイコンの重要性

キャノボは500㎞以上の距離を走ります。道に迷わない自信がある人でも、これだけの距離をミスコースなく走るのは難しいはず。

ミスコースをすると余計な距離を走ることになり、場合によっては数十分単位でロスすることになります。時間に余裕がないキャノボでは、これだけのロスは致命的です。

ミスコースによるタイムロスを防ぐために有効な手段は何か? 私は、地図機能の付いたGPSサイクルコンピュータを使うことだと考えています。

挑戦中には補給や道路状況の判断など他に考えるべきことが沢山あります。GPSサイコンを導入することで、考えるべきことが一つ減るというのは大きな利点です。残念ながらGPSサイコンがあってもミスコースは完全には防げないのですが、無い場合に比べて大幅に回数は減るはずです。

もちろん、GPSサイコンが無くともキャノボ達成は可能ですし、実際に達成した人はいます。

ただ、そのためにはより入念な下準備が必要です。下見試走は必須でしょうし、その上でGoogleストリートビューによる全線の確認も必要となるでしょう。それに掛かる費用と時間を考えると、GPSサイコンを用意したほうが結果的には安上がりだと思います。

以降は、キャノボに向いたGPSサイコンの選び方について解説します。

GPSサイコンの要件

私が考えるキャノボに適したGPSサイコンの要件は以下の2点です。

①地図と現在位置・走行予定ルートの表示が可能であること
②24時間以上稼働すること

①地図と現在位置・走行予定ルートの表示が可能であること

「予定したルートを走れているか」「この先のルートはどうなっているか」を確認するために必要な機能です。

地図が表示できず軌跡だけを表示可能なGPSサイコンもありますが、交差点で曲がる場合の判断が難しくなります。出来れば地図付の機種のほうが良いでしょう。

②24時間以上稼働すること

これを満たす製品は中々ありません。GPS機能がとても電池を食うからなのか、はたまた需要がないのか、大体のGPSサイコンの電池は15時間未満しか持たないのです。

私がキャノボを達成した時に使っていたのは、Garmin Edge705。2010年当時は最強のGPSサイコンでしたが、やはり稼働時間は最大で15時間。残り9時間をどうにか動かす必要があります。幸い、USB端子にバッテリーを繋げば給電しながら使用可能だったため、USB出力付き乾電池ケースを予備電源として備えておき、電池切れが近づいたら接続するという方法を取っていました。

ただ、この「予備電源から給電しながら稼働する」方法にも欠点があります。

1つ目は、振動でUSBケーブルからの給電が瞬断する場合があること。Edge705は給電状態だとバックライトが明るくなるんですが、舗装の悪い場所を通ると画面の明るさがチカチカと変わって非常にストレスでした。

2つ目は、重くなること。今であればモバイルバッテリーが一般化しているので、3000mAh程度の容量があるモバイルバッテリーで給電しながら走る方法もあり得るでしょう。ただし、モバイルバッテリーを繋ぐということは、GPSサイコンの近くにモバイルバッテリーを固定する必要があるということになります。こういう時によく使われるのはトップチューブバッグ。私もトップチューブバッグに予備電源を入れていたのですが……よく考えると、この予備電源システムはかなり重いのです。

・モバイルバッテリー: 100~150g
・ケーブル: 10g前後
・トップチューブバッグ: 50~80g

つまり、GPSサイコンに加えて、予備電源システムで200g前後の重量増ということになります。「キャノボにおける持ち物の考え方」でも書きましたが、「持ち物が増えると、それを入れるための場所もセットで増え」るのです。地面から離れたハンドル近くに200gもの重量が増えると、走行感にも多少なり影響は出るでしょう。

この重量増を防ぐには、予備電源システムがなくとも単体で24時間稼働するGPSサイコンがあれば良いのです。ここからは、24時間以上稼働するGPSサイコンの具体例を挙げていきます。

推奨機種

キャノボに適したサイコンの紹介です。

Garmin eTrex30x



私が現在メインで使っているGPSサイコンです。主に登山用として開発された製品ですが、自転車用の機能も備え、ハンドル・ステムに取り付けるためのマウントも販売されています。

