ブルベ用 反射ベストの選び方

  • 2022年2月20日
  • 2022年2月21日
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ブルベの必須アイテム「反射ベスト」。反射ベストなら何でも良いわけではなく、適したベスト・適さないベストが存在します。

本記事では、ブルベ(BRM)に適した反射ベストの選び方を解説します。

ブルベと反射ベスト

まずは、「ブルベでなぜ反射ベストが必要なのか」について書いていきます。

なぜ反射ベストを着るのか

ブルベ(BRM)発祥の地はフランスです。

フランスでは、夜間に自転車に乗る際は反射ベスト(正確には高視認性の上着)を着ることが道路交通法で定められています。自転車だけではなく、路上で活動する全ての人が反射ベスト着用の対象です。ブルベのルールで着ているわけではなく、法律でそう決まっているから着ているわけです(参考: フランスのWikipedia「高視認性衣服」)。

今から約20年ほど前にBRMが日本でも行われるようになりましたが、ルールはフランスのものを踏襲しています。

日本の道路交通法には反射ベストに関する規定はないので、ブルベのルールとして着用を義務付けています。やはり夜間走行を含むブルベでは、「いかに夜道で被視認性を上げるか」ということは安全面では重要ですからね。

フランスにおけるルール

フランスでは、夜間に着るべき反射ベストが国際規格に適合している必要があります。規格名は「EN20471」または 「EN1150」です。

規格では、反射材の面積や生地の色など、細かく規定されています。

日本におけるルール

一方、日本では前述の通り、法律上で反射ベストに関する規定はありません。

また、日本のBRMを統括する「Audax Japan」の定めるルールにおいても、以下のように書かれているだけです。

すべての走者は反射ベスト、反射たすき、反射肩掛けベルト(Sam Browne belt)、もしくは前後の見えやすい位置に反射素材がついた同様のものを着用しなければならない。

BRM/AJ規定より

反射ベストの選び方

では、「反射ベストっぽいモノであればなんでも良いのか?」というと、そういうわけでもありません。

ブルベを主催する団体によっては、その団体独自の規約(ローカルルールと呼ばれる)で「こんな反射ベストは出走を許可しない」と定められていることがあります。

また、出走には問題ない反射ベストであっても、「動きにくい」「暑い」等々の理由で走りのパフォーマンスを低下させるものもあります。

本記事では、「ブルベに出走可能」かつ「走りのパフォーマンスを妨げない」反射ベストの選び方のポイントを紹介します

選び方のポイント

ブルベに適した反射ベストの選び方をポイント別に説明します。私の基準で優先度が高い順に書いています。

反射材の面積と配置

反射ベストは夜間に車のヘッドライトで照らされた際に目立つことが最大の目的です。これによって車から存在を認識され、事故(主に追突)を未然に防ぐことに繋がります。

そのために重要となるのは反射材の面積です。なるべく反射材の面積が大きいものを選びましょう。

写真はブルベ用に最も適した反射ベストでもある、「PBPベスト」を背面から撮影したものです。反射材の面積が非常に大きいことがお分かりになるかと思います。

PBPベストは、反射材の配置も工夫されています。

ブルベで一般的なスポーツ用自転車の場合は前傾姿勢となるため、車のライトで後ろから照らされるのは半分より下の部分となります。この部分に反射材が配置されているものを選んだほうが良いです。出来ればお尻の部分が光ると一番良いんですけどね。

逆に、首に近い部分に反射材が集中していても、自転車用の反射ベストとしてはあまり意味がありません。

なお、ブルベに参加するのはドロップハンドルで前傾姿勢の自転車ばかりではありません。寝た姿勢で乗るリカンベントもありますし、上体が起き上がったフラットバーの自転車に乗る人もいます。自転車の乗車姿勢に応じて適切な反射材の配置が変わることには注意してください。

