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Ride with GPSの使い方 -ルート作成編-
ルート作成・共有サイト「Ride with GPS」でルートを引く際の基本的なやり方と、小技について紹介します。
はじめに
本記事では、ルート作成・共有サイト「Ride with GPS(以降、”RWGPS”と省略)」において「ルートを引いて保存するまで」の手順を紹介します。
この記事を書く動機
私はブルベやキャノンボールのルートを引くためにRWGPSを日々使っています。キャノボのルートガイドは全ページにRWGPSが埋め込まれています。それなりに使いこなしているユーザーと言える……はず。
Twitterを見ていると「RWGPSで上手くルートが引けなくてイライラする」という話を結構見かける機会があります。海外サイトなのでマニュアルも良く分からないのも確か。
そこで、日本語で分かりやすい手順をまとめてみようと思い立ちました。基本的な手順に加えて、便利な小技的な部分も紹介できればと思います。
本記事の前提事項
本記事の前提事項を最初に書いておきます。
- 作業環境
PC(パソコン)での作業を想定しています。
ブラウザはGoogle Chromeを推奨します(RWGPS用の拡張機能が使えるため)。 - アカウント
既にRWGPSのアカウントを作成済みであるものとします。
未作成の場合は、こちらからアカウントを作成してください。 - 言語設定
「英語(English)」の言語設定で解説します。
日本語設定もあるのですが、不自然な日本語訳が多いので英語のほうが理解しやすいと思います。 - ユーザー種別
RWGPSには無料で使える機能の他に、有料のProfessional機能(年額: 79.99$)があります。
本記事では基本的に無料で出来る範囲の操作を掲載しますが、有料機能の場所は有料であると明示します。
言語設定の変更は、画面右上のプロフィールアイコン右の「∨」をクリックして一番下のメニューから行えます。

地球マークの場所をクリックし、「English」を選択してください。
ルート作成の基本手順
まずは、ルート作成の基本手順を解説します。小技等は次以降の章で紹介します。
「東京大阪キャノンボールを想定し、東京(日本橋)から六郷橋までのルートを引く」という設定で説明していきます。完成例のルートはこちらです。
Route Plannerを開く
まずはルートを作成するためのページ「Route Planner」を開きます。

画面上部のメニューから「Route Planner」をクリックします。

こちらのRoute Planner画面からルートを作成していきます。
マップソースを切り替える
Route Plannerの画面中心には地図が表示されていますが、この地図は別の地図に切り替えることが出来ます。

地図右上のセレクトボックスからマップソースを切り替えられます。
初期状態では「RWGPS Cycle」という地図が選択されていますが、「Google Map」や「OSM」などが選択可能です。

私は「Google Map」に切り替えてからルートを引くことが多いです。普段からGoogle Mapアプリを使うので、見慣れていることが理由。表示される情報も多彩です。
ただし、マップソースにGoogle Mapを選ぶと、「ルートが引けない」とか「獲得標高がおかしい」といった問題が出る場合があります。
そういった例については後述します。
スタート地点に移動する
Route Plannerを表示した時、地図の中心は設定画面で設定した「Your Location」になっています。普段は自宅を設定しているのですが、今回は東京駅を「Your Location」に設定しています。
今回は「東京大阪キャノンボールのルートを引く」という例なので、スタート地点は日本橋の「日本国道路元標」です。

画面右上の「Enter a Location」という部分に「日本国道路元標」と入力してEnterキーを押してください。

地図の中心が日本国道路元標に移動します。「Start route here」ボタンを押すと、スタート地点のポイントが設定されます。

緑色のマーカーが設定されました。これがスタート地点です。
ただし、日本国道路元標は道路ではない場所にあるので、ここからルートを引き始めるとちょっとおかしなことになります。そこで、少しだけスタート地点を移動させます。

緑色のマーカーはドラッグ&ドロップで移動可能です。少しだけマーカーの位置を移動し、道路上に配置します。
ルートを引く
地図をクリックしてルートを引いていきます。
ここで一つオススメしたいのが、「Routing」を「Driving」に設定することです。

Routingは、画面右側の中段にある設定で、「どの乗り物の立場でルートを引くか」を設定します。「Cycling」「Driving」「Walking」の3種類から選択することが可能です。
今回はここで「Driving」を選んでください。
「Cyclingを選ぶべきでは?」と思われるかもしれませんが、Cyclingを選ぶと生成されたルートが細い道に逸れてしまいやすくなります。太めの主要道路でルートを引く場合は「Driving」の方が適切なルートが引けます。
あとは、地図上の任意の点をクリックしていくとルートが引けます。
今回は日本橋から南へ、国道15号線に沿ってルートを引いていきます。

地図上の任意の点をクリックすると、そこに白い丸(Control Point)が打たれ、スタート地点からControl Pointの間に赤い線でルートが引かれます。この時引かれるルートは、基本的に道路に沿って引かれます。

