この記事は約 9分で読めます。
さらば、Wiggle/CRC
昨年末、イギリス外への発送を止めてしまったWiggle/CRCの思い出話を語る記事です。
Wiggle/CRC、イギリス外への発送を停止
2023年12月12日。(往年の)スポーツ自転車ユーザーに激震が走りました。
海外通販の王者が撤退
ありがとう、さようなら、Wiggle…… pic.twitter.com/bAcSU8H1Ro
— ばる (@barubaru24) December 12, 2023
2010年代に一世を風靡したイギリスの通販サイト「Wiggle」がイギリス外への発送停止を発表したためです。
CRCのほうがメッセージがセンチメンタル。 pic.twitter.com/r8wBNrboxl
— ばる (@barubaru24) December 12, 2023
同一の経営元の別通販サイトである「CRC(Chain Reaction Cycles)」も同様にイギリス外への発送停止を発表しました。
長年、日本からも多くのユーザーが利用していたWiggle/CRCからは、事実上の購入不可という状態になってしまいました。
Wiggle/CRC自体は継続していますが、今後はイギリス国内の発送のみに対応するようです。
(一応)予告はされていた
公式サイトでは特に予告なく発送停止となりましたが、自転車系のニュースサイトでは予告らしきものがありました。

該当部分を引用します。
管理者によると、多くのEU加盟国、オーストラリア、日本など世界中の顧客にサービスを提供する国際ウェブサイトは「今後数週間以内に」閉鎖される予定で、「ビジネスのこの部分は影響を受けている」と述べた。
この記事は12/1に掲載されたものですが、実際にはそれから11日後に閉鎖となりました。
先週、「そろそろ終わるかな」という雰囲気を察知してwiggle に注文していたdhbのビブタイツが着弾。これが最後のdhbかぁ… pic.twitter.com/5fjxFFDUvH
— ばる (@barubaru24) December 15, 2023
私はその記事を見て数日後に「これはもう最後の注文になるかも」と思ってdhbのウェア類を注文したのですが、商品が届く前にサイトは閉鎖となってしまいました(モノはちゃんと届きました)。
今後のWiggle/CRC
新規に買い物は出来なくなったWiggle/CRCですが、製品保証については引き続き対応されるとのことです。

ただ、Wiggle/CRCの経営状態がかなり怪しい雰囲気なので、今後も保障が続くかどうかは分かりません。
Wiggle/CRCの思い出
ここからは個人的なWiggle/CRCに関する思い出を書いていきます。一時期は結構ヘビーユーザーだったので、色々な思い出があります。
はじめての利用
メールの履歴を遡ると、最初に利用したのは2010年5月。MAVICのKSYRIUM ELITEを購入していました。
2010年5月のポンド円相場は133円。現在が185円なので随分円が強かった時代です。50000円くらいで買えたようですね。輸入時の消費税を入れても55000円はしなかったはずです。

このホイールですね。
購入から4ヶ月後にこのホイールで東京→大阪キャノンボールに挑戦しましたが、スポークが破断してリタイヤ。「通販で買ったホイールを調整無しで使ってはいけない」という痛い教訓を得られたホイールでもあります。多少テンションが偏っていたのかもしれません。
スポークを全交換して修理を行い、実は現在でもクロスバイクで現役使用中だったりします。
冬用ウェアでお世話になったdhb
Wiggleで一番多く買ったものは何かと考えると、恐らくdhbのウェアです。
dhbはWiggleのプライベートブランドであり、最初はいかにも「廉価」という感じのウェアでした。しかしその後、多少は価格を上げつつもクオリティが上昇していき、あえて選ぶほどのブランドに成長しました。

その辺りの話はこちらの記事で開発者の方が詳しく語っています。
なぜかレビュー記事は書いていないのですが、dhbの冬用ビブタイツはかなりの本数を購入しているはずです。冬用の起毛ビブタイツは国内で買うと2万円からが相場ですが、dhbは1万円台(時には8000円とか)で買えることが多く、愛用していました。