生地の色

反射ベストは、昼間(夜間でも一定の明るさがある所も含む)でも被視認性を高める効果があります。単純に蛍光色のウェアって目立ちますからね。

反射ベストの国際規格であるEN1150やEN20471では、反射材を除いた生地の色についても規定があります。

日本のブルベでは一部の団体を除いて生地の色には規定がありませんが、生地の色が蛍光色のものを選んだほうが良いです。具体的には、蛍光イエロー・蛍光オレンジ・蛍光レッドなどですね。

ちなみに、暗がりで一番目立つ色は蛍光グリーンらしいです。人間の目の特性的に、暗いと緑への感度が高くなることが理由。逆に昼間は木の色に紛れてしまうんですけども。

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こちらの商品のように生地の色が黒いベストは一部の団体では出走を許可されない可能性があります。

動きやすさ

一番見逃しがちでありながら重要なことが「動きやすさ」です。

私は反射ベストを忘れてしまい、近くのホームセンターで購入してブルベに参加したことがあります。しかし、これが実に動きにくい。

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私が買ったのはこの製品でしたが、生地が非常に硬いんですよね。そのため、前傾姿勢で変なところに突っ張りを感じてしまい、ストレスフルでした。

ホームセンターで売っている反射ベストはスポーツをするために作られているわけではありません。基本的には立ち仕事のためのもの。ましてや、ずっと前傾姿勢でいることは考慮されていないはずです。

その点、スポーツ用の反射ベストは伸縮性の高い生地を採用しており、体の動きにフィットするようになっています。

出来ればスポーツ用の反射ベストを選ぶこと、スポーツ用が手に入らない場合は伸縮性の高い反射ベストを選ぶと良いでしょう。

空気抵抗

もうひとつ、見逃されがちなのが空気抵抗です。

反射ベストはフリーサイズであることが多く、更に体にフィットするようには作られていないものが多いです。

例えば、ワリと定番品であるこちらのベスト。以前、フレッシュというチームで走るブルベにチームメイトがコレを着てきたんですが、めちゃくちゃ風でバタついてました。この反射ベストは反射面積はかなり大きいんですが、1サイズ展開である上にフィット感の調整機構が無いんですよね。

風でバタつくということは、空気抵抗を受けているということ。制限時間のあるブルベでは不利になります。

これを避けるためには、複数サイズ展開がある反射ベストであれば適切なサイズのものを選ぶ、もしくはサイズ調整機構のある反射ベストを選ぶべきだと思います。

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PBPベストの元になっているL2S「Visioplus」はサイズ調整機構がありませんが、複数サイズ展開があります。

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Sportfulのこちらのベストはサイズ展開がある上に、サイズ調整機構もあります。

また、生地の伸縮性の高さも大事です。上に挙げた2つは、どちらも生地の伸縮性も高いものが使われています。

通気性

反射ベストは夏でも着用しなければなりません。

夏場に風通しの悪い反射ベストを着て出走してしまうと、汗をかきすぎて体力を無駄に消費することになります。真冬以外でも、通気性の悪い反射ベストを着てヒルクライムをするとかなり汗をかきます。

ブルベの定番ベスト、オダックス埼玉の「ADX-V」を接写。穴の開いたメッシュ生地であることが分かります。

真冬以外のブルベでは通気性の高い(出来ればメッシュ生地)の物を選んだほうが良いでしょう。

防寒性

通気性と矛盾するようですが、真冬の反射ベストは防寒具も兼ねることがあります。

ヒルクライム大会の会場に行くと、ダウンヒル用に防寒ベストを着用するシーンが見られますが、それと同じことですね。

私は夏と冬で別の反射ベストを使います。夏場は通気性の良いもの、冬場は防寒性の高いものといった具合。

私は冬のブルベではPBPベストを着ていることが多いのですが、このようにメッシュの目がかなり細かく、防風効果があるためです。本格的なウインドブレークシートが入っているわけではないので効果はそこそこですが、あると体温を保つのに役立ちます。逆に、冬以外の国内ブルベではPBPベストを使ったことがありません。暑すぎるから。

ヨーロッパは夏でも夜中はかなり冷えますし(一桁気温になる)、湿度が低いので、8月開催のPBPでこのベストを着ても不都合がありません。むしろ防寒具としてありがたかったです。

