さらば、Wiggle/CRC

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昨年末、イギリス外への発送を止めてしまったWiggle/CRCの思い出話を語る記事です。

目次

Wiggle/CRC、イギリス外への発送を停止

2023年12月12日。(往年の)スポーツ自転車ユーザーに激震が走りました。

海外通販の王者が撤退

2010年代に一世を風靡したイギリスの通販サイト「Wiggle」がイギリス外への発送停止を発表したためです。

同一の経営元の別通販サイトである「CRC(Chain Reaction Cycles)」も同様にイギリス外への発送停止を発表しました。

長年、日本からも多くのユーザーが利用していたWiggle/CRCからは、事実上の購入不可という状態になってしまいました。

Wiggle/CRC自体は継続していますが、今後はイギリス国内の発送のみに対応するようです。

(一応)予告はされていた

公式サイトでは特に予告なく発送停止となりましたが、自転車系のニュースサイトでは予告らしきものがありました。

road.cc
Wiggle Chain Reaction ditches international websites to focus on UK citing "rising international air... Administrators of business say that it is proving “incredibly attractive” to potential buyers as sale process continues

該当部分を引用します。

管理者によると、多くのEU加盟国、オーストラリア、日本など世界中の顧客にサービスを提供する国際ウェブサイトは「今後数週間以内に」閉鎖される予定で、「ビジネスのこの部分は影響を受けている」と述べた。

この記事は12/1に掲載されたものですが、実際にはそれから11日後に閉鎖となりました。

私はその記事を見て数日後に「これはもう最後の注文になるかも」と思ってdhbのウェア類を注文したのですが、商品が届く前にサイトは閉鎖となってしまいました(モノはちゃんと届きました)。

今後のWiggle/CRC

新規に買い物は出来なくなったWiggle/CRCですが、製品保証については引き続き対応されるとのことです。

road.cc
WiggleCRC owed Haribo £20,000, plus millions of pounds to other cycling brands, administrator's prop... Figures published by the beleaguered online cycling retailer's administrator suggest £1 million was owed to two major cycling distributors, although some debts ...

ただ、Wiggle/CRCの経営状態がかなり怪しい雰囲気なので、今後も保障が続くかどうかは分かりません。

Wiggle/CRCの思い出

ここからは個人的なWiggle/CRCに関する思い出を書いていきます。一時期は結構ヘビーユーザーだったので、色々な思い出があります。

はじめての利用

メールの履歴を遡ると、最初に利用したのは2010年5月。MAVICのKSYRIUM ELITEを購入していました。

2010年5月のポンド円相場は133円。現在が185円なので随分円が強かった時代です。50000円くらいで買えたようですね。輸入時の消費税を入れても55000円はしなかったはずです。

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このホイールですね。

購入から4ヶ月後にこのホイールで東京→大阪キャノンボールに挑戦しましたが、スポークが破断してリタイヤ。「通販で買ったホイールを調整無しで使ってはいけない」という痛い教訓を得られたホイールでもあります。多少テンションが偏っていたのかもしれません。

スポークを全交換して修理を行い、実は現在でもクロスバイクで現役使用中だったりします。

冬用ウェアでお世話になったdhb

Wiggleで一番多く買ったものは何かと考えると、恐らくdhbのウェアです。

dhbはWiggleのプライベートブランドであり、最初はいかにも「廉価」という感じのウェアでした。しかしその後、多少は価格を上げつつもクオリティが上昇していき、あえて選ぶほどのブランドに成長しました。

LOVE CYCLIST - ラブサイクリスト
コスパだけじゃない。「dhb」について僕たちがまだ知らないこと。 - LOVE CYCLIST - ラブサイクリスト 一般的にサイクリストたちは「dhb」に対してどんなイメージを持っているのだろうか──Wiggleでショッピングをしながら、たまにそんな疑問が頭に浮かびます。 WiggleやChain ...