【良い点】
・単三電池2本で25時間稼働
 →予備電源が必要ない。電池が切れてもコンビニで買える。
・心拍センサに対応
 →ペース管理に活用可能。
・フリーズしにくい
 →挙動が安定している。フリーズしても電池を抜けば再起動可能。
・安い
 →地図付のEdgeシリーズなどに比べると安価(実売3万円前後)。

【悪い点】
・大きい&重い
 →単三電池込みで170g(マウント除く)。
・パワーメーターには非対応
 →パワーによるペース管理が出来ない。
・気温センサはオプション対応
 →別売りのセンサを購入する必要がある。

登山用と言うこともあって、非常に挙動が安定しており、長時間稼働するのが強みです。

重いという欠点は、リチウム乾電池を使うことである程度解消可能です。約30g軽量化出来ます。リチウム乾電池は4本で800円程度と非常に高価ではありますが、温度変化にも強く、eTrex30ならランタイムも通常の充電池の1.5倍ほど(実測で40時間以上)になります。

確かにeTrexは単体で見ると通常のGPSサイコンに比べて重いのですが、予備電源が不要と考えると結果的に軽量であると言えます。予備電源+格納場所(トップチューブバッグ等)を考えると、その他のサイコンは300g前後の重量が必要となりますが、リチウム乾電池を使用したeTrexならば140gで済むからです。

なお、eTrexシリーズには、eTrex 20xと言う兄弟製品も存在します。30xとの違いは「気圧高度計」「磁気コンパス」「ANT+対応」の有無。30xは磁気コンパスを内蔵しているため、交差点で止まった状態でも、今現在どちらを向いているかを判別可能です。また、心拍センサやケイデンスセンサ、気温センサを使いたい場合にはANT+に対応した30xを選ぶ必要があります。少なくともキャノボであれば、30xのほうが向いているでしょう。

Garmin Edge1030

GarminのGPSサイコンの中で、2018年現在フラグシップの製品となります。単体では20時間稼働とキャノボには少し足りませんが、専用の外部電源(拡張バッテリーパック)を使うことで稼働時間が40時間まで伸びます。

Edge1030の本体裏側のマウントへねじ込む部分には電源接続用の端子が設けられています。ここを通じて充電するため、ケーブルが不要となります。通常のGPSサイコンで考える必要のある「ケーブルの取り回し」や「モバイルバッテリーの格納場所」を考えなくて良いのは大きな利点です。

【良い点】
・拡張バッテリー込で40時間稼働。
 →電池交換の必要が無い。予備電源の格納場所が不要。
・心拍センサ、パワーメーターに対応
 →ペース管理に活用可能。
・気温も表示可能
 →別売りのセンサは必要なし。

【悪い点】
・高い
 →本体と拡張バッテリーで10万円前後。
・重い
 →本体123g、拡張バッテリー130g。計250g(マウント除く)。

電池の持ちは魅力であるものの、その源である拡張バッテリーを含めた総重量で考えると結構重いです。ただ、機能的には現時点で最強であるため、使う価値は大いにはあると思います。

拡張バッテリーパック自体はEdge820や520へも対応はしています(専用のアウトフロントマウントが必要)。ただし、Edge1030とは異なり、サイコンとバッテリーはケーブルでの接続となります。モバイルバッテリーをトップチューブバッグに入れて使うよりはスッキリするとは思いますが、それにしては投資額が高すぎる気はします。

Garmin Edge 530 / 830

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2019年に発売した機種です。

530は物理ボタン、830はタッチパネルでの操作というのが大きな違いですが、その他はほぼ同等の機能を有しています。

Edge1030の機能を踏襲している部分が多く、拡張バッテリーにも対応。しかし、拡張バッテリーを使わなくてもかなりの電池の持ちを誇ります。公称稼働時間は20時間ですが、設定によっては24時間持たせることも十分に可能です。

【良い点】
・拡張バッテリー込で40時間稼働。
 →電池交換の必要が無い。予備電源の格納場所が不要。
・心拍センサ、パワーメーターに対応
 →ペース管理に活用可能。
・気温も表示可能
 →別売りのセンサは必要なし。

【悪い点】
特に無し

(完)

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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