ヨーロッパの反射ベストは見た目が格好良いんですが、大抵は通気性よりも防寒性を重視していて、高温多湿な日本で着るには暑いものがほとんどなので注意しましょう。冬場に着るのには良いんですけどね。

ということで、冬場に着る反射ベストは防寒性の高いものを選びましょう

バックポケットへのアクセス

ブルベの場合、ジャージのバックポケットにスマホや補給食を入れる方が多いと思います。反射ベストがバックポケットにかぶっていると、まくりあげる必要が出てきます。

PBPベストはバックポケットにアクセスするためのスリットが設けられています。さすが専用品。

……ですが、作る側がその意味を理解していないのか、手が入らないくらいスリットが小さい固体もあります。固体によっては手が入るものもあるんですけども。要は品質が一定してないです、PBPベスト。

わざわざスリットまで設けている反射ベストは少ないのですが、反射ベストを選ぶ際にはバックポケットへのアクセスも考慮に入れてみてください

脱着のしやすさ

買うときには中々気づかないのが「脱着のしやすさ」です。

反射ベストは一番外側に着ないと意味をなしません。そのため、防寒用ジャケットやレインウェアを着る時には、必ず「脱ぐ」「着る」という2動作が必要になります。

トイレでビブ付きのレーパンを履いていて便座に座るようなケースでも、一度全てのウェアを脱ぐ必要があります。

一度のブルベで全く脱がないこともありますが、距離が伸びるにつれ、天候の変化などによって反射ベストを脱いだり着たりする回数は増えます。

モンベルサイトより引用

例えば、mont-bellのナイトライドベストは、反射材の面積も大きいし、メッシュ生地なので通気性にも問題はありません。サイズ展開も複数あります。

しかし、脱着時にはTシャツのように一度バンザイをしなくてはなりません。結構この動作が面倒なのです。いわゆる「ビブス」スタイルの反射ベストはここに問題があります。

モンベルサイトより引用

脱着に関する指摘が多かったのか、2022年に新バージョンとなったモンベルの反射ベストはビブススタイルをやめ、前で生地を合わせるチョッキスタイルになりました。

ということで、反射ベストを購入する際には「脱着のしやすさ」を考慮したほうが良いです。具体的に言えば前で生地を合わせる(または前にファスナーが付いている)チョッキスタイルのほうが使いやすいと思います。

適した反射ベスト例

国内ブルベを走るのに適した反射ベスト例の紹介です。

① オダックス埼玉「ADX-V」

日本におけるブルベの象徴とも言えるベストが、オダックス埼玉の「ADX-V」です。専用品としてランドヌール自身が開発したものであり、全てにおいてポイントを抑えた作りになっています。

前傾姿勢でも見える部分に太い反射材が貼り付けられており、バックポケットを塞がない形状となっています。

このように大変良く出来た反射ベストですが、入手の難易度は高いです。

この反射ベストは、オダックス埼玉のブルベのスタート会場や、オダックス埼玉から委託された別団体のブルベのスタート会場で入手することが出来ました。

しかし昨今はコロナ禍の影響もあり、スタート地点を省略するブルベも増えており、入手の機会は減っています。

② L2S「Visioplus(PBPベスト)」

ここまで何度も登場してきたPBPベスト。元はL2Sというメーカーの「Visioplus」という製品です。反射ベストの国際規格「EN1150」に準拠。

PBPのロゴ入りベストは参加しないことには手に入りませんが、ロゴなしのベストはイギリスのAmazonで入手可能です(割高ですが)。

フランスや北海道など、湿度の低い場所で着るのには適していますが、本州以南で夏場にこれを着るとかなり暑いので注意。

③ ろんぐらいだぁすとーりーず!「サイクル反射ベスト」

Goodsmileカンパニー公式サイトより引用

自転車漫画「ろんぐらいだぁすとーりーず!」の作中に出てくる反射ベストを商品化したものです。

見ての通りL2S「Visioplus」に影響を受けた構造と反射材の配置となっています。ただ、バックポケットへアクセスするためのスリットはなく、代わりにベスト自体にポケットが付いています。

