Edge840(540/1040)で黒背景の地図を使う方法

この記事は約 8分で読めます。

Edge840(540/1040も同様)で黒背景の地図を使う方法の紹介です。

目次

まえがき

この記事を書くことになった経緯から書いていきます。

夜でも地図が白背景のままのEdge840

昨年Edge840を買いました。

概ね満足は行っているのですが、一点だけ許せないことがあります。夜でも地図が白背景であることです。

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その顛末をまとめたのがこちらの記事です。

Edge530の夜間モード

GarminのGPSには元来「昼間モード」と「夜間モード」があり、日没と日の出で自動的に切り替わるようになっていました。昼間は白背景に、夜は黒背景にといった具合です。

Edge840の夜間モード

しかし、Edge840の世代(540/1040も含む)からは、マップ画面のみ白背景で固定となってしまいました。他の画面は黒背景なのになぜかマップだけ白背景です。

個人差はあるかもしれませんが、夜間のマップ画面は黒背景のほうが見やすいと感じます。

Garminの窓口に問い合わせてみましたが「安全性の観点から、仕様でクリーム色の背景にしている」という回答が返ってきました。夜中に白い画面を見つめた後に、暗い風景を見るほうが危険な気はするんですけども……(目が明順応してしまうから)。

結局PBPではeTrex32xをメインで使い、Edge840はサブとしました。その理由の一つは、夜間でもマップ画面が白背景だからです。PBPを始めとしたブルベでは常にマップを表示しているので、夜間に地図が見づらいのは致命的なのです。eTrex32xは夜になるとマップが黒背景になるので、こちらをメインとしました。

黒背景にする方法を教えていただく

仕様だと言われたので素直に諦めていたのですが、先日サイトのメールフォームから「変える方法がある」という情報を頂きました。

情報の主は、このツイートをしている「かんな」さん。

「マップテーマ」なるものを追加すれば黒背景は実現できるとのこと。早速私もその方法を試してみたのですが…

Edge840のマップ画面キャプチャ

黒背景になりました!

本記事ではこの方法を詳しく紹介していきます。

マップ画面を黒背景にする方法

Edge840のマップ画面を黒背景にする方法を説明していきます。

おおまかな方針を先に書いておくと、「カスタマイズされたマップテーマを作成し、それをEdge840に送り込む」ことでマップ画面の黒背景化を実現します。

GarminのGPS機器でマップ表示機能のあるものは、マップテーマを切り替えることでマップ画面の見た目を変えることが出来ます。自分で黒背景のマップテーマを作成してEdge840に送り込めば、黒背景のマップ画面が実現するというわけですね。

