GHISALLO「GE-110」試乗レポート(荷物積載編)

この記事は約 9分で読めます。

千葉・幕張海浜公園で開催された「フカヤ試乗会」に行ってきました。

目的はGHISALLOのエンデュランスロード「GE-110」。今回で2度目の試乗となりますが、今回は「積載状態」での試乗が目的でした。

目次

参加の経緯

6/25に千葉の幕張海浜公園で開かれたフカヤブランドの試乗会に参加しました。

目的はGHISALLOブランドのエンデュランスロード「GE-110」の試乗でしたが、こちらには既に一度試乗しています。

関連記事
GHISALLO「GE-110」試乗レポート フカヤのオリジナルブランド「GHISALLO」から来年1月発売予定のエンデュランスロード「GE-110」に試乗してきました。 「ブルベ」をターゲットに開発された意欲作です。 ...

今回は追加で確かめたいことがあったので試乗会に足を運びました。どちらも「荷物の積載」についての話です。

積載状態での試乗

前の試乗記事の最後にこんなことを書きました。

試乗前には思い至らなかったんですが、本来この試乗はブルベ並の装備(フロントバッグ・サドルバッグ・ツールボトル等)を付けた上でテストするべきでした。

PBPのような1000km超のブルベでは自転車に取り付ける荷物の重量も数kg単位になります。1500kmのLELでのテストを経ているわけですから、当然その辺りも考慮されているはず。次に試乗する機会があれば、普段のブルベの装備を載せた状態で試したいと思っています。

GE-110はブルベをターゲットにした製品。で、あるならば実使用状態に近い状態でテストをしたいものです。

何も付けてない時には軽快に走るフレームであっても、荷物が付くと別物のように走らなくなることは大いに有り得ること。というより、ロードバイクはドリンクボトル2本程度しか積載は想定していないはずです。

GE-110は「積載状態を考慮した設計をされている」ということで、それを実体験してみたかったのです。

そういった声が多かったのか、今回の試乗会では1リットル入りのペットボトルを4本積載した試乗車が用意されました

キャンプ用のグラベルバイクならともかく、オンロード用でこうした積載状態で試乗ができるのは珍しいこと。それだけ荷物を積んだ状態での走りに自信があるということでもありましょう。

積載を前提とした設計とは?

もう一つの目的は、設計者(またはそれに近い方)に「積載前提の設計とは何をしたのか?」を聞くことです。

GE-110の製品ページには以下の記述があります。

「ブルベ」で必要な装備を積載できるようにアイレット位置を工夫し、「マスの集中化」を実現。
重量物をできるだけBB付近に近づける事で、積載走行時の操作性を向上することに成功しました。

重心を下げるのは、安定感の向上に大事なことです。

しかし、たったそれだけで「荷物の積載を前提」と書くだろうか?と疑問に思っていました。これに+αして何か工夫があるからこそ、「荷物の積載を前提」と言ってるんじゃないかと推測していたのです。

今回の試乗会は結構気合が入っている様子が見て取れたので、設計者の方が来ていてもおかしくありません。

たかだか個人ブログではメーカーに取材できるわけもないので、こういった試乗会で「中の人」と話せる機会は非常に貴重です。

幕張までは意外と遠かったのですが、「この機会を逃す訳にはいかない」ということで現地に赴いたのでした。

試乗会

13時頃に海浜幕張駅到着。そこでお昼を食べてから徒歩で会場に赴きました。

会場

会場は、幕張海浜公園のGエリア。

横の道はブルベで何度も走ってますが、ここに立ち入るのは初めて。でも見覚えが……各自転車メディアの試乗動画で良く出てくる場所ですね。ここで撮影してたのかーと、納得。

1周300mほどの舗装コースがあり、その脇にはMTBコースも整備されています。

何故か猫が多い。

試乗可能ブランド

今回の試乗会ではフカヤ取り扱いの4ブランドの製品に試乗が可能でした。

  • GHISALLO (エンデュランスロード)
  • DAVOS (スポルティーフ)
  • ROCKY MOUNTAIN (MTB)
  • GOODYEAR (タイヤ)

私の目当てはGHISALLOのエンデュランスロードです。

積載状態にしてもらう

今回はGE-110がXXS~XLサイズまで揃っていましたが、私に適したMサイズは1台のみ。そしてMサイズは多くの人のフィットするサイズなので、しばらく待つことになりました。

待っている間に設計者の方に話を聞けないかな……と思って近くにいた方に話を聞いてみると。

「私が設計しました。もしかしてbaruさんですか?」

と、言い当てられてしまいました。わざわざGE-110の作り手の話を聞きに来そうな人も他にいないかもしれませんね……。

私のお目当ての積載装備はXSサイズに取り付けられていたので、お願いしてMサイズに取り付けていただきました。

こちらが積載モードのGE-110。

シートチューブのボトルケージにもペットボトルを付けられたんですが、私の場合は太ももに擦ってしまう可能性が高い。

ということで、ダウンチューブ・BB脇・サドル下の3箇所にペットボトルを取り付けてもらいました。総重量は3kgです。

ブルベの場合、雨が降る場合はレインウェアや予備バッテリーを持つ必要があるので3~4kgの荷物を自転車に積載することは普通にあります。この状態でどんな走りをするかが本日最大の関心事です。