あと、こちらのeVentという防水透湿素材を採用したジャケットも思い出深いです。eVentは防水面ではGORE-TEXには及ばないものの、蒸れにくさではGORE-TEXの上を行く素材です。
このジャケットもなかなかモノは良く、2015年のPBPにはこのジャケットを持っていきました。
Wiggle/CRCがなくなって一番困るのは、dhbのウェアが買えなくなったことです。どこか代理店をやってくれませんかね……直販よりは高くなってしまいそうですけど。
萩原麻由子選手がジロ・ローザでステージ優勝
Wiggleはプロチームを持っていた時期がありました。女子プロチームもスポンサードしており、その中には元日本王者の萩原麻由子選手も所属していました。

2015年、チーム・Wiggle Honda所属の萩原選手は女性版ジロ・デ・イタリアと言われた「ジロ・ローザ」で日本人初のステージ優勝を飾りました。
Wiggleとしても一番景気の良かった時期かもしれません。
WiggleとCRCが合併
2016年2月、WiggleがCRCを買収することが発表されました。

当時の自転車通販サイトでは2トップとも言えた2サイトの合併は驚きを持って迎えられました。
合併後は在庫も共通化されてしまったようで、「WiggleになければCRCを探す」ということが出来なくなってしまったのはちょっと残念でしたね。

2017年にはWiggleCRCグループはドイツのBike24も買収。しかし、2019年には買った相手に売り戻しています。何がしたかったんだろう。
国内ヒルクラ大会に協賛していたWiggle
海外通販サイトであるWiggleですが、なんと日本のヒルクラ大会のスポンサーをやっていたことがあります。
Wiggleスポンサーイベントのお知らせ!賞金レース
第9回wiggle東京ヒルクライムOKUTAMAステージ 東京都奥多摩町 7月30日
賞金総額20万円。募集〆切日は今月20日(火)
早めにご応募下さい
詳しくはこちらより https://t.co/TZXxrUhwWf pic.twitter.com/ELNpeyqbjh— wigglejapan (@wigglejapan) June 9, 2017
2017年当時と言えば、弱虫ペダルから入ってきた人たちの波が一旦落ち着いたものの、海外通販の全盛期の終盤頃というタイミングでしょうか。ポンド円は130-140円ほどで、まだまだ海外通販のお得感が高かった時代です。
そこで割りを食っていたのは、国内ショップや代理店です。こういった所から海外通販は目の敵にされていた感があった中で、日本のローカル大会をWiggleがスポンサードするということは割りと驚きがありました。地域への還元というか、融和政策だったのかもしれません。
Brand-Xの謎を追う
2020年、久々に購入したディスクロードのスルーアクスルに不具合があり、Wiggleで売っていたBrand-Xというブランドのスルーアクスルを購入しました。
このBrand-Xの正体が気になり、調査をした記事がこちらです。

結論から言うと、Brand-XはかつてCRCが持っていたプライベートブランドでした。合併を経て、Wiggleでも扱われるようになったみたいですね。
dhb同様、Brand-Xのスルーアクスルも安くて品質が良かったので、これが買えなくなってしまうのも非常に惜しいです。
まとめ
WiggleとCRCの思い出を振り返りました。
フレームこそ一度も買ったことはありませんでしたが、初手がホイール。その後もフレーム以外のものはだいたいWiggleで買ったことがある気がします。
一時期は配送も爆速で、「在庫を持っていない(問屋取寄の)国内通販サイトより早く届く」なんて話もありました。
盛者必衰とは言いますが、一世を風靡したWiggle/CRCか買い物が出来なくなってしまったのは寂しいものです。一時代の終焉を見た気がしました。
記事のタイトルは「さらば」にしてしまいましたが、気分としては「またね」。また買い物ができる日が来ることを願っています。
Wiggle/CRCでどうしても欲しい製品がある場合
さて、最後に一つだけTIPS的なものを。
どうしてもWiggle/CRCでなければ買えない製品(dhbのウェアや、Brand-Xのパーツ等)を買いたくなったらどうすれば良いか?
無理矢理気味な手段ですが、一応買う方法はあります。
イギリス内への発送は継続しているので、海外転送サービスを使えば引き続き購入することは可能です。

この手のサービスで、イギリス倉庫へ発送し、そこから日本へ転送をしてもらえれば良いはず。
ただし転送手数料は掛かりますし、日数も直送の倍くらいは掛かります。
いずれにしろ不便になってしまったことには変わりはないですね……。
著者情報
年齢: 39歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。