不定期で販売される製品となっており、常時入手できるものではありません。

④ Wowow「Maverick」

Wowowはベルギーの反射アイテムメーカーです。テレビ局ではありません。

ヨーロッパでは有名なメーカーらしく、こちらのベストはフランスのショップで買いました。

こちらは自転車専用というわけではありませんが、反射材の配置も自転車用としては理想的なものです。ただ、ちょっと伸縮性には難あり。

日本に代理店はありませんが、ドイツの通販サイト「BIKE24」でWowow製品を購入可能です。

⑤ R250「サイクル反射ベスト」

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ワールドサイクルのプライベートブランドである「R250」の反射ベストです。

デザインはADX-Vに良く似てるものの、サイズ調整機能を追加するなど独自の工夫も見られます。私はこの製品を持っていませんが、使っている方からもあまり悪い話は聞かないです。

ここまで読んでいただけると分かるように、自転車用の反射ベストはなかなか入手が難しいのですが。この製品はAmazonで安定供給されています(2022年2月現在)。

ポケットの付いたバージョンもあるようです。

避けたほうが良いもの

最後に「こういった反射ベストは避けたほうが無難」という例も挙げます。

反射タスキ

オダックス・ジャパンの「BRM/AJ規定」では反射タスキでのブルベ出走もOKとされています。反射タスキは100円ショップでも手に入るので、入手性も申し分ないです。

しかし、いくつかの団体(R東京・AR日本橋・AJ北海道など)ではローカルルールで反射タスキでの出走を禁じています。

これは、風などで裏返ってしまうと身に付ける意味がなくなってしまうことが理由とされています。

反射材の面積が著しく少ないもの

一見、反射ベストに見えるものの、実は反射材の面積が著しく少ないベストも存在します。

こちらのmorethanというメーカーのベストが一例です。一見、反射ベストに見えますが……

実はほとんど反射材が付いていません。前傾姿勢になったら、後ろからでは全く反射材が見えなくなるでしょう。

こうしたものは反射ベストの目的を満たさないため、出走を認められない可能性が高いです。

生地の色が蛍光色でないもの

いくつかの団体(AR日本橋・R札幌など)のローカルルールでは、「生地の色が蛍光カラーである」ことを反射ベストの要件に定めています。

「生地の色が蛍光色でない場合、日中の被視認性が低下すること」が理由に挙げられています。

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例えばこちらのベストは反射材の面積的には十分なのですが、生地の色が黒であるということでNGになる可能性が高いです。

全面が反射材のもの

「全面が反射材」という反射ベストも存在します。

例えばProvizというメーカーが出しているこちらの製品がそうです。

夜間にライトで照らされた際の被視認性は最強なのですが、光が当たらなければただの灰色のベストです。

一つ前の項目と同じく、「生地の色が蛍光カラーである」ことをローカルルールで定めている団体では出走できない可能性があります。

ホームセンターで売っているもの

ホームセンターやワークマンで売っている反射ベストは、大抵ブルベのルール上は問題がない場合が多いです。

問題なのは性能面

前述の通り、ホームセンターで手に入る反射ベストは、フィット感・通気性・空気抵抗のいずれかに難がある製品が多いです。

ブルベで余計なストレスを抱えないためにも、自転車用の反射ベストを調達したほうが良いでしょう。

まとめ

ブルベに適した反射ベストの選び方を紹介しました。

ブルベに出るならばホームセンターで買える反射ベストよりは、自転車用の反射ベストを購入したほうが良いでしょう。ちゃんと乗車姿勢を考慮した反射材の配置になっていることが多いですし、動きやすさや通気性を考慮されているからです。

また、世界を探せば被視認性も高い上にカッコいい反射ベストはあるのですが、なかなか入手性が良くない&日本の気候にマッチしないのが悩ましい点です。

この記事が、どなたかのブルベに出るための反射ベスト選びに役立てば幸いです。

著者情報

年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。


この記事を書いた人
ばる
ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019年の2回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)