ちなみに試乗車のパーツ構成は以下の通り。

  • コンポーネント: 105 Di2
  • ホイール: 105 カーボン 32mmハイト
  • タイヤ: GOODYEAR EAGLE F1 TLR 28C (4気圧)

積載状態で試乗

さて、積載状態で発進。

これだけ荷物を乗せるとゼロスタートでもフラつきがちですが、そういったこともなくスムーズに走り出すことができました。直進安定性も良好。

そして一番大事なのが、立ちこぎで自転車を左右に振った際の挙動。もちろん無積載状態よりは振りが重くなるものの、3kg乗せているとは思えない振りの軽さに驚きました。

荷物を取り付けるボトルケージのアイレット(ダボ穴)位置がBB近くに出来る限り近づけているため、重心が安定しているというのはあるでしょう。しかし、それだけではなく他に秘密がありそうです。

なお、無積載状態でも乗りましたが、前回の試乗の時の印象から特に変化はありませんでした。

設計者インタビュー

4周ほど試乗した後、設計者の方に「積載を前提とした設計とは何をしたのか?」と質問してみました。

アイレット位置をBBに近づけることに加えて、「アイレット周辺のカーボン積層を強化する」という工夫がされているそうです。

具体的には黄色い四角で示した部分の積層を強化しているとのことです。

ここが弱いと自転車を左右に振った際にボトルケージの根本が揺れてしまい、結果として荷物全体も揺れることになります。荷物がフレームと違うリズムで揺れることで、自転車全体の挙動に影響を及ぼすことになるわけですね。また、重すぎる荷物を付けるとアイレット自体がモゲる可能性もあります。

ではそこを強化するとどうなるか。荷物が揺れずに自転車の動きに追従するので、挙動が安定します

荷物が揺れると、「自転車の挙動が乱れる」「重ったるく感じる」というのは大型サドルバッグで散々体験してきた話です。

関連記事
大型サドルバッグは「大は小を兼ねない」という話 「大は小を兼ねる」ということわざがあります。「大きいものは小さいものより役に立つので、大きいものを選んだほうが良い」という故事成語です。 しかし、このことわざ...

こちらの記事で紹介していますが、大型サドルバッグも正しく取り付ければ揺れなくなり、自転車の動きに追随するようになります。

それと同じことをフレーム側の工夫でやっているとは驚きました。恐らくキャンプ道具などを積む前提のグラベルバイクでは使われる施策なのではないかと推察しますが、オンロード前提の自転車にそういった施策を盛り込んだのがこのフレームのオリジナリティなのでしょう。

なお、このフレームはトップチューブとBB脇にもアイレットがありますが、こちらは力が掛かる部分なので特に強化はしていないとのことでした。

サドル下のペットボトルも揺れが少なく感じたので、それはこちらのパーツ類の固定力が優秀なのでしょう。

アイレット位置を下げたことによる低重心化と相まって、積載状態でも自転車の挙動が重くならない」という狙った効果が実現されていると感じました

タネが分かれば単純明快ではあるんですが、オンロードで走りの軽やかさを保ちつつ荷物を積載できるってニッチ過ぎてマスプロメーカーがやらないことなので、「ありそうで無かった」一本でしょう。

話を聞くと開発段階で三船さんから容赦ない改善提案を出されまくったようで、そこで徹底的に「荷物を積んだ状態の走り」については改善を重ねたとのことです。

重量について

GE-110は、Sサイズの無塗装状態でフレーム重量850gとかなり軽く仕上がっています。

これについては、「重量は狙ったわけではなく、求める走りに必要なことをやった結果の数値」であるとのことです。

元々は更に軽かったらしいですが、荷物の積載状態での走行性能が悪かったんだとか。「あえて重くしてでも、荷物を積載した状態での走りを重視した」と仰っていました。

機械式でも組めるGE-110

今回は、機械式コンポーネントで組まれた試乗車もありました。

ケーブルがハンドル・ステム内装式だったので電動油圧専用品かと思っていたのですが、メカニカルディスクブレーキ+機械式変速でも組めるようですね。

フカヤはシマノ代理店でもあるので、付いていたのはシマノのメカニカルディスクキャリパー。

かなり無理やりなワイヤーの取り回しですが、思ったよりもレバーの引きは重くなかったです。スムーズにワイヤーが入るEQUALブレーキなら何も問題なく使えそうですね。

電動専用だと初期コストが高くなってしまいますが、メカニカルでも実現可能となると結構安く組めそうな気がします。

まとめ

気温30℃超えの真夏日でしたが、行った甲斐のある試乗会でした。

「荷物を積んだ状態でも挙動が重くならない」ことが実体験として確かめられ、設計者の方から理由も聞くことができました。こういった話を聞けるのがリアルイベントの良さですね。

機械式で組めることが分かった以上、手持ちのINFINITOから載せ替えるという選択肢が出てきてしまい、ちょっと悩み中です。PBPが終わるまでは動きはないと思いますが……。

著者情報

年齢: 38歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

記事のシェアはこちらから
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

目次