あとは同様に地図上をクリックしていくと、Control Pointが打たれ、前のControl Pointとの間にルートが引かれます。
これを繰り返してルートをゴールまで引いていきます。

今回のゴールである六郷橋までルートを引き終わりました。
地図の下に表示されているのは標高図と、ルートの距離&獲得標高データです。このルートの場合、「距離: 17.8km」「登り累積標高: 139m」「下り累積標高: 154m」ということになります。
ルートの保存
作成したルートを保存します。

画面左下の「Save」ボタンを押します。

ルート情報を設定するダイアログが表示されるので、Titleを設定して「Save」ボタンを押してください。
今回はTitleを「日本橋~六郷橋」としました。

ルートデータが保存されました。
「View Route」ボタンを押すと、保存したルートデータを閲覧することが出来ます。

ルートデータの閲覧画面です。
この画面からサイクルコンピューター用のルートデータファイルをエクスポート出来ますが、本記事は「ルート作成」に主眼を置いた記事なので今回は割愛します。
後日、別記事でそのあたりを解説しようと考えています。
ルート作成時のTIPS
「~~をしたい」場合の操作例を紹介する形式で、ルート作成時のTIPSを紹介していきます。
引かれたルートが意図とズレてしまったので修正したい
Control Pointを打ってルートを引いていくと、自分の意図とは違う経路でルートが引かれてしまう場合があります。

こんなケースですね。
国道15号線に沿って、「日本橋~京橋~新橋」へと至るルートを引きたかったのに、引かれたルートは一本右にある昭和通りに引かれてしまいました。
どうも内部で「より太い道を優先する」みたいなロジックが組み込まれているようで、こうなってしまうことはよくあります。
こうなった際には、ルートの途中にControl Pointを増やして対応します。
Control Pointを追加する

画面右側中央の「Click Action」領域内を、「Add to Route」から「Control Point」に切り替えます。
これを選ぶことで、既に引かれたルート上にControl Pointを追加することが可能になります。

スタート地点と終了地点の半分あたりの場所(赤いルート上)をクリックすると、その場所にControl Pointが追加されます。
Control Pointを動かす
追加したControl Pointは、ドラッグ&ドロップで動かすことが出来ます。
これは動画のほうが分かりやすいと思ったので、動画で操作内容を見てください。
意図通りのルートになったらマウスのクリックを離す(ドロップする)と、ルートが確定します。
Control Pointを一つ増やしても上手く行かない場合(近くに優先度の高い道路があると引っ張られやすい)は、2つ3つと増やして対応する必要があります。
Add to Routeモードに切り替える
Click Actionを「Control Point」にしたままだと、ルートを追加で引くことが出来ません。「ルートを引く」モードに戻してやる必要があります。

画面右側中段の「Add to Route」ボタンを押して、「ルートを引く」モードに復帰します。
これで、ルートを追加していくことが可能になります。
ルートを引き間違えてしまったので前の状態に戻りたい
ルートを引いたものの、「あ、今のナシ」というように操作を取り消したい場合があります。

そうした場合には、画面右上の「Undo」「Redo」ボタンを使用します。
Undoボタンを1回押すと、一つ前の状態に戻ることが出来ます。Ctrl+Zキーでも同様の動作になります。Undoボタンを複数回押すと、メモリの許す限り操作をさかのぼる事ができます。
逆に、「戻った操作を取り消したい」場合には「Redo」ボタンを使用します。Ctrl+Yキーでも同様の動作になります。
サイクリングロードや公園の内部の道にルートを引きたい
サイクリングロードや公園の中にルートを引きたい場合を考えます。

Routingが「Driving」になっていると、強制的に車道にルートが引かれてしまいます。
こういう場合は、Routingを「Cycling」に切り替えます。Cyclingに切り替えると、自転車が通れる道を優先してルートが引かれるようになります。

ちゃんと、多摩川サイクリングロードにルートが引かれていますね。
押し歩き箇所や階段にルートを引きたい
たまに、「階段をルートに設定したい」ということがあります。

ここは、実際に大阪→東京でキャノンボールをする際に、階段を通りたくなる場所です。
自転車を担いで階段を徒歩で行けば、30秒くらいは短縮できます。
階段は「自転車が通れない場所」とRWGPSに認識されるので、Routingが「Driving」や「Cycling」だと階段は迂回してルートが設定されます。
こういう場合、「Routing」を「Walking」 に切り替えます。Walkingに切り替えると、歩行者が通れる道を優先してルートが引かれます。

ちゃんと階段にルートが引かれました。
このように、ルートを引く際にうまく行かない場合は、Routingを切り替えながらルートを引いていく必要があります。
どうしても迂回してしまう箇所がある
ルートを引いていると、サイクリングロードや階段ではないのに、何故か迂回されてしまうというケースがあります。そして、これはマップソースがGoogle Mapの場合によく起こります。
これは、Google Mapが持っている通行止め情報が邪魔をするからです。RWGPSは、通行止め情報を考慮し、通れない場所を避けてルートを引こうとします。
例えば、今の時期(3月)に乗鞍エコーラインにルートを引こうとすると……