① マップテーマファイルを作成する

Garmin Map Editorというサイトにアクセスします。

このサイトでは、Garminデバイス用のマップテーマファイルを作成することが可能です。

「Template」のドロップダウンメニューから「Mountain Bikng(night)」を選択し、Loadボタンを押します。

すると、「Mountain Bikng(night)」テンプレートのカラー設定がロードされます。今回はこのカラー設定をそのまま使います。

Generateボタンを押すと、「mountainbikingnight.kmtf」というファイルがダウンロードされます。これがマップテーマファイルです。

ちょっとファイル名が長いので「Mountain_Night.kmtf」という名前に変更します(変えなくてもOK)。

② マップテーマファイルをEdgeに転送する

次に、ダウンロードしたマップテーマファイルをEdge840に転送します。この作業にはパソコンが必要です。スマホでも頑張れば可能ですが説明は割愛します。

パソコンとEdge840をType-Cケーブルで接続します。

Edge840がディスクドライブとして認識されるので、「Garmin\MAPTHEMES」フォルダを開きます。

こちらに、先ほどダウンロードした「Mmoutain_Night.kmtf」ファイルをコピー&ペーストします。

これでマップテーマファイルがEdge840内に配置されました。

③ マップテーマを切り替える

最後に、Edge840の本体メニューからマップテーマを切り替えます。

パソコンと接続していたEdge840からケーブルを取り外します。

トップページ右下の三本線(メインメニュー)をタップし、以下の通りにメニューを辿ってください。

アクティビティプロフィール
→(マップを切り替えたいプロフィールを選択)
→ナビゲーション
→地図
→表示
→地図テーマ

かなり深い所に目的のメニューがあります。

すると、先程Edge840に送りこんだ「Mountain_Night」のテーマが一覧に表示されています。こちらを選択します。

地図テーマ欄が「Mountain Night」となっていれば設定完了です。「地図表示」ボタンを押してみてください。

このように、マップ画面が黒背景で表示されれば成功です。

ただし、この方法で注意が必要なのは「昼間でもマップ画面が黒背景のまま」になるという点です。その理由についてはこの後の章で書いていきます。

昼間に白背景のマップ画面を使いたい場合は、先程行ったマップテーマの切り替えメニューに行き、「クラシック」等のマップテーマに手動切替を行う必要があります。

参考: マップテーマファイルについて

あまり日本語でマップテーマファイルの情報が見当たらなかったので、参考情報を書いておきます。

恐らくこの設定方法はマップ表示可能なスマートウォッチでも共通なはずです。

マップテーマファイルの中身

マップテーマファイル(.ktmf)の中身はXMLです。

High Contrastのマップテーマファイル

こんな感じでタグが羅列されています。

マップテーマファイルの書式

普通はこの手のXMLにはDTDと呼ばれる構造情報があり、「どの要素がどのような意味を持つか」の解説資料が公開されているものです。しかし、GarminはこのXMLの構造情報を公開していません。

マップテーマの構造情報(一部)

以下に示す情報は色々と情報を手でいじってみて判明した構造情報の一部です。内容は間違っているかもしれません。

タグ名 要素名 説明
style field マップの部位名を指定しているようです。
今のところ判明しているのは「MPM_LAND_CLR」がマップ画面の背景色を表すことくらいです。
既存のファイルを調べた所、このfieldは150種類以上ありました。
color field名を指定した部位について、色情報を定義します。
primary field名を指定した部位について背景色を指定します。
day 昼間モードのときの背景色をカラーコード(16進数8桁)で指定します。
night 夜間モードのときの背景色をカラーコード(16進数8桁)で指定します。
EdgeX40世代以降ではこの指定が無視されます。
secondary field名を指定した部位について縁取り線の色を指定します。
day 昼間モードのときの縁取り線の色をカラーコード(16進数8桁)で指定します。
night 夜間モードのときの縁取り線の色をカラーコード(16進数8桁)で指定します。
EdgeX40世代以降ではこの指定が無視されます。

ここでは色に関する情報のみを書きましたが、線の太さを指定する要素もあるようです。

day要素・night要素

day要素・night要素は、昼間モード・夜間モードによって色を自動的に切り替える設定でしたが、EdgeX40世代以降は設定しても効果がありません。強制的にday要素で指定した色が使われます。恐らくnight要素を読み取る機能が削除されています。

EdgeX30以前の世代はnight要素を読み込むので、昼間モードと夜間モードの色を別々に指定できます。

カラーコードの指定方法

ちょっと特殊なのが、カラーコードの指定方法です。

カラーコードは「#FFFFFF」のように6桁で指定するのが普通ですが、マップテーマファイルでは「#FFFFFFFF」のように8桁で指定します。各桁の意味は以下です。

桁数 説明
上2桁 色の透明度を指定する。
(例) 00→完全に透明、FF→完全に不透明
下6桁 通常のカラーコードを指定する。
(例) FFFFFF→白、000000→黒

「完全に不透明な黒」を指定したい場合は「#FF000000」を指定します。

まとめ

Edge840で黒背景のマップ画面を表示する方法の紹介でした。

昼と夜で自動的に白背景⇔黒背景が入れ替われば完璧だったのですが、残念ながらその方法は発見できず。とはいえ、黒背景が使えるようになっただけで一歩前進ではあります。

EdgeX30以前では出来ていたことなのですから、ぜひともEdgeX40世代以降でも昼と夜のマップ背景色が切替可能になるようにファームウェアのアップデートを期待しています。

著者情報

年齢: 39歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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