その辺りの話はこちらの記事で開発者の方が詳しく語っています。

なぜかレビュー記事は書いていないのですが、dhbの冬用ビブタイツはかなりの本数を購入しているはずです。冬用の起毛ビブタイツは国内で買うと2万円からが相場ですが、dhbは1万円台(時には8000円とか)で買えることが多く、愛用していました。

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あと、こちらのeVentという防水透湿素材を採用したジャケットも思い出深いです。eVentは防水面ではGORE-TEXには及ばないものの、蒸れにくさではGORE-TEXの上を行く素材です。

このジャケットもなかなかモノは良く、2015年のPBPにはこのジャケットを持っていきました。

Wiggle/CRCがなくなって一番困るのは、dhbのウェアが買えなくなったことです。どこか代理店をやってくれませんかね……直販よりは高くなってしまいそうですけど。

萩原麻由子選手がジロ・ローザでステージ優勝

Wiggleはプロチームを持っていた時期がありました。女子プロチームもスポンサードしており、その中には元日本王者の萩原麻由子選手も所属していました。

cyclowired
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2015年、チーム・Wiggle Honda所属の萩原選手は女性版ジロ・デ・イタリアと言われた「ジロ・ローザ」で日本人初のステージ優勝を飾りました。

Wiggleとしても一番景気の良かった時期かもしれません。

WiggleとCRCが合併

2016年2月、WiggleがCRCを買収することが発表されました。

cyclingweekly.com
Wiggle and Chain Reaction Cycles officially announce merger Online retailers Wiggle and Chain Reaction Cycles are to merge, it is announced, with combined revenues expected to be in excess of £300m

当時の自転車通販サイトでは2トップとも言えた2サイトの合併は驚きを持って迎えられました。

合併後は在庫も共通化されてしまったようで、「WiggleになければCRCを探す」ということが出来なくなってしまったのはちょっと残念でしたね。

Cycling Industry News
WiggleCRC sells Bike24 back to The Riverside Company Having sold the business to WiggleCRC only in 2017, online retailer Bike24 has now been re-acquired by private equity firm Riverside.

2017年にはWiggleCRCグループはドイツのBike24も買収。しかし、2019年には買った相手に売り戻しています。何がしたかったんだろう。

国内ヒルクラ大会に協賛していたWiggle

海外通販サイトであるWiggleですが、なんと日本のヒルクラ大会のスポンサーをやっていたことがあります。

2017年当時と言えば、弱虫ペダルから入ってきた人たちの波が一旦落ち着いたものの、海外通販の全盛期の終盤頃というタイミングでしょうか。ポンド円は130-140円ほどで、まだまだ海外通販のお得感が高かった時代です。

そこで割りを食っていたのは、国内ショップや代理店です。こういった所から海外通販は目の敵にされていた感があった中で、日本のローカル大会をWiggleがスポンサードするということは割りと驚きがありました。地域への還元というか、融和政策だったのかもしれません。

Brand-Xの謎を追う

2020年、久々に購入したディスクロードのスルーアクスルに不具合があり、Wiggleで売っていたBrand-Xというブランドのスルーアクスルを購入しました。

このBrand-Xの正体が気になり、調査をした記事がこちらです。

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「Brand-X」の正体を探る 先日、互換スルーアクスルのレビューを書きました。 このスルーアクスルのブランドである「Brand-X」。レビュー中でも「イマイチ正体が分からない」ことは書きましたが...

結論から言うと、Brand-XはかつてCRCが持っていたプライベートブランドでした。合併を経て、Wiggleでも扱われるようになったみたいですね。

dhb同様、Brand-Xのスルーアクスルも安くて品質が良かったので、これが買えなくなってしまうのも非常に惜しいです。

まとめ

WiggleとCRCの思い出を振り返りました。

フレームこそ一度も買ったことはありませんでしたが、初手がホイール。その後もフレーム以外のものはだいたいWiggleで買ったことがある気がします。

一時期は配送も爆速で、「在庫を持っていない(問屋取寄の)国内通販サイトより早く届く」なんて話もありました。

盛者必衰とは言いますが、一世を風靡したWiggle/CRCか買い物が出来なくなってしまったのは寂しいものです。一時代の終焉を見た気がしました。

記事のタイトルは「さらば」にしてしまいましたが、気分としては「またね」。また買い物ができる日が来ることを願っています。

Wiggle/CRCでどうしても欲しい製品がある場合

さて、最後に一つだけTIPS的なものを。

どうしてもWiggle/CRCでなければ買えない製品(dhbのウェアや、Brand-Xのパーツ等)を買いたくなったらどうすれば良いか?

無理矢理気味な手段ですが、一応買う方法はあります

イギリス内への発送は継続しているので、海外転送サービスを使えば引き続き購入することは可能です。

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この手のサービスで、イギリス倉庫へ発送し、そこから日本へ転送をしてもらえれば良いはず。

ただし転送手数料は掛かりますし、日数も直送の倍くらいは掛かります。

いずれにしろ不便になってしまったことには変わりはないですね……。

著者情報

年齢: 39歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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