こんな感じに怒られます。乗鞍は現在冬季閉鎖中なので、「通行止め」とみなされるからです。多分、開通している夏の時期も夜間は通行止めなので、「夏の昼間」しかルートを引くことが出来ません。
こういう場合には、マップソースを別のものに切り替えます。

マップソースを「RWGPS Cycle」に切り替えると、乗鞍エコーラインにもルートを引くことが出来ます。マップソース「RWGPS Cycle」も一方通行の逆走不可等のデータは持っていますが、通行止め情報は持っていないのでルートが引けるわけです。
ただし、乗鞍エコーラインはマイカー規制が敷かれているので、Routingを「Driving(車)」にしているとルートが引けません。「Cycling」に切り替えてください。
他に、以下のようなケースで強制的に迂回を食らうケースがありますが、マップソースの切替で対応できることが多いです。
- 夜間に、「夜間通行止めの区間」にルートを引こうとした場合
- 工事通行止めの区間にルートを引こうとした場合
- 季節性の通行止め区間にルートを引こうとした場合
道ではない場所にルートを引きたい
道ではない場所や、どうしても迂回できない場所にルートを引きたい場合には、「Draw Lines」というモードを使用します。

Routingを「Draw Lines」に変えると、道ではない場所にも直線を引くことが出来ます。マップソースの通行止めデータや、道のデータすべてを無視して直線を引きます。
どうしてもルートが引けない場所にルートを引くための最終手段として覚えておいてください。
ルート上の風景をストリートビューで見たい
マップソースがGoogle提供のもの(GoogleMap, Google Satelliteなど)の場合に限り、RWGPS上でGoogleストリートビュー機能を使用することが出来ます。
地図右下にある人のマークをドラッグして、ストリートビューを見たい地点でドロップしてください。
こちらも動画のほうが分かりやすいと思うので動画で手順を示します。
地図に戻る場合は、中央下部の「←」を押すと戻ることが出来ます。
表示される獲得標高が体感と一致しない
マップソースを「Google Map」にしてルートを引いていると、「このルートこんなに登らないはずなのに、獲得標高多すぎない?」ということがあります。
実は、RWGPSの獲得標高はルートを引いている際のマップソースによって変化します。Google Mapは獲得標高が大きく出やすいのです。
こういう場合は、マップソースを「RWGPS Cycle」や「OSM」に切り替えることで獲得標高が体感と近くなる場合があります。

Google Chromeを使っている場合は、こちらの「RWGPS地理院標高」という拡張機能を使うと獲得標高が良い感じに補正されます。これを作っているのは、キャノンボーラーの330Kさんです。超便利な拡張をありがとうございます。
Route Plannerの初期表示場所を指定したい
Route Plannerを開くと、恐らくIPアドレスから推定された自宅近くの場所が中央に設定された状態になっています。
この初期表示場所は自分の好きな場所に設定することが出来ます。私は自宅の場所を設定しています。

画面右上の「∨」をクリックし、「Settings」メニューを選びます。

左のメニューから「Location」を選ぶと、初期表示場所を設定することが出来ます。
「Edit」リンクを押すと場所の指定が可能です。

テキストボックスに地名を入力し、目的の場所が表示されたら「Save」ボタンを押します。あまり文字による検索の精度が良くないので、地図を自分でスクロールして場所を指定(地図上でクリック)を指定したほうが良いかもしれません。
これで、Route Plannerを立ち上げると指定した場所が中央に表示された状態で開始することが出来ます。
ルートの色を途中で変更したい
デフォルトのルート色は赤です。このルート色は変更することが可能です。

「Routing」セクションのDraw Linesボタンの右にある赤いボタンを押すと、ルートの色を変更可能です。試しに青に変えてみます。

ルートの色が途中から青に変わったことが分かります。
あまり活用シーンが思い浮かびませんが、ブルベならばチェックポイントを境にルートの色を変えて「ここにチェックポイントがある」と強調するために使えそうです。私なら別のルートデータに分けてしまいますが。
地図上の場所にメモ(POI)を設定したい
RWGPSでは、コース上にメモ付きの目印(POI)を設定することが出来ます。

こんな感じで、後から確認できるのですが。こちらは有料会員にならないと設定できません。
POIを設定したい場合は有料会員になってください。
まとめ
RWGPSでの基本的なルート作成の方法とTIPSを紹介しました。これだけ覚えておけばルート作成で困ることはあまりないと思います。
裏技的なものはありませんが、「知っていると便利」な小技は網羅したつもりです。とりあえず以下の2つの技は頻繁に使うので是非覚えていって頂ければ。
- 上手くルートが引けなかったら、マップソースかRouting(交通手段)を切り替えてみる。
- 引かれたルートが気に入らなかったら、Control Point(経由地)を追加して対応する。
RWGPSは非常に便利なサイトですので、是非ライド計画のお供に使いこなしてください。